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Hump BackとSCANDAL、タイプが違う2バンドの共通点とはーー自分達らしさの確立、お互いの存在感、バンドの将来

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Hump Back、SCANDAL

Hump Back、SCANDAL

6月6日(日)に大阪城音楽堂にて、2マンライブ『強く鳴る音』の開催を予定していたHump BackとSCANDAL。同公演は自粛要請を受け延期してしまったが、7月12日(月)、会場はZepp Nambaに変更されることが発表された。2バンドは共に大阪で結成されたガールズバンドという共通点はあるものの、自他ともに違うシーンで活動していると認めるほど、これまでの接点がなかった。そこでお互いのバンドを知るための、顔合わせ企画としてスタートしたこの対談。オンライン上ではあるが、貴重な初対面シーンをFM802で『SATURDAY AMUSIC ISLANDS MORNING EDITION』(毎週土曜日7:00~12:00)のDJを務める仁井聡子がインタビュアーとなり、今回Hump BackからSCANDALへ共演をオファーした経緯や、バンドならではの悩み、共通点などを掘り下げ、お互いが受けた影響や『強く鳴る音』への意気込みなども語ってもらった。

『強く鳴る音』

『強く鳴る音』

●お互いガールズバンドでも「違うところにいる」印象●

ーー結成はSCANDALが2006年、Hump Backは2009年とそんなに離れていませんが、私の中では、違う星で活動している感じがしています。だからワクワクしてるし「なぜこの2バンド?」とも思うのですが、言い出しっぺの美咲さん(Hump Back/Dr.Cho)、いかがですか?

美咲:同じ大阪出身で、全員女の子で成り立ってるバンドというのと、『MONSTER baSH 2017』で出演日が一緒になった時に初めてライブを観て、めっちゃカッコ良いなと思ったことがキッカケですね。

RINA(SCANDAL/Dr):初めて出たときだ。

HARUNA(SCANDAL/Vo.Gt):私も一回、豊洲PITでのイベントでHump Backのライブを観させてもらいました。当時、自分がライブについて悩んでいた時期だったのですが、そのライブがキッカケで、自分の中のライブへの価値観が変わったから、いつか一緒にやってみたいなと思っていて。だけど、自分たちのことを認識してもらえてるのかなと思っていましたし、仁井さんが言うように同じガールズバンドでありながらも、違うところにいると自分たちもなんとなく感じていたので、今回誘ってもらえてびっくりなのと、嬉しいのとが同時にありました。

林萌々子(Hump Back/Vo.Gt):SCANDALはガールズバンドの先駆けと言えるし、四人が楽器を持って、そこに立ってるだけで成り立つから、ライブに対して悩まなくて良いバンドというイメージがあったんです。今でも一つ一つのライブに対して、考えて演奏してはることに感動したし、自分たちの存在がちょっとしたキッカケの一つになれたことは誇らしいですね。

ーー私ね、実は萌々ちゃんとHARUちゃんのMCは、持ってるアツさとか、言葉に力を引っ張られる瞬間があるから、通じるところがあるなと思ったの。その二組が一緒にやると、どういう感じになるんだろうとワクワクしかないです。

Hump Back – 「ティーンエイジサンセット」Music Video

●人数の差が生む音作りにおける、隙の違い●

ーー対バンを予定していた6月6日は、実は楽器の日なんだって。

一同:へぇー!

ーーお互いに楽器を鳴らすバンドであるということで、それぞれの印象を教えて欲しいのですが、まずはドラムから教えてください。

RINA:バンドの人数が、まず目に見えて違いますよね。3ピースだと、そのパートを一人ずつの音で埋めなきゃいけないから、違う感覚があるんだろうなと思います。

ーー美咲さんは違いがあるなと思いますか?

美咲:3人でも4人でも、ドラムを叩く感覚は一緒な気がします(笑)。昔スカバンドのドラムをやっていて、それと比べると聴く音が減るくらいの違いですかね。

ーー面白いね。続いてベースはいかがですか?

TOMOMI(SCANDAL/Ba.Vo):やっぱり4ピースと3ピースの違いは、確実にあると思いますね。たまにHARUNAがギターを置いて三つの音になる瞬間があるんですけど、そういう時は、いつもよりストイックに演奏しています。

ぴか(Hump Back/Ba):私は別のバンドで、4ピースもやったことあるんですけど、もう3ピースで慣れてしまっているので、今では音の数が一つ増えると、ドラムとの兼ね合いが難しそうやなと思います。

ーー素人みたいなことを聞くけど、ベースはドラムと一緒に走って行く感覚にならなきゃいけないのに、ギターの音に集中してしまって釣られることはあるんですか?

ぴか:私は釣られやすいけどイヤモニでギターの音をめちゃくちゃ下げてるので、あまりないです(笑)。

TOMOMI:逆に私は、MAMI(SCANDAL/Gt.Vo)のギターの音が聴こえたほうがテンション上がるので、結構上げるんですよ。私も歌うことがあるから、メロディーが聴こえた方がやりやすいなとか。それぞれ違いがあるなと感じました。

『SCANDAL WORLD TOUR 2020 "Kiss from the darkness" Livestream』Trailer

ーーバンドをやったことのない人は、みんなの音が均等に聴こえて初めて自分の音が出せるのかなと思うけど、それぞれ拾いたい音の違いがあるんですね! じゃあ次はギター。

MAMI:僕はHump Backのライブをまだちゃんと観ることができてなくて、でもライブの音源や、動画サイトで観ていて、フレーズ作りが上手くてものすごく聴きやすい音だなと思っています。僕はサビやバッキングありきで、遊んでるようなギターのフレーズを作るのは好きなんですけど、1本で歌のテーマになるようなフレーズを作るのがすごく苦手で。僕が曲の中で一番大事にしてるのが、イントロなんですけど、Hump Backの曲はイントロの印象的なフレーズが、もう一回サビ後にくるシンプルな構成が多いから曲も覚えやすくなるし、それが快感なんですよね。

林:私はめちゃくちゃギターが下手なので、褒めてもらえて嬉しいです。できることが限られている故のシンプルさはあると思うんですよ。あと歌とかメロディーが好きなので、どうしてもメロディーを単音で弾くことが多いですね。逆に、SCANDALの音作りは隙がない印象があります。

MAMI:意外とそういうところが、今となっては課題になってたりしてて。誰かが入り込める隙というか、自分たちの余裕としての隙間が欲しいなと年齢を重ねて思うようになったので、試行錯誤してます。今まで盛り盛りにしちゃってたから、シンプルストロングさが羨ましいなと思います。

ーー二人のギターは種類も違うの? まみたすはフェンダー?

MAMI:フェンダーと、今はレスポールも使ったりしています。

林:私はギブソンです。最近メインギターが変わりました。

ーーこれも素人質問なんですけど、どういう理由で曲によってギターを変えるの?

MAMI:音が全然違うんですよ。フェンダーは自分の中ではみんなが思う「いわゆる」のギターの音って感じかな。音の抜けがいいからギターソロとか単音のフレーズを弾くギタリストが持っていることが多くて、逆にギブソンはコードとかリフとかに向いた太くて強い音が出る印象があって。もちろんフェンダーにも強い音が出るものもあるし、弦の音を拾って出すマイクが違えば、強い音もスッキリした音も出せるし、木や形によっても違うから、一概にこうという説明はできないんですけど。

Hump Back -「LILLY」Music Video

ーー結局は相性なんだね。次は歌、声にフォーカスしたいと思います。

HARUNA:萌々子ちゃんの声は、音楽に対して雑念がなくてピュアな気持ちがこちらに伝わるくらい、すごく感情が伝わってきやすいなと、ライブを観た時に思って。MCの時も歌ってる時も、いろんな感情が胸に刺さる、めちゃくちゃエモい声をしているんですよね。その時に思った通りの気持ちを、声に出して歌うことが上手なんだろうなと思っています。

林:嬉しいですね。最近のSCANDALの曲を聴くと、HARUNAさんの声が力強くなったなと思ったんですが、意識されているんですか?

HARUNA:歌い方はデビュー当時に比べると結構変わってますね。より長く歌っていくためにボイトレに通いましたし、SCANDALはいろんな曲調の曲をやることが多いので、それに対応できる歌唱方法や声色を、出せるようになってきたなとは自分でも思います。

林:その印象がすごくあって、曲による声の使い分けは聴いてて勉強になります。女性らしさをすごく感じる部分もあるし、逆に力強さを感じるところもありますよね。

ーー本当に二人とも全然違うタイプのボーカリストではあるんだけど、しなやかな強さを持っていると感じますね。

SCANDAL 「A.M.D.K.J.」 – Music Video

●「ガールズバンド」の障壁と、それぞれの乗り越え方●

Hump Back

Hump Back

ーー性別は関係ないという世の中だけど、どうしても女性には降りかかってくることが多いと思うから、職業としてバンドでいるのは、すごい試されることが多いと思うんですよね。

林:ガールズバンドなだけでちゃんと音楽を聴いて欲しいのに、ライブを観て欲しいのにそうじゃない部分が出てくるんですよね。

RINA:私たちもそういう経験がすごくありました。結成当時はお金もないし、衣装を揃えることもできなかったので、それぞれの学校の制服を着てライブしたりスタジオで練習したりしていたんですよね。それを見てくれていたレコード会社や事務所の人が「そのアンバランスな感じが楽しいね」と言ってくれて、制服のままデビューしたんです。ちょうどアイドルの方々が制服を着て音楽活動をしていたシーンと重なっていたのもあり、「SCANDALはバンドじゃなくてアイドルだ」と、「アイドル」という言葉をバンドシーンにおいては、ある種、ネガティブな言葉として使う人がいて。私たちはアイドルにもバンドマンにもリスペクトがあるので、それはイケてないなとずっと思っていました。でも言われ続けるうちに、自分たちがどっちの要素もあることは誇れることで、それが自分たちらしさだと気づけたから、それなら観ても聴いても楽しいバンドスタイルでやっていきたいなと、徐々に思えるようになってきましたね。

林:カッコ良い。

RINA:もちろん苦しい時もいっぱいありました。バンドマンに仲間に入れてもらえなくて、フェス出たくても「SCANDALはフェスに出るバンドじゃないから」と言われたり、音楽雑誌にも出させてもらえない時もあったし。どこにも居場所がないなと思う時期もあったんですけど、それならワンマンでやり続けて、自分たちの世界を作って乗り込んでやろうみたいな気持ちになりましたね。

林:それが確実に今、確立されていますもんね。

RINA:そう言ってもらえて嬉しい!

ーー今思い出しました。フェスでSCANDALが「ファンの子達が、肩身が狭い思いをさせたくない」と言っていて、私それに泣けてきて。自分たちの立ち位置もわかった上で、ファンを大切にしながら、ホームじゃない場所で演奏する重圧があったんだろうなと思って、それを乗り越えてSCANDALが強くなっていったような気がしますね。 Hump Backはどう? 

林:今の事務所の社長にお世話になり始めてから、男の子のバンドと一緒に出させてもらうことが多くなったんですけど、一回ライブで「女やからって舐めんなよ!」みたいなことを言ったことがあって。その時に「自分が女性を武器にしているな、自分の中で勝手に男だ女だと盛り上がってるだけやな」と後悔して、それ以降は言わなくなりましたね。言わなくなったら自分も全く気にならなくなりました。

HARUNA:Hump Backの百戦錬磨なライブパフォーマンスを観た時に私はめちゃくちゃ胸を打たれて。もちろん男とか女とかのワードは一切出てないけど、それでも女性としての立ち向かい方を、自分の中での正解を見せてもらったような夜で。だからさっき言ったみたいに、それ以降の自分のステージに立つときの振る舞い方に活きてるなと感じます。ほんとめちゃくちゃ影響を受けたんだと思う。

林:嬉しいですね。自分たちの下の世代の子達が、もっとバンドをやりやすい環境にできたら良いなと感じています。

SCANDAL「eternal」Music Video

●一番のバンドの強さは、一人も欠けずに続けてきたこと●

SCANDAL

SCANDAL

ーーそして今回の対バンのタイトル『強く鳴る音』には「鳴」らすという文字が入っていますが、バンドとして強くなるとは、どういうことなんだと思う?

MAMI:RINAちゃんも話してたような時期があったから、今保たれているメンタルがあって。順風満帆にやってこられたらこんなに続いてなかったなと思いますね。結成の仕方も特殊で、その時からデビューに向けての環境が整ってたし、ある意味ではすごく温室育ちなんですよ。初めはギターは消耗品で、弦が切れたらさよならするものだと思ってたレベルなんで(笑)。そんな過去がコンプレックスだったりもするけど、スタートが同じ四人で同じ経験をずっと積んできて、一個ずつクリアしていくことで強くなってきたなとは思いますね。

林:仰ったような温室から飛び出すのは難しいと思うのに、ずっとやってきた四人でできる事がカッコ良い。SCANDALの1番の強さやなと感じます。

HARUNA:ちょっとずつフェスに出させてもらって、自分たちの音楽が違うバンドのファンの方に届いた瞬間が見えるだけで、まだいけると思えるし、そこで全然満足しない。もっと良い自分たちになれるし、なりたいとずっと思い続けてるよね。

ーーHump Backは、バンドの将来についてどんな話をされてますか?

林:あんま真面目な話はしてないですね(笑)。小さな目標はいっぱいあるんですけど、三人でライブしてることが、昔から変わらず一番最強。

HARUNA:一緒!

RINA:共感しかない(笑)。

Hump Back 2020.11.23 大阪城ホール 単独公演"拝啓、少年少女たちよ" ダイジェストムービー

ーー続けておくれよー! 以前SCANDALとも話してたんだけど、世界的に見てもガールズバンドは短命で、解散してしまうバンドが多いから、一年でも長く続けてくれるバンドは、それだけでもありがたくて。

MAMI:泣いてるの?

ーー泣いてないよ、これは汗よ! ほんま元気でやってね……。お互いのリスペクトが見られて非常に嬉しかったです。最後に対バンへの意気込みをお願いします!

ぴか:精一杯頑張ります。

TOMOMI:誘っていただけて本当に光栄です。発表した時にTwitterを見てたら、対バンを喜んでくれてる人が多くて、どこか共通点があるのかなとワクワクしながら待っています。今日もお話しできてよかったし、対バンの日を楽しみにしています。

MAMI:僕はHump Backのライブを観るのがめちゃくちゃ楽しみ! 自分たちのライブも頑張って、良い化学反応を起こせたらなと思っています。

RINA:私もめちゃくちゃ楽しみで、その日は美咲ちゃんのドラムに集中して聴こうと思います! 「SCANDALとHump Backは全然違うのに、どんなふうに交わるの?」と思ってる人に、この二組だから成り立ったんだなと思ってもらえる日にしたいです。

林:爆発しまーす!

HARUNA:ヒーローのようなHump Backと一緒に、来てくれる人たちを救えて、日常のストレスや今抱えてるモヤモヤが吹き飛ぶようなライブをお互いできればなと思います。

美咲:頑張りまーす!

ーーなんかありがとう。それぞれ大阪でのライブは、SCANDALが8月21日(土)に15周年で、Hump Backも11月13日(土)に2年連続で、大阪城ホールに帰ってきます。やっぱり関西のバンドとして大阪城ホールというのは、大きなシンボリックなものだと思います。こちらも本当に楽しみにしてます。

Hump Back、SCANDAL、仁井聡子

Hump Back、SCANDAL、仁井聡子

取材=仁井聡子 文=川井美波

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