舞台「『Mogut』~ハリネズミホテルへようこそ~」ゲネプロの様子 (C)「Mogut」製作委員会/岩田えり
2021年1月21日(木)、舞台「『Mogut』~ハリネズミホテルへようこそ~」の東京公演が東京・品川プリンスホテル ステラボールにて開幕した。その直前にマスコミ向けの開幕直前取材が催され、塚田僚一(A.B.C-Z)、細見大輔、菅原りこ、田村雄一、辰巳琢郎、そして演出の鈴木勝秀が登壇した。
(左から)細見大輔、菅原りこ、塚田僚一、辰巳琢郎、田村雄一、鈴木勝秀
本作は、イギリスのロンドン郊外にある、ハリネズミ専用のホテルを舞台にしたおとぎ話。ただのおとぎ話ではなく、軽快なロック・ミュージックを織り交ぜたエンターテインメント・ファンタジー。『R&J』などを手掛けた鈴木が音楽の大嶋吾郎とタッグを組んで作り上げた作品である。
塚田僚一
ハリネズミ専用のホテルにとある理由から「どうしても泊まりたい」と願うモグラのモグー役を演じる塚田は、「このタイミングでステージに立たせていただける喜びを噛みしめています」と喜びいっぱいで語る。約4年ぶりとなる単独主演舞台について「モグラの役ということで、最初はどうなるんだろうと不安な部分もあったんですが、稽古を積み重ねていくうちに『明日も稽古に行きたいなぁ。お芝居って楽しいなぁ』と改めて感じています。何としても全公演を無事に終えること! それ以上でもそれ以下でもなく、そこを目指して頑張っています!」と気合いを入れていた。
細見大輔
ホテルのシェフ役の細見は「今回の芝居はソーシャルディスタンスを最大限に活かした作りになっています。役者同士が接触するシーンがほぼないのですが、役者一人ひとりが持てる力を出し切って演じています」と説明し、「あまり深く考えながら観ると訳が分からなくなるので、何も考えずに観ていただいたほうが楽しめると思います」と言うと塚田たちの顔から思わず笑顔がこぼれた。
菅原りこ
ホテルの従業員、ハリネズミの女の子、そして師匠役を務める菅原は「私は少人数での舞台が初となるので、緊張でいっぱいでしたが、お稽古をたくさんするにつれ楽しくなってきました。いよいよここ東京で、公演を迎えて身が引き締まる思いです。最後まで駆け抜けていきたいと思います。今日はありがとうございました」と挨拶。すると、塚田から「……まだ、舞台終わってないよ!」とツッコミが入り、他キャストからも「天然なんだよね」「そうそう(笑)」といじられて照れ笑いを浮かべていた。
田村雄一
モグ―二世役の田村は「今回の芝居は馬鹿なことを私は馬鹿なりに真剣にやっておりますので、皆さんも90分間馬鹿になって全力で楽しんでいただきたい」とコメント。
辰巳琢郎
そしてホテルの支配人役を演じる辰巳は「こんな時期だからこそ明るい芝居、未来に向けた芝居が必要だと思うんです。舞台芸術というものは決して不要不急なものではないと信じてやっていこうと思います。小学生でも楽しめてかつ、舞台の熱を感じられる芝居です。生の舞台の良さを楽しんでいただければ」と力強く語った。
鈴木勝秀
鈴木は「既に大阪公演を3日間やっており、今日東京初日ですが、十分に練れているものを皆さんにお届けできると思います」と自信の程を見せていた。
舞台「『Mogut』~ハリネズミホテルへようこそ~」ゲネプロの様子 (C)「Mogut」製作委員会/岩田えり
先に行われた大阪公演の思い出を聞かれた塚田が「劇場とホテルの往復だけだったので、公演を終えて『今日も何事もなくてよかった』という達成感と、最後に自分が舞台からハケるんですが、舞台袖で4人が迎えてくれる幸せをかみしめていました」と振り返る。稽古中も小さな楽しみを見つけることにいそしんでいたようで、「稽古中もマスクとフェイスシールドを装着していましたが、アクロバットのシーンでどうやったらフェイスシールドが取れないようにするか、工夫したり」と塚田ならではの発言をすると、辰巳が「(前向きなところは)モグーそのものだね」と笑顔で言葉をかけていた。
そんな辰巳も「平均年齢を上げていますが、身体を動かしていますよ」と若手には負けない発言をすると、塚田にアクロバットを教えてもらったか? という質問が飛び、「ええっといろいろとね。本番前だからネタバラシするのもなんですので」とニヤニヤ。お茶を濁していた。
身体を使って表現するシーンも多いということだが、塚田は「年末から『SASUKE』などでかなり身体が仕上がっているので、一番いい状態だったと思います(笑)。だからこそ舞台で観てもらえるのが嬉しいです」と胸を張った。
「笑い声とかを上げるのは本当はいけないんだろうけど、わぁって感じや手拍子やリアクションは声を出さなくてもすごく伝わっていて、いろんな人にもっと観てもらいたい」と感じていたと話していた。
舞台「『Mogut』~ハリネズミホテルへようこそ~」ゲネプロの様子 (C)「Mogut」製作委員会/岩田えり
「(グループではなく)単独主演は寂しくないですか?」と聞かれると、「出しゃばりな河合(郁人)がいなくてよかったなって思います」とぶっちゃけ、会場から思わず笑い声が。「でも河合からは大阪(公演)初日に『初日おめでとう』ってメールをもらいました」と仲の良さをアピールしていた。
「2020年にスズカツさん(鈴木)が演出した『日本文学の旅』にハッシー(橋本良亮)が出ていて、そこから続いて今回の舞台に立たせていただいているので、何回も言いますが何としてでも最後までやり切って『舞台っていいものだ』と思ってもらいたい」とひときわ声を張って語っていた。
舞台「『Mogut』~ハリネズミホテルへようこそ~」ゲネプロの様子 (C)「Mogut」製作委員会/岩田えり
つい昨日、NEWS・加藤シゲアキの小説「オルタネート」(新潮社)が直木賞にノミネートされるも受賞を逃したことについて触れられると「本は好きですが、(加藤の作品は)まだ読んでいないです!」と苦笑しながら正直に答えつつ、「本を書くジャニーズの人はたくさんいるけれど、ここまで切り拓いていったのは本当に凄い。もし実写化されてモグラの役があったらいつでも行けます!」とオファーを待っている発言をして笑いを誘っていた。
会見の後披露されたゲネプロ(通し稽古)では、明るく激しいロックナンバーに乗せ、塚田は得意のアクロバットやダンス、そして歌などを何度も披露、また細見や菅原も軽い身のこなしで塚田と共に踊りまくっていた。会見で深く考えずに楽しんだほうがいいという話が出たが、まさにその言葉の通り、素直に楽しんでいるうちに気が付けば大事なメッセージが胸に届いている、そんな芝居だった。
会見中「最後までやり切りたい」と身振り手振りを交えつつ何度も繰り返していた塚田。汗だくで芝居をする姿に本作にかける熱意がうかがえた。
(左から)菅原りこ、塚田僚一、辰巳琢郎
取材・文・撮影=こむらさき