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「聴いてくれる人と並んで、一緒に歩いていけるような曲を歌っていけたら」 ReoNaデビューシングル「SWEET HURT」リリースインタビュー

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この夏ソロデビューを果たすシンガー・ReoNa。彼女はTVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』に登場する人気シンガーソングライター・神崎エルザの歌唱を担当し、アニソンシーンに颯爽と登場した。そんな彼女のデビューシングル「SWEET HURT」は、TVアニメ『ハッピーシュガーライフ』のEDテーマに起用。どこかあどけなさの残る歌声で優しく温かく歌われたミドルテンポのナンバーに仕上がった。本稿では、そのデビューシングルと“神崎エルザ starring ReoNa”として発表する『ELZA』に、彼女が込めた想いについて迫る。


――まずは、“ReoNa”としてソロデビューが決まったときのお気持ちをお教えください。

実は、決まったのはまだ“神崎エルザ”の歌い手としても名前を公表してなかった時期だったので、まだプレデビューの実感もないまま「ソロで、しかもアニメのタイアップ曲を担当してもらいます!」と知らされて……だから、作品を読んで、レコーディングに入って、出来上がった曲を聴いて、と段階を経ながらちょっとずつ実感が湧いてきているような感じです。たぶん、放送を観て初めて「またひとつ夢がかなったんだな」って感じられると思うので、今は作品のエンディング映像で「ReoNa」という名前が流れるのを楽しみに、7月が来るのを待っています。

――そのソロデビュー曲「SWEET HURT」は、『ハッピーシュガーライフ』のEDテーマとなっています。作品自体には、どのような印象をお持ちですか?

絵柄が本当にかわいらしいので、読む前は「キラキラしたお話なのかな?」と思ってたんですけど、実はドロドロっとした、結構異常な愛を描いた作品で……。繰り返し読み返しているうちに、どうしてこういう風に歪んでしまったのかとか、パッと読んだだけじゃわからなかった登場人物の背景がどんどん見えてきて。思ってたよりも闇の深い作品だな、って感じました。そして、私たちの身近な物事にもたとえられるような作品なんじゃないかと思います。

――ということは、共感した人物もいたのでしょうか?

さすがに「めっちゃわかる!」とはなれないですけど(笑)、でも主人公のふたり(松坂さとう・神戸しお)のような、好きなものを独占したくなる気持ちって誰もが少なからず持っているものだと思っていて。それが、いろんな境遇や育ち方が影響して、作中のような表現の仕方になってしまう……これって、そんなに私たちから遠いところにある事ではないのかな、って思います。

――では、「SWEET HURT」を最初に聴いたときにはどのような印象を持たれましたか?

“サイコホラー”と謳っている作品にしては、明るくて優しい曲調だなと思いました。スッとメロディが入ってきて歌いやすかったし、表現もつけやすい曲でした。

――レコーディングの際に、心がけられたことはありましたか?

歌詞だけで十分毒々しさとかサイコホラー感がにじみ出ている、作品の内容がすごくよく現れている曲でしたので、歌い方はあえて優しく、柔らかくすることで、異常性や歪んだ愛情といったテーマをさらに強調できるんじゃないかな、と思ったんです。だから、どちらかといえば軽やかに、明るく歌うように心がけました。

――たしかに、歌詞も曲調もとても作品に沿ったものになっていますね。

それに、この曲は作品を知らない人にもきっと共感してもらえる部分がある、そんな曲になれたんじゃないかな、とも思うんです。“聴いたときに共感してもらえる”っていうのが、私がこれから歌っていきたい曲のテーマのひとつなので、そういった意味でも、このソロデビュー曲が“ReoNa”の顔になるようなものになったんじゃないかな、って思います。

 

――少し話が戻ってしまうのですが、歌いやすかったということはレコーディングは自然体で臨めたのでしょうか?

そうですね。リラックスして臨めたと思います。ただDメロのところだけは、唯一切実さだったり、気持ちのちょっとした苦しさとかが出せたらいいなと思ったんです。1曲通して聴いたときにふっと引っかかるような部分になるように、この部分を聴いて頂けたらちょっとだけ曲に対しての見方や雰囲気が変わったらいいなと思って、ちょっと激しく歌いました。

――そして今回は、カップリング曲も2曲収録されます。まず「おやすみの詩」は、直接的にReoNaさんをイメージしやすい曲になりました。

当初、デビュー前からずっと歌ってきた「怪物の詩」というオリジナル曲をリアレンジしたり歌い直して収録しようか、という話もあったんです。もちろんその曲は今後も歌っていきたいんですけど、その曲ができたのは2年ぐらい前なので、「今の私がうたえるような歌を、できればまた新しく書いていただけたら」と思って、同じ作家さんに書き下ろしていただいたのが、この曲です。

――同世代や少し下の中高生ぐらいの世代は、特に共感できる部分も多いと思います。

そうですね。鬱々とした気持ちだったりとか、みんながきっと抱えてるであろうものも、入ってるんじゃないかなって思います。それに、今はもうそういう気持ちをリアルアイムで持っていない世代でも「そういえば、こういう気持ちになったことってあったな」と感じてくださる人もいらっしゃるでしょうし、幅広く共感の呼べる曲なんじゃないかな、と思います。

――そして「カナリア」は、悲しい別れのイメージの曲です。ただ、歌声は切ない方向に行き過ぎていなくて。

この曲はギタリストさんと向かい合う形で一緒に録ったんですけど、声が出すぎないように初めて座ってレコーディングをしたんです。それもあって、うわーっと気持ちが乗っかるような曲ではないし、かと言って本当に淡々とした曲でもないし……っていうそのちょうど中間の、いいところを取れたんじゃないかな、と思います。

――立って歌うのと、感覚の違いはありましたか?

レコーディング自体にまだ慣れていないので、もちろん緊張はするんですけど、今回はいい具合に力が抜けて、歌うことに集中できたと思います。

――さて、7月4日にはTVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』の神崎エルザ starring ReoNaとして『ELZA』がリリースされました。

CDとしてリリースされる作品のレコーディングは『ELZA』が初めてで、それから“ReoNa”として初めてのリリースになる「SWEET HURT」ができて……本当に、ここ半年以上は初めて体験することだらけなんです。そんな、私の人生においてのターニングポイントをくれたのが『ELZA』であり『ガンゲイル・オンライン』だと思っているので、きっと一生歌い続けていく曲たちになると思いますし、一生この作品を大事に大事にしていきたいと思っています。

――ちなみに、ご自身として歌うときと“神崎エルザ starring ReoNa”として歌うときの感覚で、違うところは何かありますか?

「すごく変えた!」という感じはないかもしれません。元々「そんなにエルザ像を意識せず、ReoNaとして歌って大丈夫です」というお言葉を作品側からいただいていたので、演じすぎずにできる限りReoNaで歌っています。作品を意識しすぎるよりは、どれだけ歌詞の内容が作品を知らない人にも伝わるかを大事にして、さらにできる限りキャラクターと自分の共通点を見つけてそこをどれだけ大きく表現できるか……っていうのを踏まえて歌っています。

 

――その『ELZA』を引っさげてのリリース記念ライブ(招待制)が、7月25日に開催されます。そのライブは、どんなものにしたいですか?

今までは、小さなライブハウスでしかライブをしたことがなかったんですよ。だからマイナビBLITZ赤坂のステージに自分が立って、しかも自分を知ってくれてる人だけの前で歌うっていうのが、今はまだ想像しきれてないです。

――ステージ側の景色って立たないとわからないですもんね。

どれぐらいお客さんの顔が見えるのか、とか……でもやっぱりこのライブは、作品ファンの人がたくさんいらっしゃると思うので、その方々のイメージや期待を裏切らないようその世界観を大切にしつつ、楽曲の良さが伝わるようなライブにできたらと思っています。まず一番に「ライブっていいな」って思ってもらいたいですし、そこからさらに「またReoNaのライブに行きたい」と思ってもらえるように、当日まで作り込んでいきたいです。

――そんなライブまで、あと3週間ほどになりました。

3週間……!(絶句)

――ちょっと戦慄されている(笑)。

初めての試みだらけなので……。フルバンドでのライブもあまり経験がないですし、ましてや全曲ライブで披露するのは初めてなので……戦慄です(笑)。

――でも、100%が味方ですから。

そう思って、「みんな味方!」っていう気持ちでいけたら!

――では最後に、ReoNaさん御自身として今後どんな楽曲・アニメソングを歌っていきたいかをお教えください。

私自身、自分が傷ついていた時期に、同じように傷ついているアニメや漫画のキャラクターや、傷ついたことを歌っている音楽とかに癒やされてきました。だから、「頑張れ」って引っ張ってくれたり背中を押すような曲というよりは、「私も傷ついてるんだよ。大丈夫だよ」って横に並んで、一緒に歩んでいけるような曲を歌いたいです。

――その第一弾に、「SWEET HURT」はなりますね。

はい。3曲通して「これからReoNaはこういう歌をうたっていくんだよ」っていう指標になるような、デビューシングルになっていると思います。

 

インタビュー・文:須永兼次

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