King Gnu 初のアリーナツアーは幕張メッセから同時生配信でファイナル、新曲「千両役者」もライブ初披露
King Gnuが11月7日の東京・東京ガーデンシアターを皮切りにスタートし、大阪・大阪城ホール、東京・日本武道館、愛知・名古屋日本ガイシホールを周り、累計約42,000人を動員した初のアリーナツアー「King Gnu Live Tour 2020 AW」のファイナル公演を12月6日に千葉・幕張メッセにて行った。
当日は今週発売となった両A面シングル「三文小説 / 千両役者」収録の現在大ヒット中の新曲もパフォーマンス。特に千両役者はライブ初披露となった。
この公演は生中継でライブ配信されており、12月8日23:59までアーカイブ視聴が可能。配信チケットは12月8日18:00まで販売されている。
ライブレポート
King Gnuが12月6日、累計約42,000人を動員した初のアリーナツアー「King Gnu Live Tour 2020 AW」の追加公演となるファイナルを幕張メッセにて開催した。本公演は、春に行われるはずだったツアーが新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け全公演の開催を見送ったことから、“AW(オータム / ウインターの略称)”と名付けたリベンジ公演となった。
セットリストは、今年1月15日にリリースしたアルバム「CEREMONY」を軸とした現時点でのオールタイムベストな選曲。会場は、炎が印象的な聖火台をイメージさせるなど、時世とリンクした熱狂と狂騒を生むステージセットとなった。
定刻を過ぎて、2020年代の幕開けを告るファンファーレ「開会式」が会場に響き渡る。革命前夜な高揚感のまま、オープニングは常田大希(Vo, G)と井口 理(Vo、Key)による息のあった掛け合いボーカルを繰り広げる「どろん」からスタート。常田が「幕張っ!!!」とオーディエンスを煽る。続いて、軽やかなカッティングギターが冴え渡るタイトなビートで繰り広げるポップチューン「Sorrows」、勢喜 遊(Ds、Sampler)によるファンクなビートセンスがたまらない歌メロがキャッチーな「Vinyl」など人気チューンが続く。
King Gnuのライブ演奏は、メンバーひとりひとりのサウンドが一丸となり、まるでシンフォニーのように緩急をつけてスケールのでかい音像を鳴り響かせてくれる。その幅広い音楽性は、シアトリカルな「It’s a small world」、常田と井口が視線を交わしながら声を重ねる国民的ヒット曲となった「白日」、重厚かつヘヴィなスタジアムロックなサウンドが腹に響く「飛行艇」など、没入感が半端ないのだ。
オーラスへのスイッチが入ったのは「ロウラヴ」だ。パワフルかつヘヴィなアレンジが狂い咲くKing Gnuが誇る屈指のロックチューン、続く「Flash!!!」では、通常の倍以上のフラッシュ照明をこれでもかと輝かせ、とどめを刺すかのようにエモーショナルなサウンドでオーディエンスを魅了した。骨太のグルーヴが加速するリズム隊、勢喜、新井によるプレイヤビリティの高さに驚かされたワンシーンだ。
アンコールではSEの「閉会式」後、「三文小説」における、エモーショナルなバラードというアンビバレントなKing Gnuならではの特異点を見つけた進化系サウンドをプレイ。井口のハイトーンヴォイスが胸に迫る、まるでオペラのような感動だ。フルオーケストラによるアレンジで聴いてみたくなるダイナミックなナンバーであり、日本のポップミュージックを次世代へアップデートする歴史的作品といえるだろう。
さらに「Teenager Forever」での金色の紙吹雪が舞う最高潮な盛り上がりに続いて、ツアー最終日ということもあり、井口が「じゃあラスト1曲、新曲やります!!!」と、ツアー初のダブルアンコールに答えた。ライブ初披露となる最新曲「千両役者」をポップとオルタナティヴが交差するアグレッシヴな演奏によって圧巻のパフォーマンスで繰り広げていく。サウンドとシンクロする、半端ない数のレーザーが飛び交う非現実な空間をこれでもかと堪能させてくれたのだ。
King Gnu率いる“ヌー”の群れは、仲間やオーディエンスを巻き込みどんどん大きくなってきた。彼らにとって幕張メッセでのワンマン公演は通過点に他ならない。12月2日に発売された両A面シングル「三文小説 /千両役者」で魅せた驚異の進化とともに、さらなる活躍に期待をしたい。
なお、本日の公演は生中継でライブ配信されており、12月8日23:59までアーカイブ視聴が可能。配信チケットは12月8日18:00まで販売されている。
テキスト:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
カメラマン:伊藤洸祐、小杉歩