H ZETTRIO、全曲カバーで構成した初のコンサート「Special Speed Music Night with H ZETTRIO」ライブレポート
H ZETTRIOが、tvk(テレビ神奈川)でホストを務める「SPEED MUSIC ソクドノオンガク」の番組ライブイベント「Special Speed Music Night with H ZETTRIO」を11月6日 神奈川・パシフィコ横浜国立大ホールにて決行。人数規制を設けての開催となったが、温かい拍手に包まれつつ、無事にその幕を閉じた。
コンサートの模様を同時にオンラインで配信した本公演だったが、機材トラブルが発生し、当初の予定よりも少ないカメラ台数での配信となった。そのため、オンラインでの視聴者にむけて、編集を行ったアーカイブ映像完全版を2020年11月13日11:00〜11月15日23:59までの3日間、配信する事が決まった。更にオンラインチケットの販売も11月15日21:00まで販売期間を延長され、生配信時には時間を取れなかったファンもこのライブイベントを追体験できることとなった。
ライブレポート
現在オンエア中の「SPEED MUSIC ソクドノオンガク」は、視聴者から新旧ジャンルを問わない日本の名曲のリクエストを募り、H ZETTRIO が独自のアレンジでカバーする番組で、それらの名曲と共に人生を歩んで来た世代と、この番組で初めて聴く若い世代との懸け橋になるというコンセプトが支持され2018年の番組開始以来一貫して高い評価を受けている。それだけに「初」のイベントとなる今回の公演はファンからの期待度が当初から高まっていた。
開演前、距離を保ちつつの入場とはなったが、様々な時代の名曲をカバーするイベントとあって家族づれや多世代の客層が見受けられ、広いロビーにはファンの期待感があふれていた。機材トラブルもあり最初はロビー内開場となったが、時間差で客席への入場が開始された。まず目についたのは舞台中央に設置された大きなバルーン、そして左右のレトロ調なオブジェの装飾だった。それらの装置がいつものH ZETTRIOのライブとは少しちがった空気感を醸し出し、特別な雰囲気に包まれていた。
いよいよライブがスタートする。客席の照明がゆっくりと落とされ、迫力のオープニング映像が中央のバルーンに映し出された。ほどなく後方中央の横断幕が左右に開き、強い逆光の中にメンバー3人が現れた。観客からは大きな拍手がわき起こり、ボルテージは一気に高まった。
まだ映像が続く中メンバーはそれぞれの持ち場へと移動。そこでもまた大きな拍手がわき起こり、実際に動くメンバーを肉眼で見られる喜びが感じられた。配信サイトでも、今回はStreaming +、LINE LIVE-VIEWING、PIA LIVE STREAMINGの3サイトにて行われたが、この登場時のつぶやきがかなり多く、会場も配信もオープニングですでに大きな盛り上がりを見せた。
オープニング映像が終わると同時にH ZETT KOU(Dr)のカウントが始まり1曲目、1973年にリリースされた井上陽水の名曲「氷の世界」がスタート。中央バルーンには「氷の世界」のTVオンエア時の映像と実際のライブ映像がスイッチングされ大きく映し出される。そして間髪入れずに2曲目、シャ乱Qが1995年にリリースした名曲「ズルい女」がスタート。これもまたバルーンには放送時の映像が流され、毎曲ごとにバルーン映像と連動して進んでいく。
その後も名曲「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」「天体観測」「ワインレッドの心」「今夜はブギー・バック」「ガッツだぜ!!」「踊るポンポコリン」など世代を超えた名曲がMCなどを挟むことなく次々に繰り出されていく。
そして石原裕次郎の名曲「夜露よ今夜も有難う」をラストナンバーとして最後までノンストップで駆け抜けた本編が終了した。
鳴り止まない拍手の中、アンコールに登場したH ZETTRIO。ここで初めてのMCとなった。会場に来てくれた観客への感謝を伝えるとともに、配信において機材トラブルがあり予定していたカメラ台数で配信できていなかったことを正直に伝えた上で「後ほどアーカイブでは完全版をお見せできるよう働きかけます!!」と配信で見ているファンへの配慮を示した。「働きかけます!」という言葉に会場から温かな笑いと拍手が起こったが、ライブの2日後にはそれが実現され有言実行となった。アクシデントではあったが、ライブ配信とは違った完全版の映像がアーカイブで観られるということ
で、ファンにとっては2度楽しめる形となった。前述の通り、11月13日から3日間見られるので、今からでもチケットを購入すれば見ることができる。
アンコールにて松田聖子の名曲「SWEET MEMORIES」1曲が披露され、メンバーは再びステージを後にした。ここで配信は終了し、ここからは会場に来ている人へのプレゼントとしてダブルアンコールとなった。ここまで全てカバー曲であったが、ここからはオリジナル2曲がライブ初披露された。
ダブルアンコールの2 曲が終わり、H ZETTRIOのメンバー3人はステージ中央に躍り出て観客に大きく手を振った。鳴りやまない大きな拍手を背に受けながらメンバー達が舞台を後にし、客席に再び照明が灯ると客席のあちこちから満足の吐息がもれた。こうして番組発の「初」イベントは大盛況のうちに幕を閉じた。
番組で収録された音源をCDとしてコンパイルしたシリーズ「SPEED MUSIC ソクドノオンガク Vol.3」が2021年1月6日にリリースされることもアナウンスされているので、こちらも合わせて楽しんでいただきたい。
コロナの影響で今年はツアーを断念せざるおえない状況もありつつも、いち早いライブの無料配信、24ヶ月連続配信シングルリリース、アニメ映画のサントラを担当、他アーティストとのコラボ曲の制作など、活動を途切れさせることなく進んできたH ZETTRIO。その姿にファンならずとも元気と希望を得た人は少なくないだろう。
年内の単独公演としては12月19日・20日 東京・東京建物Brillia HALLで2DAYS LIVEが待っている。チケットは早々に完売しているが、配信ライブの発表を期待したい。まだまだ予断を許さない状況ではあるが、H ZETTRIOのエネルギーは2021年も途切れることがなさそうだ。