左から、アンセル・エルゴート、コリー・ストール、レイチェル・ゼグラー、ジョシュ・アンドレス・リベラ、スティーブン・スピルバーグ、マイク・ファイスト、リタ・モレノ、ブライアン・ダーシー・ジェームズ、アリアナ・デ・ボーズ、デヴィッド・アルヴァレス
世代を超えて人々を魅了し続ける伝説のミュージカルを、巨匠スティーブン・スピルバーグが映画化した『ウエスト・サイド・ストーリー』が、2022年2月11日(祝・金)に公開される。このたび、アメリカでの公開を目前に控えた現地時間2021年11 月29 日(月)(※日本時間11 月30 日(火))、物語の舞台にもなった聖地ニューヨーク・ウエストサイドにて、ワールドプレミアが開催された。
これまでハリウッドで歴史を作り続けてきたスティーブン・スピルバーグ監督をはじめ、主人公トニーを演じた『ベイビー・ドライバー』のアンセル・エルゴートや、約3 万人が参加したオーディションで見事マリアに抜擢されたレイチェル・ゼグラーのほか、61 年版『ウエスト・サイド・物語』でアニータを演じ、アカデミー賞助演女優賞に輝いたリタ・モレノなど、超豪華キャスト&スタッフ陣が集結した。
スピルバーグ監督、アンセル・エルゴート
スピルバーグ監督、レイチェル・ゼグラー
スピルバーグ監督、リタ・モレノ
また、本プレミアは11月26日に逝去したミュージカル界の巨匠スティーブン・ソンドハイムに哀悼の意を表したワールドプレミアとなった。
ソンドハイムは1957 年に初演を迎えたミュージカル『ウエスト・サイド物語』で作詞を務め、60 年以上経た本作の音楽面でも欠かせない存在であった。ソンドハイムは完成した『ウエスト・サイド・ストーリー』を既に鑑賞しており、「素晴らしい作品でした。本当に幸せな時間を過ごせますので是非皆様劇場に足を運んでください。全体に輝きとエネルギーがあり、新鮮に感じられます。スティーブン・スピルバーグ監督と脚本を担当したトニー・クシュナーは本当に作品を完璧に仕上げてくれました」と本作への言葉を残している。
スピルバーグ監督はソンドハイムの訃報に対し、「ソンドハイムは、アメリカで最も偉大なソングライターの一人であり、天才的な作詞家・作曲家であり、これまでも最も輝かしいミュージカルドラマをいくつも生み出した、アメリカ文化における偉大な人物です。彼がいなくなるのはとても寂しいですが、彼は私たちに、愛することがどれほど偉大で必要なことなのかを教えてくれる作品群を残してくれましたし、これからも教えてくれるでしょう」とコメントを発表している。
劇中で夢や成功を求め若者たちが縄張り争いを繰り広げた、まさに『ウエスト・サイド・ストーリー』の聖地ともいえるその場所で開催されたワールドプレミア。ウエスト・サイドの街並みをイメージしたレンガ調の壁と、劇中でトニーとマリアが名曲「Tonight」を披露する非常階段が設置され、本作の世界観が演出された会場に豪華キャスト&スタッフが続々とレッドカーペットに集結した。
本作を自身の手で映画化することを願ってきたスピルバーグ監督は「これは僕が生涯ずっとやりたいことだったんだ。何十年間にも渡って、人々が愛し続けてきたこの楽曲を、僕たちの映画でも気に入ってくれるといいなと願っているよ」と熱い想いを語った。
トニー役のアンセルは本作の見どころについて「『Tonight』を歌うところさ!あのシーンが僕は大好きなんだ。レイチェルの歌声は本当に信じられないほど素晴らしい」と語り、レイチェルを絶賛。さらに日本が大好きだということで「こんにちは!アンセル・エルゴートです。トニー役です。『ウエスト・サイド・ストーリー』間もなく公開されます。是非観てください!」と流ちょうな日本語でファンへのコメントを語った。
そしてマリア役のレイチェルはゴージャスなベージュのドレス姿で登場し、「ミュージカルは私にとってとても重要なの。スティーブン・ソンドハイムがミュージカルの素晴らしさを教えてくれました」と、ソンドハイムとの思い出を語った。
その他にも、61 年版『ウエスト・サイド物語』にも出演し、本作ではバレンティーナ役で舞い戻ってきたリタ・モレノ、プエルトリコ系移民の〈シャークス〉のリーダーを演じたベルナルド役のデヴィット・アルヴァレス、ベルナルドの恋人アニータ役のアリアナ・デボーズ、ポーランド系移民の〈ジェッツ〉のリーダーとなるリフ役のマイク・ファイストなど豪華キャスト陣が登場し、聖地となるニューヨークで、伝説のミュージカルに相応しい大盛況のプレミアイベントとなった。
スティーブン・ソンドハイム追悼コメント
ジャスティン・ペック(振付師)
この作品はソンドハイム氏の初期の大きな作品のひとつで、その当時まだお若かった彼がその才能を注ぎ込んだ作品です。彼はこの『ウエスト・サイド・ストーリー』の制作過程にも非常に献身的で、しばしばセットを訪れたり、リハーサルを見に来たりしていました。この作品の元々の創作活動の過程や内容そのものに関して、私たちに多くのことを語ってくれました。ソンドハイム氏は、物語の語り方や演出の方向性、そしてトニー・クシュナーが書いた素晴らしい脚本も指示してくれていました。そして彼から私が受け取った最後のメッセージは、私が受け取った数か月前の彼からの電子メールなのですが、そこには彼がどれほどこの映画に対して胸を躍らせているかが書かれていました。この作品をすごく誇りに思っているとも。そしてオリジナルの時にともにこの物語で仕事をした作曲家の方々を代表して、彼らも同じ思いでいるにちがいない、と仰ってくれて。そのメールを受け取ったこと自体が、私にとっては感動的な出来事でした。
聞きたかったのは、まさにこの言葉だったんだって、このことが聞けて本当に良かった、と私は感じました。あのスティーブン・ソンドハイム氏ですよ。でも、その彼が亡くなったタイミングということが、とても深く、重大で、深く喪に服すことも大事なのですが、同時に私たちに、芸術の力を示してくれていることを思い出させてくれました。芸術というものが、ある個人の人生を超えて、大きく鳴り響くものなのだということを思い出させてくれていると思います。スティーブン・ソンドハイム氏の作品が、これからも長く、長く生き続けるのだ、ということ。これから来る年月をどこまでも、どこまでも生き続ける。そういう作品を彼がこの世に残したことがとても美しいことで、皆のインスピレーションとなり、興味を掻き立ててくれることであり、私たちに人間性を理解することを促してくれて、前に進むことを促してくれていると思います。