バンドリ!リアルバンド後発組同士の切磋琢磨 Morfonica×RAISE A SUILENの対バンライブ『BanG Dream! 9th☆LIVE「Mythology」』DAY2ライブレポート

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RAISE A SUILENステージ

RAISE A SUILENステージ

2021年9月4日(土)、5日(日)の2日間に渡り、富士急ハイランド・コニファーフォレストにて開催された『BanG Dream! 9th☆LIVE「Mythology」』DAY2のレポートをお届けする。同公演は RAISE A SUILENとMorfonicaによる対バン形式のライブで、バンドリ!のリアルバンドの中では後発組によるステージとなった。両バンドにとって、「BanG Dream! 8th☆LIVE 夏の野外3DAYS」以来、約1年ぶりとなるコニファーフォレストでの野外ライブだったが、この苦節の期間を経ての再来に、思わず感情が込み上げて来る場面もあった。バンド同士のキャラクターは違えども、バンドリ!というチームとして目指す方向性は同じであることを感じると共に、改めてバンドリ!というコンテンツが抱えるパワーをそこはかとなく感じた一夜だった。

BanG Dream! 9th☆LIVE「Mythology」キービジュアル

BanG Dream! 9th☆LIVE「Mythology」キービジュアル

 

もはやバンドリ!の夏の風物詩と言っても良いかもしれない、富士急ハイランド・コニファーフォレストでの野外ライブが今年も開催された。今回は『BanG Dream! 9th☆LIVE』という事で、先んじて8月21日(土)、22日(日)の週末にPoppin'PartyとRoseliaによる『The Beginning』公演が行われており、この『9th☆LIVE』の千秋楽的な側面も持ったステージであった。

2バンドずつの対バン形式で行われた本公演だが、前半パート/後半パートと大きく2つに分けて、各バンドが前半と後半で入れ替わる構成となっており、さらにDAY1とDAY2では若干の日替わり曲なども交えつつ、大まかにはその前後半を入れ替える形で行われた。

17時開演で終演が20時ごろを予定されていたこともあり、ちょうど日没辺りの雰囲気があるタイミングを両日参加すればどちらのバンドでも堪能できるといった具合というわけだ。今回お届けするDAY2では前半をMorfonicaが、後半をRAISE A SUILENが担当したのだが、前日は雨のライブだったようで、2日目は何とか天気を持たせたという点においても野外ライブらしい臨場感に包まれた週末だったのではないだろうか。

また当公演は、当初は予定されていなかったものの、急遽生配信による視聴も選択肢に増え、今回私は配信での参加であったことを前もってお伝えしておく。現地では16時30分ごろからオープニングアクトとしてD4DJより各務華梨、高木美佑、葉月ひまりの3名が登場し、バンドリ!楽曲によるDJパフォーマンスでステージを温めていたようだが、残念ながら生配信は公演開始の17時からということで、現地勢のみの特権として胸の内に秘めておいてほしい。

<Morfonicaステージ>

さて、先ほども述べたがDAY2のトップバッターを務めたのはMorfonicaだ。

「ごきげんよう、Morfonicaです!」という挨拶からして感じられたのだが、「Daylight -デイライト- 」、カヴァー曲の「CQCQ」、「金色へのプレリュード」と3曲続けての堂々としたパフォーマンスからも確かな成長を感じられて、またMorfonicaらしいバイオリンと共に紡ぎ出すシンフォニックなサウンドが追い討ちをかけて、冒頭からエモーショナルな気持ちにさせられる。

進藤あまね(Morfonica)

進藤あまね(Morfonica)

さらに今回の公演では、従来なら出演者によるMCパートが入るようなタイミングで、スマホゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」にて配信中のストーリー映像を交えた演出があり、それもまた彼女らの成長の物語をよりエモく感じさせる一助となっていたのだと思う。

西尾夕香(Morfonica)

西尾夕香(Morfonica)

そんなメンバーの結束を深めるガルパのストーリーの直後に「ハーモニー・デイ」を選曲するのはやっぱりニクいし、続けて3rdシングルで同曲のカップリングであった「Sonorous」と彼女らの優しい音色を会場に響かせた。

続いてはライブ初披露となる新曲の「Secret Dawn」を演奏。ストーリーとリンクしたパフォーマンスで、ペースを上げていく。

Ayasa(Morfonica)

Ayasa(Morfonica)

直田姫奈(Morfonica)

直田姫奈(Morfonica)

「flame of hope」はバイオリンの音色が激しいイントロから始まり、Aメロでギターやベースが乗っかり、サビではさらにチキチキと小刻みに鳴るシンセサイザーの音も加わり、まるで慟哭のような、衝動的な音の重なりで会場のボルテージを押し上げる。

mika(Morfonica)

mika(Morfonica)

そして「V.I.P」「Nevereverland」とカヴァー曲を2曲続けて披露。確かにどちらも原曲でもバイオリンの奏でるハーモニーが印象的な楽曲たちだが、ボーカルの進藤あまねと並びステージセンターで演奏するAyasaの姿もあり、自然とバイオリンの音色に耳が傾く。

Morfonicaステージ

Morfonicaステージ

ここまで9曲を披露してきたMorfonicaだが、いよいよ前半パートも次の曲でラストに。

MCでは進藤が思わず感極まり「これからも成長し続けるモニカを皆さんにお届けしますので、よろしくお願いします!」と涙ながらに語り、最後に披露したのは「ブルームブルーム」。

デビューから1年。確かにまだ成長途中にあり、不安を抱えつつも少しずつ自信もつけて着実に歩みを進めてきた、そんな1年を噛みしめるようにステージの上に立つ彼女らの想いに応えるように、客席は一気に青一色に染まっていった。まさに歌詞のように、鮮やかに咲き誇ったペンライトと大喝采の拍手に包まれて、1年前のリベンジを見事に果たしたのだった。

<RAISE A SUILENステージ>

Raychell(RAISE A SUILEN)

Raychell(RAISE A SUILEN)

紡木吏佐(RAISE A SUILEN)

紡木吏佐(RAISE A SUILEN)

ライブもいよいよ後半戦へ。ピコリーモっぽい電子音とステージに映し出される映像の相性が非常に良い。「さぁ、2日目上がっていこうか!」とRaychellが叫び、「A DECLARATION OF ×××」からRAISE A SUILENのライブがスタートした。間髪入れずに「HELL! or HELL?」に突入すると、DJの紡木吏佐によるスクラッチプレイとラップで客席を盛り上げる。

夏芽(RAISE A SUILEN)

夏芽(RAISE A SUILEN)

小原莉子(RAISE A SUILEN)

小原莉子(RAISE A SUILEN)

3曲目の「mind of Prominence」では夏芽がツインペダルを駆使してドラムを乱れ叩き、「EXPOSE ‘Burn out!!!’ 」では小原莉子がツーステップを踏みながらギターを弾いたりと、各々が自分のパートで見せ場を作っていく。

倉知玲鳳(RAISE A SUILEN)

倉知玲鳳(RAISE A SUILEN)

RAISE A SUILENはサウンドはもちろんだけれど、本当に日本のエレクトロニコアバンドとして紹介されても差し支えないレベルでライブパフォーマンスが激しいし、ロケーションも相まってまるでロックフェスにやってきたのかと錯覚してしまうほどの熱量で1曲目から4曲目までを畳み掛けてきた。

RAISE A SUILENステージ

RAISE A SUILENステージ

バンドリ!のライブといえばガルパで追加されていく新規カヴァー曲の生演奏も見どころのひとつだが、今回RAISE A SUILENが初披露したのは「CORE PRIDE」だった。まさに圧巻と言える彼女達のパフォーマンスに会場も息を呑む。

ステージも終盤戦へと差し掛かるが、RAISE A SUILENはその手を止めることなく初披露となる新曲「Domination to world」、「OUTSIDER RODEO」、「Beautiful Birthday」、「!NVADE SHOW!」と畳み掛けて来る。

最後の曲「DRIVE US CRAZY」では、「Wow! Wow!」と叫ぶRaychellに合わせ、メンバーと客席が1つになって夜空へ拳を突き立てる様はまさにフィナーレに相応しい光景であった。

アンコールステージ

アンコールステージ

ステージが暗闇に包まれると、モニターに両バンドのボーカル兼フロントマンの進藤あまねとRaychellによる、この1年間を振り返る対談映像が流れ始めた。

特にMorfonicaは1年前に行われたコニファーフォレストでのステージがデビューライブだったこともあって、やはり今回のライブに臨むにあたって思い入れも人一倍あったのだろうな、という部分が2人の会話の節々から溢れ出ていた。

10分程度だろうか、かなりボリューミーかつ熱量の高い対談映像の後に、アンコールとしてMorfonica、RAISE A SUILENの両バンドが再びステージ上に姿を表すと、Raychellから「この2日間、本当にライブが開催できるか不安だったからここまでやり切ることが出来て、改めて本当に嬉しいです」と心境を吐露していくうちに思わず涙が溢れ出してきてしまう。そんなRaychellにつられて進藤もまたもらい泣きしてしまうという場面がありつつも、最後の曲へ行く前にここで今後に続く嬉しいお知らせが。

こちらは既に前日での最後に発表があったが、両バンドのZEPPツアーの開催が発表された。

先ずはMorfonicaが、2021年10月28日(木)にZepp Osaka Baysideで、11月5日(金)にZepp Hanedaと大阪・東京の2公演による初のツアーが開催のお知らせがあり、RAISE A SULENも2021年5月より行っていたRAISE A SUILEN ZEPP TOUR 2021「BE LIGHT」の追加公演が決定。

2021年11月12日(金)、11月26日(金)、12月4日(土)に、それぞれZepp Sapporo、Zepp Fukuoka、KT Zepp Yokohamaと3都市が新たに追加された。

また2日目初だし情報として、アルバム「バンドリ! ガールズバンドパーティ! カバーコレクションVol.6 」の発売も決定。今作は2枚組、全21曲が収録されるといった充実の内容となっている。

アンコールステージ

アンコールステージ

目白押しなお知らせタイムを経て、ライブも大詰めのアンコールへ。

まずはMorfonicaの「flame of hope」をRAISE A SUILENとのコラボで披露。どこか幻想的な雰囲気の原曲だが、RASが入ることで激しさが増し、ヘドバンする姿が拝めるのは絶対にこのコラボならではだ。

最後にはRASの「UNSTOPPABLE」だが、シンセのメロディをストリングスでなぞらえるだけでも一気にシンフォニックな雰囲気になったのが非常に興味深かった。

アンコールステージ

アンコールステージ

バンドリ!の中ではリアルバンド後輩組という共通点はあるものの、バンドのサウンドやキャラクターとしては一見、対の関係にあるように思えるMorfonicaとRAISE A SUILENだが、だからこそPoppin'PartyやRoseliaといった先輩組へのリスペクトを忘れずに、同じチームとして切磋琢磨しながら成長していっている様子がよく垣間見えたステージだったと思う。

またガルパのゲームストーリーを交えた物語性のあるステージ演出も幅広くメディアミックス展開を行うバンドリ!だからこそ出来る試みだったと感動した。

最後に夜空に打ち上げられる花火を見上げながら、まだ新しい2バンドでこの野外ステージで座席を埋めて、当然パフォーマンスも格段に進化していて、そこに対する出演者やスタッフたちのパワーや想いを改めて考えさせられた。

作り手のパッションがふんだんに込められたコンテンツはやはり見ていて気持ちがいい。シンプルな答えだが、それを磨き続けたエンターテイメントがバンドリ!にはある。今回の公演に付けられた「Mythology」、つまり神話というタイトルは正直、大仰すぎるようにも思えた。それでもまさしく口承のように、しかし雨に降られようが、どんな逆境であろうが、歌い続けていけば、いつか語り継がれる神話になっていくのかもしれない。

レポート・文:前田勇介

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