有観客での開催は2年ぶりとなった「ANIMAX MUSIX 2021」が2021年11月20日(土)に神奈川県 横浜アリーナで行われた。今年は、ANIMAX MUSIX史上初となる1日2公演ということで、まるで昨今の情勢で開催できなかった昨年度の鬱憤を晴らすかのごとく、超強力にパワーアップした形での開催に胸を躍らせたファンも多かったことだろう。Part1、Part2と分けられた本公演には合わせて全19組もの旬なアーティストらが集まり、まさにアニソン界の一大祭りであることは明らかだ。今回はそんな熱気あふれるPart1の様子をレポートする。
10時開場、11時開演と普通のライブではちょっと早いかなと感じる時間帯だが、2年ぶりの有観客でのANIMAX MUSIXが今年も開幕した。そんな開場時間と共に生配信も封が切られ、開演までの1時間弱をニッポン放送アナウンサーのよっぴーこと吉田尚記氏が開演間もないバックルームの様子をリポートしてくれていたのも、本公演ならでは。段々とステージ裏へと近づいていく様子が配信では届けられ、その間も今か今かと開演を待つ会場の様子が映し出されたりと、その熱気は画面越しからも伝わってくる。
時間も差し迫り吉田アナウンサーがステージ上へと姿を表すと「皆さん、準備はよろしいですか?ANIMAX MUSIX 2021、開幕です!」と開会を宣言。大きなミラーボールが頭上から降りてくると会場はレーザーの光が飛び交い、やがてミラーボールへとその光が集まり、眩いばかりの輝きを放つ。
10カウントで始まるカウントダウン映像がオーロラビジョンに映し出されると、出演アーティストが1人ずつ紹介され、まるで音楽番組のように階段を降りてステージへと姿を現す。Part1には伊藤美来、オーイシマサヨシ、大橋彩香、芹澤 優 with DJ KOO & MOTSU、高槻かなこ、東山奈央、南條愛乃、PENGUIN RESEARCH、Poppin’Partyら9組が出演し、その豪華な顔ぶれが舞台上に集結すると、会場のボルテージは嫌が応にも上がる。
大橋彩香
まずトップバッターを切った大橋彩香は TVアニメ『魔法少女 俺』主題歌の「NOISY LOVE POWER☆」からライブをスタートさせる。続く「HOWL」は DECO*27が提供のロックナンバーで、観客のテンションを一気に叩き起こしていった。
続いて登場したのは芹澤優 with DJ KOO & MOTSU。もちろん1曲目はTVアニメ『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω』の「EVERYBODY! EVERYBODY!」で、のっけからバイブスはアゲアゲだ。続いて同アニメのEDで、同シングルのカップリングでもある「YOUYOUYOU」は芹澤の名前にちなみつつ、motsuやDJ KOOが合いの手を入れるようにラップしていく展開が非常にライブらしくて楽しい。
SNSなどで事前に募集していた人気投票で選ばれた楽曲を豪華アーティストにカヴァーしてもらったり、なかなかお目にかかれない組み合わせでのコラボレーションが見られるのもANIMAX MUSIXの魅力のひとつ。そんな”FAN SELECTION”のコーナーから、まず最初に披露されたのは伊藤美来がカヴァーするMachicoの「コレカラ」。自身がEDテーマを務めていたTVアニメ『りゅうおうのおしごと!』のOPテーマでもあり、レーベルメイトという繋がりもある選曲だ。
伊藤美来&オーイシマサヨシ
さらに舞台上に黒いサングラスと派手なジャケットでキメたオーイシマサヨシが姿を表すと、TVアニメ『かぐや様は告らせたい?~天才たちの恋愛頭脳戦~』OP主題歌の『DADDY ! DADDY ! DO !』を伊藤美来とのコラボでカヴァー。さらに大橋彩香×PENGUIN RESEARCHの組み合わせでTVアニメ『灼眼のシャナII』の「JOINT」をカヴァーすると、まさかの選曲に会場のペンライトも激しく揺れ動く様子がハッキリと分かった。
続いて、ステージ上にはそのままPENGUIN RESEARCHが残り、TVアニメ『ゾイドワイルド』の「決闘」、さらにゲーム『バンドやろうぜ!』から「近日公開第二章」をアツくシャウトし、高めのボルテージでライブを繋いでいく。
4年ぶり2度目の出演となった東山奈央は新曲の衣装で登場すると、2ndアルバム『群青インフィニティ』から同名のリードナンバーを披露。イントロで「ウォー!ウォー!ウォー!ウォー!」と声を出せないのがツラく感じさせるほどにテンションが高まったところで、2曲目はそんな新曲、TVアニメ『異世界食堂2』の「冷めない魔法」の優しい歌声で会場を包み込んでいった。
休養期間を経て11月から活動を再開したばかりの高槻かなこが元気な姿を表すと、TVアニメ『100万の命の上に俺は立っている』2期の「Subversive」と1期の「Anti world」を続けて披露し、笑顔いっぱいのステージで復活を果たした。
南條愛乃
また今回のANIMAX MUSIXでは、来年1月に放送開始10周年を迎えるTVアニメ「戦姫絶唱シンフォギア」の特集コーナーが組まれ、スペシャルカヴァー&コラボ楽曲が披露された。同シリーズに声優として出演していた南條愛乃が水樹奈々の「Synchrogazer」をカヴァーすると、オーイシマサヨシ×芹澤 優の組み合わせで「RADIANT FORCE」のコラボレーション。最後に東山奈央が「烈槍・ガングニール」で持ち前の歌唱力を披露すると、ステージは後半戦へ突入。
続いて陽気な挨拶で飛び出したのは「アニソン界のおしゃべりクソ眼鏡」ことオーイシマサヨシ。TVアニメ『SSSS.DYNAZENON』より「インパーフェクト」、TVアニメ『ドラゴン、家を買う』より「ロールプレイング」の2曲を情緒たっぷりに披露し後半戦をスタートさせた。
ここで、DJ和によるアニソンDJタイムが設けられた。王道のアニソンからちょっとマニアックなキャラソンまで、1コーラスで次々と曲を繋いでいき、またその間でMCも挟みつつ……なんとも忙しい手元とその手際の良さに見とれているとあっという間に次のアーティストへ。
続いて登場した南條愛乃はアニメ『グリザイア:ファントムトリガー THE ANIMATION スターゲイザー』EDテーマの「涙流るるまま」でしっとりとスタートさせると、今期話題沸騰のTVアニメ『進化の実 ~知らないうちに勝ち組人生~』から「EVOLUTiON:」を歌唱し、最新ナンバーに会場はわき上がった。
Part1最後の企画コーナーは「ROBOT ANIME SELECTION」と題して、各アーティストが様々なロボットアニメの主題歌をカヴァーしていった。まずはアニソンカヴァーEPもリリースするほどの実力派の高槻かなこがTVアニメ『ラーゼフォン』の「ヘミソフィア」を披露すると、Poppin’ PartyがTVアニメ『天元突破グレンラガン』の「空色デイズ」をカヴァーし、。
午前中のトリを務めたのはバンドリ!より登場したPoppin’ Partyだ。「ときめきエクスペリエンス!」といったお馴染みの楽曲から「Moonlight Walk 」「Live Beyond!!」など、3曲が披露された。この日はソロでの出演のみならず、ポピパメンバーとしても登場した大橋彩香は、特にその鮮やかなドラムさばきも披露し、パワフルなステージングを見せてくれていた。
最後にPart1の出演アーティストが全員集合し、TV放送開始から22年を超えた人気アニメ『ONE PIECE』の「Believe」を大合唱。このアニメソングの大祭典のラストにふさわしい1曲で3時間弱のステージを締めくくった。この日はANIMAX MUSIX史上初となる、1日2公演が行われるため、そんな余韻に浸る間もなく、次の宴が始まるのだった。
レポート・文:前田勇介