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クロノス・クァルテットが17年ぶりの来日公演、S・ライヒ作品ほか多彩なライナップを各地で

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クロノス・クァルテット

クロノス・クァルテット  ©Jay Blakesberg

現代音楽を得意とするアメリカの弦楽四重奏団、クロノス・クァルテット(以下、クロノスQ)が、2020年9月に17年ぶりの来日公演をおこなう。9月27日・28日に東京オペラシティ コンサートホール、9月30日に盛岡市民文化ホール・小ホール、10月2日に彩の国さいたま芸術劇場大ホール、10月3日に神奈川県立音楽堂、10月4日に八ヶ岳高原音楽堂で、それぞれ演奏会が開催される。

スティーヴ・ライヒの代表曲のひとつ《ディファレント・トレインズ》の初演や、ジミー・ヘンドリックス《パープル・ヘイズ》の弦楽アレンジ版でよく知られるクロノスQだが、もちろん功績はそれだけではない。現代音楽は言うに及ばず、ロック、ジャズ、はたまたマルチメディアアーティストに至るまで、幅広いジャンルの作品を積極的に取り上げ、弦楽四重奏団の可能性を、そしてクラシック音楽の可能性をも大胆に拡張してきた。

そんな彼らは1973年にヴァイオリニストのデイヴィッド・ハリントンによってシアトルで結成、1978年からはサンフランシスコを拠点に、これまでのおよそ半世紀にわたり60タイトルを超えるアルバムをリリース、また、数千回に及ぶコンサートをおこなってきた。とりわけ相性の良さが印象深いのが、スティーヴ・ライヒ、テリー・ライリー、フィリップ・グラス、といったミニマル・ミュージック系作曲家との仕事だ。

スティーヴ・ライヒによる前述の、肉声テープの断片と弦楽演奏を同期させながらドキュメンタリーのように紡いでいく《ディファレント・トレインズ》もクロノスQのために書き下ろされたもので、1990年にグラミー賞最優秀現代音楽作品賞を受賞した、傑作中の傑作だ。今回の来日公演では、この“名刺”代わりのナンバーに加え、同じくライヒがクロノスQに書き下ろした《トリプル・クァルテット》(1999年)も披露される(9月28日、10月4日)。こちらは、三群の弦楽四重奏のために書かれ、演奏会ではあらかじめ用意した二群の弦楽四重奏の録音と同時にライブで演奏されるという。このライヒの二曲が一晩のうちに演奏されるのは非常に貴重なことだ。

また、クロノスQと仲の良いもう一人のミニマル系巨匠、テリー・ライリーによる《サン・リングズ》日本初演も聴き逃せない(10月4日)。惑星探査機ボイジャー1号の打上げ25周年を記念し、NASAがライリーに委嘱し、2002年クロノスQにより初演された90分の大曲だ(といっても、ライリー的には珍しくない長さだが)。

他に、フィリップ・グラス、ローリー・アンダーソン、ジョン・コルトレーン、ジョン・アダムス、等々、数々の気になる“攻め”のプログラムが各公演毎に投入されているので、今秋“通い”が必要となってくる現代音楽マニアも続出ししそうだ。

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