Mrs. GREEN APPLE、一夜限りのアリーナライブをWOWOWで生中継 コメント映像&インタビュー公開も
疾走感に満ちたメロディーラインを軽快にドライブしていく大森元貴のハイトーンボイス、そして、緻密に組み立てられた共感性の高い歌詞で絶大な人気を集めているバンド、“ミセス”ことMrs. GREEN APPLE。2020年7月8日に、フェーズ1完結を宣言し活動を休止した彼らだが、その後も主要ストリーミングサービスにおいて「青と夏」「インフェルノ」「点描の唄feat.井上苑子」「僕のこと」「ロマンチシズム」「WanteD! WanteD!」の6曲が総再生数1億回を突破(「青と夏」「インフェルノ」は3億回を突破)するなど、息の長いヒットを生み出し続けている。
そして、2022年3月に新章となるフェーズ2がいよいよ開幕。7月8日にはCDとして2年ぶりの新作となるミニアルバム「Unity」をリリースするとともに、一夜限りのアリーナライブが開催されることとなった。その模様をWOWOWが生中継する。新章フェーズ2とはいかなるものなのか、ミセスはどんな次元へと走り出すのか、そうした期待と興奮が詰まったステージに注目だ。この生中継に先駆けて、メンバーへのインタビューを実施。フェーズ1を完結してから新章フェーズ2開幕までの心境や、ミニアルバム「Unity」へ込めた思い、一夜限りのアリーナライブへ向けて思うことなどを語った。
さらに、本人たちからのコメント映像も到着。番組サイトおよびTwitterのWOWOW音楽公式アカウントにて公開中。
Mrs. GREEN APPLE WOWOWオフィシャルインタビュー
約2年間の活動休止を経て今年3月、活動再開を果たしたMrs. GREEN APPLE。7月8日に開催する一夜限りのアリーナライブ「Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW “Utopia” supported by PIA 50th Anniversary」の模様は、WOWOWで生中継にて放送・配信されることが決定。新章で彼らが描きたい世界観とは?
(取材・文/大前多恵)
――今年3月、新曲「ニュー・マイ・ノーマル」の配信・ミュージックビデオ公開を以てフェーズ2が開幕しました。当時はどのような心境でしたか?
藤澤涼架(Key):約2年の休止期間があったので、ファンのみんながどれだけ待ってくれているのか、ずっと不安だったんです。もちろん、フェーズ2に向けて準備していたんですけど、自分がMrs. GREEN APPLEであるということを忘れてしまいそうになる、というか(笑)。そのぐらい長い期間ではあったので。「ニュー・マイ・ノーマル」のミュージックビデオと共に活動再開して、「お帰り!」というコメントをたくさんもらえたのがすごくうれしかったですね。
大森元貴(Vo/Gt):うれしい気持ちはもちろん大きいんですけど、藤澤が言ったように、やはり不安感も同時にあったし。またこのチームで走り出せることへのワクワクもあれば、ファンのみんながどういうふうにこの曲を聴いて、どういうふうにMrs. GREEN APPLEをまた迎えてくれるのかな?というドキドキもあったし。実際に発表した時には、「よし、やっていくぞ!」という意気込みというよりは、ただただ「ありがたいな」という気持ちでいっぱいになりましたね。
若井滉斗(Gt):ファンのみんなが「お帰り!」というコメントをたくさんくれて、その言葉が何よりもうれしくて……自分は泣いてしまったんですよ。
藤澤:号泣してた。
大森:今、若井を差し出したけど、あなたも泣いてましたよ?
藤澤:はい、めちゃくちゃ泣いてた(笑)。
――大森さんは泣かなかったんですか?
大森:僕は泣かなかったですね。自分よりもめちゃめちゃ泣いている人を見るとちょっと冷めるじゃないですか? 2人に持っていかれました(笑)。
若井:2年の休止期間中は、自分たちにとって鍛錬の期間でもあったので、その時のことも思い出して……いろいろな感情がグワーッと一気に込み上げてきましたね。
――フェーズ2が幕を開けてすでに3カ月超。フェーズ1と2との違いは見えてきましたか?
藤澤:まだライブが始まっていなくて、全てを実感できているわけではないので、正直言うと分からないこともいっぱいあるんです。ただ、SNS上でファンのみんながたくさんメッセージをくれるのはすごくうれしいですし、そういった喜びをフェーズ1の頃よりも大きく感じられているという実感はあります。もちろん、フェーズ1の頃もうれしかったんですけど、バンドを組んで2年でデビューして、すごいスピードでずっと活動させてもらっていたので、そこに自分が付いていけるように当時は必死で戦っていて。フェーズ2が始まって、みんなで音を鳴らしてレコーディングしたり、先行配信で1曲1曲リリースできたりする、そういう一つ一つの活動で感じるうれしさは、今までよりも大きく感じますね。
大森:楽曲然り、ヴィジュアル然りですけど、自由度が増したというか。「バンドとはこうでなければいけない」という固定概念が無くなった気がします。(休止中の)2年間で引いた目線を持てたので、「フェーズ1の頃に自分たちが鎖のように感じていたことは、意外と気にしなくてもいいことだったんだな」と気付いて。以前が不自由だったという意味ではないんですけど、今はより自由に、自然体な自分たちのサイクルで活動できているのかもしれないですね。
――楽曲に限らず、見せ方なども含めてそうなってきている、と。
大森:そうですね。でも、楽曲のことがやっぱり一番大きいですね。「バンドの音像って何だろう?」というのを考えて、ずっとこだわり続けていたのがフェーズ1で。もちろん、その遺伝子、ルーツはありながらも「頭の中で鳴っている音楽ってどういうものなんだろう?」と考えられるようになってきて。自由度が増していっているし、これからも増していくんじゃないかな?という気もします。
若井:元貴が“自由度”と言っていましたけれども、自分的には、フェーズ2になってギターに対する自由度が広がったんじゃないかな?と思います。休止期間であらためて見つめ直して、知識を得たり学び直したりして。だから、レコーディングでも今までだったらつまずいていたところを、この期間で蓄えたもので乗り越えることができたと感じています。それができたのはフェーズ1とは違うな、と思います。
――ギターのテクニックが磨かれ、表現の幅も広がったのでしょうか?
若井:そうですね。純粋な技術もそうですし、理論的な部分も、表現の部分も進化してきているなと思います。
――7月8日にリリースされるミニアルバム「Unity」には、「ニュー・マイ・ノーマル」を含む4曲の既発曲と、2曲の新曲を収録。仕上がってどんな手応えがありますか?
藤澤:今回、サウンド面ではいろいろな楽曲が詰め込まれていますし、1曲1曲の中にも今までにないぐらいの展開がありますし、歌詞の表現している幅もフェーズ1の頃とは違ったパワー感があるな、と演奏していて思いました。僕は主にピアノを使っていることが多いんですけど、その中でも録り方や音の雰囲気を変えてみたり、1曲の中でもセクションによって弾き方を変え、全く違う曲のように弾いてみたり。それは今回のアルバムならではのプレイでしたね。
大森:すごくバラエティに富んだ楽曲たちが集まったなと思っています。いろいろな候補曲があったわけではなく、全部決め打ちで書いていったので、僕らの意志の強さが表れていると思うし、偶然の中できていった曲が必然になっていく、みたいな。いざ6曲そろった時、「なるほどな」と我ながら思いましたね。今作がフェーズ2のフィジカルでのリリース1作目になるのが、すごく面白かったです。
若井:「Unity」に入っている楽曲はジャンルレスなんですけど、それぞれが確立していて、でも邪魔し合っていなくて、すごくきれいなバランスでできていると思います。完成してあらためて通して聴いた時に、そこが面白いなと思いましたね。
――新曲「Part of me」は、生と死をテーマに深いところをえぐった美しいバラード。どのように生まれてきたのですか?
大森:これは……本当に苦しみました。
藤澤:アルバムの中で一番時間を掛けましたね。
大森:僕は楽曲をつくる時、鮮度を大事にするんですよ。その時出た言葉、その時出たメロディーが美しい、という美学が僕の中にはあったので。だから1曲に対して熟考することってあまりなかったんですけど、今回は熟考しましたね。それはなぜかというと、バンドの編成も変わって新しく走り出すとなった時、エンターテインメントとして昇華をし過ぎると中身が無くなってしまう気がして。「ウチらのコアな部分がしっかり生きている」というのを、このアルバム内でちゃんと語らなきゃいけないな、と思ったし。それはMrs. GREEN APPLEとしてもそうだし、僕自身も、5年後10年後に聴いて自分が励まされるような曲であることや、ここ数年の世界の情勢とかも意識して。消えそうになりながらも毎日頑張っている人たちに対して嘘がない楽曲、というのが1曲ないときっといけないんだろうな、とすごく強く思ったので。だから、かなりこだわって「Part of me」は決め打ちで書いて、最後に入れました。
――曲順的にも最後にこの曲があることで、他のポップな曲たちの輝きも増して感じられます。
大森:本当にそうだと思います。
――「Part of me」の制作に時間が掛かった、というお話の時に若井さんは深くうなずいておられましたね。
若井:そうですね。そういう元貴を見たことがなかったので。
藤澤:ちょっと心配になったよね、普通にね。
若井:そうそう、正直心配してた。
大森:今まで、生みの苦しみを2人にガッツシ見せたことはないので。
――そういう面すらさらけ出していこう、という心境の変化もあったんでしょうか?
大森:うん、そうなんでしょうね。作っている時はそんなことを考える余裕すらなかったですけど。今回、レコーディングの予定を初めて延期してもらったりして、申し訳なさもありながら、こだわりたいという意識もあって。2人にはすごく心配してもらっちゃいました。僕が言うのもなんですが、いい緊張感の中で制作はできたと思うんですよね。僕がそれだけ時間をかけて作って、それを2人につないでいく中で、涼ちゃんはピアノで、若井はギターで、「どういうふうにその世界観を広げられるだろうか?」というのを2人が自分自身で考えてくれていたので。
――そのようにして生まれた新作をリリースする7月8日には、一夜限りのアリーナライブ「Mrs. GREEN APPLE ARENA SHOW “Utopia”」が開催されます。ファンの皆さんにとって待望の公演、どんな姿を見せたいですか?
藤澤:フェーズ2が開幕して1本目なので、ファンのみんなに心から喜んでもらえるようなライブをしたいな、と。セットリストについても時間をかけて話し合って決めていて、いろいろな楽曲を披露すると思うので。
大森&若井:おぉ~!
大森:言うねぇ~!
若井:マジですか? 本当ですか?
藤澤:まだ分からないですけど(笑)。今までどのタイミングでMrs. GREEN APPLEに出会ってくれた人も、この休止期間にMrs. GREEN APPLEを知って好きになってくれた人も、みんなに楽しんでもらえるようなライブをしたいな、と思いながら今準備をしています。
大森:僕らは毎度作品の色を変えていて、「Mrs. GREEN APPLEってこれっぽいよね」とは限定されないやり方で活動してきているので、それってつまり、曲ごとにファンがいるということなんですよね。だから僕らのファン層はすごく面白くて、お子さん連れで来られる方もいれば、恋人と来られる方もいるし、小学生の子が「好きだ」と言ってお母さんが付いてきてくれていることもあるし。どのタイミングで好きになってくれた人でも、全部ギュッ!とくるめるようなライブなんじゃないかな?と。バンド編成も変わって不安感を覚えているファンも絶対にいると思うので、そういうファンの皆さんに、安心というか「あ、なるほどな」と思ってもらえるライブになるんじゃないかな?と思います。フェーズ1を僕らは「エデンの園」というアリーナツアーで終えているので、その延長線上というか、何かそういった神聖なるものとしてタイトルを掲げられたらいいね、という話をみんなでしていて、「Utopia」という今回のライブタイトルを決めたんです。フェーズ2になってライブの世界観がガラッと変わった、とかじゃなくて。ちゃんとフェーズ1からつながって、そのストーリー上にこの「Utopia」がある。
――Utopiaは理想郷という意味なんですけど、みんなが難しいことを考えずただただ楽しめるような空間をつくりたい、という強い意識を持って付けたタイトルではあります。だから、楽しんでもらえたらいいよね?
藤澤&若井:うん。
若井:ファンの方と顔を合わせること自体が2年以上ぶり、本当に久しぶりなので、「ただいま」という気持ちが何よりも強いんですけど、やっぱり緊張感もめちゃくちゃあって(笑)。自分自身どうなるか分からないですが、新たな自分たちを観られるんじゃないかな?とは思うので、そこに注目してほしいですね。
大森:昔から知ってくれている人はきっと、ライブを観て「あ、Mrs. GREEN APPLEは変わってないんだな」と、いい意味できっと思ってくれるライブの内容になっているんじゃないかな? でも、初めましての人もすごく楽しめると思うし。変わってないけど新しい、というか……自分たちにとっても不思議なライブになりそうです。
――WOWOWでの生中継を通じてMrs. GREEN APPLEを新たに知る方たちに対して、どうアピールしますか?
若井:自分たちはライブだと結構アレンジをしていて。でも音源には音源の良さもあるので、ライブで気になってくれた方は、そこからぜひ音源で僕たちのいろいろな楽曲を聴いていただけたらな、と思いますね。
大森:僕はあまりライブに行ったことがなかった人なんですよ。つまり、テレビなどのメディアを通してライブ映像を観るのが僕の中で主流で、すごくナチュラルなことなんです。だからこそ言えることなんですが、WOWOWで観て気になったら、ぜひ次はライブに来てほしいですね。自分もバンドを始めてちゃんとライブをするようになってから、「なるほど、生ってこういう良さがあるのか!」とすごく思ったので。
藤澤:みんなが楽しめるように、今回は演出もすごくこだわっていて。
大森&若井:おぉ~!
大森:言うねぇ~!
藤澤:(笑)。みんなで話し合っているので、パフォーマンスという部分で楽しんでもらえるんじゃないかな?と思っています。元貴も言っていましたけど、お子さんも、家族とでも楽しめるようなバンドがMrs. GREEN APPLEだと思うので。
大森:にしたいね、さらにね!
藤澤:なので、ぜひ楽しんでくれたらいいな、と思います。
――皆さんの表情をアップでしっかりと観られるのはテレビ中継のメリットですので、皆さんの感極まる様子を見守りたいと思います。
大森:ここ(※両隣の2人を指さして)はたぶん泣くので、ぜひバッチリと映していただいて(笑)。
藤澤:言うねぇ~(笑)。
――(笑)。では最後の質問です。今後の展望、目標をお聞かせください。
若井:ライブをたくさんしたいなと思っています。今まで行ったところに「ただいま」という意味で行きたいのもあるし、海外も含め、初めましての場所にも行きたいです。
大森:休止期間で海外のファンが本当に増えたんですよ。
若井:そうなんです。SNSでも海外の方が「待ってます!」みたいなコメントをくれたりして。ぜひ会いに行きたいですね。
藤澤:たくさんのところから、いろいろな声をいただいていて。ファンのみんなに会いに行きたいな、という気持ちが強いですね。「Unity」では今まで以上に音楽的な幅を持って届けられるという実感がありますし、これからもMrs. GREEN APPLE自体、幅を持って楽しいことをやっていけたらな、と思います。
大森:来年は僕ら、結成10周年を迎えるんですよ。だから何かできたらいいな、とはぼんやりと思っています。若井が言っていたように、今はライブがしたいですね。……こんなこと、これまで言ったことないよね?!
藤澤&若井:(笑)。
大森:「ライブバンドではない」という感じでやってきているはずなのに(笑)。
――7月8日のアリーナライブが終わったら、また新たに見えてくる景色がありそうですね。今後の活動を楽しみにしています。ありがとうございました。
一同:ありがとうございました!