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DEZERTはなぜ「やっとバンドらしくなった」のか? メンバー4人の心持ちを訊く

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DEZERT

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キャリア最大規模にして初の野外ワンマン公演となる『DEZERT SPECIAL LIVE 2022 in 日比谷野外大音楽堂 “The Walkers”』を6月18日(土)に開催するDEZERT。最新シングル「再教育」を携えて3月から7大都市を巡った『再教育ツアー』は、「日に日に良いライブに仕上げていけた」とメンバー自ら語るように、現在のバンドが良好な状態であることがうかがえる。そこで、初の日比谷野外大音楽堂ワンマンライブを前に、現在のバンドの心持ち、そして野音で来場者に無料配布される楽曲「The Walker」について、メンバー4人に話を訊いた。

――この取材の段階で、ちょうど『再教育ツアー』が終わったばかりなんですが、今回は公演ごとにドキュメンタリーが、ほぼリアルタイムで公式YouTubeチャンネルにアップされていましたよね。

SORA:スタッフが撮ったデータを貰って、SORAではない本名の僕の俯瞰的な視点で編集させてもらったんですけど、個人的に今、DEZERTってメチャクチャ良いバンドだと思うんですよ。そう自信を持って言えるし、このご時世でツアーに来られなかった人もいるだろうから、その“良いDEZERT”を少しでも届けたかったんですよね。シンプルに“DEZERT良くね?”みたいな。

Miyako:どこの会場もすごく盛り上がったんですよね。このコロナ禍というものを打破できるツアーになったのかなという手応えもあったし、メンバー一丸となって1本ずつ丁寧にやれた気がするんです。同期がトラブったりギターのストラップが切れちゃったり、以前だったらソレをキッカケに心が折れるようなことがあっても、今回はメンバー同士で助け合うことができて。ホントにバンドとしてまとまってきたことが感じられるツアーでした。

Sacchan:いわゆるツアーらしいツアーを具現化できたんじゃないかなって。そう感じられたのは初めてかもしれない。

――ツアーらしいツアーって、具体的には?

Sacchan:簡単に言うと1本1本、その土地土地の空気感を楽しみつつ上手く使いながら、最終的にファイナルに向かっていく……っていう。バンドの性質上、僕らってツアーの中でもライブに波があったりしてたんですけど、今回は新曲もセットリストの中に上手く入れ込んで、日に日に良いライブに仕上げていけたんじゃないかと。

SORA:今までは“今日はどんなライブになるんだろう?”っていう感覚が、常に自分の中にあったんですよ。それが今回のツアーでは“いや、今日は絶対にいいライブにするから!”っていう気持ちを持って、毎回ステージに上がれたんですよね。ツアーの先に野音というものが決まっていて、そこに向かって歩いて行くという感覚でセットリストもみんなで吟味しながら決めていけたから、野音が近づくにつれてその先も見えてくる気配が感じられて。“バンドしてんな、DEZERT!”っていう気持ちになれるのが、今、すごく楽しいです。

 

――つまり、ツアーが向かう先のファイナルとは、『再教育ツアー』のファイナルだった5月1日の名古屋ダイアモンドホールではなく、6月18日の日比谷野外大音楽堂のこと?

Sacchan:僕らの裏テーマに沿って言えば、そうですね。野音って僕らがやったことのない環境だったりもするんで、そこに向けてのイメージもしつつ。“僕たちの今のベストなセットリストってどれかな?”みたいなことを全員で論議して、ちゃんと組み立てていけたんです。

千秋:みんな言ってることが同じで、おもろない(笑)。でも、結局そういうことなんですよね。長く活動していると、キチッとやるべきことを準備していけば、絶対に上手くいくという自信が生まれる。要するに、出たとこ勝負の博打じゃなくなったっていう話なんですよ。正直、去年の『RAINBOWツアー』の初日あたりは、まだちょっと出たとこ勝負というか。言ってみれば“俺のテンション次第”みたいなところがあったんですけど、途中から“一回できることを証明しようぜ!”っていう方向に変わってきたんですよね。結果、僕的にはあんまり良くなかったライブが周りから見たらメッチャ良かったりもして、それを聞いて“やっとバンドらしくなってきたな”って逆にホッとしたんです。以前は“俺がスベったらスベる”バンドだったけど、そういうことじゃないよねって。バンドは俺一人じゃなく、4人とスタッフも含め、みんなでやってるんだから……っていう、まぁ、だから普通のバンドになったんじゃないですか。

DEZERT/千秋(Vo)

DEZERT/千秋(Vo)

何回も諦めかけながら、どうしたら少しずつでも進んでいけるのか?と考えた中での一つの答えが、“諦めない”と言い切ることなんです。

――千秋さん的には、それが面白くない気持ちも正直あります?

千秋:いや、未来を考えると楽しいですよ。『RAINBOW』(2021年7月発売アルバム)に収録されている「デザートの楽しいマーチ」の歌詞を、僕、ライブでは《人生はいつだって練習だ》って歌い替えていて。人によっては“え、本気じゃないんですか?”ってクエスチョンが残るかもしれないけど、俺からしたら“次”があるから全力でいけるんですよ。もし、明日地球がなくなるから人生最後のライブですってなったら、あんなライブはしない。でも、実際は野音もあるし、その先の未来まで考えるからこそのセットリストやライブになるんですよね。だから今回のツアーも僕にとっては去年の延長であり、それが後から見れば一つのストーリーになるんだと思うんです。やっぱりバンドも10年やってると、絶対にストーリーが必要になってくるから。

――なるほど。『RAINBOWツアー』での意識転換からストーリーは未だ続いているわけで、ただ、その最中にいるとストーリーが見えないだけだと。

千秋:あ、でも俺らが“ストーリー”とか言い始めたら終わりですよ。ストーリーを作ってくれるのは、あくまでもファンの側であって、俺ら自身がストーリーを意識してしまうと、まるでフィクションの小説を作っているようになってしまう。だから僕は何も意識せずに、ただ本音をMCで言うようにしてますね。それが綺麗事だろうが、昔は毛嫌いしていたような言葉だろうが、ホントにそう思うんだったら伝えることにしているんです。

――“事実は小説より奇なり”を地で行こうというわけですね。ところで、先ほどから“野音に向けて”という言葉が出てきていますが、この野音公演は『再教育ツアー』のグランドファイナルという位置づけではなく、『The Walkers』という全く別のタイトルが付いているじゃないですか。明確にツアーとは別物として立てている、それは何故なんでしょう?

千秋:もともと「The Walker」という曲があって、もう3年くらい前から作ってるのかな? 曲調的に“メッチャきた!”とかではないんですけど、僕がずっと考えてきたことをまとめている、いわば30年の結晶みたいな曲なので、然るべき時に出したいと考えていたんです。で、“これが今の俺の本音なんだな”というところまで整ったのが、ちょうど『再教育ツアー』を開催しようかという頃で、ただ、このご時世にシングルを出すのって難しいんですよね。だったら、ソレを伝える場として野音を設定して、いっそ無料配布してしまおうと。まぁ、レコーディングはこれからだし、歌詞もまだ全部書き終わってはないんですけど、普通に期待してもらっていいと思う。

DEZERT/Miyako(Gt)

DEZERT/Miyako(Gt)

バンドが結成10年を越える中で、それにピッタリの歌詞が出てきて、最初に「The Walker」を聴いたとき、すごく感慨深くなったのを覚えてます。

――そんな秘蔵の曲を今、出そうと決意できたことには、やはりコロナ禍も影響してますか?

千秋:いや、それは無いですね。逆に言うと、全てがコロナに関係しているわけで、それは誰だってそうじゃないですか。今さら“もしコロナが無かったら”って想像することも無理だし、確かに20代前半だったら出してない曲ではあるかもしれないけど、ただ、今、言いたいことを言ってるだけなんで、僕はあんまり深く考えてない。その結果、みんなが同じ方向を向いて、“じゃあ頑張ろう!”ってなってるから、ま、いいんじゃないかな。

SORA:いい曲なんですよ! 意志と決意を感じる。

Miyako:「TODAY」とか「ミザリィレインボウ」とか、最近の楽曲ってすごくメッセージ性が大切にされてますけど、さらにブラッシュアップされたものが出てきたなぁっていう印象があって。バンドが結成10年を越える中で「The Walker」っていうタイトルだったり、それにピッタリの歌詞が出てきて、最初にこの曲を聴いたとき、すごく感慨深くなったのを覚えてます。

Sacchan:良い意味でスペックが重いというか、1曲で起承転結が完結するなぁという印象はありましたね。シンプルに歌から始まる曲でサビのメロディもいいから、“なんかの表題になるんじゃねぇかな”って勝手に思ってました。

――そもそも、この「The Walker」で千秋さんが言いたかったことって、何なんでしょう? ネタバレにならない程度に教えていただければ……。

千秋:いや、ネタバレも何も“ネバーギブアップ”です! 僕は器用貧乏で生きてきた部分もあるし、メンバーも含めて大してロックな生き方はしてきてないんですよ。あくまで音楽をやりたいというか、“いや、できるっしょ!”くらいのテンションでやってきたんで、その歪みが5年くらい前から出てきたんですよね。感情をぶつけるだけの、それこそ“歩く”んじゃなく“暴れてる”音は、僕の理想の音楽像でもあったけれど、何も考えずに人に怒りをぶつけて暴れるだけでは、千人にしか伝わらないんですよ。せっかくやるんだったら、いろんな人に伝わったほうがいいし、刺激的な出会いも欲しい。そのためには、進み続けなきゃいけないんです。止まっていても、アッチから来る人なんていないんだから。

――なるほど!

千秋:出会うのは、別にファンだけじゃないですよ。例えばライブ終わったあとの打ち上げにPAさんがいたりすると、やっぱり“一緒に生きてるな!”という実感が湧くし、いろんな自問自答をする中で生まれた一つの答えが、“みんな歩いて行かなきゃいけない”ということで。これからも失敗して、成功して、取捨選択していく中で歩き続けるためには、“どうやって諦めずに生きるか?”ということを考えなきゃいけない。個人的な考えを話すと、音楽って本来は10代とか20代前半の子に向けてやるべきなんですよ。でも、その年代って今、楽器を持たないで踊るんですよね。昔とは音楽の形が変わってきていて、バンドが大人の嗜みになってきている時代だから、もう年代関係なく自分と同じ目線の人に向けてやるしかない。そんな風に何回も諦めかけながら、どうしたら少しずつでも進んでいけるのか?ということを考えた中での一つの答えが、“諦めない”と言い切ることなんです。その決意を描いた曲で、別に文学的な歌詞でもないから、普通に聞いたらわかりますよ。自分が人生でそんなことを言うなんて、昔は思ってもいなかったですけど(笑)。

DEZERT/Sacchan(Ba)

DEZERT/Sacchan(Ba)

SORAとMiyakoはもしかしたら、本名の自分と芸名の自分にギャップがあるのかもしれない。僕は線引きが薄いせいか、メンタル的には変わらないです。

――進むためには、諦めずにいればいい。言われてみれば至極当たり前の帰結ですが、そんな“昔は思ってもいなかった”結論にたどり着けた理由って何だったんでしょう?

千秋:ああ。それは“感謝”じゃないですかね。僕、そんなに性格悪くないんで、いろんな人に対して感謝はあるんですよ。ただ、意見の合わない人は淘汰してきたから、昔は“尖ってる”とか言われてましたけど、そもそも“俺一人やったら普通に無理やん!”って思うんですよね。だから感謝したいし、感謝されたいし、そのほうが誰だって気持ちいいじゃないですか。

――完全に“正”のサイクルですね。“負”ではなく。

千秋:まぁ、僕は負の音楽が好きでしたけどね。ただ、全力で負に振り切ってる人って、気付くと続いてないんですよ。かといって別にハッピーなことをしたいわけでもなく、負の言葉もライブで聞けば“負×負”でプラスになったりもするじゃないですか。だから、怒りも含めて喜怒哀楽を感謝というプラスに変えたい。ファンが“今日はライブしてくれてありがとう”って言ってくれると嬉しいから、俺もファンに感謝する。そうなるのがシンプルに良いことだと僕は思ったんですよね。

――たとえ綺麗事でも、昔は言わなかったようなことでも、本当に自分が思えば言うとおっしゃっていましたが、ここまで素直に語っていただけるとは驚きです。

千秋:そうなりたくはなかったですけどね。暴れるだけの音楽に感化されてきたくせに、今はその手の音楽聴けないんですよ。ニルヴァーナとか、“新しいアルバム出さへんしな、あいつら”ってなる(笑)。コロナ禍で知り合いのバンドもどんどん解散していって……まぁ、バンドには終わってしまう美学もあるけれど、俺は終わりたくないんで。

――実際、このコロナ禍で諦めそうになったり、実はダメージの大きかったメンバーもいるんでしょうか? 

SORA:コロナ禍になったばかりの頃、実は僕、メンタルが地獄の底に落ちてたんですよ。ステージ上で“ああ、やっててよかった”って感じられる、ほんの一瞬だけに救われていて、ライブ前とかリハーサルがマジでしんどかった。なので、コロナで全部がストップしたことで、SORAとしては日に日に心を回復させることができたんです。最初の緊急事態宣言が出たときなんてスティックに1ミクロンも触らず、ギターで曲を作ったり、動画を勉強したり。それまでと全然違う観点でいろいろやれたことで、一回大きくしゃがみ込み、メチャクチャジャンプできる状態になったのが、今なんですよね。

DEZERT/SORA(Dr)

DEZERT/SORA(Dr)

全然違う観点でいろいろやれたことで、一回大きくしゃがみ込み、メチャクチャジャンプできる状態になったのが、今なんです。

――SORAさんにとっては、コロナ禍が逆に功を奏したと。

SORA:失言になるかもしれないですけど、“あのとき休めたから今がある”っていうのは正直あります。もちろんツアーが延期になったことは本当に申し訳なかったし、行く予定のライブが延期になって返金忘れてた!とか、僕自身もあったんですよ。だから“メチャクチャむかつくわ、お前!”って思われるかもしれないですけど、それが事実なんで。そのぶん違う形で恩返ししていくしかないから、今は“やるしかねぇな! 頑張ろう!”って毎日考えてます。

Miyako:俺もSORAくんに近いかもしれないです。やっぱり十何年もバンドをやっていると、知らず知らずの間にルーティーンになってしまうというか。その時々のメッセージが変わるだけで、結局バンドって音源出して、ツアー回って……の繰り返しなんですよね。そこで見失ってしまうものもある中、こんな前代未聞のことが起きてしまって、いわば“無”になったわけじゃないですか。ライブはおろか、みんなで集まることもできない。そうなったときに僕は車の免許を取りに行ったり、まとまった時間がないとできなかったことをやって、おかげですごく視野が広くなった気がするんです。変に一点集中して勝手に追い込まれて自滅するアーティストも大勢見てきたけれど、自分もソコに片足突っ込んでいたかもしれないところを綺麗にリフレッシュできたというか。結果、『再教育ツアー』でも良い感じになれたということは、自分にとっては良いことだったのかもしれないなって。

Sacchan:二人(SORAとMiyako)はもしかしたら、本名の自分と芸名の自分にギャップがあるのかもしれないですね。そのバランスが崩れると疲れたりするのかもしれないけど、僕はオンとオフの線引きが薄いせいか、コロナ前も後も明けつつある今も、特にメンタル的には変わらないです。焦りみたいなものも正直そこまでなかったし、僕らだけじゃなく、みんな同じだから仕方ないよね……みたいな、良い意味での諦めもあって。いろんな意味で、あんまり僕は変わんなかったです。

千秋:うん。僕たちだけじゃないから、そんなに深く考えなかった。初期にはいろんなルールがあったり、なんだかんだ活動しないと食っていけないバンドさんもいて、いろんな正義が飛び交った時期は若干しんどかったけど、ただ、こういうどうにもできないことってコロナに限らず起きていくんやろうなぁ。例えば、報道されていないだけで、ロシアにもウクライナにもバンドはいっぱいいるんですよ。でも、それどころじゃないという世界情勢の中では、そろそろ僕らも心構えしていかなきゃいけないのかなぁという風には思います。

――他誌のインタビューでお話しされていましたが、世界平和を願っている千秋さんからすると、由々しき事態ですよね。

千秋:いや、別に世界平和を目指してるわけじゃなく(笑)、僕は自分が関わっている人たちが幸せならいいと思ってるタイプなんで。ただ、そうも言ってられない時が来るのかなぁ……っていうのは考えちゃいますよね。

 

――では、6月18日の野音に話を戻して。単独の野外ライブは今回が初めてということですが、やはり野外ならではの演出や仕込みもあるんでしょうか?

千秋:いや、無いですね。そもそも俺だったら野音行かないですもん! 野音よりもZeppに行きたい派だし、今回も単に会場使用の抽選に当たったんで、せっかくだからやろうかってだけ。ただ、ライブの作り方や演出は今までと全然違うんで、そこが『再教育ツアー』ファイナルにしなかった一番の理由ではあります。結果“野音じゃなかったら、もっとすごいんじゃない?”ってことを、なぜか金かけてやってますよ(笑)。だから、まぁ“雨降らないほうがいいな”と思ってるくらいですね。

SORA:俺、雨男なんで、そこは不安です。行く側からしたら雨は嫌だろうから、雨は降んないでほしいなぁ。あとは、いいライブにしたいなぁっていうくらい。

――じゃあ、てるてる坊主を作らないといけませんね。

SORA:それはめんどくさいから、祈ります!

千秋:まぁ、いっそ降るなら土砂降りとかでやっちゃってほしいよな(笑)。

Sacchan:前は“DEZERTって野外似合わなそう”って言われてたんですけど、実はそこまで苦手意識もないんですよ。もちろん客席やステージからの見え方は変わるでしょうけど、やることは同じですからね。ただ、今回のツアーも含め、ようやくメンバーそれぞれに委ねられている空気が出始めているから、初めてメンバーの一人として出たとこ勝負になれるのはあるかもしれない。それが“初の野外”っていうオプション付きで、しかも3千人規模のライブっていうのは、単純に楽しみですね。

Miyako:野音って、バーベキューできるんですかね? 裏に広々としたスペースがあるじゃないですか。

――……つまり、Miyakoさんが野音で楽しみにしていることはバーベキューだと。

Miyako:それはそれでちょっと(笑)。ま、別に野音だからどうこうっていうこともないんですけど、ツアーがいい調子で来たんだから、せっかくの野外のステージを普通に楽しみたいです。きっと「The Walker」も演奏するだろうし、それは作った千秋くんのメッセージでもあれば、バンドのメッセージにもなるわけで。お客さんの心にも、必ず届くものになるんじゃないかな。

千秋:そんな風にメンバーは言ってくれるけど、僕の中では“俺一人の言葉を代弁してもらっているだけ”という意識なので、特にメッセージを伝えようとは思っていないんですよ。そういうバンドは好きじゃなかったはずだし、伝えたいことがあればツイッターに書いたほうが早いし。“俺のメッセージを聞いてポジティブになってくれ!”とか“俺も頑張るからお前も頑張れよ!”みたいなことを、野音に限らずライブで訴えるつもりは別にない。でも、フタを開けてみたら、今までのワンマンで一番たくさんの申込みが先行予約の時点で既に来ているので、それだけで僕は十分かなって。変に“楽しませよう!”と気張ると僕は空回りするんで、ただ、共有できたらいいんじゃないですかね。

――とはいえ、野音で「The Walker」が初披露されるシーンを想像すると、まだ曲も知らないのに、絶対に感動する気しかしないですけどね。

千秋:……どうですかね(笑)。まぁ、“生で見たほうがいいよ”とは言えますね。来て後悔はしないと思いますよ。

取材・文=清水素子

 

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