中島美嘉、全国ツアー「MIKA NAKASHIMA CONCERT TOUR 2022『I』」LINE CUBE SHIBUYAファイナル公演ライブレポート到着
中島美嘉が全国ツアー「MIKA NAKASHIMA CONCERT TOUR 2022「I」」のファイナル公演を9月13日、東京・LINE CUBE SHIBUYAで行った。
初のセルフプロデュース、そして、初めて全曲の作詞・作曲を手がけたアルバム「I」を携えた今回のツアー。そのラストを飾るライブで中島美嘉は、アーティスト/シンガーとしてさらに奥深さ、華やかさを増したステージを見せてくれた。根底に流れていたのは、”自分の生の言葉をしっかりと届けたい”という真摯な思いだ。
アルバム「I」に収められた曲名を映し出す映像、荘厳なオープニングSEとともに白を基調にした衣装に身を包んだ中島が登場。低音を効かせたサウンドと英語詞のリリックが一つになった「I’m Here」(日本語訳をスクリーンに投影)からライブはスタートした。さらに辛辣な歌詞を軽快なスカのビートに乗せた「めんどくさい」、前向きなメッセージを放ったアッパーチューン「HELLO」を披露。最初のMCで「この状況の中、こんなに集まってくれて本当に感謝します。最後まで1曲1曲、みなさんに言葉を届けていきたいと思います」と語りかけ、幅広い年齢層の観客で埋まった会場から大きな拍手が送られた。
椅子に座り、シックに歌い上げられた「Puzzle」、“忘れないで 生まれ変わっても/必ず巡り会えるから”というラインが響いたバラード「信じて」とアルバム「I」の楽曲を続けた後は、“Ballad medley”。「ORION」「桜色舞うころ」「STARS」「WILL」などキャリアを代表する名曲を重ね、バレリーナ、ダンサーを交えたステージングととともに豊かな感動を生み出した。さらに「Delusion」のダークファンタジー的な映像(ボリュメトリックキャプチャ技術を取り入れたスペシャル映像)を挟み、「僕が死のうと思ったのは」へ。生きることへの強い思いを込めたボーカルは、まさに圧巻だった。
ライブ前半でもっとも印象的だったのは「茨の海」。重厚なバンドサウンドのなかで、「怯む心など/その身体に微塵もない」という歌詞を歌い上げるこの曲は、アルバム「I」のなかでももっとも強いメッセージが伝わる楽曲だ。歌うこと、生きることへの覚悟を込めた歌声は、中島美嘉の真骨頂と言っていいだろう。
中盤のMCでは、「いろんなルールがあるなかで、みなさんが楽しんでくれていることがすごく嬉しいです。ありがとうございます」「数年ぶりにアルバムを引っ提げたツアーをやらせてもらっていて。最初は不安もありましたけど、無事にここまでやってこれました」とコメント。さらに“自分の座を守るために/楽しみたいなら終われ”というフレーズを突き刺す「CEO」、疾走感のあるサウンド、人生とドライブを重ねた歌詞が共鳴する「LIFE IS A DRIVE」とアルバム「I」の楽曲を続けて披露した。
秋元康の作詞による「知りたいこと、知りたくないこと」、離れてしまった“あなた”への深い愛を刻んだ「Dear」は、ピアノ、アコギ、ウッドベースによるアコースティックアレンジ。憂いを帯びたボーカルも強く心に残った。
「月光」をモチーフにしたインスト演奏とバレリーナのパフォーマンスを挟んで披露されたのは、“POP medley”。黒のセクシーな衣装をまとった中島が「LIFE」「GLAMOROUS SKY」などのアッパーチューンをつなげ、会場に心地よい高揚感をもたらす。拳を突き上げ熱唱する彼女自身も、この瞬間を全身で楽しんでいるようだった。幅広い音楽性、奥深い歌詞の世界観を際立たせるバンドメンバー(河野伸/Key、海老沼崇史/Ba、馬谷勇/Gt、山本真央樹/Dr)の演奏も素晴らしい。
“どいつもこいつも中途半端で”というドキッとするようなフレーズではじまる「Phantom」、“一人で抱えないで、一緒に楽しみながら生きていこう”というハッピーな気持ちが広がる「Special Day」(オーディエンスと目を合わせ、手を振ってコミュニケーションを取る姿も印象的!)によってライブはクライマックスへ。名曲「雪の華」を丁寧に歌い上げた後は、アルバム「I」の最後に収められた「愛のしずく」。和の叙情性を感じさせる旋律、命の連なりを描いた普遍的な歌詞がゆったりと広がるこの曲は、中島美嘉の新たな代表曲になりそうだ。
「21年間歌わせていただいて、その間、本当にいろんなことがあって。支えてくれたみなさん、スタッフ、家族、バンドメンバー、近い人を思い浮かべて書いた曲です。みなさんもぜひ、大切な人と重ねて聞いてくれたらうれしいです」という言葉に導かれた本編の最後は、リハーサルやツアー中の写真をバックに披露された「僕には」。歌の途中で感極まり、涙を浮かべながら歌う中島に対し、観客からは惜しみない拍手が送られた。
アンコールでは、新曲「Wish」(TVアニメ「ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION」エンディングテーマ)を初披露。ラストは「SONG FOR A WISH」。“そして明日を夢見て 私は祈るよ/希望の歌が たった一人の君を/笑顔にできるまで”というフレーズを手渡すように歌う姿は、観客一人ひとりの感情を強く揺さぶったはずだ。
スクリーンに「君の笑顔は未来への翼」という文字が映し出されるなか、生声で「ありがとうございました!」と感謝を表現した中島美嘉。その表情からは、アルバム「I」と今回のツアーに対する充実感がはっきりと伝わってきた。
圧巻のステージで魅了した本公演は、9月20日まで「ニコ生」アーカイブ視聴が可能となっている。
11月5日・6日に2度目のブルーノート東京公演となる「MIKA NAKASHIMA LIVE at BLUE NOTE TOKYO 2022」の開催が決定。ホールライブとはまた違ったスタイルで中島美嘉の世界観が堪能できる本公演にも注目だ。
カメラマン:河本悠貴
ライター:森朋之
セットリスト
M01 I’m Here
M02 めんどくさい
M03 HELLO
M04 Puzzle
M05 信じて
M06 Ballad medley
1. ORION
2. 桜色舞うころ
3. ピアス
4. STARS
5. WILL
6. BABY BABY BABY
M07 僕が死のうと思ったのは
M08 茨の海
M09 CEO
M10 LIFE IS A DRIVE
M11 知りたいこと、知りたくないこと
M12 Dear
M13 POP medley
1. LIFE
2. Over Load
3. GLAMOROUS SKY
4. I DON’T KNOW
M14 Phantom
M15 Special Day
M16 雪の華
M17 愛のしずく
M18 僕には
E.C.M1Wish(新曲)
E.C.M2SONG FOR A WISH
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