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コロナ禍の中、来日ソロ・リサイタルをおこなう「パヴァロッティの再来」ヴィットリオ・グリゴーロにインタビュー

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ヴィットリオ・グリゴーロ

ヴィットリオ・グリゴーロ

コロナの影響で多くの外国人アーチストの来日がキャンセルとなっている中にあって、現代最高のテノール歌手の一人、ヴィットリオ・グリゴーロが、2021年6月22日から始まるソロ・リサイタルを行うために来日を果たした。6月16日現在、本人はホテルで2週間の隔離中だが、来日直前に、スイスの自宅からオンライン会見を行い、今回の日本公演の抱負を語った。

ヴィットリオ・グリゴーロ

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「このようにすべてが停滞している時だからこそ、音楽を届けることが大切です。このような状況下で、日本公演を決断してくれた関係者には感謝しています。14日間の隔離を受け入れてでも日本に来ようと思ったのは、音楽を通して日本に感謝の思いを伝えたかったからです。これまでにも尊敬する日本の皆さんと良好な関係を築いて来ました。特に、2019年に英国ロイヤル・オペラで来日した際のカーテンコールの温かい拍手は忘れることは無いでしょう」

今回のグリゴーロの来日は、当初イタリアが誇るパレルモ・マッシモ劇場の日本公演で、アンジェラ・ゲオルギューとプッチーニの「ラ・ボエーム」を共演する予定だったのだが、コロナの影響で2022年に延期となったことを受けて、ソロ・リサイタルの開催となった。

「パヴァロッティの再来」と称されるグリゴーロはコロナによる自粛中、どうしていたのだろうか。

「ワイン作りを始めました。私がオペラ・デビューをしたのがドニゼッティ「愛の妙薬」。その中にもワインを媚薬と称して出てきます。ぶどうを育てる際に、私がドニゼッティやプッチーニ、ヴェルディを歌って育てていました(笑)。そして、8月には娘が誕生したことで、父親デビューでした(笑)。両親の気持ちも初めて理解できて、感謝の気持ちを得ることが出来ました。娘の存在がコロナを忘れさせてくれましたね。」

ヴィットリオ・グリゴーロ

ヴィットリオ・グリゴーロ

さらに「新しいオペラのレパートリー作りにも余念が無かった」と語る。彼ほどの人気者なら、当たり役のオファーが引っ切り無しに来て、新たなレパートリーに取り組む時間がなかなか持てないものだが、コロナの自粛時間を上手く活用していたようだ。

「ビゼーの『カルメン』、レオンカヴァッロの『道化師』、マスカーニ『カヴァレリア・ルスティカーナ』などを新たに勉強しました。フランス語を母国語とする学校に通っていたので、言葉の面では問題無いこともあり、グノーの『ロメオとジュリエット』などフランス・オペラを歌う機会も今後増えると思いますが、それと引き換えに、歌わなくオペラも出て来るでしょうね。レパートリーの入れ替えも、時間に余裕のあるこの時期だから、しっかりと向き合えました」

ヴィットリオ・グリゴーロ

ヴィットリオ・グリゴーロ

そして、次のメッセージを贈ってくれた。

「早く日本のステージに立ちたい! 歌いたい!という、待ちきれない気持ちで毎日を過ごしています。日本の皆さんに、新たな自分をお見せできればと思っています。ピアノのマルコ・ボエーミと、しっかりリハーサルを重ねてきました。皆さま、コンサートホールでお会いしましょう!」

ヴィットリオ・グリゴーロ

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今回のプログラムは、グリゴーロの得意とするオペラの中から、ドニゼッティ歌劇「愛の妙薬」より“人知れぬ涙”、プッチーニ歌劇「ラ・ボエーム」より“冷たき手を”、ヴェルディ歌劇「リゴレット」より“女心の歌”、グノー歌劇「ロメオとジュリエット」より“ああ、太陽よ、昇れ”、プッチーニ歌劇「トスカ」より“星は光りぬ”など、有名なアリアがずらり。最高峰のテノールを心ゆくまで堪能できる絶好の機会。イタリアの名指揮者であり、ピアニストのマルコ・ボエーミは伴奏だけで無く、プログラムの中でピアノ独奏を効果的に挟みながら、グリゴーロを盛り上げる。

ストレスの多いコロナ禍に在って、コンサートホールでゆったりとナマの音楽を聴き、自分の時間を過ごすのは至福のひと時。頑張った自分のご褒美に、世界最高峰のテナーの調べに酔いしれてみてはいかがだろうか。

取材・文=磯島浩彰

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