布袋寅泰、アーティスト活動40周年記念「HOTEI 40th ANNIVERSARY Live “Message from Budokan”」1/30のライブレポート到着
布袋寅泰、アーティスト活動40周年を記念した「HOTEI 40th ANNIVERSARY Live “Message from Budokan”」が、無観客生配信ライブとして1月30日、31日の2日間、日本武道館にて行われた。
開演前、待機BGMに「Tracker」が鳴り響く。定刻を過ぎオープニングは、相棒である歴代ギター40本を両脇に並べた花道から登場するなどスペシャルな空間に胸が高鳴る。真ん中を闊歩する布袋寅泰。その姿は40年のヒストリーを一気に駆け抜ける決意表明のように感じた。なお、本公演は、国内では映画館でライブビューイングも実施され、日本のみならず海外でも視聴可能な配信ライブとして開催された(アーカイブにて視聴可能)。
ステージへたどり着き、右手を天へ掲げる布袋。引き絵で映し出される会場、広大な無観客での日本武道館。ステージに輝くHOTEI柄の球体LEDモニター。響き渡るオープニングのイントロダクションはBOØWY時代からのアンセム「Dreamin’」。メンバーにSAX奏者が入ることで、6人組時代のバンドを彷彿とさせつつも、原曲を大切にニュースタイルなアレンジとしてプレイする鉄壁の最新HOTEIバンド(DRUMS:古田たかし、BASS:井上富雄、GUITAR:黒田晃年、KEYBOARDS:奥野真哉、PROGRAMMER:岸利至、SAX:庵原良司)によるパフォーマンスが圧巻だ。
1月30日の初日は、BOØWY、COMPLEX時代の布袋の原点ともいえる曲を中心に「Dreamin’」「B・Blue」「BE MY BABY」「Marionette」「恋をとめないで」など、世代を超えて歌い継がれるヒットチューンはもちろん、珠玉のナンバーが繰り広げられた。生配信ライブならではのダイナミックなカメラワーク。ステージ最前列より近い臨場感。登場時の布袋のステージ衣装は、全身を黒で決め、HOTEI柄がグラデーションで浮かび上がる。デザイナーは親交の深い、TAKEO KIKUCHI氏によるものだ。
赤いギターはCOMPLEX。「BE MY BABY」「RAMBLING MAN」と続く90年代以降のロックサウンドを決定づけたエモーショナルで刺激的なギターロック、めくるめく疾走するキーボードサウンド、そしてセクシーなSAXが重なり合うダイナミクスが鳥肌ものだ。メロディーとともに“夢は遠くはてしなく 終わりのないかけひきさ”の歌詞が胸に響く。
「ハロー武道館! こんばんは布袋です。40周年の幕開けが思いもよらない形で、誰もいない武道館でのライブとなりました。無観客という言葉はエンプティーな感じがして、今日(ライブが)はじまったらどんな気持ちになるのかと思ったんだけれど。無観客じゃないもんね。今日は日本全国北海道から沖縄まで。そして海外の方もご覧になっているでしょう。映画館で大きい画面で大音量で楽しんでくれている人もいるでしょう。ビールを飲みながら仲間や家族と観ている方もいるかもしれません。無観客どころか満杯の武道館です!! 今日はみんな配信ライブに遊びに来てくれてありがとう!!!」
そして日本武道館という会場が映える「Marionette」、ベースラインの美しさにさらなる思いを高めてくれるSAXフレーズがたまらない「DANCING IN THE PLEASURE LAND」、音と映像のハマり具合も熱い「NO MORE LIES」と、SFライクなナンバーが続く。
さらに、驚かされたのがイントロでカリプソ気分な遊びを効かせた「SUPER-CALIFRAGILISTIC-EXPIARI-DOCIOUS」ではレゲエ / スカ、「BAD FEELING」では白柄&黒柄が合体した最新HOTEIモデルギターを片手にファンクなセッションなど、懐かしくも新鮮な最新型アレンジで音楽ファンの琴線を刺激してくれる。セトリのすごさに沸く生配信ライブのコメント欄。ライブにおける布袋さんの選曲センスはコアファンはもちろん、新規リスナーを飲み込みすべてのオーディエンスを熱くする。
冬歌として心に染み渡る「WELCOME TO THE TWILIGHT」「季節が君だけを変える」という歌い継ぎたい名曲たち。まるで当時、バンドが解散することなく続いていたら楽曲がどんな風に進化していったか? そんな“if〜もしも”に応えるかのような、原曲に忠実でありながらも新たな成長を予感させるアップデートされた未来派センス。音楽は時間を超えていくのだ。
ここで、間髪開けずに画面はギターに囲まれた花道の先のサブステージへ。布袋と黒田がアコースティックギターを手にCOMPLEXの人気チューン「1990」を初のアコースティックバージョンで披露。歌詞が入ってくる新感覚な染みるアレンジメントに心揺さぶられる。さらにとどめは、解散直前のBOØWYの心境が赤裸々となった「MEMORY」を同じくアコースティックバージョンで。武道館のステージを背景とした照明の使い方が素晴らしい。そして、球体LEDに映る満月。聞き覚えあるシンセフレーズ、むせび泣くSAX。COMPLEXのインストナンバー「HALF MOON」の登場だ。
さらに驚かされたのはソロ時代を切り開いたオーケストレーションによる「LEGEND OF FUTURE」が鳴り響くフロア。そして、イントロダクションに続いてギタリズムアンセム「C’MON EVERYBODY」をプレイ。赤と黒のファッションで登場した布袋。ロックンロールに躍動するビートチューン。もう誰も止まらない。続く「WORKING MAN」で駆け巡るのは80年代に音楽シーンを一気に塗り替えた元祖ビートロックによる独壇場だ。
40周年を迎えた今、自身のルーツであるパンク / ニューウェーヴ精神を体現した「TEENAGE EMOTION」の歌詞でリフレインする“OLD TIME IS PAST NEW TIME BE COME ALL RIGHT GET SET ON YOUR MARK IT’S NOT TOO LATE BECAUSE WE ARE YOUNG BECAUSE WE ARE YOUNG”のフレーズが胸にグッときた。ラスト、カッティングで聴かせるエモーショナルなギターリフが熱かったのだ。
定番パターンであれば「TEENAGE EMOTION」のネクストソングは「LONDON GAME」という楽曲がくると思わせて、BOØWYにとって大切なナンバー「NO.NEW YORK」をプレイ。ん!?、“ロンドン”から“ニューヨーク”というわけだ。中盤、空間に響き渡る、回転しながら聴かせるギターソロがたまらない。武道館に響き渡るむせび泣く音の粒子。一挙手一投足に布袋の熱い願いが込められる。まさに今回のライブのテーマ“とどけ”という気持ちが画面やスクリーンを飛び越えて、オーディエンスへ突き刺さっていく。
SAXが入った「ホンキー・トンキー・クレイジー」は、いわゆるバンド時代の原曲アレンジに近い世界観だ。足を高く上げるステップとともに繰り広げられるギターソロ。裏声でのコーラス。まったく色褪せない楽曲パワーに感服させられる想いだ。
まさかの「GOOD SAVAGE」では、ゼマイティスで爆走するオーラス展開へ。ゼマイティスとは、イギリスの古のギター職人トニー・ゼマイティスが生み出した芸術的なデザインが映えるギターだ。布袋史上最高峰にアグレッシヴなロックチューン、ギターソロではステージに設置されたアコギを片手にスパニッシュなソロフレーズを決め、黒田とギターソロ・バトルを繰り広げるロックンロールなワンシーンを畳み掛けていく。そして、最大級のテンションから「恋をとめないで」のイントロダクションが鳴り渡り、もう盛り上がりは止まらない。“世界よこれがHOTEIだ!”と宣言したい気分だ。両手を掲げ、指を指し思いを伝える布袋の姿が尊い。
ラストは、白いシャツ姿でMCで熱い思いを語る布袋。MC中の布袋を見ながら気がついたのは、手にしたHOTEI柄モデルのギターヘッドがまさかの“フェルナンデス”仕様(ボウイ初期の頃からのギターメーカー)。
そして「夢で逢いましょう!」の一言で大切にしているソロナンバー「FLY INTO YOUR DREAM」へ。きらびやかなキーボードの音色、ゆらりとたゆたうようなドラムとベースによるビート。思いの強さを表すSAXの音色。そしてギターで歌う布袋の姿。40年のヒストリーを一気に振り返ることでさらなる未来へ一歩進んだスペシャルな歴史的瞬間。はち切れんばかりの想いを伝えるギターの響き。この至福は永遠のように思えた瞬間だったが、時とはせつなきものでラストを迎えるのだった。終演後、流れるBGMは至福感漂うギターソロナンバー「MIRROR BALL」。余韻に浸りながら、ライブは2日目へと続いていく。(後半に続く)
テキスト:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
セットリスト(1月30日)
- Dreamin’
- B・Blue
- BE MY BABY
- RAMBLING MAN
- Marionette
- DANCING IN THE PLEASURE LAND
- NO MORE LIES
- SUPER-CALIFRAGILISTIC-EXPIARI-DOCIOUS
- BAD FEELING
- WELCOME TO THE TWILIGHT
- 季節が君だけを変える
- 1990
- MEMORY
- HALF MOON
- C’MON EVERYBODY
- WORKING MAN
- TEENAGE EMOTION
- NO.NEW YORK
- ホンキー・トンキー・クレイジー
- GOOD SAVAGE
- 恋をとめないで
- FLY INTO YOUR DREAM