うらたぬき(浦島坂田船)「この先も一緒に生きていこう!」 ファンへの大きな愛を詰め込んだ無観客配信ライブをレポート

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うらたぬき

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Uratanuki Birthday Online Live 〜date.〜
2021.8.9 配信プラットフォーム:Streaming+ / ZAIKO

ボーカルユニット・浦島坂田船のメンバーであり、個人活動も精力的に行っているうらたぬきが、自身の誕生日である8月9日に無観客配信ライブ『Uratanuki Birthday Online Live 〜date.〜』を開催。“彼女(ファン)とのデート”をコンセプトにした全曲書き下ろしのソロアルバム『date.』のナンバーすべて&アルバム収録曲以外にも様々な曲を披露してくれたおまけに、トークあり、幕間映像あり、朗読ありと、最高の日(date.)をこたぬき(うらたぬきファンの呼称)にプレゼントしてくれたうらたぬき。実に太っ腹である。

1曲目は、『date.』の幕開けを飾る「ライブラリ・ライブラ」だ。オープニングムービーそのまま、チルデンニットをおしゃれに着こなして、歌詞に合わせた振付やツンデレなセリフでも高まらせてくれる。画面越しでも、彼をすぐそばに感じることができる。

ちりばめられた遊び心に頬が緩んで、カメラを見ながらの投げキスに心拍上昇必至の「ぽこぽこたぬきに全部お任せ!」。ダンサーがステージセンターに運んできたベンチに座ってみたり、軽やかに踊ったり、ダンサーと一緒に腕で大きなハートマークを作ったりと見どころたくさんな「バウワウ」。歌声、表情、パフォーマンスで甘いデートタイムを鮮やかに思い浮かばせた「SWEETS DATE」。伸びやかで柔らかな歌声は、耳に心地いい。

ステージセンターに用意された玉座に腰かけ、「次の曲はバンド陣にも歌ってもらおうと思います」と前振りをしたのは「You need "ESCALATING"」。エモーショナルなロックナンバーも、うらたぬきによく似合う。

うらたぬき

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闇夜にとけこむような羽根つきの漆黒マントを羽織り、ますますよく似合う玉座にて、圧倒的な“王者感”を漂わせた「KING」。<手を>という歌詞に合わせ手を伸ばし、ロングトーンを真っ直ぐ響かせた「テオ」。ダンサーと艶っぽく絡むシーン、憑依されたかのような笑い声も印象的な「スカーレ」。序盤とはガラっと異なるダークなうらたぬきは、ゾクっとするほどかっこいい。

一転して、自撮り棒につけたスマホで動画撮影をしながら歌ったのは、「シアワセは台本の外から」。近すぎるニコニコ顔、バンドメンバーとの仲よしショットも堪能させてくれた新しい試みにも、こたぬきへの愛をひしひしと感じる。

うらたぬき

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「2年ぶりのソロライブなんです。本当は2020年にソロで東名阪ライブを、浦島坂田船で全国ツアーを開催するはずが、コロナ禍でできなくなったわけですけど……こうして今、オンラインライブではございますが、みなさんと目を合わせながらライブができています。次に歌う「SHIORI」は、“失ってしまった大切なもの”をテーマに、道のりの途中で休憩=しおりをはさもう、というメッセージを込めた曲です。今あるものを大事に、この先も生きていきましょう」

そう前置きして、ひとつひとつの言葉を丁寧に、感情を重ねて歌ったのは「SHIORI」。間奏で口にした「今こうやってみんなと歩いていける時間、とても大切です。ありがとう」という言葉にも、想いがあふれる。

幕間映像では、うらたぬきと一緒に過ごす親密な1日をバーチャル体験。さんざんキュンキュンさせておいて、抜栓するやいなや盛大に噴き上がったシャンパンを浴びて大慌てな姿でオチをつけるとは……なにしろ、こたぬきは恋人気分を満喫できたはずだ。

モノトーンのカジュアルな衣装に着替えて、<お前が好きだ>と直球なフレーズでこたぬきの心を射貫く「恋のMAGIC」。シャッフルリズムの上で踊るように歌う「魅惑のデートプラン」。自らの誕生日におもてなしが過ぎる。

巻き舌フレーズも映える「ヴィラン」をはさんでの2曲は、『date.』に収録のナンバーで、高揚感をたたえた「MAKE WITH LOVE」。<お前に決めた> <お前がいい>と、画面の前にいるこたぬきをひとり残らずロックオンした「愚かなオルカ」。ドローンカメラを追う目線、オトナな歌詞にもドキドキしてしまうし、続く「Pink」での挑発的なダンス、軽々と跳躍してきめるキック、シャツの裾からちらりと見える素肌にも、色気がダダ漏れだ。

うらたぬき

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バンドメンバー、ダンサーを楽しく紹介したあとは、エキセントリックなダンスチューン「ダンスロボットダンス」へ。カメラに向けて手を振ったり、耳に手を当てるジェスチャーで“歌って!”とうながしたり。同じ空間にはいられなくても、一体感は増していく。

バンドメンバーからたくさんの「お誕生日おめでとうございます!」を浴びたあとは、『date.』に収録の「ラブソング」をテーマにした短編の朗読へ。一途に恋する心情、楽しい1日の情景を声で紡ぎながら、時折カメラに向ける優しい微笑み。「結婚しよう」というプロポーズからの「ラブソング」への幸せな流れ、そして「これから先も一緒に歩いていこうね」という誓いの言葉は、こたぬきの心の支えになる。

うらたぬき

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浦島坂田船のシングル「L∞VE」のカップリングに収録されているうらたぬきのソロ曲「Colors」が、「ラブソング」の後日譚であり、結婚後の2人を描いていることを明かして歌った「Colors」。恋の先にある愛、その温かさと深さに、いつまでも包まれていたい。

「浦島坂田船としての活動は8年、メンバーとはその前からつき合いがあるから、ソロライブでもつい名前を出してしまうんですよね。みんなとはもちろん、あいつらともデートしているような気がしてしまいます(笑)」という言葉に滲んだのは、メンバーとの絆。そして、長引くコロナ禍で葛藤しながらも決して諦めない彼は、こうも言った。

「今の状況は、闇。僕らがみんなを照らしていきたいし、いつかまたみんなと会いたいな、って今日のライブを通してあらためて思いました」

バンドメンバー&ダンサーにバースデーケーキをプレゼントしてもらい、投げキス連発で喜びを表現したうらたぬき。「ありったけの気持ちとファンサを込めながら歌います。この先も一緒に生きていこう!」とこたぬきに呼びかけて、最後に届けてくれたのは「Reach」だ。ファルセットも美しく、澄んだ歌声はまさに“闇を照らす”ものであった。

うらたぬきの魅力がぎゅっと詰まった約2時間。こたぬきの“好き”が加速したことは、間違いない。

文=杉江優花 撮影=堀卓朗(ELENORE)

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