新山詩織、アコースティック・ツアー「夏の終わり」ファイナル公演のライブレポート到着 デビュー10周年記念ライブも決定
新山詩織が9月30日、東京・COTTON CLUBでアコースティック・ツアー「新山詩織 アコースティックlive 2022 ~夏の終わり~」のファイナル公演を行った。
オフィシャルレポート
2021年に再始動して、今年4月に5年半ぶりのアルバム「I’m Here」をリリースした新山詩織。このアルバムはタイトル通り自分の存在「私はここにいるんだ!」と再始動宣言にふさわしい、生々しい歌声がフィーチャーされ一切の無駄を削ぎ落としたシンプルな楽器編成での作品となった。
そして今回のアコースティックツアーは新進気鋭の音楽家「和久井沙良(ピアノ)」と「新山詩織(Vo,Gt)」の二人で京都、名古屋、札幌と回り、この日がツアー最終日となる。
このツアーに先駆けて配信シングル「I can’t tell you(feat. 和久井沙良)」「Free(feat. 山崎あおい)」というコラボシングルを8月&9月と連続リリース。再始動してからの彼女のクリエイティビティの高さもさることながら、今回彼女が初めて選んだこのコットンクラブは、今まで彼女が行ってきたライブハウスとはまた違う雰囲気の会場で、ゆったりと椅子に座って音楽を聞いて欲しいという彼女のこだわりが随所に垣間見える。開場時のBGMは恒例、彼女のセレクトしたものが流れていて、それもまた彼女のライブの楽しみに一つとなっている(今回はLucy RoseやRosie Carne, Phoebe Bridgersなど女性ボーカルが中心)。
オープニング曲は彼女が10代の頃にリリースした1stアルバムからの「たんぽぽ」という曲から静かに幕をあける。
「静」かに、そして自分に問いかけながら歌う新山詩織。同じフレーズを二度弾かない、情感たっぷりの「動」の世界を構築するピアノ和久井沙良との息もぴったりで奥行きのある躍動感のある音世界が繰り広げられて行く。今年発売した楽曲から高校生の頃に発売した曲まで、人間的にも成長して歌声にも深みを増した新山詩織の楽曲たち。途中MCもほとんどなく、伝えたい彼女の生々しい今の「歌声」が来場者の胸を打つ。
ライブ途中、彼女がインスタで募集した、ファンからのリクエストによる「夏歌」を歌うコーナーで(東京以外では真心ブラザーズや井上陽水のカバー曲もあったそうだ)、盟友山崎あおいがスペシャルゲストとして登場。山崎あおい自身の楽曲「夏海」と、9月に配信リリースされたコラボ曲「Free(feat. 山崎あおい)」が披露される。同時期デビューし、お互い切磋琢磨してきた二人が、お互いの存在を確かめ合いながら歌声を重ね合わせ、それが美しいコーラスとなってファンを魅了していく。
続いて和久井沙良とのコラボ曲「I can’t tell you(feat. 和久井沙良)」を披露。この曲は、初めは好きだった事(物や人)が時間とともに冷めていくことに気づいたときの虚しさ、それを割り切るも、かすかに残る罪悪感。でも自分に嘘はつけない矛盾する気持ち。そんな日常にある、ふとした感情を時には泣き叫ぶかのように歌う彼女の歌声と、それに呼応するかのような和久井沙良のピアノが会場を包み込んで行く。
ラストに再び山崎あおいが登場。新山自身も初めて歌う、意外とも言えるPUFFYの「これが私の生きる道」を披露。その歌詞を噛みしめるように歌い、場内一体となって温かい空気に包まれステージの幕を閉じた。
最後の「このご時世でファンの人との距離が遠くなってしまいがちですが、今回のアコースティックライブツアーではみんなと心の距離がもっと近くなれるようなコンセプトで歌をしっかり届けたいと思って歌って来ましたが、届きましたでしょうか?」という彼女のMCとともに、嬉しいお知らせが。2012年12月12日にアーティストデビューした彼女が、まさに10周年を迎える2022年12月12日デビュー同日に10周年を記念したライブを発表した。16歳・高校生でデビューした彼女のこれまでの10年間を振り返りつつ、そして新曲も含む新たな彼女の世界観が期待できるライブにぜひ足を運んで欲しい。
文:ペリー今村
撮影:達川範一(Being)
セットリスト
01. たんぽぽ
02. Do you love me?
03. 帰り道
04. 絶対
05. 分かってるよ
06. 夏海 (山崎あおい) *Special guest 山崎あおい
07. Free(feat.山崎あおい)*Special guest 山崎あおい
08. I can’t tell you(feat.和久井沙良)
09. 糸(1stステージ/中島みゆきカバー)/ピアノ(2nステージ/The Birthdayカバー)
10. Smile for you
En.これが私の生きる道(PUFFYカバー)