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THE BAWDIES「FLASH BACK ’09 & ’10 TOUR」ファイナル、4/24新木場公演をレポート

アーティスト

photo:橋本 塁(SOUND SHOOTER)

4月16日の広島公演より開幕したTHE BAWDIESの全国ツアー「FLASH BACK ’09 & ’10 TOUR」が、4月24日の東京・新木場USEN STUDIO COAST公演でファイナルを迎えた。

今回のツアーは、2009年リリースのメジャー1stアルバム「THIS IS MY STORY」、2010年リリースのメジャー2nd アルバム「THERE’S NO TURNING BACK」の収録曲の中から、ファン投票によって選ばれた曲を軸にしてセットリストを組む――という旨が事前にアナウンスされていた。果たしてどのような曲が鳴り響くのか? 徹底した感染症対策、ソーシャルディスタンスを考慮して設営された会場に集まった観客たちの間には、スタート前からワクワクしたムードが漂っていた。

会場内が暗転してSE「SOUL MAN」が流れ始めると、早くも激しく打ち鳴らされた観客の手拍子。真っ赤なライトで染め上げられたステージ上にROY(Vo・B)、TAXMAN(G・Vo)、JIM(G・Cho)、MARCY(Dr・Cho)が登場すると手拍子は一際高まり、フロアの天井に吊るされている巨大ミラーボールが回転しながらダイヤモンドのような光の粒子を放った。そして、MARCYのドラムが先陣を切ってビートを躍動させる中、観客に呼びかけたROY。「今、大変な時期だと思います。でも、こんな時だからこそ、この瞬間だけは思いっきり楽しみましょう。そして、それを明日からのパワー、明日からの光にして欲しいと思ってます!」。彼の言葉に心から賛同する笑顔が客席内で煌めいた直後、ROY、TAXMAN、JIM、MARCYのサウンドが一体となり、いよいよ演奏がスタート。1曲目はメジャー1stアルバム「THIS IS MY STORY」でもオープニングを飾っていた「EMOTION POTION」だった。熱いロックンロールサウンドに刺激されて、掲げた腕を振りながら踊り始めた観客。続いてメジャー2nd アルバム「THERE’S NO TURNING BACK」の1曲目だった「I’M A LOVE MAN」。さらには、「THIS IS MY STORY」で大いに存在感を放っていた「YOU GOTTA DANCE」。とびっきり気持ちいいロックンロールパーティーの幕開けだった。

「我々はバンドを組んでからずっとライブをし続けて、転がり続けてきたわけですけど、去年ほとんどライブができなくて、道にぽっかり穴が空いてしまった気がしたんです。それを無視して走り続けることもできるんですけど、1回スタート地点に戻って、また一から進んで行けばいいんじゃないかなと思って、今回、2009年、2010年の楽曲を元にセットリストを組むライブをやらせてもらいました」。最初のMCタイムで今回のツアーのコンセプトを改めて語ったROY。メンバーが着ているスーツも約12年前のものなのだという。シャツにネクタイと同色のラインが入っていて、ノーネクタイでもあたかもネクタイを着用しているように見えるデザインを「トリックアートです」と言いつつ観客に示して、和やかな笑いを誘ったりもしたひと時を経て、その後も強力な演奏が連発された。「EVERYDAY’S A NEW DAY」「TINY JAMES」「I WANT TO THANK YOU」「MOVIN’ AND GROOVIN’」「SO LONG SO LONG」……ステージ上の4人の笑顔と観客の笑顔が輝度を増していく様が、心地よくて堪らない。平時のような形でのライブができないのは、何とも言えずやりきれないことだ。しかし、「最高の音楽が鳴り響く空間に音楽を愛してやまない人々が集まれば、幸せな時間を作り上げることはできる!」ということが、堂々と証明され続けていた。

「我々はロックンロールを通してみなさまに笑顔を伝えたいというバンドでございます。どんな時も我々は転がり続けているので、“あいつらがいるなあ。あいつらがいるからまあ大丈夫か”と思っていただけたら嬉しいなと。でも、まあいろんな気持ちがあると思います。悲しいこと、苦しいことをみなさまも背負っていると思います。それを1回吐き出して、それでまた一緒に笑顔になろうと。そう思っているんです。なので、敢えてこの曲をやらせていただきたいと思います」という言葉をROYが添えてから披露された「SAD SONG」は、リクエスト1位だった曲。瑞々しいメロディが胸に深く沁みた。そして、その後に披露されたのは「KEEP YOU HAPPY」。観客が打ち鳴らす手拍子も加わり、会場全体が明るいムードで満たされていく様を、メンバーたちも心から喜んでいる様子だった。

某有名コミックのパロディによるシュールな小芝居が大爆笑を巻き起こし、「HOT DOG」に雪崩れ込んだ辺りから、ライブはいよいよ佳境へと差し掛かっていった。「心で一緒に歌ってください!」というROYの呼びかけに応えて、興奮を露わにする観客の身体の動きが一際活き活きとした「LET’S GO BACK」。一斉に飛び跳ねる人々の姿が壮観だった「IT’S TOO LATE」。リクエスト投票の途中経過で1位、最終結果は2位となった、TAXMANがリードボーカルの曲「B.P.B」。「みなさまひとりひとりが打ち上げ花火になってください!」というROYの言葉によって、観客が笑顔を輝かせながら飛び跳ねまくった「SKIPPIN’ STONES」。生配信を観ていた視聴者も画面の前で激しく踊っていたに違いない「JUST BE COOL」……本編終盤の盛り上がりも圧倒的であった。あの瞬間、世界最高峰のロックンロールパーティーが行われていたのは、新木場 USEN STUDIO COASTだったはずだ。

開演前の気合入れの円陣の掛け声を任せると、いつも上手くいかないのだというMARCY。しかし、この日の生配信映像で観ることのできた円陣について4人が語り合い、笑いを誘ったMCタイムの後、アンコールが行われた。メンバーが演出、撮影、衣装、小道具を手掛けて、草野翔吾監督と共に撮影合宿を敢行しつつMVを完成させた新曲「OH NO!」は、身も心も思いっきり開放して踊りたくなる曲だった。今後のライブでも存在感を大いに発揮することになるだろう。そして、ラストを飾ったのは「KEEP ON ROCKIN’」。「リンゴを潰すくらいに!」というROYの要求通り観客が激しく打ち鳴らした手拍子が、ライブのクライマックスを実に美しく彩っていた。

こうして終演を迎えた「FLASH BACK ’09 & ’10 TOUR」ツアーファイナル公演。厳しい状況が続いている昨今だが、このライブが与えてくれた興奮は会場に集まった観客、生配信を観ていた視聴者にとっての希望の光となったのではないだろうか。このライブの視聴チケットの購入者は4月29日23:59まで、アーカイブで観ることができる。映像はモノクロとカラーの2種類、ライブ中の映像の切り替えをすることも可能。ライブ会場でこの公演を観た人も、改めて映像と向き合うと新鮮な発見をたくさんできるだろう。そして、極上のロックンロールを体感したい全ての人にも視聴を強力にお薦めしておきたい。きっと至福の時間を過ごすことができるはずだ。

今回のツアーはメジャー1stアルバム「THIS IS MY STORY」(2009年リリース)、2ndアルバム「THERE’S NO TURNING BACK」(2010年リリース)の収録曲から、ファン投票によるリクエストを軸にセットリストを組むコンセプトツアー。また、この公演はPIA LIVE STREAMで生配信され、4月29日までアーカイブ配信されている。今回はモノクロとカラー映像が選べ、同時に2画面視聴も可能だ。

text:田中 大

セットリスト

01. EMOTION POTION
02. I’M A LOVE MAN
03. YOU GOTTA DANCE
04. EVERYDAY’S A NEW DAY
05. TINY JAMES
06. I WANT TO THANK YOU
07. MOVIN’ AND GROOVIN’
08. SO LONG SO LONG
09. SAD SONG
10. KEEP YOU HAPPY
11. HOT DOG
12. LET’S GO BACK
13. IT’S TOO LATE
14. B.P.B
15. SKIPPIN’ STONES
16. JUST BE COOL

EN 1. OH NO!
EN 2. KEEP ON ROCKIN’

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