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Mom、二度の延期を経て開催された初のワンマンライブが大団円 渋谷WWWX公演のオフィシャルレポート到着

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Momが10月2日(土)に東京・渋谷のWWWXにて、初のワンマンライブ『AFTER THE CURTAIN CALL』を開催した。本記事では、同公演のオフィシャルライブレポートをお届けする。


7月28日に4枚目のアルバム『終わりのカリカチュア』をリリースしたシンガーソングライター/トラックメイカーのMomが、10月2日(土)に東京・渋谷のWWWXにて、初のワンマンライブ『AFTER THE CURTAIN CALL』を行った。

当初、8月に予定されていたものの、新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑み、2度の延期を経た本公演は、感染症対策を講じた有観客ライブがソールドアウトとなり、当日、会場に足を運べないファンのためにライブ配信も行われた。ウィズ・コロナの時代における音楽を取り巻く状況は依然として先が見えないが、Momは来場者に配布したパンフレットにおいて、“今見えているすべてを虚構で染め上げ、一瞬間を普遍的な体験として記録”するべく制作したという新作アルバムの意図を説明。その発展形である、この日のライブは架空の都市、セタガヤを構築するべく、DJの田中光をバックに、たった一人でオーディエンスと向き合い、1時間半に渡ってパフォーマンスを繰り広げた。

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“ラッパーでもバンドマンでもない”Momは、歌との垣根なく巧みにラップもすれば、ギターもプレイする。バウンシーなビートをメロディアスなフローで乗りこなす「Momのデイキャッチ」では手にしたギターで歪んだサウンドをかき鳴らし、続く「あかるいみらい」ではマイク一本で、明るくない今の時代の日々の葛藤を皮肉交じりに描き出し、ステージ上でもジャンルや形態にとらわれない自由な音楽性を謳歌する。ライブにおいては会場のスピーカーから爆音で鳴らされる自作トラックの立体的なサウンドと共に、曲ごとにヒップホップに歩み寄ってみたり、ロックに歩み寄ってみたりと、表現の切り替えの巧みさ、柔軟さが際立っていた。

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「こんな世の中で、どう生きればいいのか。この先も続く理不尽と戦うために、知性を上手く使って抗っていきましょう」というつぶやくようなMCの語り口に対して、新作アルバム『終わりのカリカチュア』のリリックは“普通とされているもの”を疑う批評性の切れ味は鋭い。声は上げられなくても、両手を挙げることでパフォーマンスに応えるオーディエンスとは、「泣けない人には優しくない世界」が象徴する現代社会の居心地の悪さをものともせず、音楽がもたらす高揚感を糧に前に進んでいこうというメッセージを共有。会場はMomの心地良い居場所である架空の都市セタガヤそのものになった。

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そして、アンコールなしで、最後に披露されたのは「カーテンコールのその後で」。ポップ感覚が凝縮された楽曲にオーディエンスがハンドクラックで呼応するなか、ステージが大団円を迎えた後も、歌を作り、今を作っていこうという決意を歌ったMomには精神的成長やたくましさが強く感じられた。

Text by 小野田雄 Photo by 石崎祥子(THINGS.) 

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