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雨のパレード、初の全編アコースティックライブ開催 代表曲から名曲カバーまでファン投票から構成したセトリをパフォーマンス

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雨のパレード「REGENLUFT presents -Acoustic Live- naked songs vol.1」

雨のパレードが、昨日9月1日に初の全編アコースティックライブ「REGENLUFT presents -Acoustic Live- naked songs vol.1」を開催した。

スペシャル企画となった本公演は、事前募集したファン投票をもとに構成された特別なセットリストをパフォーマンス。雨のパレードが発表してきたオリジナル楽曲を、この日の為にアコースティックVer.にアレンジし、カバー曲では大澤実音穂(Dr.)が予てより好きなシンガーとして挙げるYUKIの「joy」、夏の代表曲aikoの「カブトムシ」、福永浩平(Vo.)が母からのリクエストとして幼少期から聞いてきた玉置浩二の「メロディー」など、普段のライブでは演奏されることのない名曲カバーを披露した。

またライブ終演後にはファンクラブ会員限定の”アフターパーティー”を開催。恒例となった”アフターパーティー”はメンバーの人となりが出るトークや、オーディエンスからのリクエスト曲にその場で応えて演奏するなど、オーディエンスと心を通わせる企画として好評だ。

今回はファンクラブサイトでメンバーへのお悩みや質問が事前に募集されていて、毎週月曜日に公開しているREGENLUFT RADIOの公開収録も兼ねて行われた。台本の無いラフなトークが会場の笑いを誘い、終始笑顔を絶やさない収録となった。

最後に昨年公開された新田真剣佑と北村匠海(DISH//)がW主演する映画『サヨナラまでの30分』の劇中バンド、ECHOLL(エコール)に福永浩平(Vo)が楽曲提供した「もう二度と」のアコースティック・セルフカバーを披露して、この日は終演した。

ライブレポート

これまでいろんなバンドがアコースティックのショーをやってきた。が、今回の雨のパレードのそれは〝よく知ってると思っていた人の未知の一面を見せられた〟感がひときわ強かった。なぜか? というと理由は3つ。まず彼らは普段、歌モノのバンドとしては日本でも有数に打ち込みやシンセに理解を示し、取り込んでいる。ゆえにアコースティックになった時のインパクトが他のバンドよりもはるかに大きいのだ。それから百戦錬磨のミュージシャンでもこの手のライヴとなるとまるで新人のように初々しい感じになることがほとんどだが、雨のパレードは出てきた瞬間からとても自然なノリだった。聞けばライブ終演後の恒例企画としてファンクラブ限定の〝アフターパーティー〟では幾度かアコースティックも披露してきたとのこと。今回のショーも一般のお客さんも入れているものの、公演のタイトルには彼らのファンクラブREGENLUFTの名前がついてたりもする。そして、未知の一面を見せられた感の強さ・3番目の理由。これはステージが進んでいくに従って明らかになっていった。

ファン投票をもとにセトリを決めたこの日。最初は、原曲に対して今回のアレンジでは、という対比を中心にレポートを書くつもりでいた。〝オープニングは「Petrichor」。原曲は様々なエフェクトによって空間的な広がりを作った作品だ。対して今回はサポートのベースも入れて4人の素の音だけ。それでも曲の広さは変わらなかった。心の虚空を描いたような詞がいつも以上に伝わってきたから。考えてみればアレンジというのは詞や曲のイメージを補強したもの。今回は補強前からあったイメージの強さを味わうことが出来たのかもしれない〟といった具合に。しかし、2曲目、3曲目と体験していくうちに、対比で書くのは不毛に思えてきた。なぜなら今回のステージ、デビュー以来観てきた中で最高の、それこそ未知のショーであることに気付いたからだ。

まずステージ上でのメンバーのリラックス具合が全然違っていた。少なくとも過去の東京公演に限定して言えば、ボーカルの福永は「今日は来てくれてありがとう」的な定型のMCをする人だった。冗舌に脱線しまくるインタビュー中とは別人のように。それが今回は取材時そのまま。その場で思ったことがそのまま言葉になり、またそれがいちいち面白い。ギターの山崎とドラムの大澤も声を出して笑っている。とはいえお客さんは規制により声を出すことができない。そこでめげていくミュージシャンもいるが、福永は終始微笑を絶やさず自由にふるまい続けた。本来だったらお客さんが反応するタイミングで山崎が一言を入れ、ああバンドだなあ、と思わせてくれもした。

この新たな雰囲気を味わえただけでもOKだった。が、加えてミュージシャンとしてのスキルにも見るべきものがあった。ある程度、音源に近づけるようにとそれぞれの音を加工して臨むことが多い通常のライヴ。それと比べるとアコースティックの場合の音は素に近い。ゆえにちょっとした間違いも目立ってしまう。それでも大抵のバンドのようにエレキギターをアコースティックに持ち替えて、といったぐらいならまだいい。山崎はギターと同じぐらいの比率でキーボードを担当し、何気にMCのBGMもつまびく。大澤は曲によってドラム、パッド、カホーン、グロッケンと使い分ける。さらに2人ともコーラスも担当する。彼らはそれを、気づかせないぐらいナチュラルにこなしていた。そして福永は楽器としてはピアニカをプレイしつつ、後半ではやはりファン投票をもとにセレクトしたカバー曲を3曲披露。これがYUKI、aiko、玉置浩二という歌のうまい人ばかりのチョイス。しかしaikoの「カブトムシ」のサビのファルセットまじりの部分なども見事に歌いこなして、思わず「おー!」と声を出してしまった。

もっとも素に近い姿で、過去の作り込んだライヴを超えてみせた雨のパレード。この最新形をベースに再び通常のスタイルのステージをやったら一体どれほどのものになるのか? そう思うと10月の東名阪ツアーがとてつもなく楽しみになった。

さて終演後、ファンクラブ限定の〝アフターパーティー〟があった。そこで目撃できたのは本編よりさらに素になった3人。ステージ上に用意されたイスに並んで座るやいなや、福永がこの模様を自分たちのラジオ番組で収録することを宣言!そしてファンからの人生相談に答えるコーナーが始まる。寄せられたおたよりの中から、今この会場に来ている人の質問を選んで3人が丁寧に答えていく。アナタの悩み、公開しちゃっていいですかー?と確認した上で。そして最後に大きなスペシャル。もう1曲、3人だけの編成で披露されたのだ。曲は「もう二度と」。山崎のアコースティック・ギターと大澤のカホーンと福永の歌だけのそれは、この日聴いたもっとも生な音楽だった。

(今津 甲)

セットリスト

  1. Petrichor
  2. Tokyo
  3. if
  4. Shoes
  5. Summer Time Magic
  6. Take my hand
  7. morning
  8. you
  9. joy(cover)
  10. カブトムシ(cover)
  11. メロディー(cover)
  12. 夜の匂い
  13. 1969
  14. new place
  15. Hollow

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