ミオヤマザキ、ボーカルmioのソロプロジェクト魅音の“カオスな”ツアースタート

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シドゆうや(Dr.)がプロデュースしているミオヤマザキmio(Vo.)のソロプロジェクト魅音(ミオ)の全国ツアー初日が東京・渋谷チェルシーホテルにて開催された。

会場に入ると壁に貼りめぐらされたKEEPOUTと書かれたテープ、そしてそのテープに雑に吊るされた無数のCD。そのCDには8月発売のアルバム収録曲の中から1曲が収録されており、来場者は自由に持ち帰ってよいというシステム。音楽に最初に触れる機会はもっと自由でいいはずだと言わんばかりのエッジの効いた新しくてユーモアのある音源配布方法。それに応えるように会場に入るやいなやファンがCDに群がり、我先にとCDを手に入れていた。

魅音からの奇抜な招待を受け、期待感高まる中、入場SEが流れはじめる。まず姿を著したのは4人のサポートメンバー。プロデューサー兼ドラムのシドゆうや、ベースには元Aqua TimezのOKP-STARを迎え、初めてのステージの演奏を支えるには十分すぎるほどのメンバーが揃えられた。そして4人が定位置についたあとゆっくりと姿を現した魅音はマイクに手をかけながら静かにファンへ視線を向け、ありがとうとも、初めてのライブを目に焼き付けろとも、取れるような表情を浮かべた後、1曲目を歌い上げた。続けてツアーのタイトルでもありアルバムタイトルでもある「CHAOS」ではパワフルでかつ妖艶なパフォーマンスをファンにぶつけ、わずか2曲で魅音の音楽がどれほどのポテンシャルに満ちているかを見せつけた。

演奏時は他の追随を許さないほど完成された女性ロックシンガーとしての貫禄を見せつけた魅音だが、一転してMCではシドゆうやとの掛け合いの中、会場全体を笑いにあふれさせ、なごやかな雰囲気を作り上げていた。中でも印象的だった掛け合いは「ミオヤマザキというバンドを押し上げるためにソロを始め、ゆうやさんにプロデュースをお願いした」という言葉。先日発表されたミオヤマザキの活動休止の理由がソロにあるのではないかとファンに邪推されてしまっている辛い心境をステージで丁寧にファンに伝えた。その言葉はファンと繋がっていられる場所を残していくために、私は歌を歌い続けるのだと日頃魅音がよく口にする言葉とリンクし、勘違いされることへの辛さが滲みながらも、それと同時に目の前のファンにしっかりと気持ちを伝えたいという魅音の誠実さを感じる一幕であった。

ライブはほとんどが初披露のセットリストでありながらも、魅音からの自由に楽しんでほしいという言葉に応えるように、ファンは時に拳を突き上げ、時にクラップで横揺れのリズムを楽しみ、時に言葉を大切に受け入れるように魅音の声に耳を傾け、思い思いの方法でライブを全身で楽しんでいるようだった。そして全曲の披露を終え、メンバー全員がステージから姿を消した後のファンの顔は魅音のパフォーマンスが期待を遥かに上まっていたことによる満足感と、もっと聞きたいという渇望感が絡み合うような表情に溢れていた。

東京を皮切りにスタートした今回のツアーは残り4会場8公演を予定している。ミオヤマザキと比較し、まだ魅音の音楽とパフォーマンスに疑いを持っている方がいたら、ぜひ一度足を運び、その厳しい目で魅音のステージを見ることをおすすめする。そんな強気な気持ちにさせてしまうほどの圧巻のステージだった。

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