Hilcrhyme、自身最多28公演の全国ツアーが開幕
9月29日にアルバム「FRONTIER」をリリースしたHilcrhyme。そのリリースツアーとなる「Hilcrhyme TOUR 2021-2022 FRONTIER」が、10月9日、神奈川・横浜ベイホールを皮切りにスタートした。
Hilcrhyme結成15周年、10枚目というメモリアルなアルバムのリリース、そしてMC TOC自身も40歳という節目を迎えた今年、そのアニバーサリーイヤーに行われる本ツアーは、これまでHilcrhymeが行ってきたツアーの中でも最多となる28公演で展開され、日本各地のライブハウスを細かく回るリスナーフレンドリーな構成となった。
その記念すべきツアーの初日を目撃しようと、開場前からベイホール前にはタオルやTシャツなどのHilcrhymeグッズを身につけた多くのファンが集まり、そこからは約2年ぶりとなるHilcrhymeのロングツアーへの期待の高さを伺わせた。
そしてフロアのライトが落ち、観客が手に持つ今ツアーに向けて制作されたオリジナルのペンライトの明かりが客席を仄明るく照らす中、真っ暗なステージに登場するHilcrhyme。相川七瀬「夢見る少女じゃいられない」をオマージュし、Hilcrhyme流に再構築したロッキッシュな「夢見る少女じゃいられない 〜夢見ル少年〜」、そして、この日も観客はマスクの着用と歓声を上げないことが求められたが、「拍手や手拍子など、すべてを手で表して欲しい」というHilcrhymeからのメッセージと呼応するように、観客からの手拍子やサイリウムで楽曲の色が更に鮮やかに感じられた「TEST」など、小気味よくライブを進行。
「『FRONTIER』はHilcrhymeがこれまで作ってきた轍と、これから作っていく轍を書きたかった」というMCに続いて、彼が現在も新潟に拠点を置き、その街への思いとそこから全国へ名前を轟かす意気込みを改めて歌う「East Area -戒-」、そして自らの生き様を歌う「唯一無二」と、まさに彼のキャリアとそこへの自負を歌う曲を披露し、客席からは大きな拍手があがる。そして、ハードな雰囲気が強いこのアルバムの中で、唯一の幸せなラブソングである「夜光性」を披露。メロウで優しいトラックに合わせ、柔らかにラップを乗せながら、間奏パートではサングラスを外し客席を見回したHilcrhyme。そこらはこのアルバムとライブへの自信と、観客への感謝を伺わせた。
換気タイムとインターミッションを挟み、日替わりで披露されるナンバー、メドレーでは9曲を連続して披露するなど、これまでのキャリアを実力でリスナーに見せつけるようなパフォームでリスナーを圧倒。
コロナ禍においても、12月8日にDVDとしてリリースされる、Hilcrhyme初の音楽劇とライブで構成された「劇・Hilcrhyme -Lost love song-」の制作やライブ配信など、新たな取組を展開していたHilcrhyme。しかしライブハウスでの有観客ライブは感慨もひとしおだったようで、MCでは「2年分の想いが詰まった思いの深いツアーになりそうです」と、ライブやパフォーマンスへの手応えを語り、客席からは改めて大きな拍手が沸き起こる。
来年まで続く長期ツアーの成功を確信させる、充実のライブはこうして幕を閉じた。
取材・文/高木“JET”晋一郎(エディター/ライター)