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硬派弦楽アンサンブル「石田組」、ツアー初日公演オフィシャルレポート到着

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硬派弦楽アンサンブル「石田組」

硬派弦楽アンサンブル「石田組」 (C)Hikaru.☆

2022年4月9日(土)かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールにて硬派弦楽アンサンブル「石田組」全国ツアーがスタート。このたびオフィシャルレポートが到着した。


「石田組」の全国ツアーがスタートした。 初日はかつしかシンフォニーヒルズのモーツァルトホール。 1000人を越えるキャパシティの会場に聴衆が詰めかけた。

「硬派弦楽アンサンブル」の通り名よろしく、 石田以下メンバー(組員)は全員黒一色のスーツで舞台に現れた。 それぞれの演奏位置に立って客席と向き合うだけで所謂クラシックコンサートとはまるで異なる雰囲気を放つ。 編成は第一および第二ヴァイオリン、 ヴィオラ、 チェロ各3名にコントラバス1名と弦楽合奏にしては比較的小規模

硬派弦楽アンサンブル「石田組」 (C)Hikaru.☆

硬派弦楽アンサンブル「石田組」 (C)Hikaru.☆

前半はエルガーの「弦楽セレナード」で始まる。 静謐な立ち上がりに聴衆の意識が一気にステージへと注がれる。 13人それぞれの音色に触れられそうなほど、 石田のサウンドデザインは緻密で非常に美しい。 国民楽派の流れで書かれた弦楽合奏曲は石田組の重要なレパートリーのひとつであるが、 今日の公演ではエルガーに始まって、 フランク・ブリッジやジョン・ラターによる民謡のトランスクリプションへと続き、 英国のメロディを深く求めて行った。

後半の一曲目は映画からドラマまで数々の名シーンを彩ったバーバーの「アダージョ」。 鎮魂のムードを湛えつつどこまでもドラマティックに展開していく演奏はこの日最初のハイライトとなった。 続く「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」という3曲の映画音楽によって、 徐々に石田組本来の顔が浮かび上がってくる。

石田泰尚 (C)Hikaru.☆

石田泰尚 (C)Hikaru.☆

そして、 クイーン「輝ける7つの海」。 フレディ・マーキュリーによるピアノ、 ブライアン・メイによるギター・オーケストレーションなど、 アレンジ的に非常に“美味しい”一曲であるが、 石田組の編曲を一手に引き受ける松岡あさひはそれらを全て拾い上げていく。 オリジナルの後奏は石田がビシっと締める。 前半のコンサートマスターとは全く違うヴァイオリン・ヒーローのペルソナが登場したことが分かると、 会場は割れんばかりの拍手に包まれた。

ヴァン・ヘイレン「ジャンプ」を挟み、 本編のクライマックスは何とガンズ&ローゼズ。 選ばれたのは「ユー・クッド・ビー・マイン」。 バンドメンバーの個性の強さゆえに唯一無二のグルーヴが生まれるというロックバンドの典型のようなナンバーであるが、 演奏も編曲も原曲のグルーヴ感を俯瞰しつつ、 それこそ石田組にしか備わらない高揚感を響かせた。

石田泰尚 (C)Hikaru.☆

石田泰尚 (C)Hikaru.☆

公演ごとにメンバーは異なるが、 石田以外の12人は現在の楽壇を牽引する凄腕が顔を揃える。 今日の公演で第一ヴァイオリンのトップを務めた三上亮がMCで明かしたところでは、 本番前のゲネプロでは3小節くらいしかリハーサルをしない曲もあったそうだが、 クラシックもロックも作品が内包するものを余すところなく聴かせてくれる。 チェロの金子鈴太郎はザ・フーのジョン・エントウィッスルというかレッチリのフリーというか、 ロックミュージシャンのごとく熱い演奏でアンサンブルを牽引した。 また、 生野正樹以下ヴィオラが奏でる中音域がふくよかに響いており、 所々挟まれる生野のソロも鋭く切り込んできて演奏を盛り立てた。

会場に足を運んだ観客の特権なのでアンコールの詳細は控えるが、 本編が終わってからもたっぷりと味わえるのが、 石田組のクラシック・エンターテインメント。 控えると言ったそばから書いてしまうと、 ファンにはおなじみのオアシス・ナンバーを聴くことができた。 前半のプログラムが、 英国のフォークミュージックとしてノエル・ギャラガーの書くメロディラインと繋がっていく様に不思議な感動を覚えた。

今日の公演を皮切りに石田組は23公演のツアーに出る。 もしまだ体験したことのないクラシックファンがいたら、 ぜひ近くの公演を探して足を運んでもらいたい。 クラシック音楽の伝統と未来をいっぺんに聴くことができるだろう

TEXT:小崎 紘一/PHOTO:Hikaru.☆

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