9月14日にMorfonica 5枚目のSingleとなる「寄る辺のSunny, Sunny」が発売となる。2022年7月に放送されたファン待望のモニカの物語を描いたアニメ『BanG Dream! Morfonication』では、挿入歌としてライブパートを彩った楽曲だ。カップリングに収録された「One step at a time」は透子(CV:直田姫奈)のソロパートが印象的で、どちらも夏にピッタリの雰囲気のSingleに仕上がっている。今回、Morfonicaを代表して倉田ましろ役の進藤あまね、八潮瑠唯役のAyasaのおふたりにインタビューを行い、Singleの話題はもちろん、『BanG Dream! 10th☆LIVE(以下「10th☆LIVE」)』や『BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020→2022(以下「GBP2022」)』といった今後のライブに向けての意気込みについても伺った。
爽やかさの中に感じる、確かなモニカらしさ
――早速ですが、今回のSingleはこれまでのリリースと打って変わってというか、ガラリと雰囲気が変わって爽やかな1枚に仕上がっているなという印象を受けました。おふたりの第一印象はどんな感じでしたか?
進藤:そうですね。今回のSingleはどちらも夏にピッタリのイメージで、「One step at a time」はみんなで手拍子する所があったり、『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』(以下、『ガルパ』)内のストーリー的にも皆で元気に楽しく音楽にノっていこう!という物語だったので、すごく背中を押してくれる曲だなという印象があります。「寄る辺のSunny, Sunny」は新しいモニカの思い出を描いていて、2つともまた違う形で”爽やかな夏”が収録されていて素敵だなと思いました。
――Ayasaさんはいかがでしょうか?
Ayasa:リリースは9月ということで、もう夏が終わりそうなんですけど(笑)。個人的に「寄る辺のSunny, Sunny」は夏真っ盛りに聞きたいイメージなのですが、メロディの”エモ感”が夏の思い出を振り返りながら聞いても染みそうな感じもあって、確かに雰囲気はこれまでの楽曲と比べて爽やかなんですけど、どちらも綺麗というか、美しさのある曲に仕上がっている部分にモニカらしさもちゃんと感じられるSingleになっているんじゃないかなって思っています。
言葉ではうまく伝えられない、瑠唯の寄り添う想い
――それではより楽曲にフォーカスして、まずは「寄る辺のSunny, Sunny」ですが、アニメ『BanG Dream! Morfonication』にもリンクしている曲ということもあり、モニカの成長をすごく感じる内容になっていると思うのですが、おふたりの思う、歌詞やメロディーに込められたモニカの成長ポイントを伺いたいなと思います。
進藤:この曲はましろちゃんたちがアニメで体験したことがそのまま歌詞で描かれていて、「熱帯魚のパレード」や「光のフィラメント」は彼女の世界観をよく表しているなって思いましたね。中々そんなフレーズって出てこないじゃないですか。逆に、アニメではましろちゃんの視点から見た世界が描かれていて「あ、彼女にはこういう風に世界は映っているんだ」ってより楽曲についての理解が深まるというか。メロディ的にも夏楽曲ではあるんですけど、要所要所にモニカらしいフレーズが散りばめられていて、それが自分たちらしさにちゃんと繋がっているなって感じられます。
――Ayasaさんはバイオリンを弾いていて感じる部分など、ありますでしょうか?
Ayasa:この曲をもらった時の第一印象として「結構歌ってるな…」って思いまして(笑)。バイオリンってどうしても弾きながらのコーラスというのが物理的に難しいんです。それこそ「Daylight -デイライト- 」だと、皆のハモりが入ってる所でバイオリンはカウンターフレーズを弾いてたりしてて、これまでの楽曲だと皆が歌ってる所にバイオリンが入ることが多かったんです。対してこの曲ではみんなで歌って、バイオリンを弾くという構成になってる部分にも注目して頂けたら嬉しいですね。
――クールな瑠唯がモニカに馴染んでいく感じが、アニメだけじゃなくて楽曲でも描かれているのは演じていても嬉しいのではないでしょうか?
Ayasa:そうですね(笑)。あと、バイオリン関連で1番分かりやすいのが、多分今までのモニカ楽曲ってイントロのバイオリンのリードが歌メロとほとんど同じメロディを弾くことってあまりなかったんですけど、この曲のイントロはサビをちょっともじったメロになっていて。モニカの曲って瑠唯が曲を作っているはずなので、それが瑠唯なりの「一緒に歌いたい」みたいな気持ちの表れなのかなって思うと……エモいですよね(笑)。
――その解釈、エモ過ぎますね…!
Ayasa:ストーリー的に、まだ全然みんなに心を開いてない頃は曲だけ最初に作って「歌詞は勝手にどうぞ。私は私で弾きます。」みたいな雰囲気があって、今回のアニメ『BanG Dream! Morfonication』は『ガルパ』のバンドストーリーの第2章の後になるんですが、ちゃんと瑠唯の変化が現れているんですよね。言葉ではうまく伝えられないからこその、瑠唯なりの寄り添い方を感じて……。
進藤:エモですねぇ(笑)。
進藤あまね
透子の諦めない気持ちが表れている
――続いて、カップリングの「One step at a time」の好きなポイントを教えて頂けますか?
進藤:この曲は透子ちゃんと交互に歌うパートがあるんですが、モニカ的には初の試みで。皆で一緒に歌うか、普通に1人ずつのソロパートっていうのはあったんですけど、今回のような形のものはなかったので、その印象が強いですね。
――あっ、意外でした。言われてみるとそうかもしれません。
進藤:歌詞自体も透子ちゃんの諦めない気持ちが表れていて、ましろちゃんから見ていても伝わってたんだなって絆を感じられるのが好きです。自分的には「瞳の奥はまばゆく燃えている」が本当に透子ちゃんを表していて、エモくて好きですね。
――瑠唯の目に透子というキャラがどう映っているのかも気になる所ですが、いかがでしょうか?
Ayasa:透子ちゃんって、モニカってバンドの中でも「盛り上げていくぞー!」ってオーラ全開で引っ張っていく立ち位置にいると思っていて、今後も色々と引っ張っていってもらうんだろうな~って思うんですが、そんな透子ちゃんが存分に表れている曲ですよね。
進藤:うんうんうん!モニカの中心人物というか。
Ayasa:透子ちゃんが何かしたいっていうのを、みんなでサポートして、ましろちゃんも頑張って成長に繋がったり……それが原因でましろちゃんが凹んだりもあるんですけど、でも歌詞で「大丈夫」って言われているから頑張れるというか。今までのモニカをすごく象徴してるなとも思っています。
“めっちゃいい子たちだな”っていうのが伝わってほしい
――また今回、Blu-ray付生産限定盤には早速アニメ『BanG Dream! Morfonication』が収録されているということで、アニメの注目ポイントについても伺えたらと思います。
進藤:個人的には2つありまして、ひとつはましろちゃんのお母さんが出てくるんですよね(笑)。これまでバンドリ!シリーズだと(Poppin’Partyの)沙綾ちゃんの家族とか、(Roseliaの)友希那さんのお父さんが出てきていたんですけど、モニカの家族は誰が出てくるんだろう? って密かに楽しみにしていたんです。しかもましろちゃんと真逆でめっちゃノリがいいタイプなのもよかったですね(笑)。もうひとつが「寄る辺のSunny, Sunny」の演奏前のシーンの……。
――みんなで花火をやるシーンですよね!
進藤:はい!個人的に演技の面でも、今までめそめそ泣いていたのが、初めてブワーッて号泣する演技をしたので、注目して頂けたらと思いますし、花火の作画も全部が綺麗なシーンで、そこに透子ちゃんが「ごめん」って正直になって謝るのが、ましろも透子ちゃんも2人とも変わったんだな……って、すごくエモくて刺さりましたね。
――Ayasaさんはお気に入りのシーンなどありますか?
Ayasa:私もましろちゃんの頭の中が今回初めて視覚化されて、彼女の歌詞の独特なワードチョイスとか、モニカの世界観がこういう感じで、曲のこういう部分に反映されてたんだっていうのがより理解できた気がしました。
――解像度が上がったというか。
Ayasa:そうですそうです。やっぱりアニメがあることによって描けるモニカの一面というのを改めて感じたというか。逆にアニメだけでは描けない部分を私たちがライブなどでやれたらいいなって思います。アニメの中のライブパートを踏まえて、改めて楽曲を聴くと「花火」みたいな歌詞の中のキーワードだったり、より際立つ部分がありますよね。
――リアルライブの方では、モニカの場合は朗読劇のパートもあって、曲があって、それを踏まえることで見えてくる楽曲の輪郭みたいなのがあると思うんですが、やっぱり“百聞は一見にしかず”じゃないですけど、映像として視覚化されることでの説得力がすごくて……。
Ayasa:アニメ『BanG Dream! Morfonication』の中でこの曲が最初に流れた時は、アトリエで練習していて、最後はライブ会場でのライブパートに繋がるんですけど、アトリエで輪になってお互いに見合って練習してる姿がすごく印象に残っていて。それくらい仲良くなってるんだなっていうのが、モーションキャプチャーの時に「つくしの方を見たりしてください」っていう指示もあったりして、みんな本当にいい子たちだなって(笑)。アニメ『BanG Dream! Morfonication』を通じて、仲の良さとか、いい子たちだなっていうのが1番伝わってほしいなって思いました。
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■『BanG Dream! 10th☆LIVE』への意気込みや、サプライズ出演となった『Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-』への想いも!
Roseliaとポピパに挟まれるのって、どんな気持ちなのかな?って(笑)
――また話題が変わりまして、『BanG Dream! 10th☆LIVE』に向けての意気込みを伺いたいのですが、4バンドが4日間連続でステージを作っていく……という流れの中で、今回モニカさんは2日目じゃないですか。ぶっちゃけ、初日のRoseliaさんと3日目のPoppin'Partyさんに挟まれるのってどんな気持ちなのかな?って(笑)。
進藤:いや、プレッシャーですよ!今回は最終日がRASさんなので、初日のRoseliaさんから、ましろちゃんたちの憧れのポピパさんに最高の形でバトンを渡して、最終日まで勢いを繋げるようなステージにしなきゃですよね。
――やっぱりプレッシャー感じちゃいますよね(笑)。
進藤:あと、確かモニカの1st LIVE『Cantabile』もこのくらいの時期で、同じく会場が有明にある東京ガーデンシアターだったので、その時と変わったんだよっていうのを見せられたらなって。モニカってカバー曲のラインナップにアニソンだけでなく、ドラマで使われていた曲もあるんです。オリジナル曲も難しいんですが、カバーも難しい曲が多くて。あの時はこれくらいの演奏だったけど、今はここまでパワーアップしましたよというのを伝えられる場にしたいですね。
Ayasa:あまねすが言っていた通りでモニカって難しい曲が多いんですけど、その割に派手さはないというか。言い方がちょっと難しいんですけど、複雑だからこそ、地味で伝わりにくい部分がありまして。ある意味その分、作り上げた時の達成感は我々はすごくあるんですけど、お客さんに対しても、単純に音圧とかだけじゃない、聞いた後の「スゴかったよな…」みたいな部分が感じてもらえたらなっていつも思っています。
――確かに、神は細部に宿ると言いますし、技術的に難しい部分や丁寧さみたいな部分って伝わりにくいですけど……。せっかくなのでこの際に「ここシンドイんだけど、聴いてくれ!」みたいな事がもしあれば、アピールしておきませんか?(笑)。
Ayasa:それこそあまねすもバンドを組むのは初めてでしたし、姫奈ちゃんやおゆちゃんもギターやベースがびっくりするくらい上手になってるし、そこにmikaさんの無敵のドラムが加わって、実際にモニカが1番後輩バンドで、先輩たちにようやく肩を並べれるレベルにまで追いついてきたのかなって思ってるのですが、伝わってるといいな(笑)。今回のSingleの曲でいうと「One step at a time」が軽快な曲だからこそ、個人的に8分の刻みがあんまり得意じゃないというのもあって、そこは毎回ドキドキしながら弾いてますね。
進藤:私もそうですね、「One step at a time」ですね。他のメンバー4人が歌って、私が下でハモって、またソロで主旋律に戻るパートがあるんですけど、そこがいつも惑わされるんですよね(笑)。でも個人的には1番難しいモニカ曲は絶対「Daylight -デイライト- 」だと思っています。『Friendship LIVE』(※2021年2月開催/Poppin'Party×Morfonica Friendship LIVE「Astral Harmony」)の時も愛美さんと「コレ、すごい難しい曲だね~」って話していました。実はデビュー曲が1番難しいっていう(笑)。
Ayasa
次は必ず、5人全員で!
――(インタビューのタイミングではまだ発表されていないですが)『Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-』へのサプライズ出演もされるという事で、コチラの意気込みも聞かせてください!
進藤:アニサマはやっぱり憧れの舞台ですよね。夏はコミケ行って、『Animelo Summer Live』に行かないと終われないというオタクをずっとしてきたから、まさかあの『Animelo Summer Live』に自分が出るなんて思ってなくて、普通にマネージャーさんに「アニサマの日は空けておいてください」って頼もうとしたら「その日、もう(仕事で)埋まってます」って即答されて「嫌だ~!アニサマ行きたい~!」ってゴネてたら「あなたが出るのよ」って(笑)。もう衝撃だったんですけど、本当にまだ夢のようですし、今回はモニカから私とAyasaさんがサプライズって形での出演になりますが、次はバンドとして5人全員で出演したいですよね。
Ayasa:やっぱりさいたまスーパーアリーナという大舞台ですから、人生で一度は立ってみたい舞台でもありますし、光栄です。アニサマの醍醐味としてサプライズゲストというのがあると思うんですが、その枠に私たちを選んでいただけたのは本当に嬉しいですけど、やっぱり次は5人全員で!というのはあまねすと同じ気持ちですね。
――今回、待望のアニメがようやく放送されたこともありますし、今後、モニカで別のアニメの主題歌だったり、そういう活躍の場が広がっていく中で、自ずと『Animelo Summer Live』のステージが見えてくるといいですね。最後に11月の『ブシロード15周年記念ライブ』や、その前日の『GBP2022』という大舞台も控えていますので、そちらについてもコメントいただけますか?
進藤:もう私は、元々バンドリーマーだったので、『GBP2022』は本当に楽しみですね。前回全バンドが揃って歌ってた東京ビッグサイトのライブ(2018年1月開催/ガルパライブ&ガルパーティ!in東京)の時は、そもそもまだ声優にすらなってなくて、まさか次、全員集合する舞台で自分も出演するなんて(笑)。もうなんちゅう人生歩んでるんだって感じなんですけど、Morfonicaの倉田ましろとしても、ストーリーの中でどんどん他バンドのボーカルの方と仲を深めていってて、そういう面でもましろちゃんとも一緒に楽しめたらいいなって思っています。
Ayasa:実は、本来予定されていた『GBP2020』の時ってまだモニカが始動したばかりのタイミングで、だからメインビジュアルに私たちの姿ってまだ無かったんですよね。
実はデビュー1発目のライブになる予定だったんです(笑)
――そう思うとこの2年間ってめちゃめちゃデカいんですね。
Ayasa:そうなんです。本来は『GBP2020』がMorfonicaとしてデビュー1発目のライブになる予定だったんです(笑)。2年経って、メインビジュアルにも入れて頂けたことですし、心の余裕も生まれる期間があったので、ベルーナドームという大きな舞台ではありますけど、しっかり楽しみたいですよね。
進藤:うん、めっちゃ楽しみたい。
Ayasa:『GBP2020』でデビューライブ!ってなると絶対に自分たちのことでいっぱいいっぱいでライブを楽しむ余裕なんて無かったと思うから、ある意味よかったのかもね(笑)。
――最後に『ブシロード15周年記念ライブ』についてお聞きします。『GBP2022』の翌日はバンドリ!の代表として、立場が若干変わりますが、心構え的な部分は何か変化はありますか?
進藤:本当にもう全コンテンツが集まるんで勝負ではあるし、ブシロード全体の良さもお伝えしつつ、やっぱりオタク精神としてもこういうフェスに行ったあとって「あのアーティストが良かった」とか「セトリ強かったな~」って話しながら帰ったりするじゃないですか。その中にMorfonicaが入りたいです。前日のGBP2022に来てくれてたお客さんもいると思うんですが、その方々も飽きさせないライブにしないといけないですし、みんなの頭の中にモニカが残ってもらえたらって思いますね。
Ayasa:いや~、燃えていますよ(笑)。このご時世、様々なコンテンツがあって、皆さん色んなプレゼンを受けて生きておられると思うので、その中でも異色というか、モニカらしさを全力で出して、他と違ってそれがいいって私たちの音楽を聴いてもらえたら1番嬉しいですね。こう、いかに皆さんの“推し”の網に引っかけるか、必死です(笑)。
――2022年下半期のMorfonicaもまだまだ見逃せない!ということで、これからのご活躍も楽しみにしています。本日はありがとうございました!
Morfonica 5th Single「寄る辺のSunny, Sunny」 ジャケット
取材・文:前田勇介