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Organic Call 結成5年で迎えた初ワンマンライブに見た、高まる期待と止まらない進化

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Organic Call

Organic Call

Evergreen Tour 2022
2022.8.14 WWW

8月14日の渋谷WWWは、結成5年で初のワンマンライブに臨むバンドを祝福する観客でいっぱいだった。バンドの名はOrganic Call(オーガニック・コール)。激しいパフォーマンス、深いメッセージ性を兼ね備えたライブバンドとして、若手有望バンドが集うフェスやイベントには欠かせない注目の存在。今日は2nd EP『セピアに褪せる』のリリースツアー『Evergreen Tour 2022』のファイナル公演として、バンドの歴史に深く刻まれる重要な日だ。

ステージに現れた平田真也(Vo&G)とカワカミトモキ(Gt)、サポートのタカハシシモン(Ba)と高橋リョウ(Dr)が拳を合わせる。1曲目、『セピアに褪せる』の冒頭を飾った「ブルーアワー」の最初の一音からめちゃくちゃ気合が入ってる。無骨で容赦ない音のカタマリ。音源の繊細な完成度の高さと比べると、音圧と勢いは体感で10倍は違う。平田は曲の途中にも関わらず何事か叫びまくる。ドラマチックな夜だな、最後まで楽しんで、と言っただろうか。平田の太く低い声は本当に独特で、歌でも叫びでもどんな爆音の中でもしっかり聴こえるパワーを持つ。カワカミがギターを弾きながら、時折り素手で宙をぶん殴る。噂通りの熱く激しいパフォーマンス。

「茜色、空に灯す」から「Hello My Friend」へ、愚直なまでにひたすらに情熱的に歌い奏でる。曲は速く激しいがどこか明るく開放的なものが多い。「眠れない夜には」では、エフェクトを効かせたカワカミのギターが心地よい浮遊感を醸し出す。2ヵ月間のツアーで得た成長を体現する、落ち着きと自信を感じさせる堂々としたパフォーマンス。

「すごい景色ですね。自分たちのことを好きでこんなに集まってくれていることを実感したい気持ちと、まだ受け止められない気持ちがあります。いつも心を込めて歌っている、今日はそのいつもより心を込めて、今までの自分を更新できるように、このステージ上から言葉を届けます」

平田の力強い宣言から、曲は「なにもいらない」、そして「3秒前の憂鬱」へ。キャッチーな2000年代J-ROCKの基本形に、シューゲイザーかと思うほど大量のエフェクトを乗せて疾走する。かと思えば、ゲストコーラスに女性シンガーのナナジュウハチを迎えた「Night Forever」では、平田がギターを外してマイク1本でラップ&ボーカルで魅せる。さらにもう一人のゲスト、フジタカコのコーラスとアコースティックギターを加えた「未来は君の手の中」「春は巡る」は、ステージいっぱいに光が溢れ出す中、バンドの持つポップで親しみやすい部分を演出する。無骨に見えて音楽性は多様。そして歌詞は、平田の言葉を借りると「特別な言葉じゃなくて日常に溶けるようなもの」。曲を聴いた時に人それぞれの解釈があっていい、という自由なもの。

そしてライブは佳境に入る。ゆったりとしたワルツのリズムが印象的な踊れる曲「夢想家のワルツ」を経て、最終ブロックに突入する前の平田のMC。そこには過去への感謝、現在の充実、そして未来への希望があった。5年前にバンドを結成した時、WWWで初ワンマンをやると約束したこと。今日来てくれた人への感謝の思い。昨日付で前ドラマーが脱退したが、俺たちはちゃんとここにいるということ。そして11月19日に下北沢4会場で、Organic Call主催サーキットフェス『東京日輪音楽祭』を開催すること。「みんなが喜びそうなことを、ずっとずっとこの先も考えてます」――言葉が喜びではずんでいる。

「音楽、好きですか。ロックバンドのこと、好きですか。その気持ちにずっと支えられているんです」

話しているうちに激情がこみ上げた平田が、最後は叫ぶようにMCを締めくくり、そのまま「朝焼けに染まった街へ」へなだれ込む。ミュージックビデオが100万回再生を突破したバンドの代表曲を、メロディを超えて叫び歌う平田を、バンドが大きな力でしっかりと支える。会場いっぱいのクラップで盛り上がる「海が見える街」、穏やかな曲調から一転してアップテンポへと展開する劇的な「Good-bye」、そして飛んだり跳ねたり宙を殴ったり、平田とカワカミの荒ぶるパフォーマンスが熱狂を呼ぶ「愛おしき日々たちへ」。一秒も無駄にせずエネルギーを燃やし尽くす、これがOrganic Callのライブ。

アンコール。リラックスしたメンバーがなごやかに笑い合ってる。平田とカワカミの掛け合いが漫才のように当意即妙で面白い。シリアスなかっこよさのほかに、こうした素の側面が見られるからライブは楽しい。そして本当のラストチューンが披露され、平田の声は最後の瞬間まで情熱を失わない。

高まる期待と止まらない進化。この日Organic Callが魅せたパフォーマンスは、未来への希望を大きく広げるものだった。11月の主催フェス、そしてさらなる新曲のリリースへ。充実感いっぱいの表情で手を振りステージを去るメンバーの姿に、走り続けるバンドの幸運を願って拍手を送った。

取材・文=宮本英夫 撮影=タチバナジン

 

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