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布袋寅泰、アーティスト活動40周年記念「HOTEI 40th ANNIVERSARY Live “Message from Budokan”」1/31ライブレポート

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Photo by Michiko Yamamoto

布袋寅泰が、アーティスト活動40周年記念「HOTEI 40th ANNIVERSARY Live “Message from Budokan”」を東京・日本武道館で開催、1月31日のライブレポートが到着した。

2日目となった1月31日は、布袋寅泰がソロになってから現在に至るまでの長いキャリアを振り返る内容となった。歴史的名盤として名高い「GUITARHYTHM」シリーズはもちろん、オープニングは、チャートシーンを賑わしたヒット曲「バンビーナ」からの突如フルスロットル状態でスタート。

「ハロー武道館!」の第一声を挟んで「さらば青春の光」での歌心伝わるせつなき高揚感にやられた。布袋寅泰のソロワークスといえば、歌もの曲でのヒットシングルを多数世に解き放った。それは、氷室京介や吉川晃司という、日本最強のヴォーカリストとバンドやユニットを組んできた経験が、シンガー布袋寅泰のあり方に大きな影響を与えたことは間違いないはずだ。

布袋のギタリストサイドでの代表曲といえば、世界的人気のこの曲。映画『キル・ビル』で世界的に知られた「Battle Without Honor or Humanity」だ。本作では、ステージ上空に浮かび上がるアイコンとなる球体LEDの存在感が興味深かかった。タイガーアイのような眼力が、楽曲が持つワイルドな存在感をギタープレイとともに増幅していく。

ギターをゼマイティスに抱え直し、自身のヒストリーを省みたナンバー「8 BEATのシルエット」をプレイ。思えば、布袋の楽曲において自身が作詞したナンバーは、これまでの足跡と向き合い自分自身に問いかけるような歌詞が多いことに気づかされた。最初の緊急事態宣言の際、“STAY HOME”ヴァージョンとしてテレビ番組「ミュージックステーション」でアコギ片手に披露した「YOU」にも着目したい。そして「ラストシーン」という、布袋寅泰のロマンティックな側面を堪能できるハートフルなナンバーが続く。会場中に設置されたミラーボールが、メロディーと呼応するかのように柔らかな輝きを生み出していくのだ。

トーキング・モジュレーターでソロを弾いた、ギタリスト布袋寅泰、真骨頂のギターインスト曲「Stereocaster」にも痺れた。2006年、HOTEI vs Charとしてリリースしたナンバーだ。途中、Charの名曲「Smoky」のフレーズを瞬間弾いたのも、先人へのリスペクトの証だ。

オリジナルに近いアレンジで繰り出される布袋アンセム「GUITARHYTHM」。ギターソロからの展開が鳥肌もので、まさに大空へ飛び立っていくかのような高揚感を与えてくれるパワフルさを持つナンバー。さらに、後半でSAXソロが入る新展開に感激するコメント欄のざわめき。そう、オンラインライブは同じ感動を共有するオーディエンス達のコメントで共感しあえる新たなライブ体験にもなった。

アコースティックギターを片手にひとりで奏でる「PROMISE」では“何度でもやり直せばいい”というメッセージが心に直結して伝わってくる、傷ついたハートを癒してくれるかのような暖かなナンバーだ。そう、布袋はたくさんの悲しみや挫折を味わってきた。しかし、諦めなかった。その事が自分と約束してきた夢の実現へと結びついていったのだろう。そんな想いを形にしたのが、布袋曰く“俺たちのテーマソング”「LONELY★WILD」だ。

ここで布袋寅泰はステージを一旦はけて、バンドメンバーで「METROPOLIS」をプレイ。そして聞き覚えのあるシンセサイザーによるイントロが爆音で鳴り響き、ステージには金色のスーツを身にまとった布袋、隣には赤いロングジャケットの吉井和哉がサプライズで登場。まさに夢の共演を果たした話題のトピックスだ。

布袋寅泰と吉井和哉という日本を代表する(身長も実績も)ビッグなコラボレーションで披露されたのは、1995年発表、布袋10枚目のシングル作品であり代表作でもある「スリル」と、最新アルバム「Soul to Soul」収録に収録された、吉井がゲスト参加したグラマラスなアッパーチューン「Dangerous feat. 吉井和哉」の2曲。華のある2人による奇跡のセッションは、会場中に大きなエネルギーがほとばしり広がっていく様が可視化されていくかのようだった。

吉井が歌う「スリル」“俺のすべてはおまえのものさ”のフレーズで、布袋を見ていた眼差しに胸が高まった。日本を代表するヴォーカリストとのスペシャルセッション、かつてロックフェス「EMI ROCKS」で共演したステージを思い出した。誤解を恐れずに言えば令和時代のCOMPLEX!?の爆誕。ギターソロ明けには、ジャケットを脱ぎシャツ姿でよりセクシーな表情で歌い上げる吉井がまばゆかった。

「布袋さん40周年おめでとうございます!」という吉井の祝辞に「30周年おめでとうございます!」と返す布袋。この先の展開も楽しみになる、日本が世界へ誇るトップギタリストとトップヴォーカリストの共演となった。

勢いそのままモータウンビートとロックが融合する90年代を代表するヒットチューン「POISON」、そしてイントロから躍動するヘヴィかつダンサブルなロックンロール「Give It To The Universe」では、オリジナルはMAN WITH A MISSIONとのコラボ曲だが、ヴォーカルパートも布袋がシャウトするスペシャル・ヴァージョン。キレッキレな新しい時代の布袋サウンドが垣間見れた瞬間だ。

布袋ファンから人気の高い「DIVING WITH MY CAR」では、一気にギタリズムワールドへ世界観が一変するエモーショナルなロックチューン。ゼマイティスを片手に、武道館のステージを闊歩する布袋の力強いステップが「愛してるから俺は狂った 邪魔が入ればイカせてもらう 自分勝手で申し訳ないネ 嫌いになれる程強くない」という歌詞フレーズが胸熱すぎる。

ライブ終盤、盛り上がりを見せたのはファン人気も高いヒット曲「サレンダー」だ。独白のように孤独の苦しみと向き合ったメロディアスなロックチューンは、人と会いづらいコロナ禍の“いま”、より多くの人々の心に突き刺さるナンバーだろう。ギターとSAXが呼応するように泣きのメロディーが無観客のフロアに響き渡る。しかし、その思いは画面やスクリーンを超えて大きな声で反響してくるのだ。“この一瞬が終わらないで”、配信ライブを観ていたリスナーの誰もが願ったことだろう。夢のような瞬間と瞬間から生み出される感動。なんだろう、いろんなことを我慢してきた張り詰めた想いが救われる心情とでもいうべきか。永遠を奏でるようなギターソロの響きを聴いていたら、涙が溢れてきた。なんていい曲なのだろう。

パーティーは続いていく。布袋がギター片手に回転しながら「MERRY-GO-ROUND」がスタート。ハイスピードなスカというユニークな側面を持つ、カッティングギターの映えるポップロック。後半、テンション最高潮に突き抜ける高速カッティングプレイを堪能できるのも見どころのひとつだ。

ここで、布袋ヒストリーの積み重ねを経て、ようやくたどり着いた想いから誕生した「Thanks a Lot」を、よりハイスピードにプレイ。レコーディングでは松井常松、高橋まことが参加したナンバーだ。想いがこもった布袋のヴォーカリゼーションからオーディエンスへ向けて“自由になれよ”というメッセージが伝わってくる。ここで、本編が終わったかのような大きな盛り上がりを迎えたのだった。

布袋が観客のいないフロアに向かってMCをする。

「生配信ライブ、それぞれの武道館で楽しんでくれていますか? このステージにはいろんな思いが込められています。僕自身、40年という新しい節目を迎えられた喜び、何よりも感謝です。ここまでこれたのは俺だけの力ではありません。いつも素晴らしいミュージシャンが支えてくれて、家族のような兄弟のような同志のようなスタッフが支えてくれて。そして、何よりも誰よりもファンのみんながずっと見つめてくれて……、ちゃんと聴こえていますよ」と思いの丈を告げる。

「昔、ビートルズが歌いました『All You Need Is Love 〜 愛こそすべて』。そして、僕はここ(日本武道館)で観たRCサクセション、忌野清志郎さんが言いました“愛しあってるかい!”ってね。愛という言葉は大事だし。でも、日常で愛という言葉は使うチャンスがない。“愛してるよ”なんて恋人同士でも夫婦でも家族でも、なかなか言葉に出すことはできないかもしれない。でも、言葉に出さなくてもいい。どこか心で“愛してる”という言葉を苦しい時にこそ呟ければいいなと。そんな思いを歌った曲を聴いてください」

リスナーと心の距離を限りなく近くする「ヒトコト」を心を込めて歌い。“全員最前列”気分で、固唾を飲んでいたオーディエンスへ向けて「決して忘れることができない大切な思い出となりました。昨日と今日でやったライブをもう一度、オーディエンスのみんなを目の前にしてやりたいと思います。その機会が来たら必ずやるから。その時は会いにきてください。それまでお互いに頑張りましょう! 40周年、これからももっともっと突っ走ります。ついてきてください! サンキュー!!!」と固い約束をした。

ラストには布袋らしさをフルスロットルに輝かせるロックチューン「GLORIOUS DAYS」を全力でプレイ。ステージ後方の幕がなくなり、武道館の視界が広がっていく。球体LEDがHOTEI柄を映し出す。その様はまるでステージに浮かんでいるかのようだ。この40年の足跡を表すひとこと、それが楽曲タイトルでもある“GLORIOUS DAYS”だと思う。ロックスター、布袋寅泰がたどり着いた境地だ。

「みんなに会いたいぜ! それまで元気でいたいね。身体もだけど心もね。会える日を楽しみにしています!!」

そう、この2日間のスペシャルなライブは、59年前に日本で生まれたひとりのギターキッズが仲間達と出会い成長し、その過程で手にした“GLORIOUS DAYS”という輝き。そんな光を濃縮して味わえた宇宙一のロックンロールショーとなった。こうして布袋寅泰は2日間、全44曲をやりきった。ラストシーン、引き絵だったカメラは、ステージに残されたHOTEIギターへと焦点を合わせていく。エンディングBGMは「VELVET KISS」。こうして、40周年の次なるネクストへ向かって布袋寅泰は新たなロックンロールヒストリーを奏でに新たな一歩を踏み出していく。

テキスト:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

HOTEI 40th ANNIVERSARY Live“Message from Budokan”〜とどけ。Day 2(Adventures)〜セットリスト(1月31日)

1. バンビーナ
2. さらば青春の光
3. RUSSIAN ROULETTE
4. Battle Without Honor or Humanity
5. 8 BEATのシルエット
6. YOU
7. ラストシーン
8. Stereocaster
9. GUITARHYTHM
10. PROMISE
11. LONELY★WILD
12. METROPOLIS
13. スリル(with吉井和哉)
14. Dangerous feat. 吉井和哉(with吉井和哉)
15. POISON
16. Give It To The Universe
17. DIVING WITH MY CAR
18. サレンダー
19. MERRY-GO-ROUND
20. Thanks a Lot
21. ヒトコト
22. GLORIOUS DAYS

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