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BUCK-TICKのドラマー、ヤガミ・トールの還暦を記念したバースデーライヴのリポート到着

アーティスト

撮影:田中聖太郎

不動のメンバーで今年9月にデビュー35周年を迎えるBUCK-TICKのドラマー、ヤガミ・トールの還暦を祝う「Yagami Toll 〜60th Birthday Live〜IT’S A NOW!2022」が、8月19日神奈川・CLUB CITTA’川崎で開催された。

2012年の50歳の誕生日に同所CLUB CITTA’川崎で行なって以来、恒例となっていたこのバースデーライヴ。以降は下北沢のライヴハウスをメインに、ヤガミ・トール率いるYagami Toll & Blue Skyのメンバーでオリジナル曲やヤガミの好きな洋楽邦楽のカヴァーを披露してきたが、今年は60歳という節目の年を盛大に祝おうと、BUCK-TICK、D’ERLANGER、さらにはYagami Toll & Blue Skyメンバーに都啓一(SOPHIA/Rayflower)、スペシャルゲストとして高橋まこと、湊雅史、吉田美奈子、BUCK-TICKのステージにはISSAY(Der Zibet)も登場。ステージの転換中には、ヤガミの交友関係の広さを物語る、多彩なメンバーから寄せられたお祝いコメントも投映。「やっぱりアニイ60になっても大丈夫!」と5人で声を合わせた氣志團をはじめ、西川貴教や同郷の香川誠(ROUGE)、先輩である内海利勝や仲野茂(亜無亜危異)、先輩ドラマーであるつのだ☆ひろや、後輩ドラマーであるDIR EN GREYのShinya、スピッツの﨑山龍男、BRAHMANのRONZIなど、個性的な面々からの愛溢れるコメントに観客の顔も綻んだ。

影アナを務める声優・黒田崇矢の渋声に呼び込まれたトップバッターはD’ERLANGER。4人が向き合う形でスタートしたのは「BABY」。続く「Angelic Poetry」と、粒立ちのいいそれぞれの音が爆音で絡み合うこの心地よさはD’ERLANGERならではだ。静寂と激情の波が繰り返し展開される「Romeo&Juliet」、キラーチューンの「LULLABY」「CRAZY4YOU」を放った後、ヤガミと親交の深いTetsu(Dr)が「今日はこんな大きいところで盛大にお祝いができて嬉しいです。明日も明後日もお付き合いさせていただきます」とメッセージ。「お祝いを込めてみなさんがご存知の曲を披露したいと思います」というkyo(vo)の言葉の後、披露されたのは「Oh!My God!」。Yagami Toll & Blue Skyの楽曲の中でも、ヤガミが作詞を務めたロックンロールナンバーだ。ヤガミにも知らされていなかったサプライズで会場のテンションを最高潮に引き上げると、最初のMCでkyoが言った「行儀よくステージをあっためたいと思います」という言葉を見事にひっくり返す激熱な「SADISTIC EMOTION」を放ち、ステージを後にした。

2番手はYagami Toll & Blue Sky。ステージにセットされたドラム台は、真っ赤なバラが飾られた特別仕様。ヤガミ、原田喧太(G&vo)、KANAME(B&vo)、屋宜昌登(G)、都啓一(key)の5人が揃いの赤いTシャツで登場すると、インストナンバー「WONDERFUL HOME -Thunder & Cold wind-」をセッション。芳醇なアンサンブルで観客を引き込んだ後、「SODA ROCK!!」や「ROCK’N ROLL STAR」など軽快なロックンロールナンバーで会場を盛り上げた。このバースデーライヴ「IT’S A NOW!」には、もう一人欠かせないメンバーがいた。今年3月に逝去したSHIMEへの哀悼の意を込めて、SHIMEのオリジナル曲「Top of The Mountain Bar」をカヴァー。スクリーンには彼らと一緒に歌い演奏するSHIMEの姿が映し出され、時折それを見ながらドラムを叩くヤガミの姿が印象的だった。続いてゲストドラマーの湊雅史とキャロルの「ファンキーモンキーベイビー」「グッド・オールド・ロックン・ロール」の2曲を、高橋まこととはビートルズもカヴァーしたラリー・ウィリアムズの「SLOW DOWN」とBOØWYの「DREAMIN’」を、ツインドラムの形でセッションした。そして、ヤガミが大ファンだと公言する吉田美奈子は、ヤガミからのリクエストで「時よ」「夢で逢えたら」を熱唱。そのグルーヴィーなヴォーカルの余韻に浸っているところに、ケーキを運ぶヤガミの実弟、樋口豊(B/BUCK-TICK)と、大きな花束を抱えたTetsu(D’ERLANGER)の登場。会場は一気にお祝いモードに。和やかな雰囲気の中、辛口のSHIMEが唯一褒めてくれたというミディアムナンバー「Blow Wind」で締め括った。

SE「THEME OF B-T」が会場に鳴り響くと、ラストを飾るBUCK-TICKの登場だ。疾走感と重厚感を併せ持つアッパーチューン「Go-Go B-T TRAIN」で発車。激しく蒸気が吹き出すような音を今井寿(G)がギュイーンと鳴らすと、それに合わせて樋口がベースのネックを高く振り上げる。星野英彦(G)のギターも切れ味よく、1曲目から激しくアグレッシブだ。「ヤガミ・トールと、その仲間たちです」と軽くメンバーを紹介をした櫻井敦司(vo)が、「おめでたい日に私事ですが、あれだけみんなに気をつけてって言っていたのに、コロナに罹りました。説得力ゼロです」とMC。先月罹患し療養していた櫻井にとって、この日は復帰一発目のステージだった。そんなことを微塵も感じさせないパワフルかつたおやかな歌声で「GUSTAVE」と「Baby, I want you.」を続けて披露。「素敵なゲストをお呼びしましょう」と告げた櫻井が、♪レディオからのTransmission〜とDer Zibetの「沈みたい」のフレーズを歌い始める。登場したISSAYがその続きを歌うという美味しいシーンも。そして、櫻井とISSAYによるツインボーカルナンバー「愛しのロック・スター」を約27年ぶりに共演した。情感たっぷりに聴かせた「恋」、ピースサインが会場いっぱいに広がった「ユリイカ」の後、櫻井が「東京都のアニイさんからのリクエストです」とユーモアたっぷりに紹介すると、ヤガミが「デビューアルバムのタイトル曲をやります!」と告げ、ラストナンバー「SEXUAL×××××!」へ。ヤガミのカウントからイントロが始まると同時に、赤い銀テープが宙を舞った。ヤガミからのお祝い返しのようなこのプレゼントに、会場は狂喜乱舞。大団円に相応しい多幸感に包まれた。

終演後、最後にステージに残ったヤガミが「本日は私の60歳のバースデーにご来場いただき、ありがとうございました」と感謝を述べ、今後順番に60歳を迎えることになるメンバー「3年後4年後も(こんなふうに)出来ていればいいなと思います」と語った。観客からは終始大きな拍手が贈られ、終演まで惜しみない愛が主役であるヤガミに注がれた。デビューから35年間、変わらず立て続けるあのヘアスタイルには、初志貫徹する強さと、ファンへの愛が詰まっている。

この日特に印象的だったのは、Yagami Toll & Blue Skyのステージ上で、急遽シンバルの角度を変更したことだ。ドラム台が高い位置にあるため、シンバルを斜めにセットしていると下にいる観客から顔が見えなくなってしまう。そのために水平に変えると言うのだ。そんな細やかな気遣いも、彼が広く愛される所以だろう。3年後4年後と言わずこれから先も、BUCK-TICKの屋台骨を支えるその頼もしい背中を見続けていきたいと切に願う。

文:大窪由香

セットリスト

D’ERLANGER

1. BABY
2. Angelic Poetry
3. Romeo & Juliet
4. LULLABY
5. CRAZY4YOU
6. Oh! My God!(Yagami Toll & Blue Sky カバー)
7. SADISTIC EMOTION

Yagami Toll & Blue Sky

SE.マンダム〜男の世界
1. WONDERFUL HOME -Thunder & Cold wind- / with 都啓一
2. SODA ROCK!! / with 都啓一
3. Fire Girl / with 都啓一
4. ROCK’N ROLL STAR / with 都啓一
5. Oh! My God! / with 都啓一
6. Top Of The Mountain Bar(SHIMEカバー)/ with 都啓一
7. ファンキー・モンキー・ベイビー(CAROLカバー)/ with 湊雅史
8. グッド・オールド・ロックン・ロール(CAROLカバー)/ with 湊雅史
9. Slow Down(THE BEATLESSカバー)/ with 高橋まこと
10. 「DREAMIN’(BOØWYカバー)」with 高橋まこと
11. 「時よ」with 都啓一 & 吉田美奈子
12. 「夢で逢えたら」with 都啓一 & 吉田美奈子
13. 「Blow wind 」with 都啓一

BUCK-TICK

SE. THME OF B-T
1. Go-Go B-T TRAIN
2. GUSTAVE
3. Baby, I want you.
5. 愛しのロック・スター / with ISSAY
5. 恋
6. ユリイカ
7. SEXUAL×××××!

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