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SCANDAL 4人の表現者としての個性やポテンシャルが煌めく約2年ぶりアルバム『MIRROR』を語る

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SCANDAL 撮影=森好弘

SCANDAL 撮影=森好弘

結成15周年を迎えたSCANDALが1月26日、約2年ぶりとなるニューアルバム『MIRROR』をリリースする。今作は、SCANDALのバンド人生を変える一枚になるだろう。ここには、あなたの知らないSCANDALがいる。コロナ禍、あなたと同じように、いままで以上にパーソナルな自分、他のバンドとは違うSCANDALの個性と向き合うことになった彼女たち。そこで感じた繊細な感情を素直に出した結果、SCANDALの4人の表現者としての個性やソングライターとしてのレンジの広さ、バンドのポテンシャルが煌めくことになった今作について、4人に話を聞いた。

――まずはアルバムのお話を伺う前に、今作にも収録されている昨年出したシングル三部作、「eternal」、「アイボリー」、「one more time」について。これらを12cm CD、CD+Tシャツ、カセット、アナログ盤というバリエーションある形でリリースした理由から教えていただけますか?

HARUNA(Vo,Gt):結成15周年という記念になる年だったので、モノとしてもファンの人たちに思い出として残るもの、手にとって楽しめるものがあればいいなと思ってリリースしました。

RINA(Dr,Vo):いまはみんなサブスクで音楽を聴いてる人が多いけど“買う”というフィジカルの楽しさを最大限に作ろうというアイデアから始まったんですよ。

TOMOMI(Ba,Vo):そうしたら、数量限定ということもありアナログとかカセットが先に完売したりもして。それは意外でもあったけど、嬉しいなと思いましたね。

SCANDAL/HARUNA(Vo,Gt)

SCANDAL/HARUNA(Vo,Gt)

制作中に自分たちのことをとことん話し合ったから。ちゃんとSCANDALを、自分たちの個性を肯定できたアルバムだなと思います。

――この三部作リリースの間には、結成15周年を迎えた当日、大阪城ホールで『SCANDAL 15th ANNIVERSARY LIVE『INVITATION』』を有観客で開催して、これが世界53カ国に生中継された訳ですけど。こちらはどうでしたか?

HARUNA:大阪城ホールは3回目だったんですが、個人的には過去の2回はドキドキしたままステージに立ってしまったというのがあって。今回は、地に足のついた、リラックスした状態でステージに立てて。すごく満足のいく1日になりました。

MAMI(Gt,Vo):みんなが目の前にいる状態でライブをやってみたら、一昨年に生配信でやったときとはまったく温度感が違っていて。人が存在しているという温もりを感じられて。(お客さんが)声を出せなくても拍手や雰囲気自体に音が付いてるんですよ。声は出せないはずなのに、出してないはずなのに、ライブ中に声が聴こえる。そんな感覚に陥ったりして。聴こえてくるんですよ。それを体感したときに、今後も声が出せない状況は続くんだろうけど、ライブは(声が出せなくても)成立するなと感じたんですよね。と同時に、自分たちが楽曲作りをする上で大切にしてきたコール&レスポンスができてみんなで楽しめる曲というのを、今後は違う次元で作っていくべきだなと思って。そういう新しい発見があったライブでしたね。

TOMOMI:声を出せなくても楽しめる演出がいろいろあって。一昨年のクリスマスにNAKED, INC.という映像のクリエイターチームとコラボして『SEASONS』というイベントをやったんですけど。この日もNAKED, INC.さんとご一緒させてもらったり。ファンの方に音楽に合わせて光るザイロバンドをつけてもらうという初の試みに挑戦したり。コロナ禍が落ち着いたあともできる新しいライブのスタンダードを見つけられた気がしました。ライブの幅も広がったんじゃないかな。

RINA:結成15周年の記念日に私、30歳になったんですよね。人生の半分をこの4人でバンドをしてきたのかって思ったら、すごい感慨深くて。一つの区切りのポイントまで4人で楽しく音楽を続けてこられたのがシンプルに嬉しくて。いまの自分たちに自信があって、ライブもいいって自分たちで思えるから、ナチュラルな気持ちでステージに上がれば絶対に最高の夜にできる。変な緊張に押し潰されることなく、そういう気分でライブに向かうことができて。本当に大阪城ホールの空間を楽しみながらライブができた。それが嬉しくて、楽しくて。いままでやった城ホールのライブのなかで一番いいライブができたなって思うし、“いまの状態、最高だな”って思いながら楽しめたライブでした。

――コロナ禍で、ライブの楽しみ方が変わったのならそれに合った新しいライブスタイルを見つける、という生き方。そこはSCANDALのしなやかなところですよね。カッコいい!

全員:ありがとうございます。

HARUNA:人間って凄いんですよ。さっきMAMIが言ってたみたいに、声が出せなくても気を飛ばせるんですよ。いままではライブをやっていて、耳で楽しさや喜びを感じていたのに、声が聴こえなくたって伝わる気持ちがあるんです。だから、声がなくても全然寂しくなくて。いままでとは全然感じ方は違うけど、すごく温かい気持ちになれるんです。

TOMOMI:幻聴とかじゃなくて、本当に聴こえてきて。そうしたら“つながりあってるな”っていう気持ちになるんですよね。

――目と目が合うような小さなライブハウスではなくて、城ホールという大きな場所でそれを感じられたのはすごい収穫ですよね。

HARUNA:だから、それぐらい繊細なことをあの場で感じとれるほどナチュラルな感覚でステージに立てていたってことなんですよね。

SCANDAL/MAMI(Gt,Vo)

SCANDAL/MAMI(Gt,Vo)

「MIRROR」を生み出せたからこそ、自分たちの寿命も伸びたなと思ったし、いい経験になったなとは思ったけど。こんなに苦労したのは初めてです。

――なるほど。これらを踏まえて、いよいよアルバム『MIRROR』の話に入っていきたいと思います。コロナ禍のいまの心境にあまりにもぴったりすぎて。こんな作品も作れちゃうSCANDAL、凄いなと感動しちゃいましたよ。

TOMOMI:いま褒めてもらったんですけど。これね、コロナ禍での制作だったから気持ち的には前向きではなかったんですよ、本当は。すごく悩んだし、どういう言葉を自分たちは伝えるべきなのか、なにを表現したいのかを、メンバー間ですごく話し合って。メンバーとも会えない時期は自分自身と向き合う時間になっていって。だから、こういうすごくナチュラルに本来の自分たちが出た作品になったんだと思う。コロナ禍においては何が正解なのかが分からないから、『MIRROR』に収録されている曲はすべて結論付けてないんです。やってみた結果、そうなったんですけど。自分たちのコロナ禍におけるメンタルがMIRRORのように写し出されたアルバムになったなと思いますね。

――コロナ禍でずっとお家にいるときに激しいロックを聴きたいか? っていったらそんな心境ではなかった。そこに思いっきりフィットしてくるアルバムなんですよ。今作は。

MAMI:まったく同じ心境でした。だから、本当に音楽を聴くことも自分たちが作ることも難しかったんです。自分も激しい音楽を聴きたい気分ではなかったけど、自分たちがそういうものを求められてるのも分かってる。前みたいなライブができるようになったら、みんなで声を出して汗だくになって騒ぎたいじゃないですか? そういうなかで、いまいい塩梅の曲ってなんなんだろう? っていうのをめちゃくちゃ考えて。それを曲に落とし込むのがとにかく難しくって。「MIRROR」はいままでで一番頭をひねりながら作ったジャンルの曲なんですよね。こういうものを生み出せたからこそ、自分たちの寿命も伸びたなと思ったし、いい経験になったなとは思ったけど。こんなに苦労したのは初めてです。

――いい塩梅を曲に落としこむところが。

MAMI:そうです。「MIRROR」はアルバムの他の曲が仕上がったなかで、アルバムの顔になるキラーチューンが欲しいよねという意見があって作ったんですけど。私的には“この9曲ですごく楽しいし、一人ひとりが歌ってるし、いまのSCANDALを表現できてる”と思っていたところからのもう1曲だったので、そういうところも難しかったです。

――なるほど。だから今作は、M1「MIRROR」で“世界観強めの楽曲があって音の奥行きもありますよ”と呼びかけ、M2「eternal」で“じゃあ準備はいいですか? いきますよ”と、2曲を使ってアルバムの幕開けをナビゲートしていくスタイルになったんですね。

MAMI:「MIRROR」はここしか入れる場所がなかったんですよね。アルバムの曲順に関しては、昨年出した3枚のシングルをたどるようになりましたね。

――ああー! たしかにそうなってる。

MAMI:もちろん「eternal」を作った時点ではこんなアルバムを作ることは想像はしてなかったです。でも並べてみたらちゃんとそうなっていたし、ちゃんと聴いていくと、これができるまでの日記を読み返すように、自分たちのこの2年間をたどれるアルバムになっていました。

SCANDAL/TOMOMI(Ba,Vo)

SCANDAL/TOMOMI(Ba,Vo)

30代になって、大きな愛、人類が本来持っているはずの感情に気づくことがすごく多かったので、「愛の正体」はこういう歌詞にしました。

――どんなアルバムになったなと感じているのか、他のみなさんの意見も聞かせて下さい。

HARUNA:制作中に自分たちのことをとことん話し合って。改めて、自分たちはダンス&ボーカルスクールからスタートしたっていうところまで振り返って。だから私たちは4人とも、歌うし、作詞作曲もして、それぞれがいろんな個性を持った、ものすごく多様性のあるバンドなんだという話を週イチぐらいのペースでミーティングして話していました。そういうことをたくさん話したから、ちゃんとSCANDALを、自分たちの個性を肯定できたアルバムだなと思います。活動を続けてきたなかで、結成した経緯とか“他と違うな”っていうものが多いからこそ、そこをコンプレックスに思ってしまったこともあるけど。そこを否定してしまうと自分たちが続けてきた意味がないなと。

――SCANDALは、元々が“ロックバンドをやろう”って始めた訳ではないんだから、バンドやロックに縛られることなく、もっとフレキシブルにやっちゃえばいいじゃんって。

HARUNA:そう。別に何したって、何言ったっていいじゃんって。自分たちが“いい”と思ったことをそのときにやればそれでいいじゃん、正解じゃんって思える自分たちなんですよね、私たちは。それをずっとキープしたまま制作してこれたアルバムだなと思います。自分たちにはいろんな過去の歴史があるからこそ、今後もいろんな自分たちでいられるんじゃないかな、という可能性を感じたアルバムでした。

RINA:『MIRROR』というタイトルは最後の最後に決まったんですけど。このタイトルになってから“こういうことが言いたかったんだ”って自分で納得いく形にまとまったという感覚がありました。繊細さとか儚さとか華奢さとか、そういうものをちゃんと音楽で表現したいというのが強くなって。強いサウンドに強い歌詞という表現だけではなくて、自分たちが感じる女性らしさ、しなやかさ、丸さは自然体の自分たちの中にも含まれている要素なんですね。そこを全面的に出した作品は、アルバム単位では少ないなと思ったので。今回は、いまの気分とか好みに正直な作品を最初から最後まで作ろうという気持ちが強かったんですよね。それをやらないと次に進めないタイミングがきてるなとも思ったし。世間的なイメージのSCANDALって、パワフルな印象が強くて。“女の子なのにロックだね”とか、“女の子なのにライブが激しいね”とか、そのギャップを評価されることが多かったんですけど、私たちはその一面だけではないし。これから先、30代、40代と音楽を続けていきたいと思っているなかで、長く続けていくにはこのタイミングで自分たちの気持ちに正直な音楽を作っておかなきゃなと思って。

SCANDAL/RINA(Dr,Vo)

SCANDAL/RINA(Dr,Vo)

いま演奏するだけじゃなくて、35歳、40歳になっても演奏したいと思える曲を、現時点で、その可能性がある曲を作りたいと思ったんです。

――この先長く続けていくSCANDALを見据えてのこの作品だった、と。

RINA:はい。いま演奏するだけじゃなくて、35歳、40歳になっても演奏したいと思える曲を、現時点で、その可能性がある曲を作りたいと思ったんです。そうしたら、自ずとサウンドにも優しさとか繊細さが増えていって、言葉選びもより丁寧に、慎重になっていって。最終的にアルバム一枚を通して同じムードで、いまの自分たちの年齢に合った作品が作れました。そこにすごく達成感を感じていますね。

――アルバムが醸し出すムードは、明らかにこれまでのSCANDALの作品とは違いますよね。

RINA:サブスクで音楽を聴いているなかでこのアルバムのなかの曲が流れても、違和感のない心地よさがあったらいいなと思ったんですよね。そこはめちゃくちゃこだわりました。テンポはこれぐらい、ギターの音量はこれぐらいかな、とか。そこはこだわって作りました。違うんですよね。ライブでいいって思うものと、日常生活のなかでサブスクで聴いてていいって思うものは。

――そこは、このアルバムの裏テーマでもある気がします。

MAMI:そこを意識するようになって曲作りも全然変わりました。テンポはめちゃめちゃ抑えて、ライブで出してる自分たちのサウンドは一旦置いといて、自分たちが日常で聴いているサウンドになるべく寄せようと考えて。それがやっとできるようになった一枚ですね。あと、今回は曲を各々ががっちり制作することで、その幅も広がったんですよ。

――そうそう。バンドとは違うプライベート感も色濃く出て、個性もより立ってきた。

TOMOMI:そうなんですよ。

MAMI:コロナがなくていままで通りずっとライブを続けていたとしたら、いままでのライブのスタイルを貫いて、そういうアルバムを作っていたのかもしれない。コロナがあったお陰で、バンドとしては意識するところが変わって。自分たちをうまく表現できた気がします。

 

――では、ここからは収録曲について触れていきたいと思います。《残像》というワードと奥行きのあるエフェクティブな音空間が新しいM1「MIRROR」はコーラスも印象的でしたね。

MAMI:声が出せなくともみんなが歌ってくれている、というのを思って。と同時に声が出せるようになったときのことも考えて入れました。この曲もサブスクで普段自分たちが聴いている音楽に近づけて、テンポ、リズム、ギターの音色、普段聴きしやすいものに仕上げました。

 

――M2「eternal」はイントロからUKギターロックの風が吹いてくる。

MAMI:歌詞も含めて、15周年の始まりの曲。大阪城ホールはこれで幕を開けるしかないと思って作りました。

 

――M3「愛にならなかったのさ」は、取材時間全部を費やして恋バナしたい曲です(笑)。

全員:はははっ(笑)。

TOMOMI:この曲が刺さる女子は多いはず。

MAMI:女子は絶対分かるから届いて欲しい。この年齢だからこそ書けた歌詞ですね。歌詞については一緒にアレンジしてくれた宗本(康兵)さんは怒ってましたね(笑)。“なんで? 一緒にいられるなら一緒にいればいいじゃん”って。でも一度こうなってしまった女子は何を言ってもダメなんだよって説明をして。男女で意見が分かれる曲ですね。

SCANDAL/RINA(Dr,Vo)

SCANDAL/RINA(Dr,Vo)

――夜を泳ぐようダンストラックM4「彼女はWave」。こちらは打ち込みですよね?

RINA:デモはそうです。DTMで初めて全部を自分で仕上げた状態でみんなにシェアしました。

――DTMをドラマーがやってるというのが。

RINA:変ですよね(笑)。作詞、作曲して打ち込みもして歌うドラマーってあんまりいないから、そういう話を一緒にできる人がいないんですけど。でも私は、SCANDALに対してできることは全部やりたいなって思っていて。この曲は、波のように自由に生きる女の子の歌です。曲は、なにかが煌めいていて繊細で儚い光、みたいなイメージで書いていきました。

SCANDAL/TOMOMI(Ba,Vo)

SCANDAL/TOMOMI(Ba,Vo)

――M5「愛の正体」はビッグバンドをフィーチャーしたソウルフルなサウンドとクアイアが凄いことになっています。

TOMOMI:なってますね(笑)。いろんな人に参加してもらいました。ダンス&ボーカルのスクールに通っていた頃、私たちはゴスペルも習ってたんですよ。

――えーっ!? ほんとに?

TOMOMI:ゴスペル経験者なんです、私たち。当時スクールで週1で習ってました。そういうルーツもあるし、ビッグバンドは私が好きで、すごく趣味に寄った楽曲になりました。30代になって、大きな愛、人類が本来持っているはずの感情に気づくことがすごく多かったので、それを残しておこうと思って、こういう歌詞にしました。

――このコーラスもいずれはみなさんで?

MAMI:やりません(笑)。本場ものなので、アドリブが凄すぎて再現できないです。

TOMOMI:その分、「アイボリー」のコーラスワークでそれに近いことを全員でやってますね。

 

――M6「アイボリー」はイントロのギターをHARUNAさんがエレキギターで弾いて、MAMIさんがアコギを弾きながら歌う曲。ミュージックビデオのスケボーにはどんなメッセージが込められているんですか?

MAMI:メンバーでもあるしファンの人たちの気持ちでもあるし。すべての気持ちの総称って思ってもらえたらいいなと思ってます。だから転んでるシーンとかもあって。うまくいかないことも楽しんでやっていこう、というという気持ちを表したイメージシーンととらえていただけたら嬉しいかな。

――メランコリックな空気感に包まれるM7「夕暮れ、溶ける」はタイトルどおりの曲。

HARUNA:このタイトルを犬の散歩中に思いついて。このワードから作っていったので、歌詞も抽象的な表現がいっぱいあるんですけど。感覚、直感で“いいな”って感じるものって世の中にいっぱいあるなと思って。説明できない、じんわりと感じるこの感情も悪くないなと思って、それを曲に残しました。この曲はこう見えてしっかりバンドサウンドなんですよ。しっかり演奏しつつもなんか印象がいつもと違う。SCANDALらしくてSCANDALらしくない曖昧な曲。そういうものが作れました。

 

――そこからM8「蒼の鳴る夜の隙間で」へ。シューゲイザーなサウンドの残像感とか新しくてめちゃくちゃカッコよかったです。

RINA:赤い公園の(津野)米咲ちゃんが亡くなったときに、私たちはめちゃくちゃショックで。同世代で、ガールズバンドで、尊敬できる大事な仲間だったので、リスペクトを込められるだけ詰め込んで。米咲ちゃんを思い浮かべて、いろんな想いを巡らせながら作っていった曲なんです。サウンドは私がノイジーなもの、シューゲイザーっぽい音楽が好きなので、そういうアレンジにしました。

SCANDAL/MAMI(Gt,Vo)

SCANDAL/MAMI(Gt,Vo)

――スローテンポのM9「プリズム」は、いまの自分たちを写したようなナチュラルなナンバーで。

RINA:詞先で書いた曲ですね。大阪城ホールの前日、ホテルで書きました。最初にも話したように、私はいまのSCANDALがめちゃくちゃいいなと思っていて。SCANDALは人と違う個性を持っているから多数派に加われない瞬間がいっぱいあるんですけど。昔はそこに孤独を感じたり、人と交われない個性を認められない瞬間がたくさんあったんです。でも、いまはいろんな人がいて。“いいね”って思えている自分たちが好きだし、独特な個性を持ってるバンドをやっているからこういう自分たちになったんだな、と思っていて。複雑な個性を持っていることは美しいんだって。いまナチュラルにそう思えている自分たちを歌詞にしようと思って書いたんですね。その歌詞ができて、大阪城ホールが終わったあとにTOMOMIに歌詞を送って曲を書いてもらいました。

TOMOMI:曲を歌ってる女の子の姿がすぐに浮かんできたので、その子が歌っているイメージで書きました。サウンド的には、冬のちょっと切ない世界とおもちゃっぽさをキーワードに、トイピアノやオルゴールの音を入れたりして作っていきました。

 

――M10「one more time」は、いまはこのぐらいの明るさ、このぐらいのダンスチューンの塩梅が心地いいと思える曲でした。

MAMI:もうそろそろ気分だけでも明るい感じになってもいいよねって。自分たちがそう思い始めた頃に作った曲ですね。

SCANDAL/HARUNA(Vo,Gt)

SCANDAL/HARUNA(Vo,Gt)

――SCANDALはこのあと、3月12日から今作を掲げて全国ツアー『SCANDAL WORLD TOUR 2022"MIRROR"』の国内シリーズを開催します。

TOMOMI:どんな内容のライブにするかは、まだこれから打ち合わせしていく感じです。

――そして7月からはNorth America編、9月からはEurope編と、海外へ。

全員:行ってきます。

――SCANDALはライブの生配信をするときも海外からのコメント、凄いですもんね。

HARUNA:YouTubeのコメントもそうですし。みんなずっと前のチケットを握りしめて待っててくれているんですよね。こうして半年以上先のライブスケジュールまで決まっているのが嬉しいことだなと思いますね。

取材・文=東條祥恵 撮影=森好弘

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