のん、自身のレーベル3周年を記念し無観客ライブを生配信
のんが8月29日、東京・目黒区内のカフェで無観客ライブ「のん おうちで観るライブ vol.3.5 -KAIWA(RE)CORD 3周年記念」を開催し、動画配信サイトを通じて生配信した。
「のん おうちで観るライブ」は、のんが自身のバンド、のんシガレッツのギタリスト、ひぐちけいと共に開く無観客ライブ配信企画で、5月に第1回が行われ、この夜はシリーズ第4弾。みんなのお部屋がライブハウスになる!というコンセプトの元、のん、ひぐちけいが演奏曲や衣装を、それぞれプレゼンして決めていく、バトル形式のライブ企画。第4弾なので本来ならタイトルに4.0と記されるところだが、のんが始めたレーベル、KAIWA(RE)CORDが3周年を迎えるということで通常のバトル形式ではなく、ミュージシャンとしての3年間を振り返る特別企画の為、タイトルに3.5と付けられた。
20時ちょうど、配信の画面には、これまでの衣装、グッズTシャツにポスターやフライヤーが所狭しと並べられたステージが映し出される。まるでのんの自宅から中継しているようなステージだ。のんは愛用の真っ赤なテレキャスターを抱えて右側に、サイドテーブルを挟んでディスタンスを取って、ひぐちけいは左サイドに座る。先ずはサディスティック・ミカ・バンドの「タイムマシンにおねがい」でライブはスタート。2017年8月のワールド・ハピネス出演時に披露した曲で、ファースト・カセット「KAIWA(RE)CORD オヒロメ・パック」に収められた、のんのデビュー曲だ。
「ワールド・ハピネスに出演させていただいて、のんの音楽人生が始まりました!」とワーハピ出演時の映像を流しながら、初めてのライブ・パフォーマンスの思い出を語る。この日はKAIWA(RE)CORD 3周年企画ということで、3年前から現在までの音楽キャリアを時系列で振り返っていくもの。バンド、ノン・シガレッツとの出会いは2017年10月29日、女子美術大学・相模原キャンパスで行われた学祭ライブでの共演。ひぐちけいはリハーサルで初めて会った時に、のんのギターの腕前に驚いたという。「正直、ナメてましたもん」と話すと思わずのんも苦笑い。配信画面のタイム・ラインにも、この発言には大受け!のチャットが溢れる。生配信の面白さは、このライブ・チャット機能。のんとひぐちけいの前にはタブレット端末が置かれ、ふたりは本番中、随時チャットをチェック。ときには、その書き込みを読み上げる。なんだがラジオの生放送の収録風景をみているようだ。
のんはRCサクセションの大ファン。デビュー・カセットにはRCの「I LIKE YOU」のカバーが収められたほど。2018年9月には、憧れの仲井戸麗市(CHABO)と日比谷野外音楽堂での共演が実現!するところだったが、当日関東に台風が直撃し残念ながら中止となった。ひぐちは野音のリハーサル時に仲井戸から「けい!」と下の名前で呼ばれたことを、鼻を膨らませて自慢すると、私は「のんちゃんだった…」と呼び捨てされなかったことに悔しそう。ふたりのやり取りはライブ・チャットでも大爆笑。この流れで曲は「I LIKE YOU」と、矢野顕子が清志郎をイメージして、のんに書き下ろした「わたしはベイベー」の2曲を演奏。CD盤と違った、ふたりのアコースティック・ギターでアレンジされたヴァージョンは素晴らしく、タイム・ラインにもこのヴァージョンでの音源化リクエストが多く寄せられた。
9曲目の「僕は君の太陽」はのんとひぐちの共作曲で、この時点での最新曲。2月に放送された「KAIWA FES Vol.2」のオープニング映像用に書かれたもの。番組で使われた曲はビートの効いたダンス・エレクトロ・チューンだったが、のんが詞を加えてアレンジも一新。「あれがこれになりました!聴いて下さい」と披露したのは、ひぐちの激しくかき鳴らすアコギをフィーチャーしたスパニッシュ風に大変身。今後、ライブでの演奏に期待が高まる。
続いてのトークでは、大友良英とSachiko Mとのユニット「のんとも。M」で新アルバムをレコーディングしている事を明かす。ひぐちけいも参加しているというこのアルバム、近々に発表されるリリース情報が楽しみだ。最後は事前にTwitterで募集したリクエストでいちばん多かった「この街は」を歌う。アルバム「ベビーフェイス」に収められ、3月11日にNHK出演した際にはバックに流れた、岩手にエールを贈る思いで書かれた楽曲だ。意外にもライブで演奏するのはこの日が初めて。ひぐちの爪弾くアコースティック・ギターに重ねるように、のんがしっとりと歌い「のん おうちで観るライブ」を締めた。
新型ウィルス感染拡大で、観客を入れてのライブ自粛が続いている。そんな中、のんは2月28日に東京・EXシアターでの「KAIWA FES Vol.2」を無観客で開催することを早々に決めた。また、5月には、まだ無観客でのライブ有料配信が少なかった時期に「のん おうちで観るライブ」シリーズをスタートさせた。コロナ禍で仕事が減っているスタッフやミュージシャンに少しでも力になりたいと始めたKAIWA RECORD代表としてののんの矜持でもあった。
のんにとって、オーディエンスを入れてのライブ活動は不要不急ならぬ「必要必須!」事項。上映された過去のライブ映像を見て「あ~ライブしたいね!」としみじみ語っていた。
いち早く、観客の前で歌うライブの再開を願って、1時間45分に及んだ配信ライブ「のん おうちで観るライブ vol.3.5 -KAIWA(RE)CORD 3周年記念」は終了。次回の「おうちで観るライブ」の開催日は近々に発表予定。また、この日のライブの模様は9月8日23:59までアーカイブ視聴できる。
セットリスト
- タイムマシンにおねがい
- スーパーヒーローになりたい
- さあいこう
- へーんなのっ
- I LIKE YOU
- わたしはベイベー
- 涙の味、苦い味
- わたしは部屋充
- 僕は君の太陽
- この街は