芹澤優 撮影=ジョニー寺坂
声優として、そして声優アイドルユニットi☆Risの一員として活躍する芹澤優が、DJ KOOとMOTSUという強力な二人とタッグを組み、芹澤 優 with DJ KOO & MOTSUとして新曲『EVERYBODY! EVERYBODY!/YOU YOU YOU』をリリースする。レジェンドと言える二人と作り上げたアニソン史上最強レベルのアッパーチューンは、どこか90年代を思わせる懐かしさと爽快感にあふれるものとなっている。SPICEではこのリリースに合わせて芹澤にインタビューを実施。この強力な一曲の制作秘話、そして澁谷梓希が卒業した新生i☆Risへの思いなど、芹澤優のコトバを聞いてみた。
■エイベックス代表のつもりで楽曲制作した
――今回は芹澤 優 with DJ KOO & MOTSU『EVERYBODY! EVERYBODY!/YOU YOU YOU』をリリースされるとのことで、そちらのお話を伺えればと思います。DJ KOOさんとMOTSUさんとのコラボなのですが、最初にこのお話がきた時はいかがでしたか?
すごく驚いて「私でいいんですか?」って思いましたね。DJ KOOさんとMOTSUさん、どちらかお1人とコラボというお話でも十分豪華なのに、同時にお二人とのコラボですから。盛り盛り増し増しでデカ盛りパフェみたいだと思いました(笑)。
――実際にお二人に初めてお会いした時の印象はいかがでしたか?
MOTSUさんはアニソンフェス等でこれまでも何回かお会いしていたんですが、完全に「陽」なキャラクターの方だな、と思っていました。DJ KOOさんは今回初めてお話したんですが、テレビで拝見していたイメージ通りこちらも「陽」な方でしたね。テレビで拝見する限りはすごく明るい方だけど、実は裏ですごく暗い方だったらどうしよう……とは思っていたんです。そうしたら裏でもずっと明るくて、本当にテレビに出ている姿と変わらない。存在自体がエンターテインメントな方なんだな、という印象でした。
――今回初対面となったDJ KOOさんですが、緊張なさったりなどということはありませんでしたか。
距離感を全く感じさせない方だったので大丈夫でしたね。「一緒に写真撮ろうよ!」って言って急に写真撮ってくださったりするんですよ。それで撮ったものにアレンジを加えて送ってくださったりとか。テレビで見ているキャラクターと普段のキャラクターが全く一緒で、すごく楽しい方でした。私、声優業界の中では明るい部類に入りますけど、お二人には全く敵わない! パリピのお二人からすれば私なんかただのヲタクでした(笑)。
――そんなメンバーで作られたCDですが、最初の楽曲「EVERYBODY! EVERYBODY!」。こちらの楽曲を初めて聴いた時の印象はいかがでしたか。
「これがパリピソングかー!」という印象でした(笑)。なので、この曲は私一人では作り上げられない世界観の楽曲なんですよ。「ポーッ!!」から始まる曲とか一人では絶対に作れないですもん(笑)。
――出来上がったものを聴くと全く違和感は感じませんでしたが、そこに至るまでは感じるところがあったんですね。
本当に自分にこの曲を歌いこなせるのか、って最初にいただいた時は思っていましたね。ただ、MOTSUさんがレコーディングでディレクションを一緒にやってくれたので、なんとか一緒にゴールにたどり着いた感じでした。
――今回出来上がった楽曲に対してご自身で気に入っている部分ってあるんでしょうか。
今回サビの歌詞が全て同じなんですが、ラストのサビだけ少し歌い方を変化させているんです。そこに関しては「セリコ、何かできます?」という突然の無茶振りだったんですけど。どうにか出せるものを考えて歌ったら「いいじゃん!」って言っていただけて。そこは自分でも気に入っていますね。
――MOTSUさんから現場で話が出たんですね、MOTSUさんのディレクションで印象深かったことは何かありますか?
今回は「アニソンで世界中を元気にしちゃおう!」というコンセプトもあったので「音源の中でもライブで聴いているような熱いパッションが届くように」という事を言われたのが印象深かったです。パッションって言葉、レコーディングで初めて言われたかも、と思いましたけど(笑)。
――確かに、なかなかパッションはないかも……でもMOTSUさんから出てきそうなワードではありますね(笑)。
そうなんですよ。あとは、私自身声優としてキャラソンを多く歌わせていただいていることもあってハイ(高音)の部分の音が強いんですよね。MOTSUさんからは「今回はもっと低音を効かせた、エイベックスの歌姫達のようながっつり歌い上げていく感じで作りたい」とお話をいただいて。今まで開けたことのない扉を一生懸命レコーディング中に開けていく感じでした。
――エイベックス所属という部分もかなり意識された上での制作だったんですね。
今回はエイベックス代表のつもりで楽曲制作をさせていただいていますね(笑)!DJ KOOさんも支えてくださるのでそれぐらいの心意気でいいのかとも思いまして。だから今回のCDジャケットが青いのもエイベックスブルーなんです。
――確かにエイベックスをかなり意識した楽曲だとは感じました。『a-nation』を思い出すと言うか。
『a-nation』出たいですよね!3人で!
――今回MVもかなりパーティ感が溢れる内容となっていますが、撮影はいかがでしたか。
撮り始めた時は大変でしたね。OPはお立ち台みたいなところに上がって音楽にのっている感じのMVになっているんですが、最初は”音楽にのる”っていうのがどうしたらできるのかよくわからなくて。この時ばかりは経験としてクラブとか行っておけばよかったな、と思いましたね。ただ、段々とコツを掴んできたらあとはもうひたすら楽しくて。
――コツを掴めたポイントみたいなものはどこだったんでしょうか。
やっているうちにだんだんとわかっていった感じでしたね。DJ KOOさんとMOTSUさんはそこに関して本当に慣れていらっしゃるので最初は見様見真似で。あとは直前にエイベックスの歴代ディーヴァさんたちのMVを見て勉強していたので、それを参考にした感じです。
――そんなMVの中で、気に入っている部分があればお聞かせいただければ。
MVの中でMOTSUさんと私が行ったり来たりしながら映るところがあるんですが、カメラが一台だったのでMOTSUさんの動きに合わせて動いたりできたのはよかったですね。遊びながら掛け合いができたという印象があって、後半は3人で映る部分とかも譲り合いながらも楽しんでいる感じを存分に出せたと思います。
「EVERYBODY! EVERYBODY!」Music Video
■「KOOさん、MOTSUさんが恋の妖精さんに!」「YOU YOU YOU」制作現場
――では、二曲目の「YOU YOU YOU」について伺いたいのですが、こちらの楽曲への率直な感想を教えてください。
もう大好き!私、MOTSUさんが歌う可愛いアニソンが大好きなんですよ。なので楽曲をもらった時に「私も大好きだし、私のファンも絶対に大好きになる曲だ!」って確信しました。
――今回は作詞・作曲・編曲の全てをMOTSUさんが担当されているんですよね。
そうなんですよ。本当に天才だと思いました。なんであんなに可愛い曲が作れるんですかね。どこかに乙女の心を持ってらっしゃるんでしょうね。もしくは日夜若い女の子の研究をしてらっしゃるとか(笑)。
――MOTSUさんなら乙女心持っててもおかしくない気もしますね(笑) 改めて歌う時に意識したことはありましたか?
物語性がかなり強い楽曲なので、一人の女の子を演じているような気持ちで歌いました。自分に少し自信がある女の子の歌なんですよね。歌詞で「気の無いフリどうして」って出てくるんですけど、相手が自分に気があるってことに自信を持っているってことじゃないですか。そういうところは強く打ち出して歌いました。
――MOTSUさんからのアドバイスで印象に残っている部分はありますか?
最初自信満々な女の子の感じで歌っていたんですけど、MOTSUさんから「二人の間の見えない透明バリア壊して」の部分はわがままじゃなくてお願いする感じで、もっと切ない感じで歌って欲しいって言われたのがすごく印象的でしたね。自分に自信がある女の子でも寂しくなったり不安になったりすることはあるじゃないですか。そういう女の子の振れ幅みたいなことまで意識してこの歌詞を書かれているんだな、と思って。その話を聞いた時はMOTSUさんが恋の妖精さんに見えましたね(笑)。
――この曲ではダンスも披露されていて、特にサビの部分でDJ KOOさんとMOTSUさんと共に踊っているMVがすごく印象的でした。
あの部分、絵面としてすごく面白いですよね(笑)。DJ KOOさんとMOTSUさんに一緒に踊ってもらうことで絵面が格段によくなっていると思っています。サビの部分のダンス自体は皆さんで一緒に踊れるように、というのを意識して簡単にしていただいているので、なかなか声を出して一緒に楽しむことができないご時世、一緒に踊って楽しんでもらいたいですね。
――サビの“ユユユダンス”振り付けを皆さんに踊っていただくにあたってポイントにしてもらいたいところはありますか。
指をさすところで、指の先に好きな人がいると思ってやってもらいたいですね。視線もきっちりそっちに向けていただいて、「お前!」って感じで。
――ライブの時にファンの皆さんがセリコさんに向かって指をさすところが思い浮かびます(笑)
あー!確かに!そこは普通に踊っていただきたいですけどね(笑)。
――今回収録されている楽曲、2曲ともにご自身もキャストを務めている『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω』のタイアップとなっていますね。楽曲と作品とのマッチングはどう感じましたか?
『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω』は異世界転生物の中でもすごく癖が強い作品じゃないですか。それに対してすごく癖の強いメンバーで、癖の強い楽曲をタイアップさせていただいて、最初はそこまで強い物を一つの作品に入れてごちゃごちゃしないかな、と思っていたんです。でも、そんなものは杞憂でしたね。全部が強いからこそどれかが喰われることもない、オープニング・エンディング含めてアニメ全体がきっちりと強い作品になっていると思います。
――そのお話を聞くだけでもかなり楽しみが広がる感じがします。
あと、MOTSUさんがおっしゃっていたことなんですが、作品内で女の子二人がディアヴロを召喚するのに対して、今回の楽曲ではDJ KOOさんとMOTSUさんが私をパリピ空間に召喚している、というお話があったんですよ。
――ああ、それはなんか聞いたらすごく納得しちゃいますね! 芹澤優が異世界召喚された楽曲というのはまさかの考え方かもしれないです。
MOTSUさんはアニソンをこれまでにたくさん手掛けているので、作品への愛とリスペクトをすごく持った上でマッチングを考えているんだな、というのを感じたお話で、すごく感激しましたね。
――芹澤さんは第一期でもオープニング・エンディングともに歌唱で参加されていますが、今回はその時とかなり楽曲の雰囲気が違いますね。
そうですね。なのですごく美味しい経験をさせていただいているな、と感じています。楽曲の方向性は違いますけど、絶対に納得していただける曲になっているという自信はあるので是非とも堪能していただきたいです!
■i☆Risを引っ張っていきたいという気持ちで進んでいきたい
――そしてこの時期のインタビューでは必ず聞かれるることかもしれませんが、現在コロナ渦での活動を余儀なくされていると思います。音楽活動をしていく中で感じた変化はありましたか?
そうですね……思い当たることはたくさんあるんですが、一番はお客さんがこういうご時世だからこそすごく繊細なことに気づいてくださるな、ということです。先日、ライブがあったんですが、もちろんコールなんかは禁止じゃないですか。そんな中でライブをやっていたら、これまでだったらコールをしてくださるのに必死で気付かなかったような細かい動きに注目してくださっていて。それで発信する側も今まで以上に細かいことに気を配ったライブをしなければいけないのかな、とは感じましたね。
――そう言った部分で実際にライブを行うにあたっての心構えも変わったわけですね。
そうですね。そもそもライブをやってもコールができない時点でお客さんも物足りなさは感じるじゃないですか。なんか1ピース足りないパズルみたいに。それに対して別のピースでそこを埋めなければいけないと思うと、そこに対してMCを加えたり、カメラワークを工夫してみたり、振り付けをアレンジしてみたり。そういうプラス1ピースは常に考えるようにしています。
――そんな中、所属するグループであるi☆Risから澁谷梓希さんが卒業し、新たに5人体制となりました、ここから先の活動についてはどう考えていらっしゃいますか。
先日のライブ(3/28開催『i☆Ris LIVE 2021 ~storiez~』)でのリーダー(山北早紀)の話が全てなんですよね。i☆Risのメンバーって全員、嘘がつけない人たちなんで。本当は6人でやっていきたかったけど、それでもずっちゃんが決めたことだから。ここまできた以上はできることをやってやるしかない。というのが全員の気持ちです。6人の時の方が良かったね、とか言われるの絶対に嫌だとは思っているので。
――これからのi☆Risというユニット、変化することも必ずあると思うんですが、そんな中で芹澤さんはどんな存在でありたいですか?
うーん……私がみんなを引っ張っていきたい! ぐらいの気持ちでいますね。メンバーは私に引っ張って欲しいとは思ってないかもしれませんが(笑)。 ただ、それでもそう思っている私に対して嫌な顔をしないでくれるメンバーだと思ってるので。私からしたらそれで充分だな、って思っていますね、うん、それだけで。
――かなり強い信念をお持ちなんですね。
ただ、こうやってみんなを引っ張っていきたいって思えたのも、今回の楽曲のおかげなのかな、というのも感じていますね。すごく前向きな曲なんで、歌っている私も本当に前向きになれるんですよ。私自信がDJ KOOさんとMOTSUさんに引っ張っていただいているんでしょうね。
――やはりお二人の力は絶大と言いますか。
本当にそうですね。知らない人に対して「みんなを元気にします!」って言っても、私のことを知らない人が聞いたら「知らないアイドルちゃんが応援してくれているな。」ぐらいにしか思われないと思うんですよ。それが3人の力で「みんなを元気にします!」って言ったら本当にみんなを元気にできる気がするんです。それがみんなを引っ張っていきたいって今の気持ちにつながっていると思いますね。
――そんな芹澤さんの今の野望を教えていただけますか。
声出しOKの世の中になったらその瞬間にライブがしたいですね!ゲリラでもいいので!最速一番手の声出しありのライブ!今回の楽曲は特にライブでやるのを想像できる楽曲じゃないですか。それを早く実現したいです。DJ KOOさんもMOTSUさんも「やろうやろう!」って言ってくださっているので。
――それは絶対に盛り上がりますね。
もう皆さん気を使うのにも飽きてきてると思うんですよ。こういうこと言ったりやったりしたら風当たりが強いからやめておこう、ということばかりじゃないですか。それを全部振り切って、やりたいことをちゃんとやりたい、そう言える世の中になって欲しいんです。だからもう正直に、ライブやりたい!みんなの声が聞きたい!そう思って何が悪い!ってスタンスで駆け抜けたいですね。
――最後に改めて、今回のCDを楽しみにしている方に一言お願いできますか。
こんなに豪華なお二人と一緒に作らせていただき、史上最高にアゲアゲな一枚が出来上がりました。みんなこれを聞いて元気になって、その元気をライブまで持ってきて、全部ぶちまけて欲しいと思っています!発散しましょう!
インタビュー・文=加東岳史 構成=一野大悟 撮影=ジョニー寺坂