『虎者 NINJAPAN 2021』Travis Japan
2019年、ジャニーズJr.の実力派であるTravis Japanの単独主演公演として披露された『虎者 NINJAPAN』。忍者をモチーフに、ダンスやアクロバット、殺陣といったエンターテインメントがふんだんに詰まった作品が人気を呼び、2020年には配信も成功を収めた。3回目となる今年は京都・南座を皮切りに、東京、名古屋、広島で公演が行われる。11月3日(水・祝)よりスタートする新橋演舞場公演を前に行われたゲネプロと会見の様子をお届けしよう。
まずは、ゲネプロ後に行われたTravis Japanのメンバーによる会見の様子から。
最初の挨拶で、宮近が「皆さんのサポートなしでは成功はいたしませんので、何卒よろしくお願いします!」と話し、吉澤も「スタッフさんやキャストの皆さん、ファンの方など、いろんな方に支えられてこの舞台ができていると思っています」と感謝を語った。川島は「今年も楽しみに新橋演舞場にやってまいりました。1ヶ月間この素敵な場所で、カンパニー一同頑張っていきたいと思います」と感慨深げに会場を見渡す。
中村は「体調にはくれぐれも気をつけて、体を壊さないように一生懸命頑張りたいと思うので応援よろしくお願いします」と意気込み、七五三掛(しめかけ)と松田は「この会見で作品の魅力をできるだけたくさん伝えたい」と意欲を語った。最後の松倉は「皆さん……」と言いかけて止まり、少し考えた後、「楽しい時間にしましょう!」と元気いっぱいに宣言し、明るい雰囲気で会見がスタートした。
――南座の公演を終え、新橋演舞場での公演がスタートします。改めて今のお気持ちはいかがですか?
宮近:始まった当初は、3回も『虎者』という公演ができるとは思ってもみなかったです。こういった状況下でも感染症対策をバッチリして、各会場で僕らのステージを生でお届けできることに感謝しています。これは僕ら7人だけではできないことで、皆さんやスタッフさん、キャストさん一人ひとりが、このショーの楽しい時間のために我慢や辛いことを乗り越えたからこそ。こうして初日を迎えられるのがとても嬉しいです。僕たちのパフォーマンスでたくさんの人にエネルギーを与えて、日本や世界が元気になればいいなと思っています。
――作品のテーマは「仲間」ですが、皆さんで誓い合ったことはありますか?
川島:新橋演舞場さんでの公演は今日からなので、まだありません。今決めちゃおうよ。この1ヶ月どうするか。
七五三掛:演舞場で? 仲良くいる!
一同:(笑)。
川島:今年は楽屋が宮近・松田・松倉、七五三掛・中村、僕と吉澤の3つに分かれてるんですけど、可能な時は安全な状態でご飯を一緒に食べるとか、仲良くやっていけたらと思いますね。
――虎者が二手に分かれるシーン、青忍者(中村・七五三掛・川島・吉澤)はかなりセクシーなパフォーマンスをされていましたね。
中村:そうですね。あの振り付けは七五三掛が。
七五三掛:キャッチーなダンスを作ってみたいなと思っていて。サビの「GOOD BAD」の「BAD」を手で二つ作る振り付けに「BBダンス」っていう名前をつけました。曲名も「Bring Back」なので、全部繋がってるんですよね。来てくださる方はぜひ注目してください。
川島:(BBダンスの)名前付けたのは俺なんですけどね。手柄取ろうとするんですよ! もう仲良くないですわ(笑)!
一同:(笑)。
――新曲のMVも撮影し、作中で披露したわけですが。
川島:嬉しいですよね。今回の「BIG BANG BOY」は、僕たちの想いと、いろんな方が僕たちに託してくれた想いをまとめた一曲になっています。自分たちのキャンバスに色を塗ってBIG BANGしていくと言うストーリーと決意を込めて、SHOW TIMEのあたまと最後に披露しています。
中村:滝沢さんから「BIG BANG BOYになれ!」と言われました。それくらい大きな存在になってほしいっていう思いがこまってるのかなって……。
吉澤:こまってる(笑)?
中村:こめてくれてるのかなって思いました(笑)!
七五三掛:しかも、歌詞が全部英語なんです。滝沢さんからの「世界に通用するグループになってほしい」ってメッセージかなと勝手に思っています。
川島:松倉とか元太とか、英語のラップは大変だったと思うんですよね。
松倉:でも、レコーディングした時は「カッコイイ」って言われました。僕、英会話を長いこと習ってるから耳が慣れてるのかも。
松田:僕は川島大先生に英語を教えてもらいながら、ゆっくり覚えていきました。レコーディングでは「センスいいね」って言ってもらえました!
――昨年の公演からパワーアップした部分はありますか?
吉澤:やっぱりダンス! YouTubeの「+81 DANCE STUDIO」もありまして、いろんなダンサーさんからいろんなものを吸収して、南座さんで出してきたので。新橋演舞場でも、さらにパワーアップしたものを見せたいと思っています。トランポリンの高さも去年よりグンと上がっていますし。
――ウォールトランポリンの高さはどれくらいあるんでしょう?
七五三掛:5メートルくらい?
松倉:100メートルくらいあるんじゃない?
(制作スタッフより、5.5メートルと聞き)
川島:2階くらいの高さがありますよね。
松田:50メートルの半分くらいだよね。
川島:それは25メートルだから。もっともっと半分。……静かにしてるとかっこいいんですよ、彼(笑)。
中村:体力よりも精神的な怖さがありますね。トランポリンの選手もそうだと先生が言っていましたが、一個の技を失敗すると後に響くんです。それをどれだけカバーできるかっていう。技を披露する時は、袖でメンバーが待っててくれて、拍手しながら「今日良かったね」とか言ってくれる。その温かさに助けられてると感じますね。
――アイコンタクトなどからもメンバー同士の繋がりが伝わってきます。
宮近:そうですね。独りよがりではお客さんに伝わらないし、自分も辛いし。僕はメンバーやキャストさん、スタッフさんがいるから頑張れているという部分があって、そこはみんなも一緒だと思います。お互いにフォローしあって、いいものをお客さんに届けていくっていう心持ちです。
――共演者さんとのエピソードはありますか?
宮近:今回はIMPACTorsが7人で参戦。舞台上では敵対しますが、裏では仲良くやっているし、京都公演を経て距離がめちゃくちゃ近くなった印象です。
七五三掛:個人的には、洋服をちょこちょこあげてます。今日もでかい袋を持ってきて、(佐藤)新にあげました。でも新のが身長でかいんです。だから「サイズがあうか分かんないけど、あったらそのまま持って帰っていいよ」って。
さらに、来年は寅年。作品名である『虎者』や、グループのニックネームである「トラジャ」と縁のある干支ということで、来年の目標を一人ずつ発表することに。
まずは七五三掛が「寅年を僕たちの年にしたいなとずっと思っていて。Travis Japanの時代というか、そういう嵐を巻き起こしたいですね!」と笑顔で話すも、周りの反応の薄さに「あれ? 伝わってるかな?」と心配そうな表情を浮かべる。焦った拍子にアクリル板にぶつかり、メンバーたちが笑いながらツッコむ、和気あいあいとした一場面も。
吉澤は「ツアーで色々周らせていただいたので。来年も行ったことのない地域に行って、ファンの方たちにお会いして、生でパフォーマンスを届けられたら」と、さらに活躍の場を広げたいという目標を語った。
松田は「映画が公開されるのでぜひたくさんの方に見ていただけるように、宣伝活動をしていきたいなと」と自身の主演作である『君が落とした青空』を宣伝。宮近に「これぞ“虎の威を借る元太”です」といじられていた。
続く川島は「夢は大きく、デビューしたいと思います!」と宣言。宮近も「Travis Japanが結成して、寅年を迎えるのは初めて。親近感を抱いている干支なので、ここから改めてスタートしたいですね。2022年の12年後はどんな寅になっているのか。スタートダッシュを切りたいと思います」と、グループとしてのさらなる成長と飛躍に意欲を見せる。
ここまでの5人の目標を受け、松倉と中村は「何かある?」と困ったように顔を見合わせる。悩んだ末、松倉は「個人的なことでもいいですか?」と前置きし「身長を伸ばしたいです! 元太とかがすごい伸びてきたんで焦っちゃって。牛乳飲めばいいのかな」とメンバーに尋ねる。七五三掛が「ちゃかちゃん(宮近)と俺と松が小さい組で頑張ってこうよ」と言い、宮近も「そうだよ、誇りを持って」と励ますが、松倉は今年から牛乳を飲み始めると決意していた。
中村は「みんなが言ってくれた通り、記念すべき年になればいいなと思いますね。言うのは簡単だけど、それに向かって自分たちがどれだけ努力できるか。一つひとつ丁寧にやってかなきゃって気持ちはすごくあります。初心を忘れず、寅年だから何かがあるじゃなく、自分たちで何かを掴みにいく気持ちで駆け抜けたいです」とまとめた。
最後に、リーダーの宮近からの「僕らのパフォーマンスやこの舞台をいろんな方に観ていただきたいという気持ちを持っていました。無事に京都公演を終え、東京公演のあとに名古屋や広島公演もあります。それが叶ったのはファンの皆さんの力。まず、再演が当たり前ではないので。何回も続けられるのも、ファンの皆さんのサポートと愛があったからだと思います。その感謝を、口だけではなく舞台上のパフォーマンスでも返せたらなと。最後まで恩返しできるように頑張りたいと思います!」というメッセージで締めくくられた。
寅年のデビューを全員で宣言するTravis Japan
※以下、ゲネプロの内容と舞台写真のネタバレを含みます。
ジャニー喜多川をEternal Producerに、滝沢秀明が構成・演出を務める本作。
冒頭から息の合ったダンスで物語の世界に引き込まれる。白をベースにした朱雀・虎者と、黒と紫のカゲロウ・影虎の対比やプロジェクションを活用した忍術、風景の描写が美しい。シンクロダンスを得意とするTravis Japanだけあって、息の合ったパフォーマンスは圧巻。統率の取れた動きと高さのあるアクロバットが、忍者というキャラクター設定に説得力を持たせている。
芝居パートに加え、赤忍者(宮近・松田・松倉)による電飾を使用したポップでクールなダンス、青忍者(中村・七五三掛・川島・吉澤)のセクシーなダンスなど、一人ひとりの魅力を味わえるパフォーマンスが満載。また、トランポリンを使用し、複数人でタイミングや高さをきっちり合わせるパフォーマンスのクオリティに驚かされた。セット自体はシンプルだが、トランポリンとプロジェクション、キャスト陣の身体能力の高さを組み合わせ、縦横無尽に走り回る忍者たちの身軽さや、幻想的な忍術を使った戦いを見せているのも印象的だ。
彼らの敵となる影虎を演じるIMPACTorsは、堂々たる悪役ぶりで物語を盛り上げている。影虎の中でも異彩を放つハヤブサ役の佐藤新を筆頭に、それぞれが確かな存在感を放ちながら強敵として虎者の前に立ちはだかっており、貫禄が感じられる。セリフはそう多くないものの、立居振る舞いや口調の差、扱う武器に個性が出ており、それぞれの人となりを想像できるのも楽しい。
そして、2グループが繰り広げる勢いと熱のあるパフォーマンスを支えるアンサンブルの存在も見逃せない。闇の軍団として不気味な雰囲気を醸しつつ、アクロバット、刀などの長物を使った殺陣の華やかさをアップさせている。紅一点のカゲロウの佇まいと、強大な存在である朱雀の威厳ある姿も物語に深みを添えている。後半で、とある真実が明らかになった後の演技も見応え抜群だ。
「和」をテーマにした本編が終わった後は、Travis Japanを中心としたキャストによるSHOW TIMEが行われる。全体的な振り付けは昨年に引き続き屋良朝幸が担当。プロジェクションも活用したワクワクする演出のもと、質の高いダンスを楽しめる。力強さ、しなやかさやポップな雰囲気など、多彩なジャンルのパフォーマンスと表情により、本編とはまた違う魅力を満喫できる構成となっている。
IMPACTors
本作は11月27日(土)まで新橋演舞場で上演されたのち、12月1日(水)〜8日(水)まで名古屋公演、12月11日(土)・12日(日)に広島公演が行われる。
取材・文・撮影=吉田沙奈