Base Ball Bear、カメラ30台によるアルバム「C3」再現スタジオライブのライブレポート到着

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Base Ball Bearスタジオ配信ライブ「LIVE IN LIVE〜IN YOUR HOME, TAKE C3〜」

小出祐介(Vo&Gt)、堀之内大介(Dr&Cho)、関根史織(Ba&Cho)から成るスリーピースバンド・Base Ball Bearが10月9日に初のスタジオ配信ライブ「LIVE IN LIVE〜IN YOUR HOME, TAKE C3〜」を開催。今年1月にリリースした最新オリジナルアルバム「C3」の楽曲を収録順に披露したが、そのライブレポートが到着した。

ライブレポート

小出祐介(Vo&Gt)、堀之内大介(Dr&Cho)、関根史織(Ba&Cho)から成るスリーピースバンドとしてのストロングポイント、あるいは徹底的に研ぎ澄まされたロックサウンドだからこそ提示できる演奏力のすごみや歌の求心力を、まさに全方位に提示してみせたライブだった。

Base Ball Bearが10月9日に初のスタジオ配信ライブ「LIVE IN LIVE?IN YOUR HOME, TAKE C3?」を開催。今年1月にリリースした最新オリジナルアルバム「C3」の楽曲を収録順に披露した。さらに本公演は通常の配信チケットに加え、SwipeVideoチケットも販売された。SwipeVideとは複数のカメラで撮影された映像を視聴者自らがスワイプすることで画面のアングルを自由にスイッチングできる機能で、このBase Ball Bearの配信ライブが世界初の導入となった。今回はサークル状にセッティングされたメンバーの立ち位置を取り囲むようにしてスタジオに30台のスマートフォンを設置。各メンバーの演奏時の生々しい表情のみならず、楽器やエフェクターを操る手元や足元もスワイプしながらつぶさに確認できるというこの機能ならではの醍醐味を体感できた。

2006年にリリースした1stアルバム「C」、2015年の「C2」に連なる“「C」シリーズ”3作目となる「C3」というアルバムは、スリーピースバンドとなったBase Ball Bearが徹頭徹尾、3人のメンバーが鳴らす音だけで作り上げたものだ。ギターロックのフォーミュラを独立独歩のスタイルで更新するようにしてライブで練り上げてきた、きめ細やかなアンサンブルと極めてタフなグルーヴ。鋭敏さとバードアイとも言えるような俯瞰した視点であり筆致が両立した小出のリリック。リアルなポピュラリティを突き詰めた歌のメロディ。「C3」は全12曲にわたりそれらを絶妙なバランスで融合させ、この時代にスリーピースのロックバンドだからこそアウトプットできる独創性とは何か、ということを追求した。

5月から7月にかけて予定されていた全15公演のワンマンツアー「LIVE BY THE C3」は無念の中止となってしまったがしかし、スタジオ配信ライブという独特な緊張感を帯びた環境でアルバムを収録順に体現することで、本作の本質はより立体的に浮かび上がっていた。

1曲目「試される」から剥き出しにした親密で解放的なグルーヴ、Base Ball Bearの王道的なギターロックサウンドを強靭なプレイングアビリティで疾走させた「いまは僕の目を見て」、関根がベースをチャップマン・スティックに持ち替え、小出がギターを離しハンドマイクでラップし、堀之内が重低音を効かせたリズムを盤石に支えてみせた「EIGHT BEAT詩」、ソリッドなバンド力が躍動しまくっていた「PARK」、3人が音を奏でながらボーカルも回していく「ポラリス」、鉄壁のアンサンブルがあるからこそこれだけ歌が迫真的に響くということを証明してみせた「Cross Words」とラストの「風来」。ちなみに今回の配信ライブに併せて2019年にリリースされた「ポラリス」「Grape」と同じく「風来」の限定EP盤が制作され、公式オンラインストア「DGP STORE」にてCD+サコッシュのスペシャルパッケージとして販売されている。「C3」の世界をより奥深く味わうために3枚のEPをコンプリートするのも一興だろう。
小出は「アルバムの楽曲はツアーを通して育っていく。今年はツアーをやってないから、まだ「C3」の楽曲はプリプリの状態」ということを語っていたが、だからこそ今回のスタジオライブは一回性の熱量に富んでいたのだ。

生配信を見逃した人も、アーカイブ映像が10月19日18:00まで配信中なのでお見逃しなく。そして、Base Ball Bearは19回目の結成記念日となる11月11日に配信ライブ「LIVE IN LIVE?(IN YOUR)HOME PARTY?」を開催する。セットリストは各メンバーがセレクトした楽曲とメンバー全員でセレクトした楽曲で構成するという。ネクストフェイズに向けたバンドのさらなる躍動をぜひ直に感じてほしい。

TEXT by 三宅正一

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