ジャミロクワイ、「ヴァーチャル・インサニティ」収録の3rdアルバム「トラベリング・ウィズアウト・ムービング」限定イエローカラー・ヴァイナル180g重量盤を12/17発売
2010年代に登場した新世代のシティ・ポップ・アーティスト群に多大な影響を与えることになる洗練された音楽性、斬新で印象的なミュージック・ビデオ、先見性と鋭い洞察力に満ちたメッセージなどが話題を呼び、世界中で大ヒットを記録したジャミロクワイの「ヴァーチャル・インサニティ」が今年で25周年。同曲を収録した3rdアルバム「トラベリング・ウィズアウト・ムービング」が、限定イエローカラー・ヴァイナルの180g重量盤(2枚組)で、12月17日にリリースされる。
このエディションのアナログ盤は、2021年仕様にジャケット・デザインをアップデートし、フロントマンにして制作の要でもあるジェイ・ケイの書き下ろしライナーノーツを掲載。更に「コズミック・ガール」のディミトリ・フロム・パリ・リミックス・ラジオ・エディットが収録される。この音源はディミトリ・フロム・パリ自身のレーベル、レディ・レコーズ(Le-Edits Records)からのごく少数のフィジカル版が入手可能だったもの。パッケージにはアルバムのダウンロード・コードも含まれる。
1996年にオリジナル盤がリリースされた「トラベリング・ウィズアウト・ムービング」はジャミロクワイのアルバムの中でも最も人気があり、現時点における800万枚以上のセールス(日本国内だけでも150万枚以上のセールス)はファンク・アルバムとしては史上最高の売り上げ枚数とされている。時代を超える魅力を放つこの名作には「ヴァーチャル・インサニティ」や「コズミック・ガール」といった影響力の大きなヒット曲がフィーチャーされている。中でも前者の爆発的なヒットによりこのバンドは世界的な成功へと飛躍し、イギリスで最も重要かつ国際的な成功を収めたバンドのひとつとしての地位を確固たるものにした。
彼らが本作を作るためにスタジオ入りしてから25年以上が経った今、楽曲が放つインスピレーションやメッセージは今も真実であり続け、今日さらに大きな意味を持つようになった。インターネットの黎明期、ソーシャル・メディアが社会に広がる10年前、そしてスマートフォンがまだSF映画の中のものだった時代に書かれたアルバムであることを鑑みるに、「ヴァーチャル・インサニティ」のコーラス(サビ)は実に琴線に触れる。
「未来はヴァーチャル・インサニティ / 僕らはいつだって支配されてるんだ / 歪んだ新しい技術への欲望に / 今では音さえも消えてしまった / もはや地下で暮らしているのだから」
当時話題になった“ヴァーチャル・リアリティ”という言葉をもじり、未来は “ヴァーチャル・インサニティ(狂気じみたヴァーチャルな世界)”と歌ったジェイ・ケイは、非常に洞察力に満ちた書き下ろしのライナーノーツにこのように言及している。
「今の世界は変わってしまった。…恐ろしい軍のAIマシン、イカれた億万長者たち、巨大テクノロジー企業が運営しているかのような気がする世界。この先どのくらいこの調子で進むのか僕には分からない。多くの意味で後退しているような気がするし、人類があと1000年もつ気がしないんだ。人口は過多だし、森や海は完全に破壊されてしまったし、天然資源もあんなに無駄にして兵器の燃料にしてしまった。暴君のような堕落したリーダーたちの、意味のないうわべだけの行為のためにね」
彼はこのようにパーフェクトにまとめている。
「つまるところ、僕たちがみんなただ “動かずに旅をしている(トラベリング・ウィズアウト・ムービング)”だけだってことは間違いない」
このバンドのサウンドは今も紛れもなくユニークであり、彼らはデュア・リパ、サンダーキャット、J・ディラ、マッドリブ、ジャスティス、タイラー・ザ・クリエイター、カルヴィン・ハリスといった現代のアーティストたちに変わらず絶大な影響を与え続けている。
「トラべリング・ウィズアウト・ムービング」は世界中でマルチ・プラチナやゴールドに認定される売り上げを博しており、アメリカではRIAA(全米レコード協会)によりプラチナに、イギリスではプラチナ×4に認定された。なかでも「ヴァーチャル・インサニティ」は、1997年度MTVビデオ・ミュージック・アワード10部門ノミネート中、Video Of The Yearを含む4部門を受賞するなど、過剰なほど多くの栄誉を獲得した。