KANA-BOON
『RUSH BALL 2020』KANA-BOON
KANA-BOONにとって泉大津フェニックスは特別な場所。地元の大阪府堺市とも近く、6年前には野外ワンマンも開催している。そこで開催される『RUSH BALL』もホームと言える野外イベント。
谷口鮪(Vo.Gt)の「久しぶりのライブ今日楽しみにしてきました!」という言葉を皮切りに演奏が始まり、それに合わせて「RUSH BALL~!」と叫ぶ。<いっせーのーせ>という歌い出しが気持ちよすぎる「シルエット」が1曲目。爽快感のあるグッドメロディーに感心している内に、一瞬で走り抜けるように終わっていく。
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続く、「フルドライブ」も言葉がパンパンと進んでいき、<単純さ、一気に行け 最高で行け、駆けるのさ フルドライブ 走れ>と駆け抜けていく。走り抜けると書いた後に駆け抜けていくと書いてしまう事に、もう少しライターとして自分の語彙力がどうにかならないかと恥ずかしくなるが、そのシンプルなストレートさは、今の世知辛い御時世に堪らなく響く。
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「なんでもねだり」の前に、鮪が「歌ったり、奇声をあげたり出来ませんけど、自分だけのダンスで踊っていきましょう!」と観客に声を掛けたのも良かった。一緒に歌ったり、奇声という名の歓声を上げれないのは、確かに不自由だが、僕らはダンスを踊る事が出来る。それも、みんな一緒のダンスでは無く、自分だけのダンスというのが肝だ。何にも縛られる必要が無いという事を、改めて僕らに教えてくれた。
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5曲目「まっさら」の前に、鮪は長めに観客に話しかけた。ライブが無い間は寂しかったし、配信ライブも楽しかったとはいえ、観客がいるライブが一番楽しいと確信できたと伝える。また、観客に対して、今日が楽しくても、打ち上げで飲食に行く事への我慢も投げかけた。最後に「俺らの願いは、こんな感じです」とまとめたが、未来へ繋げる為の重要さが絶対に届いたはずだ。
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ラストナンバーは「春を待って」。<春は必ず来る>と必死に言い聞かせるも、春が一向に来なかった2020年。だからこそ、「春を待って」というタイトルが余計に沁みる。失いかけた音楽を焦らず緩やかに取り戻していこうと心から想わせてくれた。
取材・文=鈴木淳史 撮影=田浦ボン
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