SPARKS GO GO 30th Anniversary「てさぐりのエレキ 久しぶりの秋」〜はじめての生配信〜ライブレポート
10月22日、東京・渋谷クラブクアトロで行われたSPARKS GO GOのライブ“「てさぐりのエレキ 久しぶりの秋」〜はじめての生配信〜”。アコースティックスタイルで行って来た“てさぐり”シリーズを進化させたこの“てさぐりのエレキ”は、エレキギターにベース、小型のドラムセットで演奏するスタイル。これまではカフェや少数キャパのライブハウスなどで行ってきたが、今回“てさぐりのエレキ”では初のクアトロで、出演者も来場者も全員着席。しかも生配信があり、ベース&ボーカルの八熊慎一は1曲目の「Walking Talking」を終えたあと、着席した客席を眺めながら「この30年間、渋谷クアトロを度々使わせていただきましたが、見たことのない風景を今日は見ております」と感慨深げな様子。
2曲は「Easy Ride」。座ったまま3人でちらりと目線を合わせたあと、カウントを取ってのスタートは、長年演奏してきたキャリアとお互いへの信頼を感じさせる佇まいがある。
「まずは会場にお越しの皆さん、こんばんは。そして生配信もしてるんだよね、配信をご覧の皆さんこんばんは、SPARKS GO GOです。お待たせしました!」
八熊のMCが始まると客席からは大きな拍手が起きる。着席してマスクをつけてはいるものの、みんな心から生でのステージを楽しんでいるのが伝わってくる。メンバーも「声がなくてもこの長ーい拍手でわかります」と感謝の様子。演奏する側にとっても聴く側にとっても、これまで当たり前に演ってきた観てきたライブが、こんなにも特別で大切なものであることをしみじみと実感しているようだった。
心にスッと染み込むように響いてくる「陽があたる坂道」、エレキギター2本と小口径セットのドラムからなるシンプルなサウンドが歌を引き立てる「生きる」と続いて、次のMCでは客席、そして配信を観ている人たちからの質問に答えていく。「やる気スイッチはどんな時入る?」「八熊さんが今飲んでいるお茶は何?」等々さまざまな質問が集まり、大いに盛り上がった。
5曲目は「夕凪」。きゅっと胸を締めつけられるような切なさをまとったメロディーと、たちばな哲也による重めのドラムの音が心を震わせる。続く「夕暮れの終わり」は間奏のエレキギターが小気味よくて後半へのテンションを高めてくれた。
もう一度質問コーナーを挟んだあとは、徐々にアクセルを踏み込むように、演奏の火力がぐんぐんと強まっていく。ギター・橘あつやがメインボーカルの「ラナラウラウンド」から始まり、ライブでは定番の「SAD JUNGLE」ではいつものように両手を上げてファンが体を揺らす。そしてあっという間にラスト。「あかつきを走れ」はエネルギッシュでほとばしる3人の感情を体感させてくれた。
そして、力強い手拍子のアンコールで再びステージに上がった彼ら。
「これからも、また皆さんに喜んでもらえるように、試行錯誤しながらやれたらいいと思います」と八熊が言えば、会場からは今日何度目かわからない温かな拍手がわき起こった。そして最後にもう1曲、これまたライブには欠かせない曲「FREE」で公演は終了。何よりライブにこだわりのある3人だけに、もどかしさもあったと思うけれど、何より直接ファンの前で演奏出来たこと、そして配信を通じてたくさんのファンにライブを届けられたことに喜びもひとしおだったのではないだろうか。3人が「近いうちに」と言っていた言葉を信じて、次のライブを待ちたい。
Text :向出早那