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THREE1989、1stアルバム『Director’s Cut』で目指した恋と人生がポップでクールに歌い奏でられていく「音の映画館」

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THREE1989 Shohei 撮影=ハヤシマコ

THREE1989 Shohei 撮影=ハヤシマコ

ソウルフルな歌声を聴かせるボーカル、Shoheiと、DJのDatch、キーボードのShimo。1989年生まれの3人で構成されたグループ、THREE1989。インディーズ時代から着実にキャリアを積み、イベントや海外公演、サブスクや配信、動画サイトなどでも人気を博してきた彼らが、メジャー1stアルバム『Director’s Cut』をリリース。今作に収録された全26曲すべての作詞作曲をてがけ、『テラスハウス』にも出演していたShoheiに、「聴く映画」というテーマで制作されたアルバムについて、話を訊いた。

THREE1989

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「人生を描く中に恋愛がある」

ーー「聴く映画」というコンセプトや全26曲収録というボリュームも含めて、メジャー1stアルバム『Director’s Cut』からは、アルバムというものに対する3人の思いが感じられるというか……。

もともとインディーズでもやりたいことはやってたんですけど、今回はメジャーでの1stアルバムを出せるということで、いい音で録りたいとか、インディーズの時には出来なかったことをフルマックスでやれたらという思いがあったんです。それで今回は、26曲収録して、74分というCDの限界に挑戦するということをやってみたんです。

ーーサブスク、配信の時代だけど、CDならではの面白さを追求しようと?

そこには2つ理由があるんです。まずひとつに……僕が初めて買ったCDは宇多田ヒカルさんの「Automatic」だったんですけど、ちょうど音楽を聴き始めたのがCD最盛期の世代なので、そういうCD文化の良さを遺したかったという思いがありますね。もうひとつが、全26曲もあれば、ロックな気分とか切ない時とか、プレイリストを作る時にもいろんなシチュエーションにハマるんじゃないかなというか。だからむしろ、今の時代に合った聴き方をしてもらえるんじゃないかなという思いもありました。

ーー今作には、これからの季節に聴きたいラブソングもたくさん収録されていますよね。アルバム全体の軸になっているのはやはり、ラブストーリーですか

結果的にラブソングが多いかもしれないですが、例えば、川畑要さんとコラボした『ココロゴト』という曲は、許されない恋の歌だけど、実は第3の選択肢を選びたいという気持ちを歌っていて……。

THREE1989

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ーー第3の選択肢というのは……チャレンジ精神みたいなもの?

そうですね。自分が熊本から上京した頃は、怖がらずに何でも挑戦出来たんですよね。でもだんだんTHREE1989というバンドを知ってもらえたり、顔を覚えてもらえるようになってくると守るべきものが増えてくる……。そうやって大人になるにつれ、第3の選択肢を選べなくなってくるけど、頑張っていこうよという思いが、ラブストーリーの裏に描かれていて。そういう部分をかぎ取って聴いてもらえるとすごく嬉しいですね。

ーーラブストーリーだけど、人生の歌……。

大きく言えばそういう感じですね。

ーー恋愛も人生の一局面ですもんね。例えば、別れた彼女と再会の約束をしている男性の心情が描かれた「Private Castle」。合鍵というキーワードから、Shoheiさんが過去の恋愛をどう捉えているかが見えてくるというか……。

あ、ほんとの話じゃないですよ(一同爆笑)。フィクションですよ(笑)。

ーーハハハ(笑)。わかってます(笑)。Shoheiさんにとって、ラブソングを書くのは脚本作りのような感覚なのでしょうか?

確かに、自分視点で書く曲はラブソングじゃないことが多いですね。「裸」という曲も人生を描く中に恋愛がある感じですし。まぁ「Stay Gold」や「愛の処方箋 feat.asmi」は、リアルに過去の実体験をもとにした情景をそのまま描いていたりはしますけどね。

これは「原点回帰」。裸の心が出せた感覚がありました。

THREE1989

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ーーさっき話してもらった、川畑さんとのコラボはどういう経緯で?

もともと僕はCHEMISTRYが好きだったんですが、4年ぐらい前に都内でたまたま出会って。その後テレビ番組でご一緒したり、先輩後輩みたいな関係として話を聞いてもらってたりしています。いつか一緒に何か出来たらと思ってた時に、メジャーから1stアルバムを出す今こそがタイミングだ! と思ってお声がけして実現した感じですね。

ーーファンだった人とコラボが出来たことも含めて、まさに「人生」ですね。

ほんとそうなんです。今回他にもコラボしてもらったケンチンミンとあっこゴリラちゃん、asmiちゃん、Tomoaki Babaくんも、リアルに出会って親交を深めていったアーティストなんです。

ーー「SAKASAMAの世界 feat.あっこゴリラ, ケンチンミン」は、直前の曲「S.O.S -Skit」も含めて、まさに同世代のアーティスト同士がお互い切磋琢磨し合いながら「今」をつかんだ感じが伝わってきますね。

「S.O.S -Skit」で昔の自分に電話して、「SAKASAMAの世界 feat.あっこゴリラ, ケンチンミン」で、今を信じて突き進もうねと過去の自分を鼓舞するんですけど、実は下の世代の人たち……これから音楽を目指す人たちや何かを頑張ってる人たちに届けばいいなということは思ってました。

ーー自分自身も迷ったり悩んだ経験があるからこそ、今を信じて突き進めばいいということを歌いたかった。

そうですね。「SAKASAMAの世界」の途中で僕が昔の自分に電話するパートで<DIAL SHOHEY>と歌ってるんですけど、Shoheyの表記はこのアルバムが出る前までの僕の名前の表記で、今はYをIに変えて、Shoheiにしたんです。小さなことなんですけどね。

ーーもうカッコつけなくても良いという、自分たちに対して自信がついたから?

むしろ原点回帰のような感覚なんです。完璧を求めるとゴールが見えなくなるし、自信はどこまで積み上げても切りがなくなっちゃうと思うんですよ。コロナ禍でライブとかも出来なくて、基本的に曲もみんなリモートで作った中で、このままの自分でいいんだという感じで原点にかえる瞬間があったんです。それで、僕らが本当に音楽を聴き始めたきっかけであるJ-POPというところに立ち返れたというか。カッコ良い音楽をやろうとか、そういう時代を経て、裸の心が出せた感覚がありました。

THREE1989

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ーーTHREE1989は、インディーズ時代から着実にキャリアを積んできて、海外でライブをしたり、ワンマンライブが大成功を収めたり、メジャーデビューに向けてここからドーンと飛躍するぞというタイミングで……コロナ禍だったじゃないですか。

確かに!

ーーよくそこで心が折れなかったなと。

ああー。逆にあの頃は、変に身構え過ぎてたんですよ。鎧を固め過ぎてたというか。イケイケどんどんの時代だったから、身体を壊すまでライブをしたりとか、当時はそのリズムが壊れるのが怖かったんですよね。でも今思えば……あのまま行かなくてマジで良かったなと思うんです。結局どこまでも追いかけて行ってしまって、自分の中での本当の満足とか幸せは見つけられなかったんじゃないかなと。だから今は、一回そこで基本に返れたことは良かったなと思います。

ーーその辺のマインドや音楽性については、ShimoさんやDatchさんとも一致してたんですか?

結果的に今回はJ-POPに立ち返ったアルバムになったんですけど、いつも各々が今思うアレンジでやってるので、自然にまとまったという感じなんです(笑)。3人各々が追求したいことを突き詰めるなら、例えば僕だったらジャズ、Shimoだったらロック、Datchなら……というふうに、もっと違う追求をしてたと思うんですけど、THREE1989として追求したいのがこれだったということなんですよね。

ーー今回、竹内まりやさんの「恋の嵐」カバーも収録されていますよね。今、世界的にも注目されている日本のシティポップのレジェンドですが、そういうトレンドに対するアンテナもさすがだなというか。

それはほんと、たまたまなんです。母が竹内まりやさんや山下達郎さん、久保田利伸さんとかが好きで、僕も子供の頃から聴いていて。7曲目に収録した「紫陽花」が出来た時に偶然「恋の嵐」を聴い時に、「紫陽花」の主人公の女性の気持ちをよりフォーカスししてる曲のように聴こえて。この映画(アルバム)に必要な楽曲だった気がして、カバーさせていただいた感じなんです。

ツアーでは「バンドとしてのTHREE1989」を表現

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ーー11月20日(土)から東名阪ツアー『THREE1989 1st Album Director's Cut Release Tour 2021』がスタートしますが、「聴く映画」=『Director’s Cut』はどう表現される予定ですか?

東京公演に関してはワンマン公演なので、アルバムのトータルが74分……時間的にもいけるなというところで、まさに映画を観る感覚で観に来てもらえるよう、アルバムの全曲をやろうかなというところで今動いています。今までのTHREE1989のパーティーな感じとはまた違った、新しいTHREE1989をそこで観てもらえると嬉しいですね。

ーー東京公演はゲストも登場する?

はい。あっこゴリラちゃんとケンチンミンくんには出てもらえる予定です。やっぱりコロナ禍ということもあって、パーティーというもの自体が僕ら自身もリアルに体験出来なくなったし、表現しにくくなっちゃったんですよね……。僕らとしては、今の時代にふさわしいメッセージ性のある曲を書いて行きたいと思っているので。

ーー映画を観るようにライブを楽しむ……むしろ今しか出来ないチャレンジかもしれないですね。

間違いないですね。東京公演に関しては、ミュージカルとまではいかないけど、その中間の、ライブのまた新しい形が観れるんじゃないかなというところですね。

ーーだからこそ気になるのが、ワンマンではなく対バン形式で開催される名古屋・大阪公演はどうなるのか?! ですよね。

大阪で対バンをするNeighbors Complainとは2018年ぐらいから交流もあって。同じ時代に音楽を奏でて来て、一緒にイベントとかもやる中でお互いのライブに足を運んだりしてたんですけど、この前も『MINAMI WHEEL(ミナミ・ホイール)』で観たら、日本でいちばんのファンクバンドじゃないかなと思えるぐらい、レベルが上がってて。そんな彼らと今ここで一緒にやれる……いい意味での男同士の戦いというか、本当の意味での対バンが実現出来るという感覚ですね。なので、大阪公演と、結成当時からの憧れのバンドであるOrlandをゲストに迎える名古屋公演は、従来のパーティー・セットと新しい曲を融合させた、「バンドとしてのTHREE1989」を表現出来たらなと思ってます。

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取材・文=早川加奈子 撮影=ハヤシマコ

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