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プロデューサーにきく『ららら♪クラシックコンサート』制作の裏側~「クラシック音楽を、気軽に、わかりやすく」生の音色の美しさや迫力を

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Vol.4「華麗なるオペラ特集」

Vol.4「華麗なるオペラ特集」

NHKのEテレの音楽番組『ららら♪クラシック』から2018年に生まれた演奏会、『ららら♪クラシックコンサート』。そのVol.12が、2021年12月1日(水)にサントリーホールで開催される。今回は、読売日本交響楽団を招いて、オーケストラとパイプ・オルガンによる華やかなプログラムが組まれている。コンサートのプロデューサーであるNHKエンタープライズの武内直美氏に、『ららら♪クラシックコンサート』の成り立ちやVol.12の聴きどころについてうかがった。

――まずは、『ららら♪クラシックコンサート』を始めた経緯を教えていただけますか?

私は、立ち上げのときはまだ関わっていなかったのですが、当時のプロデューサーから「『ららら♪クラシック』の番組で紹介された名曲を、生でコンサートとして楽しんでいただきたいと始めた」ときいています。私は、Vol.3から現場に入り、Vol.5から企画を担当しています。

Vol.1「ヴァイオリン名曲特集」

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――これまでのどのようにコンサートを企画されてきましたか?

番組が30分で毎回、楽器や作曲家などの特集を組んでいましたので、番組との連携をはかった形で、番組で取り上げた曲や人をなるべく取り上げるようにしていました(注:番組自体は2021年3月で終了)。

2018年2月の初回は、どのくらいお客様が来てくださるのか、想像ができなかったこともあり、「興行としての成功」を念頭に、「まずは王道から」とヴァイオリンをテーマに選んだと聞いています。クラシックの”王道”といえば、私を含め、ピアノを浮かべる方も多いと思うのですが、当時のプロデューサーが(ヴァイオリンが)好きだったんです(笑)。その後、Vol.2はピアノ、Vol.3はチェロ、Vol.4はオペラ。私が企画をするようになったVol.5は、オーケストラを選びました。

オーケストラは、やっぱりアンケートでも一番人気があって、それをきっちりと聴いていただきたいという気持ちがあったんです。ベートーヴェンの「運命」をはじめ、代表的な選曲を行いました。指揮は小林研一郎さんにお願いし、ヴァイオリンの千住真理子さんの独奏でコンチェルトも入れました。

Vol.5「オーケストラ特集」 ~炎のマエストロ小林研一郎と千住真理子の競演~

Vol.5「オーケストラ特集」 ~炎のマエストロ小林研一郎と千住真理子の競演~

Vol.5「オーケストラ特集」 ~炎のマエストロ小林研一郎と千住真理子の競演~

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Vol.6はミュージカル、Vol.7は、生誕250周年のベートーヴェンをいち早く、2020年1月に特集しました。これまでのシリーズが楽器に特化していましたので、そろそろ違ったアプローチをと考えたのです。広く馴染みのあるクラシック作曲家といえば、ベートーヴェンかバッハか。みなさん音楽室で肖像画をよく見ているでしょうから。そこから、クラシック初心者向けであれば、より派手なベートーヴェンがよいのではと企画しました。……裏事情としては、予算的なこともあって毎回オーケストラを企画することが難しく、ベートーヴェンであれば、ピアノソロや室内楽も多く知られている作品があると考えたのです。

Vol.8は、2台、3台のピアノ特集で、5月に開催する予定でしたが、コロナ禍のために8月に延期しました。その8月のコンサートは、演奏家にとっても久しぶりのリアルでのコンサートでした。Vol.9は、バロック特集。Vol.8までに、あらかたのジャンルを網羅していたのですが、“時代”は取り上げていませんでした。バロックといえばバッハ。私自身はバッハが好きなのですが、企画段階では「眠くなる」という意見もあって(笑)。その地味な部分をどうカバーできるかと考えて、ヴァイオリンの石田泰尚さんと石田組のみなさん、そしてフルートの工藤重典さん、クラリネットのコハーンさんにも参加していただき、バッハを含めた「バロック」をテーマにしました。当時から石田さんは、硬派な見た目に対してロマンティックな演奏をされると、そのギャップが話題でしたから、今回は「メンズバロック」をキャッチコピーに、とことんカッコよくとお願いしました。

Vol.9 「躍動するバロック音楽」 〜大編成アンサンブルの絢爛なる響き〜

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――昨年10月に開催されたVol.9は私も聴きに行きました。コロナ禍にもかかわらず、熱心なお客様が数多く集まっていたことに驚きました。

みなさんリアルのコンサートを待っていたんだなぁと思いました。やはり時世柄、チケットがどれくらい動くのか、不安もあったんです。でも、結果的に多くのお客様がいらしてくださって、正直びっくりしました。(会場である)東京文化会館の方にも、コロナ明けでここまでお客様が入るのは初めて、とお言葉をいただきました。拍手がとても大きく、あれだけ盛り上がったのは初めてでした。

8月も10月も、あの時期は多くの公演が中止となっていて、私たちももちろん悩みました。しかし、これからのエンタメを考えたときに、流れに任せ、「とりあえず中止で」という判断をするのは短絡的なのではと思ったのです。結果的に、多くのお客様が来てくださり、演奏家からも「開催してくれてよかった」との声をいただけて、うれしかったですね。

――お客様はどういう方が多いですか?

リピーターが非常に多いですね。公演に来て、次の公演のチケットを買っていかれる方も多いです。

Vol.10は、2021年5月にミュージカルを予定していましたが、緊急事態宣言のためにホールが閉鎖され、中止となりました。Vol.11は「ソリストたちのカルテット」と題して、ヴァイオリンの千住さんと石田さんに再び登場していただいて、ヴィオラの飛澤浩人さん、チェロの長谷川陽子さんという前代未聞のカルテットを組みました。

Vol. 11「ソリストたちのカルテット」~千住! 石田! 飛澤! 長谷川! 大御所ズ☆室内楽~

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――トークもこの『ららら♪クラシックコンサート』の特徴ですね。

司会は、番組と同じ高橋克典さんで、コンサートのときは、お客様の代表として演奏家に質問していただいています。

正直なところ、私はそれまで「トークのあるコンサート」は苦手だったんです。多くのコンサートでは、司会はクラシックの専門家で、そこで話される内容は、特に初心者のお客様には少し難しく、退屈に感じることもあるのではと。ですから、私が『ららら♪クラシックコンサート』を担当するようになって、最も考えたのが、トークの部分でした。

高橋さんは、「クラシック初心者」の立場で……もちろん、ずっと番組をされてきましたので実はすでに知識は多く持っていらっしゃるんですけれども(笑)、そのあたりも隠さず、思ったことをそのまま聞いてください、とお願いしています。

高橋さんは演奏家をリスペクトされていて、「このようなことを聞いたら失礼にあたるのではないか」と心配されているところもあったんですけれども、そこは、「お客様の代表」として素直に。演奏家のみなさんも、高橋さんには応えやすく、喜んで話してくださいます。普通のコンサートでは、演奏家の生の声を聞くことはほとんどないですが、演奏家の話を聞くと、意外と親しみやすいことがわかります。

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――12月1日(水)に開催されるVol.12のプログラムの聴きどころを教えていただけますか?

そろそろ年末に向けて、オーケストラを使って、派手に、祝祭音楽をやりたいと思いました。コロナが収束していればお祝いになりますし、おさまっていないようであれば希望を込めて。サントリーホールですのでパイプ・オルガンも入れます。リピーターの方には、今までで一番派手な公演になるので、楽しんでいただきたいですね。オーケストラとオルガンがこれほどまでに一緒に演奏する機会はそんなにないので、初めての方もぜひいらしてください。

クラシック以外の方々にお馴染みの、ジョン・ウィリアムズの「スター・ウォーズ」で華やかに始まります。続いて、ヘンデルの「メサイア」から、ハレルヤ・コーラス。合唱のパートはオルガンで演奏します。バッハの「小フーガ」はオルガンのソロです。演奏会前半の締めは、オルガン付きでエルガーの「威風堂々」第1番。

後半は、気軽に、年末の定番であるヨハン・シュトラウス2世の「こうもり」序曲で始まります。オルガンの入る、ジャゾットの「アルビノーニのアダージョ」は美しくも切ない曲ですが、コロナ禍の犠牲者への追悼の意味も込めています。最後はチャイコフスキーの序曲「1812年」。バンダ(別動隊)や合唱の部分はパイプ・オルガンで演奏します。凄い迫力になることは間違いないです。

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――「スター・ウォーズ」、「ハレルヤ・コーラス」「威風堂々」、「1812年」が並ぶって、本当に派手ですね! 指揮の川瀬賢太郎さんもオルガンの冨田一樹さんも、今最も注目されている若手音楽家ですね。

川瀬賢太郎さんは、少年のような、永遠の学生みたいな雰囲気で(笑)、熱い指揮とトークが『ららら♪クラシックコンサート』に合っていると思いました。先日打合せした際もお話がとても興味深く、本番がますます楽しみになりました。​オルガン独奏の冨田一樹さんは、バッハ国際コンクールで優勝され、『情熱大陸』で拝見したときから素晴らしい演奏に注目していましたのでオファーしました。

――最後にメッセージをお願いいたします。

『ららら♪クラシックコンサート』では、クラシック音楽を、気軽に、わかりやすく紹介しています。世の中に流れている曲にはクラシックが多く使われており、耳に馴染みがあったりします。作曲家名や曲名は知らなくても実はクラシックに親しんでいるということなんですよね。コンサートでは、新たな曲との出会いも大切だと思っていますので、『ららら』だからこそ出来る曲も取り入れています。知っている曲だけではないかもしれませんが、コンサートにあまり行ったことがない人も、硬くならず、気軽に楽しんでいただきたいですね。

テレビではなく、生で聴かないとわからない音色の美しさや演奏家の息遣い、そして、迫力があります。サントリーホールでオーケストラの音がドライアイスの煙のように下から上がってくるのを、是非、味わっていただきたいと思います。

取材・文=山田治生 写真=ららら♪クラブ

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