写真:上山陽介
2021年8月に行われたPerfumeの約一年半ぶりの有観客ライブ「polygon wave」。神奈川・ぴあアリーナMMにて、Perfumeのオフィシャルファンクラブ「P.T.A.」の会員を対象にチケットが抽選販売されたプレミアムな公演であり、Amazon Prime Videoでも好評配信中だ。その再演となる『Perfume LIVE 2022[polygon wave]』が同じぴあアリーナMMにて、計6日間行われた。
写真:上山陽介
世界屈指のポップユニット、Perfumeのさらなる進化を体験したライブシリーズ。その2日目となる1月10日公演のレポー
トをお届けする。ステージセットは8月と同様で、アリーナ中央に床一面がLEDの大きなステージが設置され、そこから迷路のような形の花道が伸びている。ステージの奥には、ステージと地続きのこれまた巨大なLEDモニター。開演時間が過ぎ、モニターにPerfumeの3人のシルエットを模したアイコンが出現する。かしゆか、のっち、あ~ちゃん、それぞれの紹介がモニターに映り、ステージを囲んで三方向に生身の3人が姿を現す。低音のビートに合わせて客席から手拍子が起こり、「聴こえますか? 見えますか? 感じますか? 夢の中へ」「私たちが、私たちになる。私たちが、みんなになる。みんなが、私たちになる」「君と僕、そっちとこっち。こっちとそっち」という3人のセリフが流れ、2010年の初の東京ドーム公演のオープニング「GISHIKI」のように、赤いマントを羽織った3人それぞれがゆっくりとステージ中央に歩を進める。
そして始まった「不自然なガール」では、Perfumeの振り付け、演出を手がけるMIKIKO率いるダンスカンパニー、ELEVENPLAYのダンサー16人が登場。Perfumeはどのライブでも3人だけのステージパフォーマンスを行い続けてきた。昨年8月の『polygonwave』で初めて3人以外の存在がステージに立ったことは、明らかにチームPerfumeが新しいフェイズに足を踏み入れた瞬間だった。誠実なクリエイティブしかない世界でいかにして進化をするか。そのひとつの答えがこのオープニングにあった。
写真:上山陽介
ファーストMCであ~ちゃんがこの不安定な状況下で来場してくれたオーディエンスに対し、「こうやって会えるということが奇跡的なことだと実感した」と感謝を口にする。8月のライブは2日間のみ、キャパが50%で「P.T.A.」の中でも限られた人しか来場できなかったことに対する3人のユーモラスなトークがしばし繰り広げられ、マスクの下で笑いをこらえるオーディエンス多数。あ~ちゃん曰く「すべてがプレミアムなチケットを手に入れた人たち」に対し、「みんなが応援して信じてくれるからPerfumeはいられる。そのPerfumeとみんなとで作るこのステージ。みんなもステージに立ってると思ってください。いい加減な拍手してたら次は当選せんよ? Perfumeは見てる!」と、ファンが一番恐れることを言い出す。「だから一生懸命ここに魂込めて‼」とアジテート。そして、これまで声援で行っていたコール&レスポンスではなく、男子は握り拳、女性はパー、そうでない人は裏ピースを掲げるといった声が出せない“新時代を楽しむ合図”をみっちりレクチャー。制限がある中だからこそのエンターテイメントを創造する姿勢はさすがだ。
写真:上山陽介
「Future Pop」「TOKYO GIRL」「I still love U」と、この状況を逆手に取った贅沢なステージセットを使っての見事な演出が続く。中盤に披露された最新シングル曲であり、本ライブのタイトル曲「ポリゴンウェイヴ」のパフォーマンスは白眉だった。3人のセリフも交え、PerfumeがPerfumeとして存在できるのは“みんな”がいるから、というようなメッセージがパフォーマンスアートのような演出によって展開された後、歌唱パートに突入。9つの多角形(ポリゴン)がELEVENPLAYの人力によって動き回る中、シャープなダンスを披露する3人。惚れ惚れする程一瞬の隙もないPerfumeのアートフォームの最新形は、続くライブ初披露のキュートなロボットダンスが印象的な「アンドロイド&」でさらにアップデートされる。
写真:上山陽介
「P.T.A.」のコーナーへ。先ほどレクチャーした“新時代を楽しむ合図”でオーディエンスが応える。「Perfume」と「ねぇ」の歌と、雑煮、門松、鏡餅のポーズも取り入れた振りで会場が一体に。あ~ちゃんが思い切り客席を煽ってからの必殺の「FAKE IT」。そして「チャンスをくれた曲」と語る「ポリリズム」へ。この曲でPerfumeは多くに知られることとなり、国民的グループへと駆け上った。夢だった紅白歌合戦出演も2021年で堂々の14年連続出演。これはちょっとすごい記録だ。
「起こせミラクル!」と拳を突き上げた「Miracle Worker」を終え、深々とおじぎをする3人。かしゆか「ライブってみんなと一緒に同じ空間で作るものなんだって実感しています。みんなで作れるライブがどれだけ幸せなことか」。のっち「このライブによってこれからを楽しく生きるヒントがみんなの中に生まれたらいいなと思います。一緒に軽やかに柔軟に強く共に生きていきましょう」。あ~ちゃん「ふたりが全部言ってくれるから私何も言うことない。それぐらい3人は一緒だと感じてます。これからも私たちは自分たちもかっこいいと思えることを続けていく所存でございます」。
写真:上山陽介
背中を押してもらった曲「MY COLOR」を誇らしげに終えた3人は再び深々とおじぎ。ラストは未発表の新曲だ。歌詞がモニターに映り、「ステージに立つの」という再会を約束するような歌詞でライブは締め括られた。22年間三位一体で歩み続けてきたPerfume。Perfume好きをきっかけにPerfumeの所属事務所アミューズのオーディションを受けたという清原果耶主演のTBS火曜ドラマ『ファイトソング』の主題歌に新曲「Flow」が決定したことを嬉しそうに話す3人の姿も見られたが、世界を見渡しても他にはない魅力は2022年も拡張する、そんな確信を抱くエネルギーに満ちたライブだった。
(文:小松香里)
また、最終日となる1月16日のMCでは、
かしゆか「本当にこのライブはとても楽しくてすごく幸せになれるんです。みんなからのパワーをすごくもらっていて、このアリーナをすべてステージにしたからかなのか、みんなにすごく包まれていて、みんなのエネルギーを全身で浴びていて、それを私たちのパワーにできるというすごく今までにない不思議な力の湧いてくるライブなんです。こんなに幸せな時間を、私に存在する意味をくれてありがとうございます。みんながいるから頑張れます。これからもよろしくお願いいたします。」
のっち「このライブ、コロナ禍でのライブを私たちならどうつくるのか?ライブ楽しいと知っている皆さんにライブで寂しい思いはさせたくない、思いっきり楽しんでほしい。みんなのことだけ考えて、みんなを信じて作ったライブです。こんな素敵なステージの一員として立ててること、仲間達と二人とこの公演をこの世に残せたこと本当に幸せだし誇りに思います皆さんのおかげで生まれたステージです。感謝してます。」
あ〜ちゃん「ライブがほんまにしたかったと言うこと、みんなに本当に会いたかったってこと。これがほんまもんの生き甲斐で、ライブするために自分は生きとんじゃなと。みんなにお礼を言いたかったです。ありがとう。今日は感無量でして、最終日終わるんじゃと思ったら寂しい気持ちもありますけど、次に進むんだ思ったらキラキラ楽しみな気持ちがグーンと自分の中に生まれてくる感じもします。」と感謝の気持ちを述べた。
Perfumeは、新曲「Flow」がTBS火曜ドラマ「ファイトソング」(毎火22時放送)の主題歌となっており、この新曲が、いつリリースされるのかも注目されている。