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『RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM』オフィシャルレポートーー[Alexandros]、ユニゾン、フレデリックらが放った特大ホームラン

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『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM』

『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM』

FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM 2021.12.27(MON)京セラドーム大阪

12月27日(月)前半レポートはこちら

■フレデリック

フレデリック 撮影=渡邉一生

フレデリック 撮影=渡邉一生

『RADIO CRAZY』3日目も、フレデリックでいよいよ折り返し地点へと突入! 「『RADIO CRAZY』35分1本勝負、最高の思い出にしましょう、よろしくお願いいたします!」と、三原健司(Vo.Gt、以下同)の開幕宣言を経て、まず1曲目は「名悪役」。ボトムを強靭に支える高橋武(Dr)のドラミングでソリッドなフレーズを際立たせていく中、レーザービームの乱舞が視覚からもテンションを上げる「KITAKU BEATS」、和田アキ子への提供曲「YONA YONA DANCE」へとつないでいく。TikTokでの総再生回数が4億回を突破した2021年を代表する1曲とあって、一際高い求心力で大観衆を圧倒していく。

「(京セラドーム大阪は)ジャンプが禁止だと聞きました。僕はルールをしっかり守る男です。しかし欲求は止められない。ジャンピング禁止だから避けるのではなく、ジャンプしたくなるぐらい踊れる曲を後半に持ってきましたので、楽しんでくださいね」

フレデリック

フレデリック

表現こそ穏やかだが、その言葉にはライブ巧者たる自信が満ちており、続く「Wake Me Up」ではシニカルな表情から一気に昇り詰める快感に、脳内麻薬が止まらない! 三原康司(Ba)は極太のベースリフで先導し、ハンドマイクに持ち替えステージを駆け回る健司は「勝ちに来ました! 勝利しました!」と、何度も絶叫。赤頭隆児(Gt)のカッティングを呼び水にした「シンセンス」を経て、続いてはお楽しみのコラボレーションに。「大好きな友達を招いて盛り上げてもいいですかね、大阪!」と須田景凪を呼び込み、両者がタッグを組んだ「ANSWER」をぶっ放す! 須田と健司のエモーションたっぷりの歌声が重なり合い、各々のボーカリストとして存在感も改めて感じさせてくれる。

フレデリック

フレデリック

ところでこの日、健司が何度も口にした「勝利」のキーワード。そう、ここ京セラドーム大阪を本拠地とするオリックス・バファローズが勝利の旗印として流す曲が「オドループ」なのは広く知られるところ。ラストはもちろん同曲で大団円へ……と思ったら、急にストップをかける健司。

「いつもならこの盛り上がりで十分かもしれないけど、今日はこれでは帰れません。あなたの元気、全部もらっていいですかね!? 今日は勝ちに来ました! 後のこと考えとったらあかんで京セラドーム。ここで全部出して!」

フレデリック

フレデリック

そう仕切り直して生まれるグルーヴの凄まじさたるや! 予定調和は一切なしの35分1本勝負、間違いなく勝利のコールはフレデリックに向けられたひとときだった。

■go!go!vanillas

go!go!vanillas 撮影=井上嘉和

go!go!vanillas 撮影=井上嘉和

リハーサルの段階から、「カウンターアクション」「No.999」と惜しげもなくキラーチューンを放出し、クラップの練習まで仕掛けたのは次なるgo!go!vanillasだ。牧達弥(Vo.Gt)の咆哮から直結しての1曲目は「one shot kill」。地鳴りの如く迫りくる鮮烈なヘヴィネスに、これまでのバニラズ像を自ら蹴り飛ばすようなオープニングにシビれつつ、「クライベイビー」では打って変わっての温かみあるアンサンブルを湧出していく彼ら。牧と柳沢進太郎(Gt)が向かい合って弾き倒すシーンもハイライトにしながら、「お子さまプレート」ではさらなるグッドバイブスを生み出し、満面のスマイルをたたえた牧が口を開く。

go!go!vanillas

go!go!vanillas

「楽しんでますか、京セラドーム! まさか、ライブで京セラドームなんて言う日がくるとはね。広過ぎて後ろの方が見えにくいんですけど、いいことを思いつきました。後ろからも存在を見せつけてほしいのでスマホのライトをこちらに向けてもらえますか?」(牧、以下同)

と次々客席から点灯する光で、広大なドームの中はまるで夜空のよう。「ここに一つの銀河が生まれたよー!」と4人も興奮の様子で、声が出せずともつながる方法をどのバンドも模索している中、トライアルを繰り返す道程すらも彼らは何とも楽しそうだ。

go!go!vanillas

go!go!vanillas

「いろいろ苦しいときもありましたし、みんなもその時期を分かち合っていると思います。苦しかった分大丈夫だ! と、そんな思いをみんなに届けにやって参りました。僕の愛するラジオ局、FM802は電波を使ってみんなのもとへバニラズの音楽を届けてくれた。だからこうやって出会えた人がたくさんいるでしょう。そんな奇跡のような1日をこの曲で表現します」

go!go!vanillas

go!go!vanillas

そう促したのは、新たなアンセム「LIFE IS BEAUTIFUL」だ。牧のアコギがこの上なくハートフルで、人生を讃えるハピネスがこの曲には一際凝縮。さらに長谷川プリティ敬祐(Ba)の指揮により、ドーム全員が「EMAポーズ」を取れば、もちろん「エマ」への合図! さまざまなルールのもと、たくさんの制限があるステージだが、声が出せなくても、もみくちゃになれなくても、どこまでも朗らかにオーディエンスとつながることを諦めない彼ら。何度もピンチに直面してきた4人は、それでもバンドワゴンを走らせ続けてきた。

go!go!vanillas 

go!go!vanillas 

「照らしてもらってもいいかい!? この暗闇を照らす光をくれ!」と再びスマホの光が成す銀河がドームを彩ったのは「平成ペイン」! いつまでも消えることのない初期衝動を音に、リズムに、歌声に託し、ラストチューン「マジック」でロックンロールの魔法は最高潮に達した。リハ含め与えられた時間全てを観客との共鳴に使い果たしたgo!go!vanillasに、音楽の根源的な楽しさを教わる一幕となった。

■UNISON SQUARE GARDEN

UNISON SQUARE GARDEN 撮影=渡辺一生

UNISON SQUARE GARDEN 撮影=渡辺一生

幕間にはFM802のDJ「オチケン」こと落合健太郎が登壇し、「京セラドームの天井を突き破るようなアーティスト、圧倒的なライブバンドがこの後登場します!」と熱くコールし呼び込んだのは、UNISON SQUARE GARDENだ。静謐な青のライティングを背負い姿を現す3人。1曲目「さわれない歌」から、斎藤宏介(Vo.Gt)はブレのない伸びやかな歌声を空間いっぱいに満たしていく。明朗なギターソロでじわじわ高揚感を高めていき、京セラドームという場においても、そのスケールを軽々超えてくるポップネスはさすがと言うほかない。続く「桜のあと(all quartets lead to the?)」からは、田淵智也(Ba)のプレイも徐々に激しさを増していき、遠景からでも彼のアクションがギアを上げていく様子が手に取るようで、負けじと客席もクラップの嵐で応戦していく。「君の瞳に恋してない」では、鈴木貴雄(Dr)も立ち上がるほどの衝動をリズムに託すシーンが飛び出すも、一切煽ることなく、しかし実直なパフォーマンス一つ一つで温度を爆上げしていくさまは何とも圧巻だ。

UNISON SQUARE GARDEN

UNISON SQUARE GARDEN

続いてダイナミックなバンド・サウンドを極めた「Phantom Joke」、超絶グッドメロディの極上キラーチューン「オリオンをなぞる」を連続投下。一分の隙もなく走り続ける3人の、シンガーとして、またプレイヤーとしての地力は何と強靭なことだろう。斎藤が爽快なイントロを爪弾くや会場全体が歓喜でざわついた「シュガーソングとビターステップ」では、冒頭のオチケンの言葉どおり高揚感が天井を突き破るような勢いで、田淵はステージの端から端までステップを踏みながらグルーヴィーなリズムを弾き倒す。まばゆいライティングが3人のシルエットを大きく浮かび上がらせ、その姿の頼もしさといったら他にはないほど!

UNISON SQUARE GARDEN

UNISON SQUARE GARDEN

ラスト「フルカラープログラム」では、まるで弾ける弦の隙間や打ち鳴らされる衝撃に火花を見るか如く音塊を放ち合う3人。演者がここまでエモーションをぶつけてくれるなら、フロアが盛り上がらないわけがない! 終盤、斎藤がマイクを外して歌唱する静謐なる刹那、一気にアンサンブルが爆発するそのジェットコースター的な緩急ある展開にも鳥肌が止まらない。

UNISON SQUARE GARDEN

UNISON SQUARE GARDEN

MCと言えるのは斎藤が発した「良いお年を」、そのたった一言のみ。鉄壁のセットリストを掲げストイックに音と向き合ったUNISON SQUARE GARDEN。この上ない剛腕ぶりに、客席は惜しみない拍手を送っていた。

■フジファブリック

フジファブリック 撮影=井上嘉和

フジファブリック 撮影=井上嘉和

晴れやかなボーカルを朗々と響かせた「Sugar!!」で、フジファブリックがトリ前の時間を大いに盛り上げる! 「大阪ー!!」と山内総一郎(Vo.Gt)も万感の表情をたたえ、センチメンタルな旋律がひた走る「Green Bird」では、丁寧に言葉を重ねる山内がサビでは聴く者の胸に迫りくるほどに絶唱。金澤ダイスケ(Key)と響かせるハーモニーが温かくも物悲しく、ドーム中に反響し合い降り注ぐ音色がじんわり染み入るような感覚に。

フジファブリック

フジファブリック

「みんな元気かい? ロック大忘年会、今日は最後まで楽しんでいきましょう!」(山内、以下同)と、続いては開放感いっぱいの「徒然モノクローム」へ。金澤が繰り出すニュアンス豊かなメロディに踊らずにはいられない。

「2年ぶりの『RADIO CRAZY』、今年最後のライブを大阪で迎えられて本当にうれしいです。僕らは京セラドームで演奏するのは初めてなんですけど、実はオリックス・バファローズの始球式をここでやったことがあって。ものすごく大きな山並みのボールしか投げられなかったんです(笑)。その時に感じたのは、「客席が遠いなーデケーなぁ、ここ」と。でも今日は皆さんのおかげですごく近い距離に感じます。本当にありがとう! 2021年もいろいろありましたが、光あふれる未来に願いを込めて精一杯演奏したいと思います」

フジファブリック

フジファブリック

そう水を向けると、全員で携帯電話のライトを付け、まさに光あふれる未来を創出した「光あれ」へと突入。多幸感いっぱいの音階に、加藤慎一(Ba)が爪弾く小粋なベースリフが躍動。山内が手を振れば客席が放つライトも揺れ、大観衆を難なく一つにしていく。<会えて嬉しかった 「大阪!」>と歌い変え、一層双方の絆が強まる確信を得ながら、「みんなの未来に光あれ!」と願うようにギターをかき鳴らす山内。一転して艶やかなミドルチューン「楽園」では、全員の声が積み重なるサビでふつふつとした興奮をもたらしていく。

「僕らから送る最後の曲は、来年また笑顔を咲かせられるように、また元気な姿で会えるように。そんな願いを、心を込めて送りたいと思います。今日はどうもありがとうございました」

フジファブリック

フジファブリック

サポートドラムの伊藤大地(Dr)のカウントで清らかな鍵盤の音色が重なる大名曲「若者のすべて」でフィナーレに。視線をゆっくり動かし、京セラドームにいる全ての人へ届けようという意思をひしひし感じさせてくれる山内。フジファブリックが打ち上げた季節外れの花火が、オーディエンスの心の中に美しく咲いたひとときとなった。

フジファブリック

フジファブリック

■[Alexandros]

[Alexandros] 撮影=渡辺一生

[Alexandros] 撮影=渡辺一生

FM802のDJ、大抜卓人がこの日のラストアクトへ向け、言葉を紡ぐ。「今日出てくれた全てのアーティストに拍手を! いよいよ[Alexandros]が登場します!」と叫ぶや、スクリーンに浮かぶのは「PARTY IS OVER NOW」の文字。しかし、まだまだ宴はこれからだとばかりに、「NOT OVER」と続けて点滅すると「Kick&Spin」で[Alexandros]のショーが幕を開ける! 次々繰り出されるレーザービームが期待感を否応なく募らせる中、白井眞輝(Gt)はお約束のフライングVをエッジィに爪弾き、ハンドマイクで最前線の限界まで迫りながら歌唱する川上洋平(Vo.Gt)。まだ1曲目ながらすっかり歓喜の表情に満ち満ちた客席に、モニターには「Are U Ready?」と彼らからのさらなる問いかけが。画面を「r」の文字が埋め尽くせば、「Starrrrrrr」へとなだれ込む! 磯部寛之(Ba.Cho)とリアド偉武(Dr)によるグルーヴィーかつ腹に響くリズムが足元から雷鳴を落とすような掛け合いを生み、促さずとも厚みあるクラップを創出。同曲のアウトロから川上はアコギをかきむしり、シームレスに「風になって」へと続けていく。扉を開け放つような極上の清涼感に身を任せる心地よさたるや!

[Alexandros]

[Alexandros]

「改めまして、[Alexandros]です。今年も楽しんでますか? 皆さんは恐らく日本で、いや、今世界で一番声を出すのが辛いと思っている人種だと思います。でも声を出せなくても心からの声援は届いてますよ。今日は拍手が続いて手が真っ赤だと思いますが、でも[Alexandros]で一番手を叩いてくださいね。いけますか大阪!?」(川上、以下同)

[Alexandros]

[Alexandros]

と、強靭な音圧を背に、ブライトな手触りの音階がよく映える「ワタリドリ」へ! ロングトーンで浴びせかける川上は広大な京セラドームをすっかり我がものにしながらも、それでもフロアへマイクを向けることをやめない。そのアクションはまだかつて、マスクもせず、もみくちゃで楽しむ自由があったライブの現場を想起させ、いつかバンドが、ライブラバーたちが、自らの居場所を取り返すという宣言にも見える。その心意気にオーディエンスも今まで以上に拳を突き上げ、体を揺らし、全身で応えようとする絶景は、声はなくとも確かにコール&レスポンスそのものだ。

[Alexandros]

[Alexandros]

「今年もいよいよ最後だと思うと寂しいですが、また来年たくさん会いましょう。こんな時代ですからまた新しい歌が生まれました。受け取ってくれますか?」とパンキッシュなリズムで追い立てる「閃光」を経て、再びアコギを手にした川上は柔らかなトーンのアコースティック・スタイルで「12/26以降の年末ソング」を奏で始める。2番からは全員のアンサンブルが合流し、<最高にうれしいぜ!>と歌い変えてくれるシーンも。モニターにはリリックも投影され、グッとかみ締めながら味わう観客の表情が実に印象的だ。

[Alexandros]

[Alexandros]

そしていよいよオーラス、疾走感あるビートと甘酸っぱいメロディが新たなモードを感じさせる最新曲「Rock The World」で大団円へ! 何度も「愛してるぜ大阪!」と言葉にしてくれた川上。相思相愛の美しいステージングで[Alexandros]がこの日のエンディングを盛大に盛り上げてくれた。

[Alexandros]

[Alexandros]

ライブシーンを牽引する実力派アクトたちが、次々とホームランを打ちまくった『RADIO CRAZY』3日目。最終日はどんな名演が繰り広げられるのか、ビリビリ肌身に残る今宵の余韻を味わいながら翌日の成功までも確信する終幕となった。

取材・文=後藤愛 撮影=FM802提供(渡邉一生、井上嘉和

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