SARD UNDERGROUND、初の単独ホールライブで見せた確実な成長とZARDへのリスペクト 大阪2公演を経て約1年ぶりの東京公演へ
10月7日にリリースした2ndトリビュートアルバム「ZARD tribute Ⅱ」が好評を博している新世代・ZARDトリビュートバンドSARD UNDERGROUNDが、11月8日、大阪・堂島リバーフォーラムでライブを行った。
デビュー以来、インストアイベントやライブイベントにも参加し、単独以外でも積極的にライブパフォーマンスを披露してきた彼女たちだが、もともと予定していたライブやインストアイベントは2月下旬から行うことが出来ず、ファンの前での演奏は実に9か月ぶりとなった。
この日の大阪公演は、当初1回のみの予定だったが、多くの反響があり、昼公演を追加した一日2公演を開催。「Good-bye My Loneliness」で始まったライブでは、最新アルバム「ZARD tribute Ⅱ」はもちろん、「ZARD tribute」収録のZARDの名曲たち、そしてZARD・坂井泉水の未公開詞により完成したSARD UNDERGROUNDのオリジナル楽曲を含めた全20曲を披露された。
今回、SARD UNDERGROUNDとしては初のホールツアーであり、単独でのホール公演も初めてだった彼女たちだが、万全の感染対策のもと集まったファンの前での久しぶりの演奏に感激もひとしお。それはファンにとっても同じで、終始、歓声代わりの大きな拍手がステージに送られていた。その拍手は、ライブを開催してくれたことへの感謝であり、何よりも彼女たちの演奏、MC、その一挙一動から伝わってくるZARDへのリスペクトへの共感であり、前回よりも確実に成長した彼女たちのパフォーマンスを称えるものであったと思う。
ボーカル・神野友亜のボーカルの表現力はより多彩となり、ギター・赤坂美羽はZARD永遠のスタンダードナンバーを印象付けるギターソロの数々に挑み、ベース・杉岡泉美のベースは安定感を増してバンドサウンドを支え、キーボード・坂本ひろ美の奏でるより彩り豊かになった音色も華やかだ。また、ある種のサプライズでもあったのが、「あの微笑みを忘れないで」で聴かせたメンバー全員による見事なコーラスワーク。まだまだ完璧ではない。けれど、目にする度、耳にする度に確実な成長を感じさせるSARD UNDERGROUND。そこから、彼女たちの真摯でまっすぐで努力を惜しまない姿勢を垣間見て、また彼女たちを応援したくなった時間でもあった。
そして、残念ながらZARDのライブでは披露されることの無かった多くの名曲たちを、“ライブ”で楽しめる奇跡。SARD UNDERGROUNDによって「負けないで」や「揺れる想い」といったヒット曲だけでなく、隠れた名曲も含め、まだまだ多くの坂井泉水の“詞(ことば)”が今の時代に伝わる可能性が広がっているのだと実感する時間でもあった。これからも彼女たちの成長と、奇跡を見たいと願う。
TEXT:高橋真衣