Angelo、代々木第二体育館での無期限活動休止前ラストライブ終幕「現在(いま)を大切に生きてください」
去る2021年8月、ホールツアーのファイナルLINE CUBE SHIBUYA公演にて、2022年1月をもって無期限活動休止となることを発表したAngelo。その後、10月に豊洲PITでの15周年記念ライブ2daysを開催、11月17日にニューアルバム「CIRCLE」をリリース、さらに11月20日〜1月9日、全15公演に渡る全国ツアー「THE END OF CIRCLE」を完遂した。
「最後の最後まで最高を貫きたいと思います。最後の二日間まで命を燃やし尽くすので、よろしくお願いします」とは、キリト(Vo)が先日のツアーファイナルで告げた言葉。かくして1月15、16日、Angelo無期限活動休止前ラストライブとなる国立代々木競技場第二体育館公演「CONNECTED NEW CIRCLES」が開催された。
ラストツアーという事実を感じさせないものとなった「THE END OF CIRCLE」のムードを引き継ぎながら、Angeloらしい攻撃性を全面に打ち出したステージを展開した第一夜を経て、迎えた第二夜。昨年、コロナ禍の中で制作されたアルバム「[evolve]」の1曲目を飾ったナンバーであり、未曾有の事態をバンドとファンが共に乗り越えてきた日々が思い返される「Enter the NEOPHASE」で幕を開けた時点で、第一夜とは趣の異なるステージになることは必至だった。
アリーナ席、スタンド席ともに多くのオーディエンスで埋め尽くされた美しい光景を前に、キリト、Karyu(G)、ギル(G)、KOHTA(B)が前方に繰り出す場面も多く見られ、冷静沈着なTAKEO(Dr)もいつも以上のテンションの高さが感じられたこの日。ツアーで全曲披露されていた「CIRCLE」収録曲が、このステージでも4曲(第一夜では5曲)組み込まれていたことは、終わりは始まりであること、最新が最高であることの証明、すなわち今届けるべき楽曲たちだからこそ。また、ここで披露された、あらゆる時代に生まれた楽曲たち全てが、この重要な局面においても聴く者の胸に突き刺さるメッセージであることは、どんな時代であろうとキリトが伝え続けてきたことの本質に変わりがないからだ。
なお、このラストライブはメッセージ性や構成、演出、あらゆる観点においてハイライト尽くしだった。オレンジ色の空と大きく映し出されたバンドロゴを背に、ミラーボールの光が輝いた「SIGHT」、サークルのトラスがまるで巨大な月のように浮かび上がった「光の記憶」、〈決して変わらぬヴィジョン描いていく〉と確固たる決意を歌った「DEEP VISION」から、リアルな世界の厳しさと希望を歌った「CRUEL WORLD」の流れ、後半戦の盛り上がりの中でも〈デザインされた輪の中〉(「Pendulum Clock」)、〈円を描く〉(「SCENARIO」)といった「CIRCLE」にリンクするワードの数々など、挙げればきりがないほど。
中でもアンコールは印象深いものだった。「Beginning」「A new story」「Crave to you」を通してAngeloが伝えたのは、何があろうと決して声を、創造を止めないこと、繰り返していく終わりと始まりの中で、選んだ全てが間違いではないこと、現在(いま)を生きること。それはファンへのメッセージであると共に自らの決意表明でもあるのかもしれない。そして、「15年、あっという間に駆け抜けました。本当にありがとう。またいつの日か」というキリトの言葉から、ラストナンバーとなったのは「SEE YOU AGAIN」。巨大なミラーボールがサークルの中央の位置まで下り、場内全体を眩い光で照らし出すなか奏でられたが、ここでキリトがメンバー一人ひとりに寄り添ったシーンは何とも言葉にし難いものだった。なお、曲中に「またいつか、きっといつか帰ってくるからな!」と告げたことも記しておきたい。
以下は、このステージで語られたキリトの言葉。
「Angeloというバンドは、常に最新の形が最高の形だということを証明してきました。素晴らしいバンドだったと思います。長くやってこられたことを本当に誇りに思います。これから先、メンバーそれぞれが思う道を進んでいきます。それぞれの道を愛してやってください。そして皆に伝えたいことは、やっぱりこれから先も、現在(いま)を大切に生きてください。今日こうやって一つの大きな流れが一度終わります。それは皆にとって受け入れ難い、辛いことかもしれないけど、俺は昔から言ってきたはずだから。現在(いま)を必死に生きるということ、それだけがこの先も前を向いて生きていくために必要なことなんです。過去も未来もない。全ては“現在(いま)”という、この瞬間の連続です。いつかまた前を向いて音楽を感じたいと思うなら、居場所を作ります。君たちが帰ってくる居場所、彼らが帰ってくる居場所を。現在(いま)を必死に生きたその先に、もしAngeloが再び皆の前に現れるとしたら、それは過去のAngeloが帰ってくるわけではなく、得体の知れないバンドが新しくできるということなんです。その日を、いつになるかわからないけど、待っていてね」
そして、全パフォーマンスを終えた後の各メンバーの言葉も残したい。
「最高に気持ちよかったです! 本当に皆のことを誇りに思っています! 一緒に最高の景色を作ってきてくれてどうもありがとう!」(TAKEO)「出し切ることができました! これだけはいつも通り言っておきたい! また一緒に楽しもうぜー!! ありがとー!!」(ギル)「この光景は忘れません。今までやってこられて本当によかったと思います。皆に感謝です。本当にありがとうございました!」(KOHTA)「最高のバンドに入れたこと、最高のファンに出会えたこと、感謝しています。必ずまた会いましょう。ありがとうございました!」(Karyu)「本当に楽しかった。でも、これから先も大事ですから。キリトという人間をずっと見てきてくれた人たちは、これからも信じてください。キリトという人間は何も諦めないです。どんなに時間が経っても、自分の大切な全てのものを守っていきます。これは単なる言葉じゃないよ。これからの俺のやり方を見ていてください。行動で見せていきます。ありがとう」(キリト)
円の終着点は終わりではなく次の螺旋の始まり。積み重ねてきた愛おしき15年は決して消えることはない。今日という日は、Angeloと彼らを愛する全ての人々にとっての新たな門出だ。
(文・金多賀歩美)