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日向坂46、無観客配信ライブ「ひなくり2020 ~おばけホテルと22人のサンタクロース~」開催

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日向坂46「ひなくり2020 ~おばけホテルと22人のサンタクロース~」

12月24日、日向坂46による無観客配信ライブ「ひなくり2020 ~おばけホテルと22人のサンタクロース~」が行われた。視聴チケット販売数95,714枚、推定総視聴者数30万人という、日向坂46の配信ライブ史上最大のイベントとなった。

デビュー前から、クリスマスシーズンに大規模なライブを行ってきた日向坂46。昨年、幕張メッセで行われた「ひなくり2019 ?17人のサンタクロースと空のクリスマス?」では、次のクリスマスライブを東京ドームで行なうことをサプライズ発表し、大きな話題になった。

実現すればグループ初の東京ドーム公演となるはずだったが、今年、新型コロナウィルスの感染拡大により1年延期されることが決定。今回のライブは、このドーム公演の代わりにクリスマスをファンと過ごすために、一夜限りのイベントとして企画された。

その内容は、ライブと演劇を組み合わせたような独自のエンターテインメントとなった。無観客のライブ会場に大小さまざまなステージが用意され、日向坂46らしいファンタジー感を演出しつつ、ドーム公演にも劣らないスケールを実現。ARなどの最新技術も駆使し、カメラに向かってメンバーがアピールしながらパフォーマンスしていくという演出は、コロナ時代の〝最適解〟とも言えるものだった。

開演前の影ナレは、メンバーの宮田愛萌が担当。現在、宮田は体調不良で休養中だが、ファンの間では〝ぶりっ子女王〟として知られる宮田らしいサービス精神たっぷりのナレーションを全国のファンのもとに届けた。

そして本編のオープニングでは、昨年の「ひなくり2019」のラストに出てきた〝空色の卵〟がVTRで登場。卵が割れると青い鳥が現れ、今回のライブが昨年の「ひなくり2019」の1年後を描いた世界であることが明かされた。続いてサンタクロース衣装に身を包んだメンバーたちが登場し、佐々木美玲の「ひなくり2020、いっくよー!」という元気な掛け声でライブがスタートした。

序盤は「NO WAR in the fure 2020」「ドレミソラシド」を歌唱。いずれも日向坂46のライブ序盤の定番になっている曲で、観客の熱を一気に上げるキラーチューンだ。「NO WAR?」は日向坂46の前身である「けやき坂46」時代から歌っている曲だが、2020年verとして、今年加入したばかりの新三期生3人も加わってパフォーマンスした。

曲の合間には芝居が挟まり、メンバーたちの大切なものが次々となくなっていることや、この世界の夜がもう一週間も明けていないこと、みんなへのプレゼントを作るための「おひさま」の力が失われていることとなどが語られていく。日向坂46メンバーはファンのことを「おひさま」と呼んでおり、ファンと会えない日々が続いていることも思い起こさせる設定だ。

オープニングに登場した青い鳥「ポカ」の説明で、この現象を起こしているのは「おばけのホテル王」だということが分かった。その説明の合間に、富田鈴花がバラエティ番組の収録でよく泣いていることなど、メンバーの恥ずかしいエピソードを盛り込んだメンバーいじりが挟まるが、なぜか小坂菜緒にだけは「応援してるよ」とエールが送られる。釈然としないメンバーたちだが、ともかくおばけのホテル王を止めるために旅に出るのだった。

今年9月にリリースされた日向坂46の1stアルバム「ひなたざか」に初収録されている楽曲「ただがむしゃらに」の内容に合わせて、歌いながら元気に行進していくメンバーたち。彼女たちの前に、〝旅から帰ってきたギタリスト〟という設定で松田好花が登場した。松田は眼の病気のため9月から休養しており、これがサプライズでの復帰となった。感極まってステージ上で涙を浮かべた松田は、富田鈴花とのユニット曲「まさか、偶然…」をアコースティックギターで弾き語りし、休養前と変わらぬ見事なハモリを聴かせた。

その後も「ワニの船長」や「うそつきなオオカミ」といった着ぐるみのキャラクターたちの協力を得て進んでいく日向坂46メンバー。絵本の世界のようなファンタジックな設定に合わせ、壮大なスケール感の「川は流れる」、そして一期生の中でも歌唱力に定評のある加藤史帆&齊藤京子&佐々木美玲によるパワフルな楽曲「どうして雨だと言ったんだろう?」をパフォーマンスする。ARによる光の川や激しい雨の映像がダンスを盛り上げ、配信ならではの見せ場を作っていく。

やがておばけホテルに到着したメンバーたち。〝日向坂46史上最大〟のセットが組まれた今回のライブの中でも、最大級のステージがこのおばけホテルだ。メイド服に着替えて建物に潜入したメンバーたちは、おばけのコンシェルジュとともにライブならではのダンストラックを披露する。そして今年リリースした唯一のシングルの表題曲「ソンナコトナイヨ」を歌唱。音楽番組で何度も披露している楽曲も、メイド衣装によってクリスマスならではのレア感が加えられる。

さらに、けやき坂46時代の一期生曲「こんな整列を誰がさせるのか?」を披露し、古参ファンも満足させつつ、二期生&三期生曲「Dash&Rush」、三期生曲「この夏をジャムにしよう」を順にパフォーマンス。特に「Dash&Rush」では、迷路のようなセットの中を走り回るメンバーたちをカメラが追い、まるで実写版3DダンジョンRPGのような映像をリアルタイムで届けた。

ここで物語は急転。回転扉の向こうに吸い込まれた上村ひなのの代わり、頭にツノを着けた「おばけひなの」が登場する。どうやらおばけホテルの中では、このおばけひなのが悪さをして日向坂46の行く手を阻んでいるようだ。

これもすっかり日向坂46のライブ名物になった富田鈴花のラップを挟み、今度は「臆病なラクダ」の助けで前に進んでいく。トロッコに乗り込んだメンバーたちは、サイリウムの設置された観客席の間を進みながら、1stアルバムの隠れた人気曲「窓を開けなくても」を歌唱。続いて二期生の同級生コンビ、金村美玖&小坂菜緒がユニット曲「See Through」を披露。

続いて登場した「ネコの名探偵」の機転で、上村に化けたおばけひなのの存在にメンバーたちが気づく。ここで日向坂46のライブ随一のキラーチューン「キツネ」をパフォーマンス。ハイテンションなダンスを見せながら、おばけひなのを追いかけていく。一方、おばけのホテル王の部屋に迷い込んでしまった本物の上村は、ソロ曲「一番好きだとみんなに言っていた小説のタイトルを思い出せない」を披露。普段の妹キャラからは想像のつかない迫力のある声で歌い上げた。この一連のパートでは、上村は主演級の活躍を見せていた。

やがて日向坂46メンバーは新たなステージに向かうが、そこは灼熱の世界だった。ARで表現された炎のおばけや、本物の炎の特効に囲まれ、挑発的な楽曲「My Fans」をパフォーマンス。続いて、グループ黎明期から歌い継いできた曲「誰よりも高く跳べ! 2020」を披露。この楽曲は、イントロのダンスが毎回変わるのもファンの見どころだが、今回はマイケル・ジャクソンの〝スリラーダンス〟でライブの設定をアピール。さらに、キャプテンの佐々木久美が「ひなくり、跳べー!」と叫びながらポップアップで勢いよく跳び上がる。無観客であることを感じさせない堂々としたアオリは、もはや貫禄さえ感じさせた。

ついにホテル王の部屋にたどり着くと、そこに青い鳥のポカも囚われていた。〝かわいいもの〟が嫌いなホテル王に向かって、日向坂46のメンバーたちがぶりっ子攻撃を仕掛ける。美玲の「わ・た・し・が、耳かき、ちてあげる?」など、冠番組「日向坂で会いましょう」でもおなじみの過剰なぶりっ子で、カメラの向こうもファンも沸かせる。そして1stアルバムのリード曲「アザトカワイイ」をパフォーマンス。「あざとかわいい」は今年の流行語でもあるが、常に全力でアイドル活動をする日向坂46にぴったりな言葉だ。

ホテル王を倒したメンバーたちは、再びサンタ衣装でけやき坂46時代の名曲「JOYFUL LOVE」を歌唱。客席に設置されたサイリウムがブロックごとに七色に点灯し、会場に〝虹〟が出現した。この演出は、けやき坂46時代に日本武道館で行われた「ひらがなクリスマス2018」で、ファンが自主的に行ったことをきっかけに日向坂46のライブ名物になったものだ。さらに、無線によるコントロールで「またみんなのにじがみれますように」というメッセージが客席に浮かび上がった。無観客配信となった今回のライブだが、「おひさま」と日向坂46メンバーの絆を感じる瞬間だった。

本編ラストは、配信の画面上にエンドクレジットを流しながら「日向坂」を歌唱。グループの名を冠したこの曲を歌いながら、フォーメーション移動によってキレイな46度の坂道マークを形作った。

アンコールでは、ファンのみならずメンバーからの人気も高い楽曲「青春の馬」を披露。アップテンポな曲調に乗せて力強く足を踏み鳴らし、前に進む姿勢を印象づける。そのまま、この日唯一のMCタイムに入ると、進行の佐々木久美が「喋りたいことがいっぱいあるから、みんなすごいテンション高いね」と驚いたように、メンバーたちがハイテンションで感想を話していく。金村美玖が「ほんとにホテルに来たような気分になりました」と言うと、「ひなくり」初参加の山口陽世が「日向坂に入れて幸せです」と感慨を語る。そして、小坂菜緒が「私はポカに応援してもらったので……」と照れると、メンバーたちから「なんで奈緒だけ?!?」という声が上がる。冠番組「日向坂で会いましょう」を見ているファンは、ポカの正体に気づいているようだが、配信画面のコメント欄でそうした意見を交わせるのも、配信ライブならではの楽しみだろう。

そして前半で一曲だけ披露した松田好花が改めて呼び込まれる。メンバーの「おかえり!」という声を背に受けて涙を浮かべた松田は、画面の向こうのファンに現在の状態と気持ちを伝えた。「眼の病気でお休みをいただいてたんですけど、少しずつよくなってきたので、今回こういう形で出させていただくことができました。今こうやって立っていることが幸せです。たくさんご心配をおかけして非常に申し訳なかったです。病気だって分かったときは、本当に頭が真っ白になってどうしていいか分からなかったんですけど、メンバーだったりおひさまのみなさんだったり、たくさんの方が支えてくださって、前向きになることができました。ありがとうございます。完全に万全な状態とは言い切れないんですけど、様子を見ながら、大好きな日向坂の活動を再開させていけたらと思います。これからもよろしくお願いします」。リハのときから泣いていたという渡邉美穂は、松田の言葉を聞きながら高校球児のように号泣。「22人が揃って歌えるって、当たり前じゃないんだなって……。全員揃ってるって感じて、ほんとに嬉しくて感動しましたし、本当にありがとうございます。戻ってきて安心しました」と語った。

最後はいつもどおり、キャプテンの佐々木久美が締める。「今年は思うように活動できなくて、メンバーの休養とかもあって、私達もたくさんの障害があった1年なんですけど、イブにこうして素敵な場を用意していただいて過ごせたっていうのは、応援してくださって支えてくださってるおひさまのみなさんのおかげです。ありがとうございます。2021年はどういう状況になっているかわからないですけど、おひさまに会える1年になったらいいなって思います。(休業中の)宮田愛萌も帰ってきて、22人で「ひなくり2021」を迎えたいなって思います。2021年こそ、〝約束の地〟でこの曲を歌えるって願いを込めて」と語り、最後の曲フリをした。

ラストに歌ったのは「約束の卵 2020」。東京ドーム公演への思いが込められたこの曲は、昨年の「ひなくり2019」でもメンバーたちが涙ながらに歌った大切な楽曲だ。あれから新三期生として高橋未来虹、森本茉莉、山口陽世の3人が加わり、22人になった日向坂46は、今年もこの曲でライブを締めた。それは、必ずファンと一緒に東京ドームに立つという約束の証でもあった。

世の中の多くの人と同様、コロナ禍によって活動が大きく制限された日向坂46。予定されていたアリーナツアーや対面での握手会も中止となり、ファンと触れ合う機会は激減した。しかし、バラエティ番組などに活躍の場を広げ、メンバー発信で動画制作なども行ったことによって、グループの存在感はむしろ増した。東京ドーム公演は1年延期となったが、その分、より大きくなった日向坂46をドームのステージで見れることを、多くのファンが願っているだろう。

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