Rest of Childhood
OLDCODEXのYORKE.と、元Hysteric BlueのTakuyaを中心に結成されたロックバンド・Rest of Childhood。2018年の結成以降、スリーピースバンドとして活動してきたが、昨年10月にベーシストが脱退。今回、新メンバーとしてu:zo(ex.RIZE)が加入し、第2章を開幕させた。SPICE初登場となる今回のインタビューでは、u:zo加入の経緯から、Rest of Childhood結成まで遡りつつ、新体制第1弾楽曲として発表された「Windmill」について。そして、YORKE.が同バンドでの活動名義をHALに改名したことまで、じっくりと話をしてもらったのだが、取材現場の空気は終始賑やか。3人共、このバンドで音を鳴らすことを心の底から楽しんでいることがひしひしと伝わってきた。セカンドシーズン開幕から一気にスピードをあげようとしている彼らに迫る。
──u:zoさんが加入されて新体制になりましたが、以前から親交はあったんですか?
u:zo:HALとは結構長いよね?
HAL:そうだね。前のベーシストが抜けてから、僕としては早くメンバーを入れたかったんですけど、タクちゃん(Takuya)が“焦って探すもんでもないよ”って。でも、よく覚えているんだけど、タクちゃんから一緒にやってみたい人がいるっていう事は聞いていて、“よく知ってる奴かもよ?”みたいなことを言ってたんですよ。そのときにピンと閃いたのがu:zoで(笑)。
──Takuyaさんとしては、焦る必要はないと思いつつ、メンバーはしっかりと探しつつ。
Takuya:そうです。最初は、女性ベーシストがいいかもねっていう話もしてたんですよ。
HAL:そうそう。かわいい女の子がひとり、この2人の間に入っていたらっていう。
u:zo:それおもしろいね(笑)。
HAL:ただ、去年の12月に、u:zoにも出てもらったんですけど、ベーシストを3人呼んでライヴをやったんですよ。バンドじゃないもん!(MAX NAKAYOSHI)のみゆちぃ(望月みゆ)と、exist†traceの猶人と、あとu:zoと。それで、女の人がメンバーだと楽屋とかちょっと大変かも……って。
u:zo:ああ。ケアがね。女性が悪いっていうわけではなく。
HAL:そうそう。すごい気を遣っちゃって。コンコン(と、慎重な感じでノックして)、あの、もうすぐだけど……とか。
u:zo:変なタイミングで開けちゃったらやばいもんね(笑)。
HAL:そうそう。みゆちぃも本気で向き合ってくれていたみたいで、その気持ちもすごくありがたかったんだけど。でも、Rest of Childhoodはすげえ空気がいいから、いずれ誰かしら来るだろうなっていう気持ちではいましたね。
Rest of Childhood
──HALさんとu:zoさんが知り合ったのは結構前の話なんですか?
u:zo:相当前ですよ。
HAL:(u:zoはRIZEで)『池袋ウエストゲートパーク』に出てたんですよ。僕、池袋出身なんで、イケすかねえなと思ってて(笑)。
u:zo:そうだよね(苦笑)。あれは俺らも申し訳ないと思いながら出てたから。
HAL:そうそう。そのことはJESSEにも言ったことあるんですけど。10代の頃からTakuyaもu:zoも大活躍で、僕はどっちかというと荒んだ生活をしていて。どこかキラキラしていた人たちだから、ずっと知ってはいましたね。
u:zo:HALとは共通の知り合いを通して会ったんですよ。
HAL:焼肉だっけ?
u:zo:いや、ファミレスで、朝の4時までずーっと話してた(笑)。
HAL:それが最初?
u:zo:うん。その前から知ってはいたけど、深く知ったのはそのとき。それまでは、デカいし、ツンツンしてんだろうなと思ってたんだけど、全然いい奴じゃんって。Takuyaくんはレコード会社が一緒だったから。
Takuya:同じ時期にメジャーでやってたから、販促の人がかぶったりとかもしてて。
u:zo:俺としては、爆発的に売れてんなぁっていうイメージだったけど。
Takuya:いや、そっちもやで?(笑)
u:zo:でも、あの当時は音楽性的にも交わることがそんなになくて。
Takuya:イベントで一緒にとかもなかったしね。
u:zo:だから、俺がサポート業を始めてからですね。いろんなところでドラムを叩いている姿を見たり、たまたまイベントで一緒になったり。でも、そのときも“おおー!”って言うぐらいでしたけど。売れてるな、いろんなところにいるなっていう感じだった。
HAL:どこにでもいる(笑)。
Takuya:ちょくちょくいろんなとこに顔出すから(笑)。
──Takuyaさんとしては、u:zoさんと一度一緒にやってみたかったと。
Takuya:そうです。ロックのパブリックイメージってあるじゃないですか。u:zoはロックベーシストのイメージがあるけど、俺にそのイメージはないんですよ。ヒスブル(Hysteric Blue)っていうと、ポップで、チャラチャラしてて、可愛らしい系でしょ?みたいな。
u:zo:そんなことないけど(笑)。
HAL:謙遜しすぎ。
Takuya:はははは(笑)。でも、u:zoが入ったときに、そういうロックの香りみたいなものが出てくる感じになるといいなと思って。実際に付き合い出してからは、ロックだけじゃないっていうことがわかったんですけど。
HAL:実はTakuyaがこの中では一番ロックだけどね。
u:zo:うん、ホントに。
HAL:僕とu:zoは、目の前のものをぶっ壊すのがロックだっていう生き方をしてきたけど、Takuyaはそういう感情を腹の中で押さえ込んで、いつかぶっ壊してやるみたいな。
Takuya:溜まりに溜まった反骨精神がすごいんですよね。
HAL:そう。そこをすごく感じる。それをRest of Childhoodとして、3人で出していければいいんじゃないかなって。いいバランスだなと思いますけどね。
Rest of Childhood
──そもそもの話になってしまいますけど、Rest of Childhoodが始まったキッカケとなると、どういう感じだったんです?
HAL:絵を描くのとは違う表現をしてみたいなと思って。それで曲を作っていたんですけど、表現する場所がなかったんですよ。自分がギターを持って歌うバンドをやってみようかなっていう話も周りにもしてたんですけど、“いいじゃん!”って言うわりに、いざ動こうとすると周りから止められることもあるじゃないですか、レーベルとかに入っていたりすると。なんかうまくいかないなっていうときにTakuyaにその話をしたら“やろうよ”ってふたつ返事で。なにこの人、リスクとか関係ないんだ?って(笑)。じゃあ俺も!って腹を括って。で、ギタリストのSCHONも話に入ってくれて、僕にギターを教えてくれたんですよ。アコースティックギターは弾いていたけど、エレキはほぼ触ったことなかったんで。それにエレキって音が鳴んないじゃん?
──アンプ通さないと。
HAL:そうそう。なかなか大きい音を出せるところもないしね。で、SCHONと一緒にギターを選ぶところから始めて。僕がトニー・スライ(No Use for a Name)が好きっていう話をしたら、“じゃあレスポールだね”って、今のギターを選んでくれて。そんなスタートでしたね。
Takuya:HALくんが作った曲を録ったボイスメモとか、動画を見せてもらったら、声がとにかくよかったんですよ。めっちゃええ声やなと思って。
──確かに。めちゃくちゃいいです。
Takuya:みんながOLDCODEXで見ているYORKE.は、ペインターとして絵を描いて、あとはシャウトとかハモったりするぐらいだけど、それだけにするにはもったいない声をしてるんですよね。で、作っていた曲がフォーキーな歌モノやったから、これをバンドでやったらおもしろいなと思ったんですよ。それですぐにやろうって。そしたら、実はYORKE.はバンドをやったことがなくて。
HAL:そう。このバンドが初めてです。だから全然わかんなくて、とりあえず車を買ったんですよ。バンドといえば車かなって。
u:zo:それだね!
HAL:ツアーも決まってないのにバンを買って、車買ったから大阪とか行こうって、まだ4曲しかないのにワンマンとかやって。
Takuya:ちょっと順番がね(笑)。
HAL:とにかくやってみないとわからなかったんですよね。当時はまだ今ほどギターも弾けなかったけど、ステージの上で恥かかないと上手くならないなと思って。そこは今までの経験でなんとなく理解してるっていうか。出ちゃったらもう逃げ場ないじゃん。それで歌詞も覚えてないような状態でもいいからライヴに出て。ファーストライヴは北浦和のKYARAに、ザ・バンドっていう名前で出たんですよ。
Takuya:お忍びで。
HAL:そしたらお客さんがキャンプファイヤーみたいに壁沿いに立ってて(笑)。でもまぁ、そうやって続けていけば、いろんなことが見えてくるかなって。
──恥をかかないと上手くなれないと思って、すぐに動けるのってすごいですよね。ある程度キャリアを重ねると、下手なことができなくなって、動きにくくなりそうなものですけど。
HAL:ああ。そういう人のほうが多いかもしれないですね。特に大きく動いているグループとかになってくると、周りが根回しみたいなことをして、大きく見せていくのも大事だったりするし。でもなんか、もっとリアルなことをやりたいなっていうのがやっぱりあったから。ここは誰にも制限されているわけじゃないから、全部自分達で作っていくんだっていう。そのためにはそういう経験もしていかなきゃいけないと思っていたし、そこはそんなにリスクだと思ってなかった。
HAL / Rest of Childhood
──実際に初めてのバンドをスタートさせてみていかがです?
HAL:うーん……まだわかんないかな。バンドっていいなっていうのはすごく思うけど。u:zoがメンバーに入ってから、わりと腹を決めて、ここからデカくなろうと思って。今まではわりとマイペースにやってたんですよ。知ってくれている人だけ来てくれればいいやみたいな感じだったけど、次の階段を登って、大きいところに行きたいなって。大きいっていうのは、大きい会場でやりたいとかではなくて、大きく感じられるような存在っていうか……なんか、スタジオに入って音を出していると、景色が見えるんですよ。u:zoが入ってからは、ZEPPのステージでやっているような感覚でリハをしているから、となるとZEPPでやるべきだなって。そのために必要なことはなんだろうって考えるようになった感じですね。
──u:zoさんとしては、最初はゲストで参加して、加入を決めてからここまでどんなことを感じています?
u:zo:最初に2人と一緒にやるだろうなって実感したのは、それこそ最初に呼んでもらった12月のライヴのリハに入ったときがすごくよかったんですよ。リズムとの相性とか、HALの人柄とか。あと、俺としてもずっと日本語のロックがやりたかったんですよね。だから、もし入れるなら入りたいと思っていたけど、それは俺から言うことじゃないなと思ったし、話が出たらふたつ返事でOKしようっていう気持ちではいました。で、そこから何回かサポートしたんですけど、これ、いつ入れるんだろうな……って(笑)。
u:zo / Rest of Childhood
──そわそわしますよね(笑)。
u:zo:リハの後に、今ってどんな感じなの?って聞いたりとかね(笑)。そこからバンドに入って、レコーディングにしても曲作りにしても、全員が自分の意見をハッキリ言うし、言えるバンドなんですよ。
HAL:曲作りとかも楽しくて。2日間プリプロをして10曲ぐらい作ったんですけど、とりあえず一回全部やってみるんです。やる前から、“いや、それはないでしょ?”って言うこともなく。
u:zo:それってバンドをやる上ですごく大事なことなんですよ。こういうの弾いてみてよって言われたときに、いや、俺がベーシストだから俺が決めるよって思いながらやっている人もいるだろうけど、俺は全然そういう感覚はなくて。それをみんなも同じように思っているから、これは長く続けられるバンドだなって思いました。
HAL:u:zoはエフェクターがすごいのよ。持ってる数もすごくて。だから、YouTubeとかで、u:zoがエフェクターを追い求める映像とか、そういうのも見たいんだよね。
u:zo:あと、HALが持っているアンプを最大限活かしたいと思って、ずっとマーシャルの使い方を調べてて(笑)。
HAL:僕、その辺は全然わかんないから、全部u:zoに任せようと思って。でもやっぱすごい変わるね。耳で聴く感じというよりは、身体が喜んでる感じがする。
u:zo:ギターの触り心地も大事じゃないですか。気持ちよく触れると、音も気持ちよく出せるっていう。それでHALがいない間にギターをいろいろイジって(笑)。
HAL:何をしたのかはわからないんだけど、なんか違うなっていうのはわかるし、なんか気持ちいいなっていうのもわかる。あと、この前のレコーディングからジャズマスターを使ったんですよ。それがめっちゃよくて。
takuya / Rest of Childhood
Takuya:u:zoが私物のギターを持ってきてくれたんですよ。それを試したりとか。
HAL:「Windmill」でも使ってるよね?
u:zo:……ちょっと入ってるか。いっぱい使いすぎてわかんないね(笑)。ストラトも入れたし。俺、結構チャレンジした音作りをしちゃうんですけど、2人ともいいじゃん!って言ってくれるから、ギターのレコーディングでベースのアンプとか使っちゃってるんですよ。
HAL:あと、タバコのケースみたいなやつで録ったんですよ。缶みたいな。
Takuya:スモーキーアンプね。
HAL:それを閉じたり開いたりして。
u:zo:ワウみたいに使って。なんか、QUEENのドキュメンタリーみたいな感じですよ。あの人たちもいろんなチャレンジしてたから。
──いいですね、めちゃめちゃ楽しみながらバンドをやっているのが。
u:zo:仕事!って感じではできないことをしてますね。
Takuya:みんなナチュラルにやれてるし、すごく贅沢にお金も時間も使えるんですよ。どこかの会社の予算を借りてやっているわけじゃなくて、自分たちがやりたくてやっているから。
HAL:そこはデカいよね。安いスタジオ探すの得意になったし。意外とそういうところにいい出会いがあったりするんですよ。そのスタジオがめっちゃよかったりとか。
Takuya:そうやって頭と脚を使ってるのは、バンドって感じしますね。マネージャーもいないし、自分らで曲の卵を出して、こういうのやってみようっていうところから始めて。よく大御所の人で、アルバム1枚作るのに2年かかったみたいなことってあるけど、そういうタイム感になるかもしれないです。今はこの曲を進めているんだけど、もう1曲新しいやつができたからそっちをやろう!みたいな。
HAL:そんなことしてどうやって食っていくんだっていうね(笑)。
Takuya:ほんとだよ!(笑)
HAL:その方法を今探してます。どうしようかなって。
Rest of Childhood
──すでに楽曲はかなり制作されているようですが、新体制一発目のシングルを「Windmill」に選んだ理由というと?
HAL:そこはu:zoが好きだって言ってくれたから。
u:zo:最初にアコギと歌だけが送られてきたんですけど、メロディが不思議な感じに聴こえたんですよね。いまはもう聴き慣れちゃったけど、なんかすげえいい曲だな、この曲好きだよって言っていて。元々は違う曲だったんだよね?
Takuya:そうそう。他にこれだ!っていう曲があって。
u:zo:でも、HALが“u:zoが好きならこの曲がいいんじゃない?”って。
HAL:うん、そういう曲のほうがいいかなって。
──加入発表のタイミングで、新メンバー本人の好きな曲を出すというのは、確かにいいですね。
Takuya:あと、(ベースの)ブゥーーン!から始まってるから(笑)。
HAL:そうそう。ベースから始まる曲にしたかったっていうのはあったんですよ。
Takuya:別の曲もベースをフィーチャーしていたし、あとはやっぱりこの曲は良いベースソロも録れたから、そこもいいよねって。僕らが3年間やってきた中でのアイデアも入っているし。「Windmill」の原型は、1年以上前からあったんですよ。
HAL:去年の3月にツアーをする予定だったんですけど、コロナで飛んじゃって、そのときに作った曲で。だから、ストレートに言い過ぎるとトゲがあるんだけど、言いたいことをオブラートに包んだTakuyaスタイルのロックっていう感じですね。コロナのこととか、政治へ向けたメッセージとか、あとは亡くなってしまった人に向けてのこととか、そういうメッセージがあって。だけど、今はちょっとずつ兆しが見えてきたから、ここで風を起こしてやろうっていう。
──嘆きや怒りや哀悼はありつつも、聴いている人を救えるような自分でありたいと歌っていますよね。
HAL:そうですね。ポジティブに終わりたかったので。Takuyaもu:zoも、僕もそうですけど、一回ドーン!って落ちた経験が自分を強くしてくれることってあるんですよ。だから、落ちても止まっちゃダメだなって。進み続けると、そこでまた手を差し伸べてくれる人と出会えたりするので。だから、下を向かないっていうのは超大事ですよね。僕らもツアーが何本も飛んじゃったけど、ずっと続けてきたのはすごく強いなと思うし。
Takuya:ツアーがコロナで飛んで、ベーシストもいなくなって、HALが弾き語りでひとりでライヴをやったりしてな?
HAL:やったね。で、タクちゃんがチケットのもぎりをしてくれて。
Takuya:あと定点カメラね。ステージはHAL、外は俺っていう。
HAL:僕ひとりで2回やって、3回目にRest of Childhoodでアコースティックライヴをやったんですよ。ゲストを呼んで。
Takuya:ピアノとバイオリンを入れて。あれはおもしろかったな。
HAL:おもしろかった。だからいろいろあったけど、流れを止めずにやってこれたし、発見も多かったです。いろんな人と関われたから。あと、幸せなことに、一緒に何かをやりたいと言ってくれる人がどんどん増えてきているから、それはすごく嬉しいですよね。
Rest of Childhood
──これもそもそもの話なんですが、やるならスリーピースがいいという話もあったんですか?
HAL:そこは特にこだわっていたわけではないけど、僕はスリーピースバンドが好きですね。逃げ場のない感じがいい。ただ、やってみて思ったのは、もうひとりギター入れたい(笑)。そこはタクちゃんにも言ってたけど、3人がいいみたいで。
Takuya:俺はそうですね。Green Dayが好きなんで。
HAL:これってギターボーカルあるあるなのかな。もうひとりギターを入れたいっていうの。
u:zo:うん、あるある(笑)。スリーピースって、まあ4人でもいいんだけど、ギター、ベース、ボーカル、ドラムって、みんな役割が違うじゃないですか。だから、ひとつひとつの音がデカくなるんですよね。その分、ひとりひとりの責任もデカくなるんだけど、そこで生々しい感じが出てくるから。ロックで音がデカいことって大事じゃないですか。そういう意味でも、スリーピースってめちゃめちゃかっこいいなって。
HAL:でも、u:zoが言ってくれて気持ちがラクになったのが、スピード感がある曲で、ギターを刻みながら歌うときとかは、もうギターは弾かなくていいよって。そこはベースでカバーできるからって。
u:zo:そこがベーシストの役割だからね。そこはこっちでやるから、心配せずに好きなことやってよって。
HAL:そうそう。それですごくラクになった。で、そう言われると弾きたくなる。
u:zo:ははははははははは!
Takuya:天邪鬼だ(笑)。
HAL:でもなんかわかるでしょ? そういうメンタリティって。
──わかります(笑)。それと、お互いの考え方が素敵だと思いました。支えるから好きにやっていいよっていうことも、支えてくれることをわかった上で弾いてみようと思えることも。そういう関係っていいなって。
HAL:ああ。確かにそうかも。
Takuya:正直言うと、第1期のときは僕も(ギタリストを)入れたい派だったんですよ。やっぱりHALはギター始めたばっかりだったから。SCHONが見てくれてはいるけど。
HAL:SCHONは弾いてくれないしね。
Takuya:そうそう。俺が弾いちゃうと(HALが)練習サボっちゃうからって。だから俺は弾きません。でも、やり方は教えますって。
HAL:で、映像を送ってくれて、それを観ながら練習して。俺がいつか“ギターうまいね”って言われたら、それは全部SCHONのおかげです。俺のギターはSCHONのコピーなんで。
u:zo:俺、驚いたんですよ。音源を聴いたときに、HALとSCHONが弾いてると思ってたけど、全部HALが弾いてたから。
HAL:俺が弾けるまでずっとSCHONが目の前で見てたよ。“もう1回、もう1回”って。そのおかげですよ、ほんとに。
Takuya:それを経てのこの3人での第2期だから、よりトリオで大丈夫っていう気はしてる。
Rest of Childhood
──これからこの3人でどんな活動をしていきたいですか?
HAL:僕はこのバンドだけでミュージシャンとして生活が成立するようにしたいと思ってます。Takuyaもu:zoも、その家族も含めて全員食わせてやる!みたいな(笑)。だから、こういうプロモーションもガンガンやろうと思ってるし。
Takuya:ビッグダディやな。
u:zo:なんか急に怪しくなってきた(笑)。
HAL:でも、ようやくそういう気持ちになってきたかな。別に僕だけがバンドを支えているわけじゃないけど、自分にできることって何だろうなって。ただステージの真ん中にいるだけじゃなくてね。今まで培ってきたものとかもあるし。だから、今まで知り合った関係各社に、音源送りまくってる(笑)。
Takuya:立派な営業・商談だよね。
u:zo:これまでのキャリアを使って。
HAL:トップダウンで(笑)。結構前向きな話ももらっていたりするんですよ。でも、やっぱりメンバーの意見が大事だから。誰かひとりでもやりたくないと言ったら、それはやらない。
u:zo:どんな若いバンドでも、俺らみたいな中堅に入ったバンドでも、大御所のバンドでも、やっぱり音楽をやっている以上、ひとりでも多くの人に聴いてもらいたいっていう気持ちは変わらないんですよ。とにかく聴いてもらいたいし、好きか嫌いか判断してもらいたい。そこに繋がるために今できることをしていけば、これもできる、あれもできるって変わっていくと思うんで。まずは聴いてもらうっていうことが一番ですね。
──Takuyaさんはいかがです? リーダーでもあるわけですけど。
Takuya:みんなで練ったプランを整頓するのが僕の役目なんですけど、まあ、あとは金勘定ね(笑)。
u:zo:ここ2人は絶対にできないもんね?
HAL:無理。
Takuya:でも、この3人でいるときの楽しい感じというか、空気の良さが人を惹きつけるんじゃないかなと思っていて。おこがましいですけど、それをシェアしたいんですよ。楽しいものはみんなでもっと楽しみたいっていうか。ライヴを一回やるにしても、もっとみんなで楽しみたい。こそこそやっていたらもったないから。そういう気持ちがあるので、まずは知ってもらえたら嬉しいですね。あとは、僕が最初にHALくんの歌を聴いて、“めっちゃええ声”と思ったように、たとえば、ラジオからRest of Childhoodの曲が流れてきて、“これ誰の声!?”って。そういう瞬間をプロデュースしていけたらなと思ってます。
HAL:あと、僕らファンクラブがあるんですけど、このコロナの期間に入っても全然(会員が)減ってないんですよ。ライヴとかほとんど動けていないのに。そういうコアなファンっていうのはすごくありがたいというかね。ここから夢を叶えていく姿を一緒に共有してもらいたい人たちだなって、すごく思いますね。
Rest of Childhood
──今後の活動も楽しみにしてます。最後に、YORKE.さんがHALさんに改名されたこともお聞きしていいですか?
HAL:これまでYORKE.っていう名前でアートを作ってきたから、バンドをやるときは表記を小文字にしてみたりとかしたんだけど、YORKE.って元々はあだ名なんですよ。自分で名乗り始めたわけじゃなくて。でも、そう呼ばれるようになって、クレジットにYORKE.という名前が入る仕事も増えていって。でも、Rest of Childhoodをやっているときに、違和感というかギャップが出てきたんですよ。ここでYORKE.の意識では仕事してないなって。
──ああ、なるほどなるほど。
HAL:で、去年の終わりぐらいとか今年の初めぐらいに、名前を変えようかなってなんとなく思い始めて、Takuyaに打ち明けたのが今年の7月とか8月ぐらいだったかな。実は名前を変えようと思ってるんだけどって。最初はうーん……って感じだったけど、変えるって決めちゃってる雰囲気を出しまくってたから(笑)。
Takuya:そうそう(笑)。
──ここではペインターではなく、ギターボーカルだから、HALでいきたいと。
u:zo:確かにそうだよね。ペインターとミュージシャンで脳が分かれていると、そういう感じになるよね。
HAL:そうそう。分け方が難しかったんですよ。なんか、YORKE.でインタビューを受けるときって、俺、超態度悪いんですよ。なんかもうこういう感じなんで。
──サングラスをかけて、足を組んで、椅子にふんぞりかえっていると(笑)。
HAL:歌詞は言葉だから自分が何を考えているのか全部バレるし、その裏側の意味まで知ってほしいから話すんだけど、絵に関しては真逆なんですよ。たとえば、赤いペンキを使ったら、それを血と見る人もいれば、トマトに感じる人もいるし、そのどっちもが答えなんだっていう余白を持っていないといけないんですよね。だからインタビューを受けるときも、あんまり探られたくないからサングラスを外さないし。まぁ、インタビュー終わった後に全部バレるんですけどね(笑)。
u:zo:実はこういう人なんです、みたいな(笑)。
HAL:そうそう(笑)。でも、ここでは全部しゃべったほうがおもしろいというか、伝えたいんですよ。それで名前を変えたんですけど、一番驚いたのが、最初にファンクラブで話したんです。フライングで。自分で言うのも恥ずかしかったから、チャット(文字)で送ったんですよ。そしたらみんな急に“HALくん”呼び。でも違和感なさそうだからいいかって。
──そういう理由からの改名だったんですね。確かに切り替えるためにも変えたほうがいいですね。
HAL:そういう意味では、周りから呼ばれていたあだ名でやってきたけど、こうやって自分から名乗るのは初めてだから、気持ちいいと言えば気持ちいいかも。なんか、“YORKE.さん”って感じじゃん。自分としてもそういう感じがあるんですよ。YORKE.さんでいなきゃって。でも、HALだったら、HALくんでもHALでもいいし。ナチュラルな自分でいられるから変な肩の力が抜けました。
取材・文=山口哲生 Photo by菊池貴裕