さくら学院、1年半ぶりの有観客ライブ「さくら学院 Summer LIVE 2020 〜放課後アンソロジー 君と見た夏色桜花〜」開催
さくら学院が7月31日に神奈川・KT Zepp YOKOHAMAにて1年半ぶりの有観客ライブ「さくら学院 Summer LIVE 2020 〜放課後アンソロジー 君と見た夏色桜花〜」を開催した。
「約1年半ぶりに父兄の皆さんとこうしてライブができて、今私たちすっごくテンション上がっています!」と、最初のMCで生徒会長の野中ここなが喜びを隠しきれない様子でこう告げた。それもそのはず。2020年度さくら学院が観客を前にライブパフォーマンスを披露するのは今回が初めてのこと。コロナ禍の現状を鑑み、これまで無観客での配信ライブで発信を続けてきたメンバーにとっても、父兄達(ファンの総称)にとっても、待ちに待ったステージである。そのステージは終始、笑顔もパワーも愛もすべてが満ち溢れていた。
佐藤愛桜と野崎結愛による元気いっぱいの影アナの後、開場中のBGMとして流れた8月7日にリリースされる11thアルバムに収録されている「目指せ!スーパーレディー -2020年度-」から、お馴染みの楽曲「KISS ME AGAIN」にのり変わると、父兄達による大きな揃いのクラップが響いた。さくら学院のステージが帰ってきたと感じられる瞬間だった。SEのチャイムを合図にメンバーがステージに登場し、披露したのは「FLY AWAY」。“思いきり飛び出そうよ 夢にまで見たこのステージ”と歌い出す開校初期のナンバーは、時を経て2020年度メンバーのこのステージに賭ける思いをそのまま映し描いた。8人の力強い歌声に、溢れ出すパワーをひしひしと感じる。2曲目の「Fairy tale」では歌が始まるなり、会場からクラップが自然発生。その瞬間、まだ緊張気味だったメンバーの顔にパァーッと笑顔が広がった。ダイレクトに感じられる一体感に喜びを噛み締めるように、「Capsule Scope」でも弾ける笑顔を見せた。
自己紹介を終えると、トーク委員長の白鳥沙南の提案で「夏といえば?」をテーマにトークが展開。戸高美湖が「絶対にコツコツやろうと思っても、最後に詰めちゃうんですよ。みんなはどんなタイプ?」と夏休みの宿題について問いかけると、「同じタイプ」と手を挙げたのが野中、八木美樹、木村咲愛。続いて毎朝ラジオ体操を行っているという佐藤が「ラジオ体操行ってますか?」とまずは父兄に聞いた後、メンバーに聞いてみると、野中、白鳥、田中美空の九州在住メンバー全員が手を挙げてひと盛り上がり。蚊によく刺されるという田中も「父兄の皆さん、よく刺される人いますか?」と問いかける。父兄を目の前にしているのがよほど嬉しかったのか、何かと父兄に問いかけがちなメンバーがかわいい。最後に「オー!と叫びたくなったら両手やフラッグを上げて、イエーイ!と言いたくなったら手を振りましょう」と、一緒に盛り上がるためのレクチャーをした後、「このままのテンションで次の曲いきますよ!」と楽曲「チャイム」へ。全身を大きく使った軽やかなパフォーマンスや、歌のソロパートを見るにつけ、個々の成長ぶりを改めて実感する。メンバーを映す赤いスポットライトの演出が印象的だった「オトメゴコロ。」では、間奏のダンスパートもクールに見せ、キラメキと切なさが歌声に宿る「FRIENDS」では、ステージにエモーショナルな余韻を残した。
続くMCは白鳥、田中、木村の3人が「今年チャレンジしたいこと」について語ることに。木村が「バク転」、白鳥が「バンジージャンプ」と、思いがけずアクティブな2人の答えに、会場からどよめきがあがる。「私は高いところも絶叫系も虫もおばけも全部苦手です」という田中が挑戦したいことは「登山」。高いところが苦手なのに?という疑問をそっと胸にしまったまま、手拍子でのコール&レスポンスや、木村の誘導によるフラッグのウエーブで、一緒に一体感を楽しむ父兄達の様子もさくら学院ならではの光景だ。
この日のハイライトの1つと言えるのが、一夜限りの部活動ユニットの復活だ。まずは、野中、佐藤、野崎の3人による美術部 Art Performance Unit“trico dolls”。2018年度ぶりに「C’est la vie」を披露。結成当時のメンバーである野崎を中心に、透明感のある3人の歌声と、パントマイムを用いたパフォーマンスで魅了した。そしてキュートな美術部と入れ替わるように緊迫感のある清野茂樹氏による実況場内アナウンスが流れ、それまでの空気を一掃。ジャージ姿の八木、戸高によるプロレス同好会の復活だ。「Spin in the Wind」でパワフルな歌とキレのいいパフォーマンスで熱演している途中、「オイ、お前らリングに上がってるけど、プロレス語れんのかよ?」と声が掛かった。スモークと共にステージ後方から現れたのは、プロレス同好会OGの田口華(2014年度卒業生)と磯野莉音(2015年度卒業生)。これには父兄達からも思わず大きな声が漏れた。「今日はお前たちにプロレスの極意を叩き込んでやる」「望むところだ」と4人による一夜限りの復活戦に。田口と磯野が貫禄のある迫力のパフォーマンスを見せ、「勝利を手にしたのはやはり田口華、そして磯野莉音」というアナウンスに、大きな拍手があがった。そこでマイクを取ったのは八木。「スーパーレディーの道。自分にとってこれ以上のない喜び。好きなことをやるっていうのは楽しいことだけじゃない」、続けて戸高も「嬉しさ悲しさ悔しさもどかしさすべて含め、俺はこのさくら学院で生きていると思う」とマイクパフォーマンス。「わかったようだな。迷わず行けよ、行けば分かるさ」と、アントニオ猪木のプロレス史に残る名言を田口が告げ、磯野の「頑張れよ」という言葉と共に八木にチャンピオンベルトを託した。
思わぬサプライズに興奮冷めやらぬ中、美術部のパフォーマンスをしたばかりの3人が感想を述べる。振りや高音の歌の難しいところは野崎が教えてくれたと感謝する野中と佐藤。野崎は「卒業生2人に教えてもらったことを、(佐藤と野中の)2人に教えられてよかった」と語った。また、久しぶりの部活動の披露について「伝統を受け継げた気がして嬉しかった」と野中が率直な思いを伝えた。八木と戸高がステージに戻り8人が揃うと、話題はニューアルバム「さくら学院 2020年度 〜Thank you〜」のことに。さくら盤 初回盤A収録の「The Days 〜新たなる旅立ち〜」のMVやオフショットに注目をと言う田中、2015年度ぶりに「School days」が一曲目になったことを挙げた野中、そして佐藤の「次の曲は私の大好きな曲です」という振りから、「マシュマロ色の君と」へと流れた。いきいきとした8人のユニゾンがまっすぐに心に届く。そして2020年度メンバーでは初披露となる「さよなら、涙。」を情感豊かに聴かせた後、本編ラストの新曲「The Days 〜新たなる旅立ち〜」へ。軽やかで明るいサウンドと歌声の中にある、キラリと光る哀愁が印象的なナンバーだ。曲の途中、「今日は最高の思い出を作りましょう」「私は今すごく幸せです!」「父兄の皆さん大好きです!」など、それぞれの思いを会場へと投げかけるところも、歌い終えた後の充実感に満ちた8人の笑顔も、グッとくるシーンだった。
アンコールは「アイデンティティ」と「See you…」の2曲。どちらも2020年度メンバーでは初披露である。10年続いたさくら学院のステージは、8月29日東京・中野サンプラザホールを残す限り。限られた時間の中で、しかも制約の多い現状の中で、くじけず真っ直ぐに進んできた8人が歌う「アイデンティティ」には力強い説得力があったし、最後のステージに向けた「See you…」には切実さと誠実さがあった。このステージで、歌、パフォーマンス共に大きく成長した姿を見せた彼女達が、10周年の集大成となるラストステージをどんなふうに彩ってくれるのか、期待は高まるばかりだ。
セットリスト
1.FLY AWAY
2.Fairy tale
3.Capsule Scope
MC
4.チャイム
5.オトメゴコロ。
6.FRIENDS
MC
7.C’est la vie / 一夜限りの美術部 Art Performance Unit trico dolls
8.Spin in the Wind / プロレス同好会 〜 一夜限りのSKGP復活戦 〜
MC
9.マシュマロの君と
10.さよなら、涙。
11.The Days 〜新たなる旅立ち〜
EN1.アイデンティティ
EN2.See you…
出演メンバー
野中ここな(中等部3年/生徒会長)
白鳥沙南(中等部3年/トーク委員長)
田中美空(中等部2年/気合委員長)
八木美樹(中等部2年/生徒会副会長)
佐藤愛桜(中等部2年/教育委員長)
戸高美湖(中等部2年/パフォーマンス委員長)
野崎結愛(中等部1年/PR委員長)
木村咲愛(小等部6年/がむしゃら!委員長)
田口華(2014年度卒業生)
磯野莉音(2015年度卒業生)
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