広告・取材掲載

fox capture plan、10thアルバム『XRONICLE』インタビュー 結成当初から現在に至るまでの10年を振り返る

アーティスト

SPICE

fox capture plan

fox capture plan

今年結成10周年を迎えたfox capture planが、2021年10月20日にアルバム『XRONICLE』をリリースする。5月に発売された前作『NEBULA』から約5ヶ月というスパンでのリリースとなった今作には、新曲やダイド「Thank You」のカバーなど全10曲が収録されている。
本インタビューでは、彼らの10年の歴史が詰め込まれたアルバム『XRONICLE』の楽曲解説と、結成当初から現在に至るまでの10年を振り返ってもらった。

──5月に発売された『NEBULA』のインタビューで、今年は10周年ということもあって、年内にもう1枚オリジナルアルバムをリリースするとおっしゃっていて。

岸本:はい。

井上:言ってましたね。

──ただ、内容については「ノーアイデア」っていう話だったんですよ。

3人:あははははは(笑)。

──宣言通り、10枚目のアルバム『XRONICLE』が完成されたわけですが、朧げながらも、こういうものにしたいというビジョンはその後に出てきました?

岸本:多彩で、賑やかで、10周年らしくて、foxらしさもあって……というざっくりしたものはありましたね。ただ、『NEBULA』がコンセプトアルバムだったから、その反動で自由なことをやりたいというのは、それぞれあったかもしれないです。

──なるほど。毎回のお話になってしまって申し訳ないんですが、今年が10周年だからという前提はありつつも、今作の『XRONICLE』は、前作の『NEBULA』から約5ヶ月というスパンで発表されていて。ただ、『NEBULA』も、前々作の『DISCOVERY』から約半年でリリースされているんですよね。

岸本:『DISCOVERY』を出したのは去年の11月だから、この1年でオリジナルアルバム3枚出してるんですよ。

──やっぱりどう考えても異常だと思うんです(笑)。

岸本:異常ですね(笑)。

──シンプルになぜここまでアイデアが生まれてくるんです?

岸本:そこは、自分たちの制作のやり方だからなんとか形になってるのかなと思います。たとえばプリプロとか、普通のバンドがやるようなことをしなくても、レコーディング当日にぶっつけ本番でもなんとかできるので。時間的に間に合うかなっていう心配はなきにしもあらずですけど、スタジオでやることが決まっていたら、それぞれが作った曲のイメージ通りのところまで持っていく心配は特にないですね。

──スタジオに入ればなんとかなるという感覚は、結成当時からあったんですか?

カワイ:そこは徐々にですね。劇伴の仕事をやるようになってから、スタジオミュージシャンみたいな感覚がどんどん培われていって。レコーディングのテクニックもそうですけど、効率とか時間配分がうまくなってきたから、このペースで作れているのかなっていう感じはありますね。この1年で出した3枚の合間にも劇伴を何本かやっていたので、なんかちょっと仕事人みたいな感じというか(笑)。

井上:そうだね(笑)。スタジオにずっといて、毎日違う案件をやっていたり。

カワイ:特に最近は、同じスタジオで劇伴もとるし、自分たちのアルバムも録っていたので、今日は何を録るんだっけ?って。

井上:そうそう。わからないけどとりあえず来た、みたいな(笑)。

fox capture plan

fox capture plan

──でも、結成当時に1年でオリジナルアルバム3枚+劇伴を作るようになると思ってました?

3人:全然(思っていない)です。

カワイ:このバンドは完全に遊びでやろうとしていたというか。みんなのスケジュールが合うところで、ライブをやったりCDを出したりするスタンスでやろうと思っていたので、まさかこんなにがっつり主軸になるとは予想だにしてなかったです。だから、なんか変な感じありますね。10年前の自分に「こんなふうになってるよ?」って言ったら、「マジで!?」って言うと思う(笑)。

──だし、きっと信じないでしょうね。

カワイ:うん。「いやいや、そんなことないから」って絶対に言うでしょうね。

井上:そもそも10年続くと思ってなかったですからね。数年やって、楽しい思い出ができればいいかなぐらいの感じというか(笑)。

岸本・カワイ:あはははは(笑)。

カワイ:そもそもつかっちゃん(井上)は作曲しないって言ってたし。

井上:そうそう。僕はドラムだけ叩けたらいいから、作曲なんて絶対にしないって言ってたので(笑)。10年前の自分がやろうとも思っていなかったことを、今は楽しんでやれるようになってきましたね。

──岸本さんも10年続くとは思っていなかったですか?

岸本:そうですね。10年で想像してなかったところまで来ました。そこはもう数年前からそんな感じではあったんですけどね(笑)。成り行きに身を任せるじゃないですけど、新しい仕事が来て、おもしろそうだったらやってみようって臨んできて。でも、毎回楽しんでやれてます。睡眠時間を削ったりとか、体力的なつらさはあるんですけど、スタジオに集まって録ったり、曲を作ったりすること自体はすごく楽しんでやれているなと思います。

──最初は遊びの気持ちから始まったけれども、バンドのターニングポイントというか、スイッチが入った瞬間はみなさん同じだったりされるんですか? それともバラバラだったりします?

カワイ:どうだったかなぁ……。

井上:バチっと入ったというよりは徐々にだったよね?

岸本:確かに。

カワイ:やっぱり自分達のアルバム以外で楽曲制作のお話が来るようになってからですかね。趣味でやっていたバンドのメンバーから、だんだん職場の同僚に変わっていったというか。そういう話が来始めたのって、2014年とか2015年ぐらい?

井上:うん。

──2015年に、ドラマ『ヤメゴク〜ヤクザやめて頂きます〜』の劇伴を担当されてますね。

岸本:そこからコンスタントにずっと続けて来れたのもよかったです。ずっとオファーがあったというのもありがたい話ではあるんですけど、自分達の意思としても続けて来れたので、そこもすごいことかなとって。

──岸本さんとしてはいかがですか? バンドのターニングポイントになった時期というと。

岸本:2017年とかだったかな。(スケジュールが)結構ヤバいなと思いながらやってたんですよ。その大変な年を乗り越えたぐらいから、成せばなるっていう感じになってきたし、比較的その次の年は落ち着いていたんですけど、その頃に少しずつ自信も出てきて。強いて言えばそこになるのかな。

──2017年はオリジナルアルバム2枚と、劇伴3作品を手がけられていて。あと、『SUMMER SONIC』にも出演されてますね。

カワイ:その辺りから大きなフェスに出させてもらうようになったんですよ。その前の年に『フジロック』に出させてもらったりとか。

井上:あとは海外ツアーとかも。目に見えて規模が大きくなっていった時期ではありましたね。

──周りからの評価も高まっていった時期でもあって、その後押しみたいなものもあったというか。

カワイ:たぶん、自分達だけでやっているだけだったらこんなに続いてなかったと思いますからね。業界内で評判がよくなってきているというのも耳に入ってくるようになって、頑張ってみようって思うようになっていったし。

岸本:うん。劇伴もいわゆる王道的なものというか、ピアノとストリングスを使った感じの曲はちゃんとおさえつつも、そこにfox capture planらしさをどれぐらい入れられるかというのは、すごく考えながらやっていたんですよ。30曲あるのなら、30曲の中でちょうどいいバランスを考えたりとか。攻めるところは攻めて、守るところは守るっていう。その辺はおもしろいですし、うまくやれている感じはありますね。

──井上さんはいかがです? ターニングポイントであったり、振り返ってみて大きな出来事というと。

井上:僕もバチッと変わった感じはないけど、バンドにとって大きかったライブは、2016年の『東京JAZZ』で、国際フォーラムホールAでやらせてもらったときですかね。

岸本:あれはすごかったなぁ。5000席、満席で。

カワイ:セルジオ・メンデスとかもいたしね。

井上:僕らは(最終日の)夜の部に出たんですけど、僕らと、ケニー・バロン・トリオと、上原ひろみとミシェル・カミロのデュオの3組で、なんでそこに僕らが入ったんだ!?っていう(笑)。

岸本:周りがざわついてたよな。「お前ら大丈夫か!?」って(笑)。

カワイ:めちゃめちゃ緊張したよね?

井上:俺、人生で一番緊張した。

岸本:俺も。

井上:あれを乗り切った後に、バンドがちょっと変わった感じもあったし、自分が音楽と向き合う姿勢みたいなものが変わった感じはあって。でも、後日NHKでライブが放送されて、全アーティストが終わった後にインタビューを受けていたんですけど、僕らだけライブのことじゃなくて、「岩盤浴みたいに汗が出てきた」っていう話しかしてなくて(笑)。

岸本:あれは酷かった! みんなマジメに答えてるのに、俺らだけ「なんかすごい汗が出て、岩盤浴みたいですね」って(笑)。

井上:しかも、それで映像が終わってるんですよ(笑)。

岸本:あれはよかったなぁ。

カワイ:よくないだろ(笑)。

岸本:ほら、残るから。

井上:まぁ、印象には残るね(笑)。

岸本:小曽根(真)さんとかヒノテル(日野皓正)さんとかめちゃいいことしゃべってたのにね。だから、俺らはそういうことを言う必要は全然なかったんです。

カワイ:そんなことはない!(笑)

fox capture plan

fox capture plan

──めちゃめちゃ観たいです、その映像(笑)。ターニングポイントになった作品というといかがです? バンドの音楽性を徐々に広げてきて、10枚目のアルバムのテーマに「多彩」という言葉が出てくるまでになったわけですが。

井上:やっぱり『BUTTERFLY』じゃないですかね。3枚目までは3人の音だけでやってきたけど、そこからストリングスを入れるようになって。そこがちょうど劇伴をやり出した年でもあったんですよ。劇伴でストリングスを使ってみたらよかったんで、いいじゃんと思って……そこから使い出したんですけど。

──それまではとにかく3人だけでやることへのこだわりみたいなものもあったんですか?

カワイ:そうですね。3人だけとか、ライブで絶対に再現できるアレンジとかに注力していたんですけど、だんだん他の音色を入れていくことに抵抗がなくなってきたのは、そこも劇伴の影響が大きかったですね。

岸本:うん。『BUTTERFLY』とか『FRAGILE』辺りは、自分達にとって何がベストなのかを探していた時期でもあって。でもまぁ、最初の「Butterfly Effect」から完成度は高かったとは思うんですけど。最初にカワイくんが使い始めたんですけど、全然抵抗もなく取り組めた感じはありました。それに、それこそずっとピアノトリオという形態にこだわり続けていたら、ここまで続いていなかったかもしれないですからね。

──それも続けてこれたひとつの要因だったと。カワイさんとしても『BUTTERFLY』が大きかったと思います?

カワイ:そうですね。それまでもエフェクトとかはかけてましたけど、3人だけだとどうしても似たような感じになっていっちゃうなと思っていたので、ストリングスを入れて正解だったなと思います。ただ、「Butterfly Effect」を作ったときの記憶が一切ないんですよ(苦笑)。

岸本・井上:あははははは!(笑)

カワイ:なんでこういう曲になったのか、全然覚えていなくて。たぶん、衝動的に作ったんだと思うんですよね。いつもはこういう曲を作ろうって、ある程度のゴールが見えている状態で、そこに向かっていくんですけど、あの曲はあてもなく走り出した感じだったので。

岸本:へぇー。

カワイ:ライブのレギュラー曲みたいになってますけど、なんでここをこんなふうにしたんだろうって、いまだに疑問を抱きながら演奏してますからね。なんでこんなに転調しまくってんだろうとか(笑)。

──でも、それぐらいそのときの自分がフラットに出ているというか。

カワイ:そうですね。そのときに思っていたことがそのまま形になったんだと思います。今作ろうと思ったら、ああいう曲は作らないと思いますね。

──まさにあの当時だからできた曲だと。今回の『XRONICLE』についてですが、10周年や10枚目という数字の部分について、それぞれ楽曲を作る段階で考えたりはしたんですか? カワイさんは「Akashic Xronicles」「Nexus」を作曲されていますけども。

カワイ:何曲かはその感じはありましたね。「Akashic Xronicles」とかは、これまでアコースティック編成でやってきた自分達と、途中からエレクトリック要素を入れるようになった自分達で、あえて対決するような感じにしてみたらおもしろいかなと思って作ったんですけど。レコーディングのときはデジタル要素が入っていない状態だったので、あとからつかっちゃんに、「打ち込みのドラムで自分と対決してみて」ってオーダーをして、家で入れてもらったりとかして。

井上:楽しかったですね。そんなの初めてだったんで(笑)。

岸本:ピアノはスタジオで、シンセとエレピは宅レコで録ったんですけど。最後にピアノとシンセがソロで対決というようなことをするんですけど、シンセが先攻して、ピアノが追っかけるんですよ。本当はピアノが後攻のほうがやりやすかったんですけど、先にピアノを録って、後から先行のシンセを重ねたから、ちょっと不思議な感じでしたね。

fox capture plan「Akashic Xronicles」MV

──井上さんはいかがです? 「Time / Break」「Ritual Dance」を作曲されていますが、曲を持っていく上で考えていたことというと。

井上:9枚目を作る前に10枚目の話題があがったときに、原点回帰というワードが上がってたんですよ。まあ、原点回帰とはいえ、いろいろやってきたので、いろんなものを出せるアルバムにしようと思っていたんですけど。僕の曲で言えば、「Time / Break」はインタールードみたいな曲で、基本はずっと打ち込みで、曲の終わりぐらいでようやく自分のドラムが出てくるんですけど。前のfoxだったらそんなことをやろうとも思っていなかったので、そういうおもしろい遊びみたいなこともできるし、それを楽しめるちょっとした余裕もでてきたのかなと思います。

カワイ:俺、あの曲って弾いたっけ……?(笑)

岸本:シンセベースみたいなのが入ってたけど、エレベ入れてた。

カワイ:ああ。プレイヤー目線だと弾き足りないところがあるんですけど、アンサンブルとしては混ざりがよいというか、おもしろいなと思ってレコーディングしてましたね。でも、弾いた記憶がないです。

井上:「あ、こんな感じ……?」っていうので終わったと思う。

──弾いてなさすぎてちょっと不安になるっていう(笑)。岸本さんは「The Dawn Coming」「DRIVIN’」「Jazz me tender」「fox straight ahead」の4曲を作曲されています。

岸本:それこそ多彩というのがコンセプトにもあったので、その中でいろんなデモを作って、自分の中でボツにした中から勝ち抜いたのが、この4曲ですね。それぞれキャラが立っていて、方向性の違う4曲になったかなと思います。

──「Jazz me tender」は、「We Are Confidence Man」を彷彿とさせる感じもありますよね。

岸本:メロディのフィーリングとかテンポ感は近いですね。個人的には推し曲のイメージで書いていて、おもしろい感じになったなと思います。10周年に、10人編成で華やかな曲を書こうと思ったら、哀愁に満ちた渋い曲ができちゃったなって。展開としては結構日本人向けの曲かもしれないです。

──あと、恒例のカバー曲も収録されています。今回はダイドの「Thank you」ですが、個人的にはあの曲をサンプリングしたエミネムの「STAN」っぽいなと思いました。

岸本:うん。そうなんですよ。むしろ「STAN」で「Thank you」を知ったタイプですし、ピアノトリオでやるなら何かしらのアレンジを加えないと成立しないなと思ったので、どちらかというと構成の参考にしたのは「STAN」のほうで、タイトルは原曲の「Thank you」にした感じですね。

──この曲をチョイスした理由というと?

岸本:今回は2曲選んでたんですよ。もう1曲はダフトパンクの「One More Time」で、無事に録り終えてもいるんですけど。だから最初は、「One More Time」と違うベクトルで、曲も好きやし、女性ボーカルの曲も最近やっていなかったからっていうのもあって「Thank you」を選んだんですよ。でも、10周年のアルバムにカバーが2曲入っているのもな……って。それなら、「Thank You」だったら、10周年のありがとうみたいな意味合いもあるねって、メンバーが言ってました(笑)。

──なるほど(笑)。アルバムを締め括るのは「fox straight ahead」。この曲は岸本さんが作曲されていますが、それこそタイトルの通り、最後は自分達らしいものにしようと。

岸本:個人的には1曲目のイメージで書いてたんですけど、メンバーやディレクターといろいろ話し合った結果、最後の曲になりました。ビルボードでライブをしたときに、2ndアルバムに入っている「Attack on fox」を10人編成にアレンジしたんですけど、結構強烈な感覚があって。それはサブスクでも配信してるんですけど、最初からあの形のものを作ろうと思ってできた曲ですね。最初にピアノのイントロで引きずりこんで、そこからの展開を考えていったら、結果いつものfoxみたいなところになったかなと思います。

カワイ:foxの伝統芸みたいな感じ、岸本節全開の曲ですね。いい意味で既視感があって、安心できるなと思ってレコーディングしてました。

岸本:ドラムの音はいろいろやってたよね?

井上:うん。それこそ「Attack on fox」と敢えて似せているところもあるんですけど、ノリとか音色が違うので、そこに10年という年月を感じられるかなと思います。あと、たぶん僕が最初に最後の曲にしたいと言ったと思うんですけど、この10人の分厚い音で、大団円でアルバムを終えるのがすごくいいなって。

岸本:なるほど。

井上:うん。10周年を締め括って、次に繋げていくのにすごくベストな曲だなと思ったので。あと、タイトルはデモの時点から「fox straight ahead」でしたね。

カワイ:そうだ。曲名がもう最初から決まってた。

岸本:曲名でもう認めちゃっている部分がありますね(笑)。

fox capture plan

fox capture plan

──ですね(笑)。そして、10周年ツアーが決定しています。10月24日からスタートして、ツアーファイナルは日本橋三井ホールでの2デイズ公演。1日目を“NEBULA”、2日目は“XRONICLE”と銘打たれています。

岸本:日本橋三井ホールは、そのアルバムの曲から多く選曲はすると思うんですけど、“NEBULA”の日に『XRONICLE』の曲をやる可能性も、そのまた逆もあると思うので。あと、やっぱりひさしぶりのツアーで、かつ10周年でもあるので、ファンのみなさんに感謝を込めて、今までの代表曲もやろうと思っているので、やりたい曲が渋滞してます(笑)。

──そうなりますよね(笑)。

カワイ:手持ちの曲が多いので、どうしようかわからなくなっちゃう感じはありますね。ライブでまだやったことない曲もあるから、そういうのもやりたいと思いつつ、正直まだそこまで固まってないので、そろそろちゃんとしなきゃなって(笑)。

井上:今まさに探り中なので。でもまあ、どのライブも見応えはかなりあると思うので、お楽しみにっていう感じですね。

──楽しみにしてます! ちなみになのですが、15周年とか20周年のことを考えたりすることってあります?

カワイ:そこまでやってるのかな(笑)。

岸本:あはははは(笑)。

井上:確かにね(笑)。全然わかんない。

──言ってもまだまだ先の話ですけど、次の大きな節目となると、15か20になるかなと思って。

カワイ:でも、5周年の時はそこまで気合いを入れたわけでもなかったから、やるとしたら20周年なのかな。友達に15周年を迎えたバンドが何組かいたりするから、そういう活動をしているのを見て、どうしようかなぁ……とは思うんですけど。

岸本:今年は仕事量が10周年っぽい感じはあるんで、その辺は無理ないようにやろうかなって思いますけどね。なんか盛り上がってるねと思ってはもらいたいけど、体力的に無理のない範囲でやりたい(笑)。

カワイ・井上:あはははははは(笑)。

岸本:寝る時間削ってアルバム作るとかね。年も取るから。

カワイ:今から10年となると50歳間近だからね。どんなふうになってるのかなっていうのは楽しみではあるけど、はたして今みたいな曲をやっているのかなとは思うかも。結構激しいから……体力的に。

井上:確かに。

カワイ:年をとったアーティストはバラードやりがちっていうのは、そういうことなのかなってちょっと思うようになってきましたね(笑)。

井上:確かに、foxの初期のセットリストを今やったらマジでしんどいからな……。

カワイ:一回酸欠起こしてたよね? アンコールまで叩きっぱなしで。

井上:ああ。酸欠っていうか、「やりきったー!」って倒れ込んだりとかね。それがライブだ!っていう感じで、毎回自分を奮い立たせていた感じはあったんですけど。

岸本:でも、力技だけじゃない曲も増えてきてはいるんですよね。『XRONICLE』にもミディアムスロウ以下の曲があったりするし。そこは別に体力的なことを意識しているわけでもなく(笑)。

カワイ:ああ、大人になってきてるのかもね。

岸本:そうそう。年齢によって好きな音楽の趣向も変わってきてるし。そういう音楽的な変革が徐々に起こってきているところはありますね。

井上:そうだね。ライブに関しても、前は勢い命みたいな感じだったけど、たとえばホールとか、勢い任せじゃないところでもやれるバンドになってきたなと思うし。それ以外の見せ方も考えられるような余裕は出てきましたね。

岸本:周りのバンドと比べてもそうだし、歌モノのロックバンドを見ていても、なかなかこれだけのホール公演をやっているバンドも少ないじゃないかなって思いますね。その辺はひとつ伸ばしていきたいポイントでもあります。

──そういう部分も確実に増えていくと思いますし、きっと10年後も速い曲をやってるんだろうなっていう予感もします(笑)。

3人:あはははははは(笑)。

カワイ:確かにそうありたい気持ちもあるんですよね。バリバリ現役のおじさんバンドみたいなのもいいなって思うので。

岸本:往年のファンの人達もそこを望んでいるところはあるだろうからね。でもまあ、無理のない程度にね、やっていこうかなと。

文=山口哲生 撮影=大橋祐希

関連タグ

関連タグはありません