GRANRODEO、Zepp Hanedaにてライブ「Rodeo Coaster」開催 新旧楽曲織り交ぜた2日間異なるセットリストを披露
GRANRODEO が、5月14日・15日の2日間、東京・Zepp Haneda にて「GRANRODEO LIVE 2021 “Rodeo Coaster”」を開催。そのファイナルを飾った15日公演のライブレポートが到着した。
ライブレポート
そのGRANRODEO船がたどり着いたホームでは何が起こるのか? 新たな期待に胸が膨らんだ15日公演。声援を送れない約束のもと、大きな手拍子に包まれた華やかなデジタルトラックをBGMに登場したメンバーが定位置に着いてバンドが楽器をかき鳴らす。KISHOWが「ようこそ、Zepp Haneda!!」と叫んで幕を開けたオープニングナンバーは「The Other self」。着席したまま立ち上がれないオーディエンスの代わりにKISHOWが満面の笑顔で飛び跳ね、e-ZUKAがキレのいいギターソロを叩き込む。初手から止まらない疾走感は「RIMFIRE」「変幻自在のマジカルスター」へとなだれ込み、客席の色鮮やかなペンライトの激しさが増す。初日公演の疲れを全く感じさせないバンドの熱量は、うねりをあげる瀧田イサムのベースとSHiNのスピーディなドラミングを味方に、すでにトップスピードに達している。「黒子のバスケ」主題歌を3曲一気に叩きつけたところで、やっと一息だ。
「お待たせしました! 会いたかったぜ! 一夜明けて今日は違うセットリストで皆さんのロデオ心をくすぐっていこうかと思います。最後まで楽しんでってください!」とKISHOWが言えば、e-ZUKAは「昨日より熱い、昨日より汗がすごい!」と訴える。そして「今日のセットリストは大変」「皆さんがご存じの曲が中心」だと予告しつつ、「僕と君たちのメモリーズを作りましょう!」と放たれたのはこれも「黒子のバスケ」からのナンバー「メモリーズ」。“一番いいのは今日これからだよ”とKISHOWが力強く歌詞を歌い換え、e-ZUKAの光る7弦ギターがきらびやかなフレーズを聴かせる。ここから懐かしくもヘヴィ&メロディックな2曲、「HEAVEN」「慟哭ノ雨」が続く。GRANRODEOの音楽はキャリアのスタートから激しく分厚いロックを刻んできたが、15周年を過ぎた今、KISHOWのボーカルとシャウトが、e-ZUKAのテクニックと迫力が、格段にスケールアップしているのが初期ナンバーを聴くとハッキリと感じられる。まだまだライブは序盤、わずか6曲を過ぎたばかりだというのに、ステージ上は全員もう汗だくだ。
「勝手に僕ら盛り上がっちゃってますが、皆さんマインド的について来られていらっしゃいますか?」。拍手と手拍子、拳とペンライトでしか猛りを発散できないオーディエンスに問いかけると、もちろん!!と言わんがばかりの激しい拍手が贈られ、ニッコリとKISHOWが笑う。瀧田、SHiNが愉快なフリートークを繰り広げるサポートメンバー紹介は、今日でGRANRODEOチームを卒業するクルーへの感謝を述べながら、いつも通りのゆるっとした掛け合いで楽しませる。そして前日のライブを観てくれたファンが窮屈な状況の中でも「最高だった」と書き込んでくれたSNSの感想にも触れながら、「みんなと誓い合いたいんだよ、インフィニットなラブをよ!」と叫んで、キラキラと輝く「Infinite Love」が始まる。笑顔のKISHOWが生配信のカメラに向かってウインクを投げ、e-ZUKAがギターの上で小さく指でハートを作る。軽やかな愛の歌からステージの空気は一変、切なくドラマティックなミドルナンバー「少年の果て」へ。e-ZUKAの美しいアルペジオと厚いストローク、サスティーンの効いたギターソロの対比も実に劇的だ。
そんな静かな感動の余韻を打ち砕くように、ここからはまたアッパーな曲たちが連続する。鮮やかな火花がステージを彩るパーティチューン「Punky Funky Love」では、メンバーがステージを駆け回りながら何度もKISHOWが高々とジャンプ。重厚なサウンドがぶつかり合う「Glorious days」では、KISHOWが2番のAメロで1オクターブ上の野太いハイトーンを聴かせる荒技を繰り出し、ほとばしる野生を見せつける。その重たいサウンドはハイスピードの「BEASTFUL」でさらに重力を増し、鋭いロングシャウトがそれに対抗。オーディエンスも、GRANRODEOの気合いに満ちたパフォーマンスに振り落とされないように、懸命に真っ赤なペンライトを振り仰ぐ。
一瞬も気が抜けない本日のハイカロリーな楽曲群に「このセトリはしんどい。やりなれた曲だけど、マゾッ気が出ちゃう」とぼやくKISHOW。「今日は全世界に配信されているので、勘のいい皆さんはお気づきかも知れませんが……ここまで全部シングル曲で来てる。こりゃ大変だ」と笑うe-ZUKA。そして「出し尽くすような心持ちで残りの時間を過ごしてほしい。案の定、畳みかけるので、我々もGRANRODEOパワーを振り絞って、“コースター”のように向かっていきま
す。準備はいいかい?」とKISHOWがより激しさを増すネクストナンバー「ROSE HIP-BULLET」を告げると、会場全体が大きく息を呑み、さらにバンドはスピードを上げる。オーデ
ィエンスはヘッドバンギングする代わりに真っ赤なペンライトと拳をステージに向けて振り下ろし、e-ZUKAの華麗なソロを鼓舞するようにくるくる回す。そして自然と頭が揺れ、心地よいビートを刻む「DARK SHAME」ではKISHOWが超ロングトーンで観客を煽り、落ち着いた熱は続く「Deadly Drive」でまたしても最高潮まで引き上げられる。緩急自在なGRANRODEOマジックは、超ヘヴィー級の「TRASH CANDY」とさらに一体感を増すメロディックな「愛のWarrior」で爆発する。
有観客でライブができ、配信でファンが観てくれているからこそテンションマックスでパフォーマンスできると感謝を告げ、「あー疲れた!すごいね!みんなが立って暴れてうねってる様子が一瞬見えた気がした」と楽しそうなKISHOW。「やっぱりライブはお客さんと一緒に作るもの。こういう状況下でもみんなが集まってくれていいライブを作ってくれてありがとう!僕らの一方通行じゃライブはできない」とお礼の言葉を改めて述べるe-ZUKA。そして「これからも頑張って生きようぜ!やれるってとこ、見せてやろうぜ。こんな世の中に負けてらんない。そんな俺たちの曲をやっちゃおうかね!」のKISHOWの言葉から本編ラストに炸裂したのは、この2日間で唯一、共通して演奏された1曲、「Can Do」だ。“キミがいればいつだって何度だって立ち上がれんだ”という強い決意の言葉は、制限された状況下でも心を音楽で通じ合うことを諦めることなく、ファンとの絆を感じながら新しいライブを作り、走り続けていくんだ!というGRANRODEOの熱い宣言にも思えた。
アンコールを求めるリズミカルな手拍子に誘われ、バンドが再びステージへ。e-ZUKAのシグネイチャーギターをミニサイズにした「RODEO Phoenix mini」を紹介した後は、前日に新発表した、KISHOW&e-ZUKAがこの8月、二人旅でKISHOWの故郷・山口県を中心にファンクラブ限定アコースティックライブツアーを開催する告知に加え、この日初解禁のニュースも。KISHOWの「この御時世だから、ちょっとデカいのそろそろやんないとね!」の言葉に続いて発表されたのは、2022年初頭の「G15 ROCK☆SHOW & G16 ROCK☆SHOW」開催決定! 周年記念の“Gナンバリング”ワンマンの開催は、2018年の「G13」以来とあって、待ち望んでいた客席から思わず声が漏れ、盛大な拍手が贈られた。
そんな喜びの余韻も冷めぬまま、KISHOWが「さっき〈Can Do〉を俺たちの曲だって言ったけど、これも今の俺たちの曲です。みんなでブチ上がって終わろうよ!」と届けられたのは「modern strange cowboy」。客席のロデオボーイ、ロデオガールも最後の力を振り絞るように両手を激しく降り続け、KISHOWとe-ZUKA、瀧田はステージを駆け回り、息を合わせてジャンプを決める。いつも以上の大きなシャウトで“今を生き抜けよ!! カウボーイ!”とKISHOWが叫んだその声は、このコロナ禍だからこそのGRANRODEOからのメッセージとして、ズシッと胸に刻まれた。
途中のMCで彼らが言っていたように、終わってみればこの日のセットリストはアニメタイアップを中心としたシングルリードナンバー=GRANRODEOの代表曲で構成されたものだった。これはGRANRODEOのライブではなんと初めての試みだ。前日にGRANRODEO船が世界を巡航して帰還した日本=ホームから発信する彼らの音楽は、アニメソング、ゲームソングを抜きに語ることはできないことを、このハードでアッパーなセットリストがしっかりと物語っていた。そしてこの“ホーム”から、15周年のアニバーサリーイヤーを超えたGRANRODEOの船旅は、彼らと彼らの音楽を愛するファンを乗せて、また新しい航路を見つけていくに違いない――。
(ライター:阿部美香)