ピンク・フロイド、名盤「アニマルズ」を45年の時を超えニュー・リミックス 空飛ぶ豚の象徴的なアートワークも一新
1977年発表、ピンク・フロイドの名盤「アニマルズ」が45年の時を超えニュー・リミックスした「アニマルズ(REMIX)/ ANIMALS 2018 REMIX」が、CD、LP、Blu-ray、SACDの各フォーマットで9月16日に、それらすべてを収納した「限定デラックス・ヴァージョン」が10月7日に発売される。同作が5.1サラウンド・サウンド(Blu-ray、SACD)にてリリースされるのは史上初となる。
ピンク・フロイドの音を司るジェームス・ガスリーによるオリジナル・マスター・テープからの渾身のリミックスが2018年になされたものの、様々ないきさつがありお蔵入りになっていたものが、オリジナル・アルバムの発売から45周年を迎える2022年秋、遂にリリース。バタシー発電所に豚が飛ぶ象徴的なアートワークも一新され、現在考えうる最良の形、極上のサウンドで全く新たに甦る。
「アニマルズ」はピンク・フロイド通算10作目のスタジオ・アルバムで、オリジナル盤は1977年1月にリリースされた。同作は1976年から1977年初頭まで彼らの所有するブリタニア・ロウ・スタジオでデヴィッド・ギルモア、ニック・メイスン、ロジャー・ウォーターズ、リチャード・ライトによってレコーディングが行われ、メンバーが自らプロデュースを手掛けた。全英2位、全米3位の最高位を記録し、彼らの最高傑作のひとつと見なされている。
今回リリースとなる「アニマルズ(REMIX)」はCD、LP(見開きジャケット)、Blu-ray、SACDの各フォーマットでそれぞれ単独発売。更にLP、CD、Blu-ray(オーディオ)、DVD(オーディオ)とともに、アルバムのジャケット写真撮影の舞台裏がわかるレアな写真や、ライヴ、当時のグッズなどの写真がフィーチャーされた32ページ・ブックレットが豪華ハードカヴァー・ブックに収納された「限定デラックス・ヴァージョン」も発売となる。Blu-rayとDVDにはステレオ5.1サラウンド・リミックス(ジェームス・ガスリーが担当)と、オリジナル盤の1977年のステレオ・ミックスを収録。アルバムのアートワークは今回のリリースにあたりすべて一新された。
「アニマルズ」は1970年代半ばのイギリスにおける社会政治情勢に焦点を当てたコンセプト・アルバムであり、人間の世界を動物に比喩し、社会問題やモラルの崩壊を痛烈に批判するコンセプトへと発展させていった。ジョージ・オーウェルの「動物農場」にインスピレーションを得たこの作品は様々な階層の人々を動物に描写しており、社会的連鎖は「豚」(権力者)を頂点に、言われたことに従うしかない、感情を失った「羊」(労働者)の群れを底辺に置き、「犬」をカネと他人を支配する力で肥えていくビジネス界のボスたちに例えている。1977年から45年という長い月日が経ったものの、アルバムの語るストーリーは、社会的・経済的状況が当時と酷似している今の世の中とも共鳴する。
豚(今は“アルジー”という名で知られている)のバルーンがバタシー発電所の2本の煙突の間を漂っている、あまりにも有名で象徴的なアルバムのジャケットは、ロジャー・ウォーターズが構想し、長年ピンク・フロイドとコラボレーションを行ってきたヒプノシス・スタジオのストーム・トーガソンがデザインを手掛けたもの。今回の新たなリリースにあたり、ヒプノシスでストーム・トーガソンとパートナーを組んでいたオーブリー・“ポー”・パウエルがデザインを一新。バタシー発電所は近年大規模な再開発が行われているが、改装工事の際にオーブリー・パウエルが建物を新たな視点で撮影、オリジナル盤のデザインを印象的な形で作り替えた。彼はこう説明する。
「1977年のオリジナル盤はあまりにアイコニックで、それ自体がアートだった。それをアップデートする機会を得て、ある意味手ごわい課題ではあったが、新たに撮影を行って変わりゆく世界を反映させた。そして現代のデジタル着色テクニックを使うことにより、ピンク・フロイドのやや陰鬱なメッセージをキープした。アルバムの伝えるメッセージに忠実な、ジョージ・オーウェル風の動物のテーマと豚の“アルジー”を利用してね」