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加山雄三、「ラストショー 〜永遠の若大将〜」WOWOW放送・配信に先駆けインタビュー&ライブレポートを公開

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インタビュー写真:福岡諒祠(GEKKO)

本当の幸せはここにあった。年内でコンサート活動卒業を発表した加山雄三が、ファンの皆さんへ感謝を込めておくる感動のラストショー。

11月6日は、若大将こと加山雄三の映画と音楽をたっぷり楽しめる特別な日になる。大ヒット映画・若大将シリーズの中から「大学の若大将」「エレキの若大将」「アルプスの若大将」の名作3本に加え、9月9日に東京国際フォーラム ホールAで行なわれた「加山雄三ラストショー 〜永遠の若大将〜」を、WOWOWで一挙放送・配信する。

さらに11月1日からは、加山雄三が映画『若大将』シリーズを振り返るインタビュー映像も交えた特別番組「加山雄三、「若大将」を語る」を6日間連続でリピート放送・配信し、「これがラストショー!ライブと映画で味わい尽くす若大将!加山雄三」として特集する。中でも「加山雄三ラストショー 〜永遠の若大将〜」は、2022年内でコンサート活動引退を発表した加山雄三の、ホールコンサートとしてはラストとなったファン必見のプログラム。WOWOWでのオンエアを前に実現した、加山雄三独占インタビューの言葉と共にその内容を紹介しよう。

懐かしい映画のシーンなどを散りばめたオープニング映像を経て、「海 その愛」から始まったコンサート第一部のテーマは「海」。椅子に腰かけ、ホーンセクションとストリングスを加えたバックバンドを従えて歌う声はとても力強く、「ある日渚に」「夜空を仰いで」「まだ見ぬ恋人」など、海にまつわる歌詞を持つヒット曲を次々と披露してゆく。

「選曲はいろいろ考えたけど、やっぱりみんなが知ってる曲を歌うことが一番大事だよね。そして俺は海っぺりで育ったから、海から恩恵をこうむったことが多い、海から学んだことが多い。そういう、自分の中からにじみ出るものを大切にしたいなと思って曲を選びましたね」

「夜空を仰いで」の“君がいないとつまんねえや”というおなじみのセリフや、「この長い間にいい曲をけっこうたくさん作ってるんだよね。自分で言ってちゃしょうがないけども(笑)」と、飾らないトークにもあたたかい拍手がおくられる。誰もがこの場にいることを楽しみながら、すべての瞬間を目と耳に焼き付けようとしている。第一部を締めくくるのは、軽快なアップテンポに乗せて勇ましく進む「光進丸」だ。立ち上がって手を挙げる雄々しい姿が、波を蹴って進む船べりに立つ船長の姿に見えてくる。

第二部の始まりを告げるのは、あっと驚く「バーチャル若大将」のステージだ。バーチャル若大将とは、AIの最新技術を使い、スクリーン上でバーチャル(仮想)映像の加山雄三が新曲「そして陽は昇りつづける」を歌う、近未来的なもの。「俺は昔から、誰もやったことのないことをやるのが好きなんだ」と言う加山雄三、世界的に見てもこんな演出は見たことがない。ラストショーにも関わらず新たな挑戦を楽しんでいる。

「音的には、俺が歌ったことのない歌を歌わせることはできるんだけど、映像には相当苦労したね。昔、俺と体型が似ている次男を使って撮った映像が残ってたから、それをもとに作ったんだけどさ。やっとこさ出来たんだけど、まだ本格的じゃないね(笑)。もう少し頑張らないと」

バーチャル若大将とデュエットする「旅人よ」のあとは、60年代エレキソングのヒットパレードだ。「蒼い星くず」「白い砂の少女」「霧雨の舗道」や、バンドが奏でるインスト曲「ブラック・サンド・ビーチ」など、“テケテケ”と呼ばれたエレキギター奏法を随所に散りばめた、往年のヒット曲の連発に会場内は大興奮。あちこちでペンライトが振られ、リズムに合わせた手拍子でぐんぐん盛り上がる。

「不思議なもので、誰もいないリハーサルと、大勢の人が聴いてくれるのと、全然気持ち的に違うんだ。俺が一生懸命歌ったら、一生懸命聴いてくれる。ギブ&テイクの場が、なんとも言えずにいいんだな。それがあったから、俺は歌い続けてきたと思うんだよね」

第二部の後半にも見どころは続く。サイモン&ガーファンクルの名曲を英語詞でカバーした「明日に架ける橋」、そして9月4日に結婚記念日を迎えた、愛する妻に捧げた「September 4th」。前者には、コロナ禍の中でも「明日」を信じて生きて行こうという願いを、後者には、最愛の人への感謝の気持ちを、「たくさんの幸せをいただいて、4人の子供に恵まれて、4人の孫がいますからね。その元を作ってくれたおかあちゃんに、心を込めて歌を歌います」という言葉を添えて。口に出すのが照れくさいほどの愛と希望のメッセージを、どこまでも素直に大らかに歌えるシンガー。それが加山雄三だ。

恩人である作詞家・岩谷時子との思い出を語って歌った「恋は紅いバラ」、そしてエレキソングの代表曲「夜空の星」まで、二部構成で23曲を歌い切っても、満場の拍手は鳴りやまない。熱烈なアンコールに応えて再登場し、「お嫁においで」と「サライ」という、時代は違えど未だに歌い継がれる名曲を披露する。アップテンポもバラードも、明るさも哀愁も思うがまま。作曲家・弾厚作こと加山雄三の天才を示す名曲の数々に、ひたすら聴き惚れるしかない。

「曲を作る時は、まったく何も考えてない。ずーっと歌ってるのを録音しておいて、聴き直して、これいいなと思ったらそのまんま曲にしちゃう。「お嫁においで」なんて、30分のうちに3曲書いたうちの一つだよ。だから不思議なものだよね、あんまり考え込まなくてもいい曲はできるんだな」

ラストショーの最後に歌われたのは、映画『エレキの若大将』「アルプスの若大将」でも歌われた代表曲であり、日本のスタンダード曲ともなった「君といつまでも」。若き日に戻ったかのような張りのある歌声と、“僕は死ぬまで君を離さないぞ、いいだろ?”というセリフに応え、熱烈な拍手が会場いっぱいに響き渡る、素晴らしいシーンだ。そして本当に最後の曲となったのは、「愛する時は今」だった。“しあわせつかもうよ、しあわせ渡そうよ”と繰り返される、加山雄三のメインテーマとも言える“幸せの哲学”をまっすぐに歌った曲だ。

「人間はね、いつか終わって行くにしても、絶対に残って行くものを何か伝えていきたいんだよ。若い頃は“しあわせつかもう”と思うけど、だんだんと“しあわせ渡そう”と思うようになる。どんなことがあっても、幸せはもらうだけじゃなくて与えるもの。ギブ&テイクだという気持ちを伝えたいんだよね」

ラストショーと銘打ちながら、寂しさや湿っぽさはまったく感じない、明るく前向きなステージ。85歳を超えてさらなる挑戦へと向かう、永遠の若大将のフィナーレにふさわしい素晴らしいコンサートを、ぜひWOWOWで見届けてほしい。

「絶対に、明るく終わりたいんだよね。ラストだからって、しょぼしょぼしたんじゃ駄目。これからもまだ歌うし、音楽は生涯の親友だからね。音楽を愛して来て本当に良かったなと思うよね」

取材・文:宮本英夫
インタビュー写真:福岡諒祠(GEKKO)

セットリスト

01.海 その愛
02.ある日渚に
03.夜空を仰いで
04.俺は海の子
05.湘南ひき潮
06.まだ見ぬ恋人
07.君のために
08.ひとり渚で
09.光進丸
10.そして陽は昇りつづける
11.旅人よ
12.蒼い星くず
13.白い砂の少女
14.ブラック・サンド・ビーチ
15.霧雨の舗道
16.君が好きだから
17.ブライト・ホーン
18.夕陽は赤く
19.明日に架ける橋
20.September 4th
21.ぼくの妹に
22.恋は紅いバラ
23.夜空の星

アンコール

24.お嫁においで
25.サライ

ダブルアンコール

26.君といつまでも
27.愛する時は今

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