矢井田瞳、KANA-BOON、BURNOUT SYNDROMES出演、吉村知事号令の大阪府主催無観客ライブに2万人が熱狂
6月7日、大阪府が主催する無観客ライブ配信「大阪府文化芸術活動(無観客ライブ配信)支援事業PR LIVE -ACCESS CODE OSAKA!-」が開催され、大阪出身で大阪のライブハウス・シーンから羽ばたいていったKANA-BOON、BURNOUT SYNDROMES、矢井田瞳(50音順/以下敬称略)の3組が出演し、大阪のライブハウス・シーンに再び火をつけるべく、渾身の生演奏を届けた。
午後4:00、イベント開始とともにステージに光が差し込み登場したのは、今回司会進行をつとめる大抜卓人。大抜はFM802を始め関西を中心に幅広く活躍するDJで、早くからライブハウス・シーンのピンチに心を痛め、“#すきやねんライブハウス”というハッシュタグでライブハウスへの再注目を呼びかけていた一人だ。大抜は‟大阪の文化・芸術を前進させたい、大阪のライブの火を灯していきたい!”と、ライブを待つ観客のボルテージをマックスまで持ち上げた。そうしてライブハウスを守ってきた人たちの想いと共に、大阪のライブハウス・シーンがついに再び幕を明ける。
いよいよ本編、SEと共にまずステージに現れたのは3ピース・バンドのBURNOUT SYNDROMES。“生まれ育った大阪に恩返しがしたくてこのステージに立ってます。最後まであなたに届けるので、しっかりついてきてください! 新しい時代に向かう1歩目を俺たちと一緒に踏み出していきましょう!”という言葉とともに「Good Morning World」でスタートする。まさに観客がいるような視線で歌声や楽器の音すべてをぶつけてくるのだ。‟これこそがライブだ!”と言わんばかりのステージ・パフォーマンスで圧巻する。何度も見られた手を広げ指を空へと突き刺すようなポーズは、これからの前向きな未来を示してくれてくれているようにも見えた。MCでは笑いを起こしながら、トークでも画面の向こうの観客と距離を縮めていくのはさすが大阪出身バンドの本領発揮といったところ。そしてトップバッターにして既にクライマックスのようなスタート・ダッシュを決めるがごとく、立て続けにアッパー・チューンでたたみかけ、最後に‟新しい時代を一緒に作っていけたらなと思います!”というメッセージを残しステージを後にした。
転換と換気を挟み、次にバトンを受け取ったのは今年20周年イヤーを迎えた矢井田瞳。本番前にスタッフを通しインタビューに答えてもらった。
――ライブハウスの思い出はありますか?
矢井田:ライブハウスでしか味わえない一体感やその場にいないと味わえない空気など、ライブハウスには音楽の醍醐味が詰まっていると思います。デビューしたての頃も今も、ステージに上がった瞬間のドキドキは変わらないです。デビュー当時は大阪在住でしたので、大阪のライブハウスでもよくライブをやりました。MC中に客席から話しかけられたり突っ込まれたり、笑。大阪ならではの洗礼を受けてドギマギしたのも懐かしいです。
――大阪や日本の誇らしい部分はどういったところに感じますか?
矢井田:人と人、心と心の距離感が近いところ。ユーモアを忘れないところ。
――今回の生配信で伝えたい事(意気込み)をお聞かせ下さい!
矢井田:どんなに大変な時も音楽の力を信じたいし、信じています。まだまだ苦しい状況下にある方がたくさんいらっしゃると思いますが、少しでも音楽でパワーを送ることが出来たら…という想いで参加しました!
そう意気込んだ矢井田瞳のステージ。“HELLO 大阪!”の声とともにアコースティック・ギターを抱えてステージに現れ1曲目に届けてくれたのは「Ring my bell」。バックをつとめるtakatakaの二人と3本のアコギで音を紡いでいく。まっすぐ届いてくる歌声には矢井田の人柄と瞳の奥にある優しさがしっかり映し出されている。takatakaの素晴らしい演奏技術と矢井田とのチームワークでどんどんリズムを展開していき、音を弾ませながらライブを盛り上げていく。‟短い時間ですが最後までよろしくお願いします”という挨拶に続くのは誰もが楽しみにしていたであろう「my sweet darlin’」。安心感と興奮を与えるバランスが絶妙で、きっと幅広い世代の方が画面越しで口ずさみ体を揺らしていただろう。
次の曲は矢井田がギターを置きマイクだけで歌った「Over the distance」。目の前にいるはずのないオーディエンス1人1人と会話をしているかのようなパフォーマンスからは優しさがにじみ出ている。有線マイクのコードを握る手に力が入っているのは見逃せなかった。
続くのは激しいギターのカッティングが鳴り響く「Go my way」。自分の成長を見守ってくれているような包容力。カラフルな照明の中に立つ矢井田は、止まることなく今日も歩み続けている。そして我々を引っ張って行ってくれているようだ。
ラストの曲は昨日6月6日に発売されたばかりの限定シングル「ネオンの朝」。“大好きで大切な大阪の街を思いながら書いた曲。今日は本当にどうもありがとう!”と最後まで感謝を伝えながら音楽を鳴らしていく。そして大阪が生んだ、大阪の誇るシンガーソングライター、矢井田瞳は、‟明日からも頑張りや〜!”というメッセージでライブを締めた。
2度目の転換と換気を終え‟お家で座って見ている方、立ち上がりませんか? 大好物のバンドが登場します。おかえりKANA-BOON!!”という大抜のアオリとともに登場したのはKANA-BOON。‟KANA-BOONですどうぞよろしく"という、まさにライブの始まりを感じさせる谷口 鮪(Vo&Gt)の挨拶からの「シルエット」。
ライブができずに縮まっていた気持ちを一気に放出するように叫び、いつも以上に笑みをこぼしながら歌う姿を見ると、観ている側も自然と笑顔になってしまう。次の「フルドライブ」もアッパーなドライブ感と疾走感がたまらない。ギター・ソロもいつもに増してまさにフルドライブだ。
続く「ないものねだり」では、無観客にも関わらずライブでは定番となっているコールアンドレスポンスにもトライ。‟会場にはカメラマンさんと偉い人達がいます。今日はその人たちでコールアンドレスポンスができるかどうか試してみたいと思います!(笑)”と異例の体験が始まった。環境的に現場にいる人はあまり声が出せなかったのかもしれないが、きっと全員が心の中でレスポンスを続けていたはずだ。それほどの熱量が伝わってきた。
‟例えばあなたが家庭をもったとしてその子供がどこかで人生を変えるようない音楽にであう瞬間があると思います。そこでは見たことないような笑顔を見せると思うんです。興奮する奇跡的な瞬間をしてもらいたいし、そういう瞬間を見逃さずに見ていきたい。沢山の楽しみが待っています。そのためにもライブハウスを守りたいと思うし未来に希望を持ってまたライブハウスに帰ってきたいと思います。ですがまだ帰ってきたとは言えません。ステージに立つ人がいてそれを楽しむ人がいるからこそ帰って来れるものだと思うのでその時が来たら思いっきり叫ぼうと思います!! 人生が更に楽しくなるようなことを積み上げて積み上げて一緒に頑張っていきましょう!”という力強いメッセージの後に奏でられた最後の曲は「スターマーカー」。
世界中の悲しみを緩和し楽しさを提供してくれている。大阪府の思いを背負い、ライブハウスへ引き込み、光を灯してくれたKANA-BOON。まさにヒーローのようなバンドに見えた。
本番終了直後、大抜卓人と電話を繋ぎ、コメントをもらった。
大抜:ライブ・シーンにとっては大きな一歩になったなあという印象やった。現場の人たちも緊張しながらワクワクしてはったし、舞台監督さんもずっとお世話になってる人やけど緊張してはった。でもそれが一つ大きな前進となる日やったね。KANA-BOONもBURNOUT SYNDROMESも3ヶ月振りくらいにメンバーと音を鳴らしてるから、‟爆音で鳴らす”っていうあの楽しさを再確認したんちゃうかな。それがバンドにとっても「よし、やろう。」というスイッチになる公演やったと思うし。吉村知事も来られてて、今日は“大阪を一つにエンタメを頑張る”っていうきっかけになるものやったんちゃうかなあと思う。
文:YUNA(大阪☆春夏秋冬)
写真:渡邉一生
セットリスト
BURNOUT SYNDROME
- Good Morning World!
- FLY HIGH!!
- ヒカリアレ
- PHOENIX
矢井田瞳
- Ring my bell
- my sweet darlin’
- Over The Distance
- Go my way
- ネオンの朝
KANA-BOON
- シルエット
- フルドライブ
- ないものねだり
- スターマーカー
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