SiM 撮影=田浦ボン
『RUSH BALL 2022』SiM
サイレンを合図にステージに登場したメンバーに大歓声が上がる。そして、「The Rumbling」を皮切りに、「DiAMOND」、「TxHxC」と、最強チューンを連続投下。傾き始めた夕陽が強く照りつける中、オーディエンスも全力の折りたたみヘドバンやジャンプ、突き上げた拳と歓声で応える。
「下々の者(観客)の俺を呼ぶ声が聞こえる。耳障りである」
自らペットボトルの水を頭にかけた後、ボーカルのMAHがそう言うと、待ちかねたその毒舌MCに場内から歓喜の声があがる。
「もう連続で10年ぐらい『RUSH BALL』に出てると思います。今年はストレイテナーのホリエさんたちと特番にも出て、泉大津の市長さんに会いに行ったり、街ブラ的なロケに付き合ったりしたんですよ。当然、テナーか俺らがトリとかでしょうねと思ってたら、全然違うよね。怖っ! 怖いよね。俺の感覚がおかしいんですかね」
場内大爆笑の中、「知りません、もう。全部○します」と、お決まりのMAHの言葉で「BASEBALL BAT」がスタート。黒いバットを手にしたMAHがステージを叩きつけるパフォーマンスにオーディエンスも大興奮。夕陽が傾き始めたタイミングで最強ナンバー「Blah Blah Blah」を投下した後、MAHがオーディエンスに語りかける。
SiM
「コロナ禍から2年半経って、さすがに日本もいろんな国も区切りと覚悟を決めていろいろ動かしていかないといけない時期に来てるんだと思います。でもこういうタイミングだからこそ、1人で突っ走るのは良くない。周りがついていけない。足並み揃えて、一歩ずつ着実に進んでいくことが大切だと俺は思ってて。みんな、勘違いしないで欲しい。音楽シーンを変えるのは「お前」じゃない。「俺」ですらない。「みんな」です。全員で力を合わせて進んでいかないと!」「みんなで取り戻そうぜ。大丈夫、そこにはSiMというバンドがいるから。俺は間違わないから!」
そして披露されたのは、「この国のことを考えようぜという曲」という「WHO'S NEXT」。彼らの根幹にあるレゲエもパンクも、どちらも基本はポリティカルな音楽だったと思い知るヘビネスなバンドグルーヴに、当然場内も大熱狂。「『RUSH BALL』と俺らで少しずつ前に進もう」と告げ、お決まりの絶叫の後に披露されたのは、「KiLLiNG ME」。すべての観客を座らせ、ここ2年半の鬱憤を吹き飛ばすアグレッシブな歌と演奏と共に、全員で一斉にジャンプするパフォーマンスも、かつてのライブの形を取り戻すにはまだまだ足りない。SiMと『RUSH BALL』の挑戦はここからが本番なのかもしれない。
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取材・文=早川加奈子 撮影=田浦ボン
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