広告・取材掲載

広告・取材掲載

UVERworld 「いい曲が生まれる予感しかない」絶好調なバンドの姿、『TAKUYA∞生誕祭』レポート

アーティスト

SPICE

UVERworld 撮影=森好弘

UVERworld 撮影=森好弘

UVERworld ARENA LIVE 2021~THE DAWN WILL BREAK~ ※TAKUYA∞生誕祭
2021.12.21 横浜アリーナ【夜公演】

ボーカル・TAKUYA∞の誕生日にあたる12月21日、UVERworldが横浜アリーナで『TAKUYA∞生誕祭』と題した毎年恒例のライブを開催した。日付が21日に変わる頃、オンラインで参加した約1,000人の男性ファンとこれもまた毎年恒例の10kmランニングを行い、体を仕上げたTAKUYA∞ら、UVERworldの6人は、それぞれに2時間超えの、もはや恒例と言ってもいい昼夜2公演を完遂。新型コロナウイルス感染拡大防止対策というさまざまな規制がある中においても、横浜アリーナが揺れるほど大きな熱狂を作り上げた。

ここではその夜公演の模様をレポートしたいと思うのだが、この日、筆者の中ではメンバー6人の熱演もさることながら、曲間の何気ないTAKUYA∞の言葉が特に印象に残ったのだった。

TAKUYA∞

TAKUYA∞

たとえば、5曲目の「AFTER LIFE」で観客がライトを点灯させたスマホを掲げ、歌詞の内容にふさわしいまばゆい景色を作ったとき、待ち受け画面が見えたことについて、「待ち受けがUVERworldじゃなかったらどうしよう? 他のバンドっぽかったらさっと目を逸らす(笑)」と言ってみたり、前述した10kmランニングにオンライン参加したファンの1人が30分43秒という驚異的な記録を出したことに本気で悔しがり(TAKUYA∞たちは47分だったそうだ)、「ふざけんな! マジで速い! それさえも誇りに思う」と称えつつ、「でも、速さじゃない。(ランニングを続ける)長さ、深さが大事なんだ」と負け惜しみも言ってみたり。さらには、ほぼ毎日、10kmのランニングを続けていることに対して、「健康のために走っているんじゃない。ダイエットのために走っているんじゃない。不安だから、夢を繋ぐためにできること全部やってるんだ」と本当なら隠していてもいい弱さを不意に曝け出したりするんだから、常に自分を律しながら、自らが信じる道を突き進んでいる、あのTAKUYA∞が!? そんなふうにちょっと面食らったからこそ印象に残ったのだが、同時にUVERworldが支持される理由は、こういうところなんだと筆者は改めて思い知らされたような気にもなったのだった。

克哉

克哉

この日の終盤、TAKUYA∞は「UVERworldが強気でいられるのは、あなたたちが支えてくれるから!」とファンに感謝したが、裏を返せば、弱気になることもあるということだろう。そういうところが人間臭いと言ったら陳腐に聞こえるかもしれないけれど、そこまで本音で語るのだから、その他の、UVERworldをよく知らない人には、もしかしたらかっこよすぎるように聞こえるかもしれない言葉も、心の底からそう信じているからこそ言っているのだと思えるではないか。

不安になる時も、弱気になる時もあるかもしれない。しかし、この6人でステージに立てば、強気でいられる。無敵だと思える。そんなことを思わせるUVERworldのライブから、観客が受け取るものがいかに大きいか。

そんな感動もあった2時間超の熱演。「ヨコハマ! ぶちかまそうぜ!」とTAKUYA∞が声を上げ、バンドは「Wizard CLUB」「stay on」「ODD FUTURE」と力強いリズムを持つ曲をたたみかけながら、序盤から一気に盛り上げていったが、生誕祭ということで、この日、セットリストを任されたTAKUYA∞が選んだのは、新旧の全20曲。

彰

「新曲を丁寧に聴かせることと、みんながやらないだろうと思ってる曲を入れることが俺の使命」というTAKUYA∞の言葉どおり、前半戦ではタイトにリズムを刻む楽器隊の5人が作り出す疾走感が心地いい、2007年発表の2ndアルバム『BUGRIGHT』収録のストレートなロックナンバー「EMPTY69」。さらに《ラフに行こうなんて言ったくせに結局は熱くなっちゃうね》と歌っているように、曲調とは裏腹の辛辣な歌詞が“らしい”と思わせる2010年発表の5thアルバム『LAST』収録のポップロックナンバー「ハイ!問題作」も飛び出した。

「(これからももちろん)懐かしい曲もやるよ。昔の曲をやらなくなるのは、曲が嫌いになったわけではなくて、新曲がかっこよすぎるんだよ! だからちょっとがまんして(笑)」

信人

信人

そんなTAKUYA∞の言葉どおり、この日、UVERworldは演奏した直後、TAKUYA∞が「うわぁ、くそかっこいい!」と感嘆の声を上げた「AVALANCHE」をはじめ、このライブの翌日にリリースする最新アルバム『30』から克哉(Gt)が弾いたエレアコギターの音色も印象的だったポップソングの「THUG LIFE」、中国に伝わるえくぼにまつわるロマンチックな伝説を歌ったバラード「えくぼ」、など、計7曲を披露。中でも、「『30』を作るとき、ファンから募集した“あなたにとってUVERworldとは?”という動画を見たとき、バンドをやめる理由はいくつもあるけど、やめない理由はもっと見つかると思った。声を出せるようになったとき、UVERworldが一番と言ってもらえるように真っ直ぐに音楽に向かっていきます」とTAKUYA∞が言ってから演奏した、《本当にこのメンバーに会えて良かったな》と歌うUVERworld賛歌「OUR ALWAYS」は、アンセミックなポップソングという曲調も相まって、これからバンドとファンの愛唱歌になっていきそうだ。

誠果

誠果

そして、6曲目の「AVALANCHE」からメインステージの中央にせり出した小さなステージで肩を寄せ合うように演奏していた6人がメインステージに戻ってからのラストスパートは、ラウドロック調のインストナンバー「Spreadown」でスタート。彰(Gt)、信人(Ba)、真太郎(Dr)、克哉、誠果(Sax)によるソロの応酬で、ぐっと盛り上げたところでTAKUYA∞が声をあげる!

「自由だった頃よりはるかに最高だ! 誰だよ、絶対ムリだ。以前みたいなライブはできないって言った奴は!?」

真太郎

真太郎

そこからグルーヴの大きなロックナンバー「NO.1」、「ヤバいの見せてやる!」(TAKUYA∞)とヨコノリのリズムで踊らせながら、パイロで煽った「Touch off」、UVERworld流のEDMナンバー「IMPACT」を、あらかじめアプリを使って収録した観客のシンガロングの声を響かせながら繋げると、レーザービームが飛び交う中、観客が両手を振りながらジャンプ! その光景を見ながら、「横アリ、揺れてるよ!」と快哉を叫んだTAKUYA∞は、さらにこう言った。

「すげえ! このためにバンドやってるよ。ホントに幸せ。ありがとう!」

そして、「不条理な世の中で、どんなイヤなことがあっても、悲しいことがあっても、許せないことがあっても、俺たちはミュージシャンだ。5分の曲に変えて、匍匐前進でも進み続けていこうと決めた。ニューアルバムの1曲目。ただ、聴いてほしい大切な曲が生まれました」とTAKUYA∞が曲に込めた思いを語ってから、この日のライブのクライマックスと言える「EN」を披露。

コロナ禍の中、今一度確信した自らの信条(それは少なくない人にとって真理なのだと思う)を、熱を込めて言葉にしていくTAKUYA∞の歌と、そんなTAKUYA∞をバックアップするようにメンバーが重ねる《I’m gonna go go》というコーラスが胸を打つ。この日、TAKUYA∞が何気ない言葉とともに自らの弱さも曝け出したことを思い出してほしい。TAKUYA∞がどんな思いで「EN」を作ったかが窺えるではないか。

「この曲を、みんなで歌えるまであきらめないよ。絶対、歌おう!」(TAKUYA∞)

改めて前進を誓ったTAKUYA∞は、続けて「好かれたい、売れたい、多くの人に聴いて欲しいと考えたこともあったけど、これからはやりたいことしかやらない。かっこいいことしかやらない。あなたたちに愛されることしかやらない!」と宣言。観客を沸かせたのだが、そこに「そんなかっこいい生き方してたら、UVERworldに興味なかった人たちも俺たちのことを好きなっちゃうよ!(笑)」と付け加える強気とも言える茶目っ気もまた、TAKUYA∞の魅力なのだった。

そして、「今の俺たちを象徴する曲」(TAKUYA∞)と最後に『30』からリズミカルなロックナンバー「One Stroke for freedom」を披露して、2時間超えの熱演を締めくくると、『30』を作り上げたばかりにもかかわらず、「UVERworld、マジで調子いい。空気がいい。いい曲が生まれる予感しかない」と心の声が漏れるようにダメ押しでバンドの絶好調をアピールしたのだった。

取材・文=山口智男 撮影=森好弘

 

関連タグ

関連タグはありません